726話の要約 レアンはカルレインに、あっちへ行けと言われました。
こんな扱いを受けると
思ってもみなかったレアンは
すっかり面食らいました。
一方、カルレインは、
一片の感情や後悔を見せずに
彼を見ていました。
部屋から数歩離れた所にいた
サーナット卿は、
その様子を見ていました。
カルレインは、
アニャドミスの生まれ変わりを憎み
ラナムンを憎み、
ラティルを苦しめた皇室を
憎んでいました。
そんな人たちが、
一堂に会していました。
レアンの側近はカルレインに近づき
レアンにそんな口をきくとは
何事かと叱責すると、
カルレインは彼の胸ぐらをつかみ、
空中に放り投げました。
壁にぶつかって
呆然としている側近の状態を
サーナット卿は確認しに行きました。
この場所を守っている警備兵たちは、
顔に困惑の色を浮かべながら、
互いに顔を見合わせました。
皇室に対して、
このような態度を取る者は
誰もいないけれど
レアンはラティルと仲が悪く、
カルレインは
ラティルの夫の一人でした。
サーナット卿は、
ラティルがレアンを侮辱するために
彼を連れてくるように
頼んだのだろうかと思いました
レアンは、この状況が
信じられないという表情で、
皇帝の部屋の横で、
こんな残虐なことをするのは、
カルレインが
寵愛されすぎているからなのか。
それとも、無視されすぎて
礼儀をわきまえていないのかと
呟きました。
それを聞いたラナムンは、
一歩前に出て、2人の間に入り、
カルレインは、
貴族のマナーに疎く、
職業柄、恣意的で乱暴な性格なので
レアンが去るのが一番いいと思うと
告げました。
様子をうかがっていたサーナット卿は
万一に備えて、
剣の柄に手をかけていましたが、
ラナムンが事態を収拾していることに
驚かされました。
ラナムンはレアンの方を向き、
少し微笑みながら、
自分の言ったことを、
繰り返し頼みました。
サーナット卿はこの表情を見て、
ラナムンが、
どれほど不快な思いをしているかを
察しました。
レアンは、
妹の夫は皆同じだ・・・と
笑いましたが、
最後まで言い切ることは
できませんでした。
サーナット卿はレアンの側近に歩み寄り
顔を叩いて起こすと、
レアンを彼の部屋に
連れて行った方がいいと告げました。
レアンと側近は、
別宮に向かいました。
カルレインの態度や行動に憤慨し、
文句を言っている側近は、
起こったことを全て無視するのか、
それともラティルに、
何とかしろと訴えるのかと
レアンに尋ねましたが、
彼は即答せず、
考えながら歩いていました。
しばらくして、レアンは
ラティルに話をすると
答えました。
側近は、
ラティルがレアンを侮辱することを
望んでいたのかもしれないと
指摘しましたが、レアンは
そうは思わないと否定しました。
側近は、レアンの言葉の意味を
探ろうとしましたが、レアンは、
カルレインに手を出すなと
言うだけでした。
レアンは、
何か心当たりがあるようでしたが
側近には話さず、
部屋に入りました。
側近は、部屋に入る前に、
しばらく考え込んだ後、
拳を強く握り締めました。
サーナット卿が
ラティルに事情を話すと、
彼女は、カルレインが
そんなことを言ったのかと
大笑いしました。
サーナット卿は、肯定し、
ラティルも知っている通り、
カルレインは一つのことにしか
関心がないと話しました。
サーナット卿は、
カルレインが関心を持つのは
ラティルだけだとは
言いたくありませんでしたが
彼女なら、
それがよく分かっているだろうと
思いました。
彼は、ラティルに、
カルレインがレアンを
侮辱することを知っていたので、
復讐のために
レアンを送り込んだのかと
尋ねました。
ラティルは、
50%はそのためだけれど、
残りの50%は、
レアンがカルレインの正体を
どれだけ知っているか
確認するためだと話し、
父親の遺言書の行方についても
触れました。
サーナット卿は、
それは問題だと告げた後、
なぜレアンがカルレインのことを
どれだけ知っているか
確認したいのかと尋ねました。
ラティルが
まだ皇帝ではなかった頃、
ハーレムはまだ存在せず、
彼女は自分がロードであることも
知りませんでした。
彼女が殺されることになった時、
ラティルは知らなかったけれど、
彼女を守っていたのは
サーナット卿と、
傭兵を連れていたカルレインでした。
だから、もしかしたら
先皇帝の部下は、
カルレインとサーナット卿を怪しみ、
カルレインのことを見抜いて
レアンに話したかもしれないと
考えていました。
しかし、サーナット卿から
レアンの反応を聞いてみると
どうやら彼は、カルレインのことを
よく知らないように感じました。
翌日、ラティルは
側室たちを全員集めて昼食をとり、
父の遺言について
正式に話し合いました。
タッシールは、数カ月前に、
彼が調べていたことに興味を示し、
彼らは、それについて、
少し話しました。
その時、ラティルは
クラインが使っている
空の椅子に目をやりました。
いつもならクラインが
居眠りしたり、にやにやしたり、
会議では無意味なことを話したり、
大きな声を出したりして
クラインの存在が非常に目立つのに、
ラティルは、
クラインの不在を感じました。
タッシールは、ラティルが、
クラインのことを
心配しているようだと指摘しました。
ラティルがクラインの空席を
見続けていたので、
他の人たちも、それに気づきました。
ラティルはタッシールの挑発に
笑いましたが、彼は
彼女が妙にクラインのことを
心配ばかりしていると言いました。
メラディムは、
彼は死ぬことはないし、
たとえ探しにいったとしても、
元気で帰ってくるだろうと
口を挟みました。
アドマルに向かう馬車の中で
バニルは、
落ち込んでいるクラインを心配し、
3ヶ月なんて、
あっという間ではないかと
彼を慰めました。
そして、クラインに
太陽を見せようと
馬車の窓から外を見ていたバニルは
何かを見て、
クラインを呼び始めました。
サーナット卿は
レアンの親友であると同時に
ラティルの騎士だったので、
彼のことを信用していたし、
心配でもあったので、
サーナット卿に
ラティルがロードである可能性を
あらかじめ話し、
先帝がラティルについて
調べるよう命じたことについて
話していた。
けれども、レアンは
ロードには騎士がいて、
それがサーナット卿であることまでは
知らなかった。
そのおかげで、サーナット卿は
カルレインにラティルが危ないことを
連絡することができ、
カルレインと傭兵たちは、
気づかれないように、
ラティルを守っていたと
いうことなのかと思いました。
今さらながら感じたことですが
サーナット卿は
レアンと親友だったので
ラティルと知り合えたけれど、
もしかしたら、
ラティルと近づくために、
レアンと親友に
なったのではないかと・・・
地方の領主の息子が
いきなり皇女に近づくのは
難しいけれど、
皇子なら友達になれると思い、
サーナット卿の使命を
知っていた両親は、
ゲスターの母親が、
彼を宮殿に連れて行って
皇子や皇女たちと遊ぶ機会を
作ったように、
息子をレアンと親しくさせるべく
宮殿に連れて行ったのかもしれないと
思いました。
サーナット卿が、いつ死にかけて
吸血鬼になったのか分かりませんが
167話で、
サーナット卿は幼い頃から
レアンとラティルのそばにいたと
書かれていますし、
ラティルが塀から落ちた時には、
すでに彼は
ラティルの騎士であることを
自覚していたように思うので、
やはり、サーナット卿は、
子供の頃、意図的に
レアンの親友になったように
思います。
ラナムンは、
カルレインを庇うために、
彼が貴族のマナーに疎いと
言いましたが、
カルレインは、
クレレンド大公の後継者とされていた
義妹のアニャと一緒にいたので
本当は、
貴族のマナーを知っているのにと、
ラナムンに文句を言いたくなりました。