138話 ナビエのせいで計画が進まないと言われたハインリでしたが・・・
◇マッケナの意見◇
ハインリに意見を求められた
マッケナは、
帝国になった国を安定させるには
長い時間と努力が必要。
戦争を強行するより
国を安定させた方が得かもしれない。
次世代のために力を養っておき
栄光は後世に残しても良いと
率直な意見を述べました。
続いてマッケナは、
生涯の念願を果たすことも
大事だけれど
それに捕らわれて
一生、不幸になる選択をすると
非常に悲しいことになる。
ハインリには後悔しないで
暮らして欲しい。
どうせなら幸せに暮らして欲しいと
ハインリの従兄弟として、
照れ臭そうに言いました。
マッケナの意見を聞いて
ハインリは、
深く考え込みました。
マッケナは、いいことを言いますね。
◇幽霊の正体は?◇
ナビエは、
幽霊の噂を流した人のことを
考えていました。
どんな小さな噂も
どのように変わるかわからない
悪い意図で
噂を流しているとしたら
なおさら、ひどくなる。
ナビエは、ランドレ子爵に頼んで
幽霊が出るという場所に
騎士たちを
隠しておいたりもしましたが
効果はありませんでした。
しかし、答えは予期せぬところから
与えられました。
いつまでも
カフメン大公に
会わないわけにはいかないので
彼を執務室に呼び
交易品目を相談した日、
彼が帰り際にナビエの心を読み、
カトロン侯爵が主導し
リバティ公爵は
見ないふりをしていると
教えてくれました。
カトロン侯爵はクリスタの従兄で外務省長官をやっています。リバティ侯爵はマレーニの母方の叔父です。
カフメン大公のおかげで
幽霊騒動は
カトロン侯爵が主導していたことが
わかりました。
いつものように、ナビエと話している時に、カフメン大公が変なことを言い出して、自虐することはあったようです。
ナビエはそれについて
ハインリに伝えると、彼は
カトロン侯爵ならやりかねない。
彼は幻想魔法を使うから
それを使って
幽霊騒動を起こしたと指摘しました。
ナビエは、この問題を
自分が処理をしても良いか
ハインリに尋ねました。
ナビエは、ランドレ子爵に頼んで
多国籍騎士団の騎士を何人か借りて
カトロン侯爵が、1週間ほど
目を覚まさないようにしてもらい
その間に、幽霊騒動が起きなければ
誰が犯人か明らかになる。
そうなった時に、自分たちが
その話を広めるという計画を
立てました。
ランドレ子爵は、ナビエの願いを
快諾しました。
ただし、具体的な計画は
自分たちに任せてほしいと
ランドレ子爵は言いました。
翌日の夜
ランドレ子爵は、
計画が成功したことを
伝えに来ました。
カトロン侯爵は短くて1週間
長ければ10日間、
目が覚めないとのことでした。
ここでは、カトロン侯爵を眠らせる方法は書かれていませんが、何をしたのか気になります。
カトロン侯爵が寝ている間
彼の側近やリバティ公爵が
他の手を使い
幽霊騒動を起こしたらどうしようと
心配していましたが
カトロン侯爵が眠ってしまうと
幽霊騒動は収まりました。
ナビエとハインリが
噂を流さなくても
幽霊騒動は
クリスタの追放に腹を立てた
カトロン侯爵の仕業だ
と人々は囁き始めました。
◇もう一人の傭兵◇
ラスタはルベティを
誘拐するように依頼をした後
ムア-ルの別荘に戻りました。
初めの数日間は
死んだ男のことを思い出して
苦しみましたが
時間が経つにつれ、そのことは忘れ
ルベティが奴隷になることを考えて
気分がよくなりました。
しばらく田舎の暮らしを楽しみ
それが退屈になると
宮殿へ戻りました。
◇エルギ公爵の怪しい笑み◇
その翌日、ロテシュ子爵が
彼が雇った傭兵と一緒に
やって来ました。
ロテシュ子爵に傭兵を頼んだことを
忘れていたラスタは
もう1人、傭兵が必要か悩みましたが
自分の手足となって
仕える人間はたくさん必要だと思い
受け入れることにしました。
傭兵はマントを被って
顔を隠していたので
彼だとわかるように
人差し指、中指、薬指に
同じ形の指輪をはめていました。
ラスタは、
その傭兵の腕を試すために
隣にいる男を殺せと
叫びたい衝動を抑えて
ケガをさせずに
エルギ公爵のブレスレットを
奪うように命じました。
ラスタは、あらかじめ
エルギ公爵にそのことを伝えて
許しをもらうつもりでいました。
しかし、エルギ公爵は
ラスタは色々なことで
自分を利用する。
一番信頼している人を
危険な目に会わせるのかと
冷ややかな態度で
ラスタを非難しました。
目も合わせてくれないエルギ公爵に
ラスタは悲しい思いをしました。
けれども、その日の晩に
ブレスレットを盗むように
傭兵に依頼をしたので
その取り消しはできませんでした。
しょんぼりとして
西宮へ帰るラスタの後ろ姿を見ながら
エルギ公爵は笑みを浮かべ
侍従を呼ぶと、
タラクを連れてこいと命じました。
◇愛しています、行かないで
傭兵はきちんとブレスレットを
持ってくるのか。
エルギ公爵は、
まだ怒っているだろうか。
ラスタは気になって
眠ることができませんでした。
しかし、明日になって謝れば
許してくれると
気楽に考えていたラスタでしたが
未明に、血の付いたブレスレットを
傭兵が持ってきたので
ラスタは激しく怒りました。
傭兵は、エルギ公爵が強い上
護衛もいたので
ケガをさせずに
ブレスレットを奪うことは
できなかったと弁解しました。
ラスタは傭兵の実力を認めましたが
エルギ公爵のことが心配になり
朝食を取るとすぐに
エルギ公爵を訪ねました。
エルギ公爵は前日より
さらに怒っていて
ラスタに笑いかけもしないばかりか
別れの言葉を口にしました。
ラスタは
行かないでと言って、
エルギ公爵を引き留めましたが
彼は、前日のことで
自分のラスタへの友情が
利用されてがっかりしたと
言いました。
エルギ公爵の腕には
包帯が巻かれていました。
エルギ公爵へ帰るように
言われて
ラスタは、西宮へ戻りました。
エルギ公爵が
いなくなってしまうこと以外
何も考えられませんでした。
傭兵が奪ってきた
血の付いたブレスレットを見て
ラスタは涙を流しました。
どんな時も、偏見を持たずに
ラスタを見てくれた友人が
怒って、いなくなってしまう現実を
恐ろしく感じました。
そして、自分は
エルギ公爵が好きみたいだと
自分の気持ちを認めました。
ソビエシュは一番大変な時に
自分を助けてくれたけれど
気まぐれで、簡単に人を捨てる。
今でも、彼のことは
愛しているけれど
この愛は消えつつある。
エルギ公爵は絶えず自分を支持し
助けてくれた。
彼への愛は大きくなるだけ。
ラスタは、エルギ公爵の元へ
走っていきました。
彼は馬車に
荷物を積み込んでいました。
ラスタはエルギ公爵を
部屋へ連れて行きドアを閉めましたが
彼は再び外へ出ようとしました。
その後ろから、ラスタは
好きです、愛しています。
行かないでと叫びました。
エルギ公爵は笑いましたが
ラスタに、
その顔は見えませんでした。
ラスタは、自分の魅力で
男性たちを誘惑できる力が
あると思っているのでしょうけれど
エルギ公爵は
ラスタの想像以上に
女性を騙す力に長けているのかなと
思いました。
私の憶測にすぎないのですが
ラスタの所へ
ブレスレットを持っていた傭兵は
もしかしたら
エルギ公爵の手の者かもと
思いました。
傭兵を見分けるのは
指輪しかないので。
手の包帯も、嘘ではないかと。
次回は、いよいよ
エルギ公爵の本当の目的が
明かされそうです。