23話 美紗は友也の両親との顔合わせの場に、派手な格好で現れました。
両親との顔合わせの場所と席は
前の人生の時と同じでした。
友也から、
慎ましやかなお嬢さんだと
聞いていたと言う母親。
新作が出たと言って
このバッグを買ってくれたのは
友也だと答える美紗。
話ながら美紗は、
自分には何の落ち度もなかったのに
前の人生では、
どうしてあんなに怯えていたのかと
考えていました。
自分にも色々買ってくれるから、
お義母様には、
もっと親孝行しているんですよねと
尋ねる美紗。
自慢の息子だと答えた後、
美紗は家事をやるのか、
友也は炊き立てのご飯でなければ
食べないと言う母親。
友也が
朝ごはんを食べているところなんて
見たことがない。
笑わせてくれるわと思う美紗。
自分が責任を持って
朝夕しっかりと食事を作り、
友也が残業の時は、
お弁当を持たせると言う美紗。
自分の作った漬物を
友也と一緒に
週末に取りに来いと言う母親。
週末は、
友也に休んでもらいたいので
平日に自分が取りに行くと答える美紗。
平日は、仕事があることを気にかけ、
自分は、そんなに意地悪な
姑ではないと言う母親。
ニコッと笑いながら、
自分は仕事をしない。
友也が、結婚したら、
すぐに仕事を辞めていい。
家のことと趣味に
時間を使えばいいと
言ってくれていると
答える美紗。
本当に辞めたら、ダメではないか。
友也が稼いだ金で、
遊んで暮らすつもりなのかと
非難する母親。
遊ぶのではなく、家事をする。
家のことを全部やりながら、
仕事なんてできないと主張する美紗。
みんなやっていることが
できないと言うのか。
子供ができたら、
どれだけお金がかかると
思っているのかと非難する母親。
子供を作らなければ、
片方だけが働いても
問題ないと答える美紗。
2人の会話を焦りながら
聞いている友也。
そして、
それまで黙っていた友也の父親は
テーブルをドンと叩き、
代々続く家を途絶えさせるつもりか。
息子がいないと、
先祖の墓も守れない。
親の前で、子供を産まないなどと
よく言えたものだと、
美紗を非難しました。
彼女は、
挨拶すらしなかった父親が
跡取りとなる孫がいないのは
我慢がならないようだと
思いました。
美紗は、
自分は一人娘だけれど、
きちんと父親の墓参りをしていると
反論しました。
しかし、父親は、
娘は嫁ぎ先の人間になるので、
実家の墓守など
するものではないと主張しました。
母親も、
娘しかいない自分が悪かったと言って
父親も許してくれると同意しました。
娘しかいないと言われて
腹を立てた美紗は、
今まで友也の母親のことを
「お義母様」と呼んでいましたが
「おばさん」と言い換えました。
それを聞いて、
飲んでいた水を吹き出す友也。
「おばさん」と言われて
驚愕する父親と母親。
美紗は、たった今、
この結婚はしないことに決めたので、
「お義母様」ではなく
ただの「おばさん」だと説明しました。
何を言っているのかと
美紗を責める友也。
目上の人間に向かって
何を言ってるのかと非難する父親。
だから親のいない子は
ダメだと非難する母親。
美紗は、
おばさんも今は親がいない。
同じ立場のくせに、
なぜ人の親を悪く言うのかと
責めました。
この結婚は許さない。
こんな失礼な子を
自分の家には入れないという母親。
残念だと言って、
別れの挨拶をする美紗。
彼女を呼び止める友也。
店の外へ出た後、美紗は
彼らの望むような嫁になれずに
申し訳ないけれど、
何も知らなかった一度目は
耐えられても、
二度目は絶対に無理だと思いました。
そこへ、麗奈がやって来ました。
美紗は、
ちょうど良いタイミングだと
思いました。
店の中では、母親が
あんなに生意気で失礼な子を
連れて来るなんてと息巻き、
今すぐ別れるようにと
友也に詰め寄っていました。
彼は反論しようとしましたが
そこへ偶然を装い、
麗奈が現われました。
自分は友也の会社の後輩だと言って
自己紹介する麗奈。
友也がかっこいいのは
母親似だからだと煽てる麗奈。
麗奈に挨拶を返した後、
友也は自分に似ていると
よく言われると答える母親。
しかし、心の中では、
先ほどの話を聞かれていたら
みっともないと思っていました。
約束があるのではと
尋ねる友也に、麗奈は
両親が急に来られなくなったので
家で食べようと思っていた。
自分は料理が趣味だからと
答えました。
それを聞いた母親は
美紗とは正反対だと思い
席が一つ余っているので、
一緒に食事をしないかと
麗奈を誘いました。
戸惑う友也。
けれども、麗奈は
嬉しいと返事をしながらも、
自分が家族団らんの席に
お邪魔をしてもいいのかと
遠慮しました。
しかし、母親は
気にしないように。
こんな素敵な娘さんと会えて
嬉しいと言いました。
そして、父親に同意を求めると
彼も、先ほどの娘よりはマシだと
返事をしました。
予想通り、
美紗の両親への挨拶は大失敗だった。
やはり来てみて良かったと
思った麗奈は、ほくそ笑みました。
どうして電話に出ないのか。
うちの両親は、
少し考えが古いだけだから
美紗が合わせるようにしろ。
何もかも、言う通りにしろと
言っているわけではない。
結婚は譲り合いだ。
このままでいいのかと、
友也は美紗に
メールを送ってきました。
美紗は、
友也と麗奈は運命的だ。
麗奈は、10年間、
どれほど自分の居場所が
羨ましかったのか。
美紗は、麗奈の望みが
今度は早く叶ったと思いました。
美紗が思っていたよりも
事は順調に運び、
麗奈と友也は、
また二人きりで外回りしていました。
少し背中を押しただけで、
あっさりとくっ付く。
後は、このうんざりする運命に
けじめをつけるだけ。
新しい人生を生きようと
美紗は思いました。
しかし、すでに美紗は、
退職願を用意していたものの、
もう少しここにいたいと思いました。
そこへ、住吉と未来が
コーヒーを飲みに誘いに来ました。
未来は部長も誘いましたが
彼は断りました。
その代わりに、未来に
ブラックカードを差し出しました。
お礼を言う未来。
午後の勤務まで時間があるので
ゆっくりして来てと
美紗に告げる部長。
お礼を言う美紗。
彼女は、
今回の新製品が
無事に発売されるのを見届けてから
退職することに決めました。
外回りをしているはずの
友也と麗奈はホテルにいました。
自分は直接帰るので、
麗奈も、そのまま家に帰るようにと
命令する友也。
今日は、
自分と一緒にいるのではないかと
プリプリする麗奈。
しかし、友也は、
結婚の準備で忙しいと言いました。
破談になったのではないかと
尋ねる麗奈に、友也は
母親と美紗は、少しぶつかっただけ。
きちんと話し合えば、
仲直りできると答えました。
麗奈は、
自分とは別れるつもりなのかと
尋ねましたが、
友也は、
付き合ってもいないのに
別れるも何もない。
少し遊んだだけだと答えました。
それを聞いた麗奈から
血の気が引きました。
その顔を見た友也は、
麗奈だってそのつもりでは
なかったのかと言いました。
そして、彼女の額にキスをすると
また、明日の夜にと言って
帰りました。
何が何でも、
美紗と結婚すると言うのか。
絶対にそうはさせないと
麗奈は思いました。
麗奈から伊丹の電話番号を聞かれたと
三田が美紗に
電話で知らせてくれました。
美紗は三田に礼を言いました。
伊丹は、
おじさんくさい訛りの強い口調の
同級生で、
同窓会の時に、
美紗が綺麗になったと褒めて、
連絡先を交換しようと、
言っていました。
よりによって今、
麗奈が伊丹の連絡先を
聞いてきたことに、
美紗は不安を覚え、
自分も対策を取らなければと
思いました。
美紗は、部長に報告書を渡した後、
先日のように、もう一度だけ、
利用させてもらってもいいかと
尋ねました。
友也の両親だけでなく
彼自身も、
時代錯誤な人間だと思います。
友也は、
遊ぶのは麗奈のように
尻の軽い女性でも、
結婚相手としては
自分に従順で、口答えをせず、
何でも言うことを聞く
大人しい女性を
求めているように感じました。
美紗は、前の人生では
友也とその両親に
かなり虐げられた生活を
送っていたと思います。
そんな人生を
麗奈が羨ましがっていたとしたら
無知の怖さを思い知らされます。
友也の美紗への執着の強さも
怖いです。