2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
157話 マティアスはレイラに水泳を教えると言いました。 来ないことを願っていた週末が ついに訪れました。 レイラが抱いていた全ての希望が 崩れ去った、絶望的な約束の日でした。 最初、レイラは エリーゼ・フォン·・ヘルハルトに 希望を抱きました。 彼女…
156話 外伝4話 マティアスはレイラに、もう脱げと言いましたが・・・ 驚いて、振り向いたレイラは 何の動揺も見せていない 青い目を見ました。 一体、あの男に、 感情というものがあるのだろうかと 思ったあの頃のように 無情な顔でした。 「何ですって?」 …
64話 バスティアンはピアノがあるサンルームに向かいました。 最後の音の残響の中で 拍手が沸き起こりました。 オデットはビクッとして、 その音が聞こえて来た方に 顔を向けました。 戸口に寄りかかったバスティアンが 手を叩いていました。 「バスティアン…
63話 オデットは野良犬にマルグレーテと名付けました。 マルグレーテは、 オデットの影のようでした。 ただオデットだけを見つめて、 オデットの後だけに付いて行きました。 オデットが他のことに 夢中になっていた時もそうでした。 ふと視線が感じられて、…
62話 ベロップの外交使節団がベルクに来ています。 ベロップの外交使節団は 奇襲的に海軍省を訪問しました。 本来、国会で特別演説を行った後、 居住地の別宮に移動する予定でしたが 皇太子が、 近くにある海軍省に大きな関心を示し 移動経路が急に変更され…
155話 レイラとマティアスはアルビスへ帰って来ました。 鳥たちのさえずりで騒々しい 森の道を通ると、 小屋が姿を現しました。 帽子を脱いだレイラは、前庭の端で しばらく、ぼんやりと その風景を見つめていました。 人が住まなくなってから かなり長い時…
154話 マティアスとフェリックスはパーゴラの下にいました。 その笑い声に導かれるように マティアスは、 ゆっくり首を回しました。 彼のそばに立って 何かを報告していた随行人の視線も、 すぐにレイラに向かいました。 二人の男をかすめたレイラの視線は、…
153話 外伝1話 レイラとマティアスの結婚後のお話です。 夜が更けるまで、書斎のドアは 固く閉ざされていました。 マティアスは目を細めて、 ドアの隙間から漏れる光を 見つめました。 もう何日も、公爵夫人は 書斎で夜を明かしました。 期末試験が終わるま…
152話 レイラは泣き出した子供に駆け寄りました。 ちょこちょこ走り回っていた 子供が転んだようでした。 幸い怪我をしてはいないのか、 レイラの表情は、それほど 深刻ではありませんでした。 母親の首をギュッと抱きしめて しがみついている自分に似た息子…
61話 オデットは雨の中で、何をしているのでしょうか? 必死で穴を掘ったオデットの両手は 濡れた土で覆われ、 滅茶苦茶になっていました。 服と靴の状態も同じでした。 無駄だと分かりながらも、 オデットは落ち着いて 土を払い落としました。 立ち上がって…
60話 オデットは、バスティアンとの食事の席を立ちました。 暗黙の約束の場所である カエデの木の下には、 空っぽのブリキ缶だけが ぽつんと置かれていました。 オデットは、 急いでそこに近づきました。 周りをくまなく探してみましたが、 野良犬は見当たり…
59話 バスティアンが帰って来たら、ジェンダス伯爵がいました。 後に付いて来た乳母に 娘を渡したマクシミンは 急いで残りの階段を降りると クラウヴィッツ大尉に会えずに 去ることになり 残念に思っていたけれど、 本当に良かったと言って 手を差し出しまし…
151話 クロディーヌはリエットのお墓参りに来ています。 墓石に刻まれた名前が、 まぶしい午後の日差しの中で 光りました。 クロディーヌは背筋を伸ばして その墓石を見つめました。 リエット・フォン・リンドマン。 永遠に過去に取り残された その名前を映…
150話 初めてフェリックスに会ったカタリナとエリーゼは・・・ フェリックス・フォン・ヘルハルトが 自分の祖母と曾祖母を虜にするまで それほど長い時間は 必要ありませんでした。 マティアスが、レイラと子供を ラッツの邸宅に連れてきたその日、 二人は子…
149話 レイラとマティアスは再会しました。 その結婚式は、 夏の終わりに行われる予定でした。 戦死したとばかり思っていた ヘルハルト公爵が生きていて 堂々と帰って来たという驚きは、 その信じ難い結婚が与えた衝撃に 隠され、まもなく薄れました。 帝国…
148話 レイラは子供と一緒に公園にいます。 ラッツの都心にある公園は、 湖や森を含むほど広大でした。 レイラは、 湖と森が最も美しく調和して見える 公園の西側が一番好きでした。 そこから眺める風景は 一見アルビスに似ていました。 多くの悲しみと 傷を…
58話 オデットが散歩に出かけようとすると・・・ ギリス女学校の寮にいる ティラ・ベラーから 電話がかかって来たという知らせが オデットに伝えられました。 野良犬のために用意した食べ物が 入っている袋を急いで隠したオデットは 急いで電話機のある書斎…
57話 オデットは、バスティアンがきちんと朝食を摂るよう説得して欲しいと頼まれました。 勝算が全くないわけでは ありませんでした。 深呼吸をしたオデットは、 落ち着いてノックをすることで、 今日の最初の仕事を始めました。 閉じたドアの向こうから、 …
56話 バスティアンはまだ帰って来ていません。 父親は鍛冶屋だったけれど 事故で大怪我をし、最近は 病床に伏せっている。 休むことなく続いたメイドのお喋りは いつの間にか、家族の話にまで 及んでいました。 オデットは化粧台の前の鏡越しに 髪を梳かして…
147話 マティアスの死亡の報が伝わっていましたが・・・ まだ厳重に管理されている 国境ゲートが開かれました。 特別な検問手続きなしに 国境を越えた車は、 ベルクへと続く道路を 走り始めました。 戦争の砲火が届かなかった ベルクの領土に入ると、 風景は…
146話 マティアスの死亡が知らされた日にレイラは出産しました。 冬が去り、春が去り、 夏が来ました。 そして戦争は、 両陣営に多大な被害をもたらした末 北部連合の勝利で終結しました。 勝利で得た利益は微々たるもので 損失は大きかったけれど、 もっと…
145話 マティアスはどうなったのでしょうか? 新年前夜 朝に配達された新聞は、 お昼頃を過ぎても 開いていない状態で テーブルの上に置かれていました。 その周りをウロウロしていたレイラは 今回も、どうしても手を伸ばせなくて 背を向けました。 お腹の中…
144話 ブラント伯爵夫人が持っていた新聞の内容は? 腫れ上がった目をした ブラント伯爵夫人は、かすれた声で メイドのマリーに、 クロディーヌの様子を尋ねました。 マリーは困った様子で 視線を落としました。 正直に話すのも、嘘をつくのも 曖昧な状況で…
55話 バスティアンは離婚の理由はオデットの不倫にしようと言いました。 バスティアンは、 いつもの時間に目を覚ましました。 日が短くなったせいで、 周囲は、まだ青い夜明けの光に 包まれていました。 バスティアンは、 ゆっくりと息を整えながら 体を起こ…
54話 ジェンダス伯爵の娘はオデットのことを「お母さま」と呼びました。 トリエ伯爵夫人は、 母親がとても恋しいのだろうと 適当な言葉で、 気まずくなった雰囲気を収拾しました。 戦々恐々として顔色を窺っていた 別の夫人も、その意見に同意し、 母親と一…
53話 バスティアンはディセン公爵から来た手紙を燃やしてしまいました。 もう何度も同じ答えを聞いたことを すっかり忘れてしまったかのように 本当に手紙が来ていないのかと ディセン公爵は、 再び怒鳴りつけるように 質問しました。 公爵への手紙は一通も…
143話 レイラが救急車から降りて走って来ました。 夢中で走って来るレイラに向かって マティアスも急いで走りました。 よろめきながら、 倒れそうになる彼女を支える マティアスの手も、 彼女のように震えていました。 マティアスは、 何と言ったらいいのか…
142話 爆撃を受けている中、マティアスがレイラの所へやって来ました。 彼らが互いを見つめた時間は それほど長くはありませんでした。 倒れているレイラを抱きしめた マティアスは、まっすぐ 地下室に向かって走り出しました。 彼が、 ちょうど地下室のドア…
141話 とうとうエタールが参戦しました。 戦雲が漂うシエンに、 封鎖令が下されました。 すべての民間人に対する 通行証の発行が中断され、 市民は誰も、この都市を 離れることができませんでした。 カイルは心配そうな顔で、 司令部の前をうろついていまし…
140話 ロビタの民兵隊に襲われたマティアスは、どうなったのでしょうか? 伝令として出発した一行を乗せた車は 予定より一日遅れた午後に ようやく戻って来ました。 民兵隊との銃撃戦で大怪我をした兵士は 駐屯地からすぐの後方の軍病院に 搬送され、 比較的…