251話 はたしてランドレ子爵へのナビエの返事は?
◇ランドレ子爵への返答◇
ランドレ子爵は部屋の中へ
入って来ました。
ハインリとランドレ子爵、
2人の緊張している
男性の間にいるナビエは
ランドレ子爵に、
騎士たちを救ったか尋ねました。
ランドレ子爵は、
3人とも帰したと答えました。
ナビエはランドレ子爵に
言うべきことを伝えました。
ランドレ子爵が帰った後
ハインリは
ナビエがランドレ子爵に
正直に話すと思っていたと
言いました。
ナビエは半分は正直に話をしたと
ハインリに伝えました。
彼が、その理由を尋ねると
ナビエは、国の命運をかけて
冒険はしたくないから。
今はランドレ子爵を信じているけれど
彼は若いし、
いずれ東大帝国へ帰る人だから
心変わりをする時間は十分にある。
と答えました。
ハインリは、
時々ナビエが見せる
その冷静さが好きだと言って
ナビエの横に座り
彼女の身体を自分に引き寄せました。
ナビエはハインリの頬を
そっと引っ張ると
彼は微笑みながら
ナビエをいやらしそうに眺めました。
ナビエは、
今は、そんなことをしている
場合ではない、
考えなければいけないことがある。
全部はわかっていないけれど
ランドレ子爵は
魔力減少現象について
知ってしまった。
秘密は一度漏れたら秘密ではない。
これを利用してみたらどうかと
ハインリの顔を触りながら
言いました。
彼は、顔を触られながら
そんなことを言われると
怖いと言いました。
◇新年祭◇
新年祭当日がやって来ました。
前の年は、
新年祭を完璧に進行するために
官吏たちと終始会議をしたけれど
客として出席している今は
何もしなくてよいので
ナビエは新鮮に感じました。
ナビエに唯一付いてきた
侍女のマスタスは
ローズとジュベール伯爵夫人に
責任を持って、皇后陛下を
輝かせるようにと
言われてきたので
張り切って、ナビエの
支度をさせようとしましたが
数回失敗した後
化粧は簡単に、
髪もとかすだけとなりました。
マスタスは
ふくれっ面をしていましたが
マスタスを連れてきた時点で
いつものように支度できるとは
思わなかったので
ナビエは大丈夫でした。
夕方6時に
ハインリにエスコートされて
パーティー会場に入ると
自分とハインリを見て
皮肉る人もいましたが
気になりませんでした。
新年祭に来た目的は
ハインリを助けるためだったので
もう大丈夫だと思っていましたが
バラバラになった騎士たちのことは
気になっていました。
ランドレ子爵は
3人救出したと言っていたので
大丈夫だと思いましたが・・・
ハインリは、
クイーンと初めて踊った時のことを
思い出す。
今日も踊らないかと話している時、
ざわめきと共に
エインジェルが入って来て
ナビエに近づきました。
彼は、ナビエの想像していた以上に
身体のあちこちに紫のリボンを
巻いていて
首のリボンは蝶結びをしていました。
今日は皇后が、自分のご主人様に
なってくださったのですねと言うと、
ナビエは
自分がどれだけ威張っても
プライドが傷つく人では
ないように思えて
ハインリをいじめた分だけ
彼にお返しをするという気持ちが
半分失せてしまいました。
それでも、ナビエは
持っていた空のワイングラスを
片付けるように
エインジェルに命じました。
ハインリは
キツネのような奴が
尻尾を振っているように見えると
悔しそうに言いました。
そして、エインジェルが
ナビエに椅子を持ってきた時に、
彼女は、自分の許可なしに
勝手なことをしないように。
片付けてと、冷たく命じました。
すると、ハインリは
ナビエの冷たい視線を
受けるのはつらいと言って
やきもちを焼くので
ナビエはケーキを半分
ハインリの口に入れてあげると
ようやく、ハインリの表情が
ほぐれました。
◇不安◇
エインジェルに絶え間なく
用事を言いつけている間に
数時間が経ち
ナビエは、そろそろ疲れてきました。
この間、ハインリは
ずっと顔をしかめていました。
鳥を奪われたエインジェルが
何も行動を起こさないのを
ナビエは不思議に思っていましたが
今のところエインジェルは
何もできないのだろう
3人の騎士たちも
解放してくれたし・・・と考えた瞬間
不安になりました。
エインジェルが捕まえた騎士たちは
本当に3人だけだったのか。
ナビエは
ハインリとランドレ子爵を
隅に連れて行き
捕まっていた騎士たちは
3人で間違いないか
ランドレ子爵に確認しました。
ランドレ子爵は、
監獄は複数の区画に
分かれていて
1つの区画に3人の仮面騎士がいた、
他の区画にも、
人がたくさんいたけれども
監獄はいつも人でいっぱいなので・・・
と恥ずかしそうに言いました。
その時、
大きくて重い金属的な何かを
引きずる音が聞こえました。
1人の人間が入れるくらいの大きさの
鉄製の檻でした。
その横にはハンドルが付いていました。
檻の中には行方のわからなかった
鳥一族の騎士が入れられていました。
エインジェルは笑いながら
ご主人様のために余興を用意した。
よく見てくださいと言いました。
ハインリをいじめた
復讐だと言っても
ナビエ様が他の人に向ける
冷たい視線でさえ
嫉妬で耐えられないハインリは
自分で認めている通り
本当に嫉妬の怪物なのですね。
やきもちを焼きすぎるのは
困りますが
それだけ、ハインリが
ナビエ様のことを愛していることを
彼女自身も
わかっているのでしょうね。
ナビエ様がハインリの口に
ケーキを入れるシーンが
微笑ましいです。
ランドレ子爵は
少し詰めが甘いかも・・・