8話 ナビエのお気に入りの椅子とハンカチをラスタに使われてしまいました。
◇母親に会いたい◇
ナビエは、
母親が皇帝と側室のことを
気にしないようにと
言っていた言葉を
徐々に理解できるように
なっていました。
けれども、
自分は気にしないようにしていても
ラスタが目の前に現れると
思いました。
ナビエは、
母親に相談すれば
楽になると思いましたが
皇帝の側室問題で
ずっと悩んでいた母親を
苦しめることになると
思いました。
ナビエは母親に会うのは
新年祭まで待つことにしました。
もう少し、
1人で耐えようと思いました。
◇変わったソビエシュ◇
ローラは、5日間監禁された後に
実家へ帰っていましたが
宮殿に帰りたがっていると聞き
ナビエは、イライザ伯爵夫人に
いつでも好きな時に
帰ってくるように
ローラに伝えて欲しいと
頼みました。
ナビエは机に座ると、
後で、扉の開く音がしました。
イライザ伯爵夫人だと思って
振り向きませんでしたが
すぐ後ろまで近づいた人は
何も言わずに立っていました。
伯爵夫人ではないと思って
ナビエは振り返ると
ソビエシュが立っていました。
久しぶりに西宮に来たソビエシュに
ナビエは、嬉しさよりも
不安な気持ちになりました。
ナビエはソビエシュに
どうしたのかと尋ねると、
彼は、
ナビエがとても変わったと指摘し
彼女がラスタを侮辱したことを
全て聞いたと答えました。
それは、ソビエシュが
他の側室を迎えたら、
その人と仲良くすればいいと
ラスタに話したことでした。
ソビエシュは、
ラスタの悪意のない言葉に対し
ナビエが皮肉る必要はあったのかと
非難したので、彼女は
変わったのはソビエシュであり、
彼とラスタのことには
関わり合いたくないと
何度も言ったのに、
ラスタのことを
何度も聞かせるのは失礼だ。
彼女と会わなければ、
彼女を 皮肉ることもなかったと
反論すると、ソビエシュは
必要なことだから仕方がない。
ナビエがラスタに手を出さなければ
自分は、こちらへ来なかったと
言いました。
ナビエは、興奮して叫んで
怒りを表す代わりに
かつてソビエシュの父親が
最も大切にしていた
ソフィア伯爵夫人のことを
先代皇后に
話していたかと言って、
彼を傷つけました。
ソビエシュの顔は真っ青になり
皇后がそんなに悪口が上手だとは
知らなかったと皮肉を言いました。
そして、ナビエの部屋を見回すと
部屋いっぱいに、
こんなに豪華な家具を置き、
望むなら
何でも手に入れられるのに
使いもしない椅子一つで
ずっと不幸な人生を
送って来た人をいじめるなんてと
ナビエを非難し、舌打ちしました。
ソビエシュが出て行った後
崩れ落ちるように
化粧台の椅子に座ったナビエを
イライザ伯爵夫人が抱きしめて
慰めてくれました。
◇幸せなラスタ◇
一方のラスタは
皇帝陛下が皇后陛下を訪れた時
声が大きく響くほど叫んで怒った。
皇帝陛下は
ラスタ様が逃亡奴隷出身だと
デマを流す人には
皆、罰を下すと厳命を出した。
陛下とラスタ様は
お伽話の中の恋人のようだと
下女たちから聞かされ上、
金と銀と宝石で飾られた
ブランコ型の椅子を
ソビエシュから
プレゼントされたので
ラスタは、嬉し泣きをして
幸せを満喫していました。
ソビエシュが帰った後
ナビエは、
ベッドで声を押し殺して
泣いていると、
クイーンがやって来ました。
鳥は、ナビエが泣いていることが
分かっているようなので、
彼女は賢い鳥だと思いました。
足に結びつけられた
手紙には、
クイーンがオスだと
書かれていました。
ナビエは、オスなのは意外だったと
返事を書くと、
鳥の飼い主も、もうすぐ来るのかと
考えました。
◇ハインリ王子◇
新年祭が近づいてきました。
西王国のハインリ王子は
先代の王の次男で現国王の弟。
ハインリの兄には
王妃の他に
公式的な愛人が3人いる。
それにもかかわらず
子供は一人もいないので
ハインリは第一王位継承者。
西王国の王妃の
不妊説が流れている上
王の体調不良の話も聞いているので
異変でも起きない限り
ハインリ王子が、
次の王位に就くはず。
そして、
まだ王国のままだけれど
西王国は東大帝国に匹敵する
規模と力を持っている。
という理由でナビエは
ハインリを直接出迎えました。
彼と初めて会ったナビエは
ハインリ王子を
本当に美しいと思いました。
そして、
神秘的な紫色の瞳が
最も美しいと感嘆しましたが
平然を装い、
ハインリ王子の元へ向かいました。
ハインリはナビエに向き合うと
膝を曲げて
騎士が忠誠を誓う時のように
手を差し出しました。
うっかりナビエが手を差し出すと
ハインリはナビエの手の甲に
忠誠のキスをしました。
騎士たちが、キスをする時は
目を伏せたり、
正面を見たりするにもかかわらず
ハインリは、紫の瞳で
ずっとナビエを見つめていました。
挨拶をして、ハインリが
ナビエの手を離した瞬間
なぜかナビエは背筋に
寒気を感じたので、
彼が残酷だという噂は真実かもと
思いました。
彼はナビエを
見上げているにもかかわらず
彼の視線は、
頭上から下界を探索している
鷲のようだと思いました。
◇紫色の瞳のクイーン◇
侍女たちから
ハインリの感想を聞かれたナビエは
今まで見た人の中で
一番美しかった。
人間かどうか疑わしいくらい。
今まで会った男性の中で
一番聞きやすい声だったと
答えました。
侍女たちと楽しく話をしていると
クイーンがやって来ました。
金色の羽毛と紫色の瞳を見て
ナビエは、
こんなに目立つ色をしていたら
野生では生き残れないと思う。
このような鳥を
伝書用に使ってもいいのかと
心配になりました。
ナビエは鳥をじっと見つめていると
クイーンは、
手紙を結んである足を
突き出しました。
そこには、
「私は皇宮に到着しました。
私が誰なのか分かりますか?」
と書かれていました。
痛い所を突かれると
ナビエの質問に
きちんと答えることなく
自分を正当化するために
ナビエを侮辱する。
都合が悪くなると
自分の立場を守るために
ナビエにひどい仕打ちをする。
ラスタの言い分を鵜吞みにして
ナビエのお気に入りの
巣の椅子のことを
使わない椅子と決めつける。
一体、ソビエシュは、
どれだけナビエを傷つければ
気が済むのか。
クイーンがいなければ、
ナビエは、何の慰めもなく
辛い日々に耐えるしか
なかったと思います。
ソビエシュに傷つけられて
苦しんで、泣いているナビエを
ずっと見てきたハインリは
彼女と結婚した時に
絶対に彼女を悲しませたくないと
思ったのでしょうね。
LINEマンガに掲載されている
原作を読んで
ナビエの苦しみ。
ソビエシュのひどさ、
そして、社交界に流れている
ハインリのひどい噂と、
彼女がどれだけ
ハインリを美しいと思ったかが
よく分かりました。