725話要約 ヘウンに何が起こったのでしょうか?
ヘウンの首から、
根っこのようなものが生え始め、
ラティルとトゥーラとアナッチャは
呆然としました。
その根がどんどん大きくなり、
身体の形になり始め、
周りに骨や筋肉を発生させ、
完全な身体が完成しました。
ラティルはその様子を見ながら
自分は天才だと絶叫しました。
トゥーラはヘウンに
大丈夫かと尋ねました。
ヘウンは立ち上がり、
身体を動かしました。
アナッチャは、
喜んでいるのか皮肉なのか
分からない口調で、ラティルに
「約束を守ったわね。」と
言いました。
こんなことができるのは
ラティルだけだと分かっていたものの
アナッチャもトゥーラも、
ラティルがこんなに早く
成功するとは思っていなかったし、
もっと時間がかかると
思っていました。
ヘウンは、
新しい身体を手に入れたものの、
体力がなく、
疲れ切っているようだったので、
アナッチャとトゥーラは、
彼に休息を取るように勧めました。
興奮冷めやらぬ中、ラティルは、
トゥーラとアナッチャを見て、
今度は彼らが、
約束を果たす番だと告げました。
カルレインは部屋で血を飲みながら、
姫がラティルの部屋の近くの部屋に
移ったことについて、
侍従と話し合いました。
その決定が下されるや否や、
その話はあっという間に
周囲に広まったので、
カルレインが、
知らないわけがありませんでした。
カルレインは、
フローラが子供とはいえ、
対抗者であることに不安を覚えました。
彼は、突然立ち上がると
部屋を出て、
フローラとラティルの部屋のある
廊下に行きました。
警備が強化され、
多くの警備兵がいましたが、
カルレインが、
恐ろしい形相をしているのを見て、
警備兵の誰もが、
何も言わず、何もしないので、
カルレインは、
問題なく部屋に入ることができました。
部屋の中に入ると、
カルレインは、ベビーベッドに近づき
姫の寝顔を眺めました。
カルレインは、フローラが
ラティルに似ていないことが
幸いしたと思いました。
もし似ていたら、
行動を起こさなければならない時に
心を痛めることになるからでした。
その時、フローラは
目を開けて彼を見つめ、
天使のように微笑んで
両手を広げました。
カルレインは鳥肌が立ち、
ベビーベッドから顔を背けました。
それと同時に、
ラナムンが哺乳瓶を手に
部屋に入ってきました。
彼はカルレインに、
なぜここにいるのかと尋ねました。
ラティル、アナッチャ、トゥーラは
テーブルの前に座っていました。
そして、トゥーラは、
「ラティル皇太女が、
事故で亡くなったので、
長い間、皇太子だったレアンに
王位を譲る 」という、
先帝の遺言書の内容を伝えました。
ラティルは拳を握りしめて、
それだけかと尋ねました。
トゥーラは、
ラティルが遺言の内容を知れば、
怒って大騒ぎするかと思っていましたが
彼女は冷静でした。
トゥーラはラティルに、
驚かなかったのかと尋ねると、
ラティルは、
既に予測していたと答えました。
しかし、彼女は、
予測したのはタッシールで、
彼は男なので、
その部分は明かさなかったと
思いました。
彼は知的な人で
誰もが、それを知っているけれど、
アナッチャとトゥーラには、
タッシールのことを、
あまり気にかけて欲しくないと
思いました。
帰ろうとしていたラティルに、
トゥーラとアナッチャは、
自分たちは
遺言書を処分しておらず、
ただ消えただけだと告げたので、
ラティルは驚きました。
ラティルは自室に向かう途中、
行方不明の遺言書のことを考えながら
宮殿の廊下を歩いていました。
なぜあの時、アナッチャとトゥーラは
遺言書を処分しなかったのか。
その遺言は今、
父親の秘密の部下の手に
渡っている可能性がある。
もし誰かが持っていれば、
今頃、ラティルに
接触しているはずだと思いました。
そして、
フローラの部屋の扉の前まで来ると、
中からラナムンの声が
聞こえて来ました。
ラティルは、警備兵に
敬礼しないように合図しながら、
そっとドアに近づくと、
部屋の中で、
カルレインとラナムンが
言い争っていることに気づきました。
ラナムンは、カルレインが
フローラを亡きものにする
準備をしているような、
憎しみのこもった顔で
彼女を見つめていると
指摘していました。
ラティルは後ずさりすると、
後ろにいたサーナット卿とぶつかり、
驚きました。
二人はかなり間を空けて、
ベンチに座りました。
サーナット卿はラティルに
どうしたのかと尋ねました。
彼女は、しばらく考えた後、
サーナット卿に、
レアンの部屋へ行き、
彼を連れて来て、
喧嘩に参加させるように。
喧嘩が収まる前に早くするよう
指示しました。
サーナット卿は、
レアンを迎えに行きました。
彼は、ラティルが何か企んでいると
疑ったものの、
とにかくサーナット卿に
付いて行きました。
廊下を歩いてラティルの所へ行くと、
カルレインとラナムンの
言い争う声が聞こえました。
その時、レアンは、
なぜ、ラティルが自分を呼んだのか
分かりましたが、
それでも部屋の中に入り、
2人が喧嘩をしている理由は
知らないけれど、
小さな姫の前でそれをするのかと
彼らを戒めました。
しかし、ラナムンは
レアンに関係ないと言ったので
レアンは彼を見つめました。
そして、カルレインからは
「あっちへ行け」と言われたので、
レアンは、本当に困惑しました。
先帝の息子と現皇帝の側室。
皇子の方が側室よりも
位は上だと思いますが、
偽皇帝事件でレアンは
ラティルを陥れようとしましたし、
今も、何かを
企んでいる可能性があります。
ラティルにとって敵である
レアンは、
ラナムンとカルレインにとっても敵。
彼らがレアンを邪険にするのも
当然だと思います。
先皇帝は、レアンから
ラティルが
ロードの生まれ変わりだと聞かされ
彼女の暗殺を命じました。
遺言書の内容から、
おそらく、それは
事故に見せかけて、
ラティルの命を奪うという
計画だったのだと思います。
けれども、実の娘を
自らの手で葬ることに
耐え切れず、
ラティルが死ぬのを見たくなくて
彼女が死ぬ前に、
自ら命を絶ったのではないかと
思います。
お話の最初の頃は、
トゥーラが皇帝の座欲しさに、
父親を亡きものにして、
反乱を起こしたように
感じましたが、
トゥーラは父親の遺言通り、
レアンに皇位を継がせるために
行動したのだとしたら、
処刑されたトゥーラが
可哀そうだと思います。
ラティルが死なずに済んだのは
事前にその情報を知っていた
サーナット卿とカルレインと
ゲスターが、
ラティルを守ったのだと思います。
この3人が知り合いであることも、
お話の序盤では
全く分かりませんでした。
次々と出て来る謎が、
想定外に解き明かされていくのが、
このお話の魅力だと思います。