718話の要約 ラティルはゲスターに父親の魂を呼び出して欲しいと頼みました。
暗くなり、
人の流れも収まったので
ラティルはゲスター、メラディム、
ギルゴール、サーナット卿の後に続き
先皇帝の墓に向かいました。
墓に到着すると、護衛に、
自分たちだけにしてくれと頼み、
彼女は仲間と共に地下室に入りました。
棺の蓋を開けて、
先皇帝の遺灰を取り出し、
ラティルはゲスターに
父親の魂を呼び出すよう頼みました。
ゲスターがダガ公爵の魂を
呼び出した時、
そこには彼の体がありましたが、
父親の墓には灰しかありませんでした。
そして、もしかしたら
父親は召喚されるのが嫌かもしれない、
自分に会いたくないかもしれないと
考え始めました。
灰が雲のようにモクモクと上がると
やがて、それは体の形になり、
ついには顔になりました。
その姿が鮮明になると、
ラティルは、あなたは誰なのかと
かろうじて口を開くことができました。
メラディムは、ラティルが
父親を否定しているのかと思い
驚いて、彼女を見ました。
しかし、サーナット卿もゲスターも
幽霊を見て、驚きました。
これは誰なのか。
先皇帝の顔を知っている三人は、
幽霊の顔を見て言葉を失いました。
現れたのは、先皇帝ではなく、
見知らぬ人でした。
幽霊もラティルと同じくらい
驚いているようで
ラティルが棺桶を強く叩くと、
幽霊は壁際に逃げ込みました。
遺灰は偽物でした。
最近、誰かが取り替えたのか。
すでに墓が荒らされたことが
あったので、
どの時点で取り替えられたか
分かりませんでした。
タッシールが
先皇帝のことを調べた時には、
遺体はすでに火葬されていました。
メラディムは幽霊に質問すると、
彼は農民で、病気になり、
それが原因で死んだらしいと
話しました。
病気で亡くなった人は、
病気の蔓延を防ぐために
火葬にすることが珍しくなかったので、
いつでも遺灰を取り換えることは
可能だけれど、
問題は、遺灰を取り換えた者たちが、
何のために皇帝の遺灰を
欲しがったかということでした。
サーナット卿は、
先皇帝の魂を召喚し、
ラティルについての話を
聞きたいと思っている黒魔術師が
もう一人いる可能性を挙げました。
ギルゴールは、
灰の雲にぶつかると姿が消えてしまう
幽霊を見て笑っていました。
ゲスターはラティルに、
その可能性もあるけれど、
どんな黒魔術師でも
魂を召喚できるわけではなく、
相当な実力者でなければならないと
話しました。
ラティルは、
ゲスターと同じくらいでなければ
ならないのかと尋ねましたが、
彼はわからないと答えました。
ギルゴールはラティルに近づき、
先皇帝を呼び出すためではなく、
呼び出されないようにするために
遺灰を持ち出したのではないかと
告げました。
ラティルはハッとしました。
ギルゴールの言うことはもっともだし、
特に、父親の側近についての
秘密を守ることであればなおさらだと
思いました。
ゲスターは魂を消し去り、
塵の雲は棺の中に戻りました。
ラティルは椅子に座り、
どういうことなのか、
父親の側近の秘密を知られないように
遺灰を持ち出したのだろうかと
考えました。
サーナット卿はラティルに近づき、
タッシールは、
先皇帝のことを調べていたので、
調査の結果以外にも、
他の情報を持っているかもしれない。
彼と話すのが良いと提案しました。
ラティルは考えた末に、
そうするべきだと考えました。
タッシールの部屋で、
ラティルは先皇帝の墓で起こったことを
全て話し、
彼は欠伸をしながらも、
ラティルの言うことを全て
聞いてくれました。
ラティルは説明を終えると、
どう思うか。
犯人に心当たりはないか。
父親のことを調べていて、
何か変なことに気づかなかったかと
尋ねました。
タッシールは考え込んだ後、
ラティルに、
二つのことがおかしいと指摘しました。
一つは 一体なぜ、ラティルが
自分を置いて行ったのかということ。
もう一つは、トゥーラが見た
亡き皇帝の遺言の内容だと答えました。
トゥーラはタッシールに、
自分は遺言書を持っていない、
処分してしまったと言っていたので、
タッシールはその中身を
確認することができませんでした。
しかし、トゥーラが
持っていることは知っている。
先皇帝の意思を知るためには、
遺言の内容を正確に知ることが
必要であると指摘しました。
ラティルは、
トゥーラに聞きに行くしかないと
言いましたが、
タッシールは時計を見て、
まだ遅い時間ではないだろうか。
トゥーラは寝ているはずだと
助言しました。
しかし、ラティルは、
その方がいいと言うので
ゲスター、メラディム、ギルゴール、
サーナット卿、
そして合流したタッシールは
トゥーラの所へ行きました。
眠っていたトゥーラは、
頭を揺さぶられて、
突然目を覚ましました。
見てみると、
ラティルとその夫たちがいることに
気づきました。
メラディムが、
ヘウンの首を拾い上げたので、
トゥーラは、
それはおもちゃではない、
元の場所に戻してくれと頼みました。
ギルゴールはヘウンの首を切りましたが、彼は食屍鬼なので体がなくても歩けます。アイニに恋しているトゥーラは、ヘウンがアイニにとって大切な存在であることを知り、彼を連れて歩いています。
メラディムは遊んではいないと答え、
ヘウンの首の傷を
修復することができればと
考えていると話しました。
トゥーラは、
それはどういうことかと尋ねました。
ラティルは、トゥーラに
話があると言いましたが、
トゥーラは、このような状況では
答えたくないと言いました。
ラティルはメラディムに、
外へ出るよう指示しましたが、
トゥーラは、
メラディムは、ここにいてもいい。
ギルゴールを外へ出すよう言いました。
タッシールはトゥーラに近づき、
先皇帝の遺言の内容を
正確に覚えているかと尋ねました。
ラティルはゲスターと2人だけで
先皇帝の墓へ行こうと思っていたけれど
たまたま、ギルゴールとメラディムが
争っていて、それをサーナット卿が
見ているところに出くわしてしまった。
そして、今まで戦っていたのに、
なぜか、三人がラティルの後に
付いてきた。
その流れで、
三人共、皇帝の墓にまで
付いてきただけなので、
ラティルがゲスターだけでなく
三人と行動と共にしたことに、
何の意図もなかったと思いますが、
タッシールから見れば、
自分が呼ばれなかったことが
寂しかったのでしょうね。
ラティルも、
なぜタッシールを呼ばなかったのかと
後から考えたかもしれません。
タッシールの調査について、
内容を捕足します。
ラティルの父である
先皇帝は自ら死を選びましたが
その死因を2ヶ月間調査したのが
タッシールでした。
当時、自ら命を絶った人の
「名誉」や「尊厳」を傷つけないために
その遺体は、
密かに火葬されるのが普通でした。
タッシールが先皇帝の棺を開けてみると
遺体の痕跡がなく、
灰だけになっていたことから、
先皇帝が、
自ら死を選んだことが確認されました。
さらに、タッシールは、
ラティルの父親の遺体と共に
ラティルの暗殺を命じる紙を
発見したので、その後に、
自ら命を絶ったのではないかと
思いました。
タッシールは、
この紙が皇帝の「遺言」であり、
おそらくトゥーラは
皇位をレアンに委ねたため、
これを保管しないことにしたのだろうと
結論づけました。
タッシールは、
トゥーラが父親の支持者たちに
彼が自ら命を絶ったことを隠すために
父親を火葬したのではないかと
考えました。
トゥーラも一時期、
皇位を目指していたからでした。
(捕足ここまで)
先皇帝がラティルの暗殺を
命じたことを、
彼の支持者たちが知っていた上で、
先皇帝が自ら命を絶ったと聞けば
もしかしたら、彼らは、
彼が、その命令を下したことを
苦にしたのではないかと
考えるかもしれません。
先皇帝の遺体は
自ら命を絶ったことが
分かってしまう状態だったので
トゥーラは、
自分が皇位に就くために、
父親の支持者を味方に付けたかった。
そのためには、
先皇帝がラティルの暗殺を命じたことを
後悔していると、
彼らに思わせないために
トゥーラは、
遺体の損傷が激しいとか何とか誤魔化し
父親の遺体を他の人に見せないために、
火葬したのではないかと思いました。