2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧
123話 マティアスとカイルは同じ部隊にいます。 消毒を終えたカイルはマティアスに 痛くはないかと、 突然、衝動的に尋ねました。 他の幕舎に呼ばれた軍医と 治療を終えた将校たちが去り、 この幕舎には、公爵以外、 誰も残っていませんでした。 カイルは、…
122話 クロディーヌはマティアスが冷たい血が流れる怪物だと非難しました。 もう終わってしまったと 分かりながらも認められない。 だからどうしても、 底をさらけ出してしまう。 クロディーヌは、 今やこの男と同じくらい 自分自身が恐ろしい存在であると …
121話 ベルクとロビタの間で戦争が始まりました。 両国間で勃発した戦争は、 すぐに大陸全体に広がりました。 南部連合を率いるロビタが 参戦を宣言すると、 北部最高の強大国であるベルク帝国も 待っていたかのように 戦争に足を踏み入れました。 その両国…
120話 かかってきた電話の内容は? 通話をしていた随行人の声が 止まったかと思うと、 寝室に近づく足音が響き渡りました。 随行人の表情を見たマティアスは 少し席を外してくれないかと エトマン博士に頼みました。 彼はやむを得ず寝室を離れました。 マー…
37話 オデットはティラと電話で話をしています。 新しくできた友達と寮生活について ぺちゃくちゃしゃべっていたティラは 新婚生活はどう? 元気に過ごしているよね?と、 突然、 とんでもない質問をして来ました。 オデットは受話器を持ち直して 自分も元気…
36話 晩さん会の後、オデットは寝室に戻ると・・・ 節度のあるノックの音が 夜更けの静けさの中に染み込みました。 ぼんやりと鏡を見つめながら ブラッシングをしていたオデットは びっくり仰天して、 そちらへ顔を向けました。 危うく落としそうになったヘ…
35話 晩餐会で、オデットが賭場で父親に売られた話題が持ち上げられました。 父親が不適切な賭博を 楽しんだことがある。 足りない掛け金の代わりに 娘を賭けるという失言をし、 それに興味を持った将校たちが 参加した。 その夜、夫に初めて会った。 ここに…
119話 レイラは自転車とぶつかってしまいました。 レイラは足を引きずりながら 階段を上りました。 捻挫した足首がズキズキしましたが 耐え難いほどではありませんでした。 転んで怪我をした膝の傷も ひどくはありませんでした。 だから大したことではない。…
118話 マティアスは邸宅に引きこもったままです。 ヘルハルト公爵が、健康問題で 引きこもっているという噂は、 たちまち、 カルスバルの上流社会のあちこちに 広まりました。 まさかと思った人たちも、 今では、それを既成事実として 受け入れなければ なり…
117話 カイルがカルスバルに戻って来ました。 カイル・エトマンが現れたという噂は たちまちアルビス中に広まりました。 すると、アルビスの人々は、 再び混乱に陥りました。 カイルが、 庭師とレイラを連れ去ったという噂が 固まりつつあったからでした。 …
116話 マティアスの可愛がっていたカナリアが死んでしまいました。 雨が止むと夜が明けました。 マティアスは、 西側の窓の前に置かれた椅子に もたれかかり、 明るくなって来る朝を見ました。 昨日降った春の雨の中で バラが咲いたようで、 開け放たれた窓…
34話 週末、バスティアンはアルデンに戻って来ましたが・・・ 探るように、 ドレスを見回したバスティアンは それが最善なのかと、 落ち着いて質問をしました。 オデットは当惑した表情で 夫を見ました。 バスティアンの意図を理解するまでには あといくらか…
33話 バスティアンとの新婚生活が始まりました。 開いた窓から入って来た風が、 ベッドに垂れ下がったカーテンを 揺らしました。 波打つレースの影の下で 目を覚ましたオデットは、 穏やかな波の音に耳を傾けながら、 その模様の数を数えている間に、 眠気が…
32話 オデットとバスティアンは結婚式を挙げました。 晩餐会と祝賀パーティーの間の 休憩時間に、オデットは あちこちで、ひそひそ話している、 「同じだ」という言葉の意味を 知りました。 信じがたい話でした。 じっくり考え込んでいたオデットは つまり、…
115話 マティアスはレイラとビルおじさんが住んでいた小屋へやって来ました。 埃が積もっていることを除けば、 全てがそのままでした。 全部捨てて 逃げてしまったという事実が より鮮明に感じられ、 マティアスは失笑しました。 庭師とレイラが、この古い家…
114話 エトマン博士はマティアスの診察を続けています。 主治医が、 公爵の健康状態を確認するために 出入りしているという話を聞いた エリーゼ・フォン・ヘルハルトは驚き 「エトマン博士がマティアスを?」 と聞き返しました。 その鋭い声に気後れしたメイ…
113話 レイラはビルおじさんと新しい生活を始めています。 レイラは静かに数を数えながら 歩きました。 広場の鐘塔から四つ目の路地。 その路地の最初の家。 まだこの村に慣れていないため ぼんやり歩いていると、 道に迷うことが多かったレイラは 幸いなこ…
112話 ビルおじさんと夜逃げしたレイラをマティアスは探しています。 偶然、マティアスは、 車の窓から、道を通り過ぎる 女子校の生徒たちを見ました。 しばらくの間、彼は無心で その光景を見つめていましたが すぐに、その制服が、二年前の夏、 自転車を走…
31話 夏至にバスティアンとオデットの結婚式が執り行われます。 オデットは、海が広がる窓の向こうに そっと視線を移しました。 結婚式が行われる バスティアン・クラウヴィッツの 邸宅への道は、 海岸沿いに長く伸びていました。 オデットは馬車の窓際に座…
30話 オデットは、二年間、バスティアンと結婚するという書類にサインをしました。 トリエ伯爵夫人は、 こんなに急に結婚の準備をしたのは 生まれて初めてだと言うと、 首を横に振りながら失笑しました。 今、二人は宝石店へ結納品を取りに行き 今は完成した…
29話 バスティアンが病院にやって来た目的は? これが、先程伝えた件を整理した 契約書なので、確認して欲しいと 前置きをした後、バスティアンは 書類の束をオデットに渡しました。 厄介な皇女の盾の役割をするという 苦労を共有していた間柄であるだけに …
111話 アルビスからの知らせとは何なのでしょうか? マティアスは、 「連絡?何?」と尋ねました。 マーク・エバースが躊躇っていると マティアスは眉間にしわを寄せながら 話すよう催促しました。 マーク・エバースは、 何度も唇を動かした後、震える声で …
110話 学校からの帰り道、レイラはマティアスの車に出くわしました。 しばらく止まれという 指示を受けた運転手は、 プラタナスの道端に車を止めました。 かなり濃い緑色に染まって来た木の葉が 夕方の風に揺れていました。 マティアスは、その影がちらつく…
165話 外伝12話の続き エルナは学生寮を見学しています。 まるで時間を遡って 過去のビョルンに会っているような 時間でした。 エルナは夢を見ているような気分で ビョルン・デナイスタの学生時代を 探索しました。 寮では、学長が見せてくれなかった 秘密の…
109話 離れから戻って来たレイラをビルおじさんが待っていました。 夜が明けても、 小屋は静まりかえっていました。 レイラは、 もう涙も乾ききった顔で 日が差している古い食卓を 見下ろしました。 焦点が定まらない目を ゆっくり閉じて開く度に、 昨夜の記…
165話 外伝12話の続き エルナの心配をよそに、ビョルンの演説は無事に終わりました。 大聖堂から それほど遠くない所にある 壮大な建物の前に立ち止まった学長は ここがフレイル寮。 大公と王太子も、この寮で過ごしたと 力を込めて話しました。 つられて歩…
108話 ビルおじさんは、レイラが小屋を抜け出して森へ向かうのを見ました。 約束の時間が来る前に到着した離れは 静かな暗闇に包まれていました。 レイラは、 カーディガンのポケットの中に 入れておいた鍵を取り出して、 ドアを開けました。 いつものように…
165話の終わりが変更されていますので まずは、こちらをお読みください。 myuieri.net 165話と外伝12話の続き エルナとビョルンはシュベリン王立大学の学位授与式に出席することになりました。 王室の紋章をつけた列車が到着すると 駅は慌ただしくなりました…
28話 ディセン公爵は階段から落ちて大怪我をしました。 むしろ目が覚めなかったら 良かったのに。 どうしても口に出せない本音を 飲み込んだトリエ伯爵夫人は、 ただ深いため息だけをつきました。 閉ざされた病室のドアの向こうからは すでに数分間、奇声に…
27話 皇帝はバスティアンに責任を押し付けるつもりです。 長い沈黙を破った皇帝は、 自分が、その気になれば、 今夜、お前は生きて、この宮殿を 出ることができないかもしれない。 明日の明け方、夜が明ける頃、 後から分かったことだけれど、 実は巷の小者…