1話 死の間際の美紗が過去に戻るまで。
36歳の平野美紗は
ガンに侵され、入院中。
余命3ヶ月、長くて半年と
宣告されています。
彼女の夫の友也は、
美紗が入院してから
一度も見舞いに来ないどころか
入院費も払ってくれず、
電話をかけても出てくれません。
美紗が貸したお金を返して欲しいと
メールを送っても、
返事をくれないので、
美紗は、病院を抜け出して
タクシーに乗って自宅へ向かいます。
懐かしい方言を話す
タクシーの運転手は、
具合の悪い美沙に
元気を出すようにと励まします。
けれども、
人生に絶望している美紗は
明日、いいことが起きるとは
思わないと言います。
しかし、運転手は、
明日、
いいことが起きるようにすればいいと
励まします。
そして、運転手は
美紗が払おうとしたタクシー代を
受け取らず、
父親から、お小遣いをもらったと
思えばいい。
きっと何もかもうまく行く。
すぐに元気になって、
あちこち走り回り
バリバリ仕事をして、
美紗のことを好きで仕方がない男性と
出会えると、励まします。
そして、
その日の客は美紗が最後なので、
代金を払う代わりに
元気になるという約束をしてと
言います。
美紗は、元気になると
運転手と約束します。
返してくれたお金に
飴が1個添えられていました。
美紗は、
地獄みたいな人生の最後に
素敵な思い出を作ってくれた運転手に
感謝します。
数カ月ぶりに自宅に戻った
美紗は、
玄関に自分が買ってあげた
親友の麗奈の靴があるのを
発見します。
なぜ、彼女の靴があるのか
疑問に思っていると
部屋の中から、
夫と麗奈の声が聞こえてきました。
２人はベッドの中。
美紗が死んだ後、
手に入れた保険金で
家やバッグを買う話を
楽しそうにしています。
怒った理紗は、
友也と麗奈のいる部屋に入ると、
２人は驚き、最初は弁解しますが、
美紗は、
このまま大人しく死んだりしない。
慰謝料をもらって、
会社や親に２人の仲をばらし
ネットでもさらす。
今まで取られたお金も
すべて取り返すと脅すと、
麗奈は、自分たちは親友だし、
謝るので、
親と会社には言わないでと頼みます。
しかし、美紗は
自分が死にかけている時に、
その夫と不倫するような親友はいないと
拒絶します。
しかし、麗奈は泣きながら。
もうすぐ死ぬ美紗とは違い、
自分はこれからも生きて行くと
ひどいことを言ったので、
怒り心頭の美紗は
麗奈の髪につかみかかります。
麗奈が友也に助けを求めたので、
彼は、美紗の頬を叩き、
死ぬ時くらい、大人しく死ね。
人の人生を壊すなと罵倒します。
しかし、美紗は、
自分に親がいないことで
友也の両親にいびられ、
自分のお金は、
友也が株で大損したせいでなくなり
友也は何かあれば
すぐに自分に怒鳴り散らしたせいで
自分は死にかけている。
そして、もう少し早く病院に行けば
助かったと言って、
友也を人殺し呼ばわりし、
自分が死ぬ時に、
全員巻き添えにする。
大人しく死んだりしないと
言いました。
それを聞いて起こった友也は
美紗の頬を殴ると、
その勢いで、美紗は
ドレッサーの角に頭をぶつけて
しまいました。
その美紗に向かって、友也は
放っておいてもすぐに死ぬのに、
本当に最悪の女だと罵倒します。
美紗は助けを求めながら
死んでしまいましたが、
亡くなった父と指切りをしながら
美紗が幸せになったら
プレゼントをくれるという光景を
見ます。
そして、彼女は目を覚ますと、
友也に殴られて死んだはずの自分が
職場にいて、
10年前に退職した同僚に
声をかけられました。
携帯の日付を見ると10年前。
美紗は、夢を見ているのか、
死ぬ前に見る
人生の走馬灯みたいなものか。
それにしても、なぜ10年前なのか
訳が分からないでいると、
後ろから、
10年前に恋人だった友也に、
声をかけられました。
過去に戻って、
人生をやり直したいと願う人は
多々いると思います。
かく言う私も、その一人ですが
実際は、
過去に戻ることはできません。
けれども、
未来を創ることはできます。
過去に戻って、
人生をやり直すお話は、
ただの夢物語ではなく、
将来の自分が後悔しないために、
今、何ができるか考えさせてくれます。
余談ですが、
ベッドの中で、友也と麗奈が
美紗亡き後のことを
話しているシーンを読んで、
私の母が美紗同様、ガンだった時に
父が浮気相手に、
「もうすぐ死ぬから待っていろ。」と
話していたことを思い出しました。
それは、母から聞いた話ですが、
なぜ、母はそれを知っていたのか
分かりません。
ちなみに、
母は30歳でガンになりましたが、
完治したので、
父の思い通りにはなりませんでした。
