41話 友也は、父親に不妊症だと罵倒されました。
友也は、
検査結果を
置きっぱなしにするなんて
おかしいのではないかと
麗奈を責めると、彼女は、
父親が見てしまったのかと
白々しく謝りました。
友也は、
麗奈がわざとやったのではないかと
問い詰めると、電話の向こうから
麗奈が義母に、
どこか具合が悪いのかと
尋ねる声が聞こえてきました。
友也はイライラして
歯ぎしりをしましたが、
麗奈は、
今、電話をするのは大変なので
後でしようと言いました。
友也はネットで
無精子症について調べていると
カードの未払い、
貸付利息の未払いを催促する
複数のメールが届いていました。
株も失敗したのに
自分にどうしろと言うのかと
友也は叫びました。
彼は酒を浴びるように飲み、
泣きながら、
どうしようと呟きました。
そして、美紗の名前を口にしました。
彼女は、
自分がどんなに大変なのか
知らないだろう。
知っていたら、
自分を放って置くわけがないと
思いました。
友也は美紗に電話をかけました。
そして、相手が電話に出ると、
切らないように頼み、
自分はすごく大変で
母親は倒れたし、
やることなすことうまくいかない。
美紗がそばにいたら、
全てうまく行った。
もう一度、やり直そう。
離婚して、美紗の所へ戻る。
美紗が間違ったことを
したことも全て許す。
自分に冷たい言葉をかけたのも
本心ではないと知っていると
言いました。
しかし、相手は本心だと答えました。
友也は、その声を聞いて驚きました。
彼が美紗だと思って
話していたのは亘でした。
友也は、なぜ亘が
美紗の電話に出るのかと
怒鳴りました。
亘は、自分が美紗の恋人だからだと
答えました。
友也は、今すぐ美紗に変われと
命令しました。
しかし、亘は
美紗の周りに警護を付けたから、
彼女に接近しようなどど考えるな。
友也のような奴を1人消すくらい、
大したことではない。
これは最後の警告だと言って
電話を切りました。
亘は、
友也が美紗に指1本でも触れたら、
自分の手で彼を消してやると
思いました。
友也は喚きながら
携帯を床に叩きつけました。
これは全て麗奈のせいだ。
母親が退院したらすぐに離婚すると
考えていた時、
足元にある、
旅行保険の広告に
目が行きました。
死亡保障5000万円と
書かれているのを見て、
友也は麗奈を亡きものにすることを
考えました。
麗奈の元へ、秘密の友達(美紗)から
1人で母親を看病しているのか。
大変そうだとメールが来ました。
麗奈は団扇で
義母をパタパタ扇ぎながら、
もう1週間も経つのに夫は手伝わない。
このまま、義母が
早く死んでしまったらいいのにw
と返信しました。
そして、依然として義母を
団扇で扇ぎながら、
気持ちいいですよね。
寒かったら言ってくださいと
義母に話しました。
そこへ友也がやって来たので、
麗奈は慌てました。
母親の具合はどうか。
少し話すことができるかと
尋ねる友也に、麗奈は
一生懸命看病しているけれど
全然だめだと答えました。
友也は麗奈に
労いの言葉をかけると、
天気がいいので、
一週間くらいヘルパーを頼み
旅行にでも行こうと誘いました。
麗奈は、
自分たち2人だけで行くのかと
尋ねました。
友也は、
母親の面倒を見るのに
苦労しているから
旅行へ行って、美味しい物を食べて
ゆっくり休んで来ようと答えました。
麗奈は大喜びしました。
友也は、まずヘルパーを探そうと
言いました。
その話を聞いていた
同じ病室の2人のうちの1人が
自分の知っている有名な人を
紹介すると言ってくれました。
別の人が、
「まさかあの方か」と尋ねると
もう1人は、
その人のおかげで
退院した人もいると答えました。
そして、
予約でいっぱいだったけれど
空きができたようだと
話していました。
麗奈は、焦りながら
ヘルパーのおかげで
退院したのかと尋ねました。
同室の人は、
本当に真心がこもっているのか
特に麻痺の患者は、
すぐに良くなるようだと答えました。
友也は、
それは本当なのか。
そういう方がいるのかと
尋ねました。
同室の人は、もちろんだと言って
すぐに連絡を取りました。
麗奈は、
少し待ってくれと言いましたが、
同室の人は、ヘルパーから、
できると返事をもらったと話しました。
友也は、良かったと言いました。
そして、父親にも話す、
子供なら、
母親が良くなることは、
無条件にしなければならないと
言いました。
同室の人は、
旅行から帰って来たら、
義母が歩いて
出迎えてくれるのではと言うと、
麗奈はおろおろしながら、
自分の方が母親の面倒を
見ることができると言いました。
しかし、友也は
旅行へ行って来る間は、
麗奈もゆっくり休むようにと
言いました。
そして、ヘルパーの連絡先を
聞きました。
麗奈はダメだと思いました。
そのヘルパーが来て、
本当に義母の身体が回復して
話ができるようになったら
義母が目の前で倒れるのを見ても
放って行ってしまったことを
義母が話してしまうのではないかと
心配しました。
旅行へ行かないと言おうかと
思いましたが、
その考えを否定し、
久しぶりの旅行なのに、
なぜ、自分がそんなことを
しなければいけないのかと
思いました。
でも義母が話せるようになれば、
全てバラされるのは
目に見えていました。
麗奈はガタガタ震えながら、
何度も、どうしようと考えました。
そこへ看護師がやって来て
注射の時間だと告げました。
ところが、
注射をしようとしたところで
危ないので、別の注射器に変えると
言いました。
麗奈は、
どうして危ないのかと尋ねると
看護師は、
こんなに気泡が多いと、
血管に空気が入って危険だと
答えました。
麗奈の顔が怪しく変わりました。
彼女は
気泡のたくさん入った注射器を手にして
今日はぐっすり眠らなければ
いけないと
義母に言いました。
義母は目を開けて、
麗奈が注射器を持っているのを見ると
彼女の顔に
恐怖の色が浮かびました。
麗奈は、
すぐに眠れる。
自分も、もう限界だ。
生きている人は、
これからも生きなければ
いけませんよねと言って、
点滴の薬の挿入口に
注射器を刺しました。
何も言えず、涙を流す義母。
麗奈は義母の耳元で、
どうせ死ぬところだったので
少し早く逝ってくださいと囁きました。
彼女はニヤリと笑って
義母を見下ろしました。
美紗の前の人生の時よりも、
麗奈の悪辣ぶりがひどくなり、
とうとう、
殺人まで犯してしまいました。
このまま、彼女は野放しに
なったままなのでしょうか。
彼女には、
自分の罪を悔いて欲しいと思いますが
今のままの性格では
無理そうですね。