734話 要約 ゲスターとサーナット卿といたはずのラティルが、今はギルゴールと一緒にいます。
ギルゴールとラティルは
警察署に向かいました。
歩きながらギルゴールはラティルに
侍従のザイオールが
爆破専門の魔術師とみなされ
連行されたと話しました。
ラティルは、
他にも、連行された理由があるのかと
尋ねると、ギルゴールは、
会えばわかると答えました。
警察署に着くと、
皇帝が警察本部に現れるのは
異例のことだったので、
署長は驚いていました。
ラティルは、側室の侍従が
連れて行かれたと話すと
警官が何か言う前に
ザイオールの叫び声が聞こえたので、
ギルゴールはその声のする方へ行き、
扉を開けると、
他の警官と一緒に
ザイオールがいました。
ラティルが後から入ってきて
何事かと尋ねると、警官たちは、
彼が爆破専門の魔術師だと
知られていたので連行したこと、
白魔術協会に協力要請をしたこと、
ザイオールのためではなく、
捜査のためだと指摘しました。
ラティルは、
それならザイオールの供述が終わり次第
帰っても問題ないと言いますが、
警官は現場を分析した後、
白魔術協会の到着を待つようにと
告げました。
警官はラティルに、
ザイオールは容疑者ではないので、
牢屋に入れられるわけでもなく、
待遇も良いし、
捜査官も同行するので、
落ち着いて行動するようにと
言いました。
皇帝が来たということで
ザイオールへの扱いが変わりました。
彼らは待合室に案内されました。
普通の部屋であるはずなのに、
ザイオールは、すぐにその部屋が、
魔術師を閉じ込めるための物で
溢れていることに気がつき、
舌打ちをしました。
自分が気づかないと思うなんて
警官たちはバカだと思いましたが
ともかく、あとは
白魔術協会を待つだけ。
そうすれば、自分が無実だと分かり、
温室に帰れると思いました。
ラティルもザイオールと同じように、
白魔術協会の仕事が終われば
解放されると考えていました。
ラティルは、今回のことが
ギルゴールとは無関係だったと思うと
どこか安心感すら覚えました。
レアンが白魔術師と手を組み、
爆発を起こしたと
思ってはいましたが、
皆がそう考えるはずは
ありませんでした。
翌日、白魔術協会の魔術師が
ライオンの宮殿にやってきて、
現場を観察すると、爆発は、
ザイオールが引き起こしたものに
間違いないと調査官に告げました。
ラティルは、その約30分後に
報告書を受け取りました。
ラティルは仕事中に
調査官の報告書を読み、
「これは何だ、
何を言っているんだ。」と
執事に、問いかけました。
彼はラティルに、報告書には
白魔術協会の魔術師の言ったことが
書かれていると伝えました。
ラティルはなぜザイオールが
ライオンの宮殿を爆破するのかと
問いかけると、執事は、
協会は、自分たちで
解決できる問題ではないと
言っていると答えました。
ラティルは口をポカンと開けて
執事を見た後、空笑いしました。
もしかして、レアンは
白魔術協会と
手を組んでいるのかと疑いました。
執事はラティルに、
もし本当に、
ザイオールの仕業である
可能性があるのなら、
もしかしたら実験をしていて
失敗したのかもしれないと
言いました。
ラティルは、
ザイオールがギルゴールに仕えて以来
とてもおとなしい吸血鬼で、
人の気を引くことを好まないと
思っていました。
ラティルは執事に
ギルゴールを呼ぶように頼みました。
彼が来ると、
ラティルはギルゴールに報告書を渡し、
白魔術協会がザイオールを犯人だと
突き止めたことを告げました。
ギルゴールはラティルに、
それを信じているのかと尋ねました。
ラティルは、
レアンが関係していると考えていると
答えました。
ギルゴールは、
ザイオールがレアンの助手だったから
そう思うのかと尋ねたので、
逆に、ラティルはギルゴールに
なぜそれを知っているのかと
尋ねました。
ギルゴールは
自分が調べていたからだと答えました。
ラティルはなぜと尋ねましたが、
ギルゴールは、
その必要があったからだと答えました。
その後、
ギルゴールは微笑みながら
報告書をラティルに返しました。
ラティルはザイオールへの非難を
どのように払拭するか、
ギルゴールに聞こうと思いましたが、
ギルゴールは背を向けて、
部屋を出て行きました。
ラティルは、
彼が自分を信頼してくれていて、
自分なら
何とかしてくれると思って
出て行ったのだろうと思いました。
ラティルは、
黙ってギルゴールを見つめ、
拳を握りしめると、
どうしたらザイオールへの非難を
払拭できるだろうと考えました。
ところが、30分後、
何人かの警備兵が、
ラティルの元に駆けつけ、
問題が発生したと報告しました。
レアンの側近は、
レアンがバイオリンを弾いている間、
ザイオールに起こったことについて
呟きました。
レアンの側近はザイオールと仲が悪く、
あえてレアンに仕えるザイオールを
軽蔑していましたが、
今はラティルの味方である
ザイオールが、
ギルゴールに仕えることを決めた時、
ギルゴールは、
まだラティルの側室ではなく、
そうなる気配もありませんでした。
その時、とても大きな音がしたので、
側近は何だろうと思い
立ち上がりましたが、
レアンは気にせず、
自分の仕事をしていました。
その時、側近が叫んだので、
レアンが顔を上げると、
投げられた花瓶が彼の横を
通り過ぎました。
「また会いましたね。」と言う男は
かつて、レアンのバイオリンを盗んだ
白いフードを被った男でした。
男は優しく挨拶した後、
「ザイオールはどこだ」と尋ねました。
レアンは、彼と会う度に
ザイオールのことを聞かれるので、
まだ見つかっていないのだろうと
思いました。
レアンの側近は、
彼を見つけた。
彼は自分と一緒にいたけれど、
協会のせいで、
彼を失ったと言いながら、
剣を手に男の背後から近づきました。
側近が剣を振った瞬間、
フードの男は剣を打ったので、
剣は転がりました。
側近は短剣で
男を攻撃しようとしましたが、
フードの男は彼を投げ飛ばしました。
レアンは、
「やはり、お前はギルゴールか」と
男の正体を見破りました。
ギルゴールは、
自分の侍従はどこにいるのかと
尋ねました。
レアンは、
彼はいない。
捜査官が連れて行ったと答えました。
ギルゴールは足を上げて
テーブルを蹴ると、
それは壁にぶつかり砕けました。
意識を取り戻した側近は
ギルゴールを振り返ると
一体、あの怪物は何なんだと
呟きました。
ギルゴールは、再び、
自分の侍従はどこにいると
尋ねました。
レアンは、
ここにはいない。
警察署のどこかにいるはずだと
答えました。
レアンは意外と冷静でしたが、
ギルゴールは部屋の中の物を壊し始め
レアンが気に入っていた
バイオリンを手に取り、
両手で握り潰しました。
側近は、レアンのお気に入りを
破壊するギルゴールを非難し、
ここに、ザイオールはいないと
叫びました。
彼は、世界中の誰もが、
皇子をこのように扱う勇気はない。
いくら、レアンが、
ラティルとの関係が悪くても、
最低限の敬意は
払うべきだと考えました。
しかし、ギルゴールは、
自分の侍従はどこにいるのかと、
その言葉しか発しませんでした。
そして、ギルゴールが微笑んだ瞬間、
レアンと側近の背中に
戦慄が走りました。
ギルゴールの赤い目が光りました。
その瞬間、レアンと側近は
彼が正気でないことに気づきました。
ギルゴールは、
自分の侍従はどこにいるのかと
質問を繰り返しました。
前話でラティルは
サーナット卿とゲスターと
一緒にいたのに、
なぜ、いきなりギルゴールが
出て来たのか分かりませんでしたが
サーナット卿とゲスターと一緒に
ライオンの宮殿に行ったところ、
そこにギルゴールが現われて
一緒に警察署へ
行くことになった箇所を
要約を書かれた方が省略したのだと
推測しました。
ギルゴールが最初に
レアンの所へ行ったのは
ザイオールを連れて行って、
トゥーラが隠れていた城を破壊させ、
彼を引きずり出すため。
ギルゴールがトゥーラに
会いたかったのは、
彼がロードの転生だと思っていたから。
カルレインやゲスターが、
本物のロードであるラティルを
ギルゴールが見つけ出さないよう、
トゥーラを偽者のロードに仕立て上げ、
ギルゴールは、
まんまと、それに騙されたわけなので、
そんなことを、ラティルに
話したくはないでしょうね。
ギルゴールは、
ザイオールが警察署にいることを
知っているのに、
執拗に、レアンに、
ザイオールの居場所を尋ねるのは、
レオンが彼に何をしたかを
白状させるつもりなのかと
思いました。
ザイオールは、
ギルゴールの所へ来てから、
彼のために花を育てるなど
彼に尽くしてきたので、
ギルゴールは彼に
好意を持っていたと思います。
ギルゴールは、
自分の愛する者
(おそらく物に対しても)を
傷つけたり、
自分を裏切る者に対しては、
冷静でいられなくなり、
残虐になるのだと思います。