13話 ソズ姫がハインリの文通について話をするシーンの続きです。
◇敵が現れる◇
ソズ姫の話を聞いて、
ナビエ自身も侍女たちも
ハインリ王子が探しているのは
ナビエであると思いましたが
彼女は黙っていました。
けれども、ソズ姫が他の場所へ
行ってしまった後
ローラは、声を押し殺して
あの鳥が
ハインリ王子の鳥ではないかと
言いました。
イライザ伯爵夫人も同意し
ナビエも同じ考えだと言いました。
けれども、ナビエは
名前も顔も知らない
友達のままでいたいと言いました。
他の侍女たちは、
ハインリ王子と近づくのも
悪くないなどと言って、
残念がりましたが、
イライザ伯爵夫人は
女性問題に関して
スキャンダルの多いハインリ王子が
私的に手紙を交換している相手が
皇后だとわかれば
人々は不思議に思うよりも
好奇の目で見るようになると
言いました。
そして、
イライザ伯爵夫人は
ラスタの前で、大笑いしている
リルテアン大公を
冷ややかに見て、
これからは敵がたくさん出てきて
彼らが悪意のある噂を
流すかもしれないので、
注意するに越したことはないと
言いました。
◇ハインリの文通相手は?◇
ラスタの部屋では
ハインリの文通相手について
話している貴族たちが、
賑やかに笑い声を上げていました。
その中にはリルテアン大公もいて
高笑いをしながら
ハインリ王子の文通相手は
ラスタではないかと尋ねました。
彼女は「違う」と答えて
笑いながら、首を横に振りました。
難しい話ばかりしていると思った
貴族たちが
刺激的なゴシップ話をしているので
ラスタは面白がっていましたが
ベルディ子爵夫人だけは
静かにしているので
ラスタは、彼女に
皇后の所へ帰りたいのかと
泣きそうな顔で尋ねました。
ベルディ子爵夫人は
にっこり笑って否定しました。
貴族たちが全員帰り
ベルディ子爵夫人と下女の
2人だけが残ると、
ラスタは、もう一度
皇后の所へ帰りたいなら
正直に話していいと言いました。
ベルディ子爵夫人は
本当に帰りたくないと
言いましたが、
ラスタはその言葉を
容易に信じませんでした。
ベルディ子爵夫人は
ナビエが皇后になって以来
彼女の侍女をしていました。
皇后の侍女だった人を
ラスタの侍女にすれば
それだけで
ラスタの評価が上がると
考えたラント男爵が
お金に苦しむ侍女の中から
ベルディ子爵夫人を選びました。
しかしラスタは
シュレーヌやキースほど
彼女を信頼していませんでした。
ベルディ子爵夫人は
そんなラスタの不信感に気づき
ハインリの文通相手が
ナビエのような気がすると
話してしまいました。
続けて、
ナビエはプライドが高いので
自分からは名乗り出ないと言うと、
シュレーヌは、ベルディ子爵夫人に、
皇后とハインリ王子が
互いのことを知らずに
文通していたというのは確かなのかと
尋ねました。
当時、ナビエは
本当に知らなかったと答えると、
ラスタは、ベルディ子爵夫人が
手紙の内容を
少し知っているのではないかと
尋ねました。
ベルディ子爵夫人が、
知っていると返事をすると、
ラスタは、
シュレーヌに
ハインリの文通相手の
ふりをさせることにしました。
ベルディ子爵夫人は
王族を騙すことになると言って
反対しましたが
ラスタは、ふざけるだけ
ばれた時は
いたずらだと言えばいいと
言いました。
◇私が文通相手◇
シュレーヌは南宮へ行き
自分はハインリ王子の文通相手だ、
彼に会いたいと
西王国の騎士に伝えました。
シュレーヌは
うまくいかなかったら
いたずらだと言えばいい、
うまくいけば王子様と結婚できると
ラスタに言われましたが
やはり怖いと思いました。
騎士は、彼女に
付いて来るように言いました。
シュレーヌは、
文通をすることになった経緯と
手紙の内容について
ベルディ子爵夫人から
聞いていたけれど、
彼女が領地に帰っていた間に
やり取りしていた手紙の内容を
知らなかったので不安でした。
しかし、ラスタは、
手紙の後半のことまで、
確認しないと
大口をたたいていました。
騎士は、ハインリ王子の部屋の前で
文通相手を名乗る者が来たと
声をかけましたが、
反応がありませんでした。
留守だと思った騎士は
シュレーヌに応接間で待つように
指示しました。
シュレーヌは
1時間ほど待たされた後、
ハインリ王子が戻って来たと
騎士から知らされました。
シュレーヌは、誰一人、
部屋の前を通る人はいなかったのに
戻って来たと言われたので、
初めから
居留守をつかわれたのではないかと
疑いましたが
騎士の後に付いて行きました。
部屋に入ると
半裸に近い状態で
薄手のバスローブだけ羽織っている
退屈そうな背の高い男性が
カーテンの間に立っていました。
噂よりも美しい王子に
シュレーヌは
天使が降りてきたら
こんな顔ではないかと思いましたが
彼の鋭い紫色の瞳と出会った瞬間
恐怖を感じ、
この男は、天使よりも
悪魔に近いと思いました。
ハインリ王子はシュレーヌに、
自分の文通相手なのかと尋ねました。
彼女は、おどおどしながら、
「はい」と返事をしました。
意外にも、ハインリ王子は
証拠を求めることなく
目を細めてシュレーヌを見つめた後
本当に文通相手なのかと
確認しました。
そして、もしも嘘だったら、
自分はがっかりして、
何をするかわからないと言った後、
もう一度、間違いないか確認しました。
◇別問題◇
ハインリ王子に
匿名の文通相手がいると
ソズ姫から聞いた翌日
ナビエは、
親しくなった貴族同士で
昼食を取っていました。
遅れてやって来たソズ姫が
ラスタの下女が
ハインリ王子の文通相手だと
名乗り出たと
ナビエに伝えました。
ローラがナビエを見つめました。
彼女も眉をしかめました。
ナビエは、
自分が正体を明かさないのと
誰かが自分になりすますのは
別問題だと思いました。
シュレーヌが、
ハインリを訪ねてきた時、
彼は鳥の姿で
どこかへ出かけていたのではないかと
思います。
戻って来てすぐだったので
半裸に近い状態だったのでしょうね。
ハインリが鳥になって、
ナビエに手紙を運んでいることを
知らないシュレーヌが、
平気で噓をつくのを見て、
彼の心の中で、
許せない気持ちがめらめらと
燃えているのではないかと思います。
せっかく、嘘を正す機会を
与えてもらったのに、
シュレーヌは惜しいことをしました。
マンガの前半では
名前しか出てこなかった
リルテアン大公が
原作では顔出ししています。
ソビエシュの父親の弟だと
思いますが
とても性格が悪そうです。