2話 車にはねられて亡くなってしまった麗奈でしたが・・・
麗奈は捨て子でした。
養子縁組と解消を繰り返した後、
財閥の家に引き取られました。
けれども、継母の涼子が
ほどなくして亡くなった後、
待っていたかのように、
すぐに継父は、
2人目の継母である恵美と再婚し、
麗奈と同じ年頃の璃香を
家に連れて来ました。
麗奈が一つ一つ努力して
手に入れた物を、
璃香は簡単に手に入れました。
生まれて来た時から
愛されていた璃香は、
生まれた時から不運な麗奈から
全てのことを奪い始めました。
誰が、麗奈が養女であることを
広めたのか、
彼女のロッカーの中に、
自分の誕生日も知らないくせに
学校へ来るなと
悪口を書いた紙が入れられ、
「調子に乗っている。」
「偉そうなふりをしている。」と
陰口を叩かれたこともありました。
噂を広めたのは、
璃香に間違いないと思いました。
自分の部屋のベッドの上で、
自分1人でもなんとかできると
自分を励ます麗奈。
すると、廊下で何か物音がしました。
そこには、
麗奈の誕生日を祝うメッセージと
彼女の好きな曲が録音された
カセットが置いてありました。
それを聞きながら、麗奈は
涙を流しました。
WJリテールの会長の長女である麗奈と
会長の専属運転手の息子の
碧人の結婚は
誰も想像していませんでした。
最後まで捨て子扱いした
両親が決めたことでしたが、
不思議なことに碧人は、
麗奈さえいれば、
何も気にしないと言ってくれました。
彼は麗奈にとって、
唯一の心の支えでした。
それなのに、
彼は妹の璃香を愛していました。
麗奈は最後まで、
璃香と碧人に騙されたまま
死んでしまいました。
璃香の起こす声で、
麗奈は目を覚ました。
自分は死んだはずなのにと
思いましたが、璃香は、
今日はドレスを着る日なので
早く起きて、準備して
行かなければならない。
自分も一緒に行って、
写真を撮ったり、
ドレスを選びたかったけれど
残念だと言いました。
麗奈は、
一体どうなっているのか、
訳が分かりませんでした。
携帯を見ると、
日付が7月19日になっているので
驚きました。
確か、11月20日だったはずなのに、
痛みもあったのに、
どうなっているのかと考えると
彼女の手首に、
20211120の文字が書かれていて、
擦っても消えませんでした。
自分は本当に過去に戻って来たのか。
今日が、
ウェディングドレスを選ぶ日なのか。
麗奈は半信半疑でしたが、
自分の記憶が本当ならば、
麗奈は、
このままにして置かないと思いました。
麗奈は、
ウェディングドレスの試着をして、
鏡に自分の姿を映しながら、
ここでドレスを試着した人の中で
何組が結婚したかと
従業員に尋ねました。
かなりの数になると答える従業員に
麗奈は、破談の数を聞きました。
まだ新人の従業員は、
自分の知る限りはないと答え、
苦笑しながら、
良く似合っていると言いました。
麗奈はドレス姿を碧人に見せると、
彼は、
綺麗だ、本当に似合っていると
褒めました。
しかし、麗奈は、
唇をギュッと噛み締め、
「そうかな?」と尋ねた後、
彼の顔にブーケを投げつけ、
彼の胸ポケットから
万年筆を取り出すと
ウェディングドレスのスカートを
切り裂きました。
驚く従業員たち。呆然とする碧人。
何をしているのかと尋ねる碧人に
麗奈は、
破談のプレゼントだと告げ、
花びらの付いている碧人の顔を
綺麗だと褒めました。
私が好んで読んでいるマンガは
過去に戻って、
人生をやり直すというストーリーが
多いです。
現実にはありえないことですが、
そのようなマンガに人気があるのは、
誰しも、
人生をやり直したいという願望が
心の中にあるからなのではないかと
思います。
私は、
あの時、こうしていれば良かった。
そうすれば、
自分の人生も変わっていたかもと
苦い思いをしたり、
後悔することが多いですが、
過去に戻った主人公が
人生をやり直している姿に
自分の姿を投影することで、
自分の代わりに主人公が幸せになり、
悪者が成敗されると
すっきりします。
そして、自分は過去に戻って
人生を変えることはできないけれど
これから起こる未来は
自分の行動によって決まるので
後悔しないような人生を
送れるといいなと思っています。