55話 大事な娘に何をするのかと言われた美紗の母親は・・・
美紗は、自分の娘なのに、
何を言っているのかと
女性に文句を言う美紗の母親。
女性は、
美紗の母親の腕をつかんだまま
美紗はU&Kの大切な社員で
娘同然だ。
自分たちの方が
美紗と一緒にした時間が長いと
反論しました。
美紗は、その女性が
亘の母親ではないかと思った後、
彼女が、支社長であることに
気がつきました。
美紗は、彼女に、
どうしてここにいるのかと尋ねましたが
支社長は、美紗に、
家に帰って亘と一緒にいるように。
大人同士で話をすると告げ、
岡崎に、
美紗を家まで送るように指示しました。
美紗の母親は、
自分を助けろと言って
彼女の後を追いかけようとしましたが
支社長は、
彼女の腕をつかんだままでした。
それでも、怒り狂った母親は、
美紗を罵倒し続けました。
そして、支社長に
手を離すように訴え、
大企業の創業者一族だから
教養があると思っていたけれど
息子も母親も一緒だと罵りました。
しかし、支社長は、
夫を捨てて、我が子を捨てて、
母親と呼ばれる資格もない人の口から
教養という言葉が出て来るなんて、
いい世の中になったと
皮肉を言いました。
美紗の母親は、支社長に
自分の何を知っているのかと
尋ねると、支社長は、
美紗の母親は51歳。
内縁の夫は57歳。
経営している会社は経営不振で
借金だけでも数千万。
架空社員、二重契約書。
売上の申告漏れ。
横領と脱税をやり尽くしていると
答えました。
美紗の母親は
支社長を罵倒しましたが、
ようやく彼女は、
母親の腕を離すと、
刑事処分はもちろん、
脱税した分の数倍、追徴課税される。
母親はすでにブラックリストに
載っていて、
内縁の夫も載る直前。
急いでお金が欲しいからと言って
捨てた子供に
母親のふりをするのかと怒りました。
しかし、美紗の母親は
何と言われようと、
美紗はお腹を痛めて産んだ
自分の娘だと言い返しました。
しかし、支社長は、
産んだ娘を捨て、
知らんぷりしていたのに、
今になって、
美紗を利用しようとする彼女は
母親と呼ばれる価値もないと
言いました。
おろおろしている美紗の母親は、
自分にどうしろと言うのか。
二度と美紗に会わないと、
約束すればいいのかと尋ねました。
支社長は、
悪い事をした者は頭も悪い。
自分が、
そんな当たり前のことを言うために
ここまで来たと思うのか。
母親が美紗の心を引き裂いたので、
これからは手足を伸ばして
寝ることができないと
忠告しに来たと言いました。
美紗の母親は震えながら、
少し待って欲しい。
話をしようと頼みましたが、
支社長は、
会話は人間同士がするものだと言って
立ち去りました。
美紗の母親は、その場に座り込み
震えながら、嘆きました。
美紗と岡崎がカフェの外へ出ると、
亘が待っていました。
美紗は、思わず彼に抱き着き、
涙を流しました。
彼も無言で美紗を抱き締めました。
家に戻った美紗と亘。
一緒にソファーに座りながら、
美紗は亘に、
電話から話が聞こえて来た。
自分が母親のせいで傷つくと思い
こっそり調べて、
母親に会いに行ったのか。
支社長にも頼んだのかと尋ねました。
亘は、
母親が来たことは、
今、岡崎から聞いたと答えました。
美紗は、母親が、
母親のふり、会いたかったふり、
愛しているふりをしなくても
ただ、とても大変だから、
お金をくれと言ったのなら、
お金をあげて、
元気に暮らせるようにしてあげた。
でも、自分はバカみたいに・・
と言いかけているところで、亘は
美紗はバカではない。
自分も美紗と
同じ気持ちだったに違いないと
慰めました。
そして、亘は、
支社長は実の母親ではない。
生みの親は、自分がとても幼い頃
亡くなった。
父親が再婚して、母親と妹ができた。
支社長は未来の実の母親だ。
子供の頃、今日のような大雨の日、
学校が終わり、
いつものように運転手を待っていた。
すると、支社長が傘をさして、
迎えに来てくれて、
寒くなかったかと聞いて、
遅れてきたことを謝った。
その日、初めて自分は
支社長の顔をきちんと見た。
仕事用のスーツを着て、
綺麗な靴を履いていたのに、
両足がびっしょり濡れても、
とてもゆっくり歩いてくれたことを
覚えていると話しました。
そして、血の繋がらない人でも
このように母親になった。
実母なら、それ以上のはず。
バカなのではなく、
恋しかったのではないか。
美紗は、
自分が知っているどんな人より
カッコよくて強い人。
自ら自分を傷つけないようにと
励ました。
涙を流す美紗。
美紗は、
亘が話をしてくれたことに感謝し、
彼の話を聞いて勇気が出たと
言いました。
そして、自分自身を守れる人は
自分だと思いました。
美紗は涙を拭うと、
出かけてくると言いました。
驚いた亘が、
今から、出かけるのか。
どこへ行くのかと尋ねると、
美紗は、刑務所へ行って、
この忌まわしい悪縁を
断ち切ってくると答えました。
面会に見た美紗の顔を見ると、
麗奈はニヤニヤしました。
しかし、美紗は、にこやかな顔で
久しぶりだと、麗奈に挨拶をすると、
自分の人生から麗奈を
完全に切り離さなければならないと
思いました。
未来の潔い性格は
母親に似たのですね。
とんでもない母親を持つ娘と
自分の息子が付き合っていたら
2人の仲を引き裂いても
おかしくないのに
支社長が美紗の味方をして、
母親をやり込める姿を見て
すっきりしました。
会長同様、支社長も
人を見る目があるのでしょう。
継母でも、
亘を可愛がった支社長は、
同じ継母でも、
悪女ではない麗奈さんの継母とは
全然違うと思いました。