738話の要約 ラティルとレアンは互いに相手に騙されたと思っています。
ラティルは目を閉じ、
ソファの肘掛を叩きました。
ランブリーは緊張し、
サーナット卿はラティルの手を取って
慰めようとしましたが、
彼女は、その手を払い退け、
書類を燃やすよう指示しました。
そして、しばらく沈黙した後、
ラティルは、
果物は自分を惑わすために
置かれたのだと思う。
レアンの側近は、
彼を尾行した者を八百屋で撒いた後に
本来会うべき人に、
会いに行くのだろうと付け加えました。
ランブリーはレアンが狡猾だと
指摘した上で、
八百屋の調査を止めるべきかと
尋ねました。
ラティルはため息をつき、
ソファの背もたれに寄りかかると、
調査すべきだが、
何も分からないと思うと言いました。
ランブリーがあまりにも
落ち込んでいるので、ラティルは、
彼に新鮮な空気を吸わせるため、
彼を抱き締めて、歩き回りました。
あまり気分が良くなかったのか、
アライグマは、
ラティルの肩に寄りかかり、
顎を落としました。
午後、
ラティルに会いに来たタッシールは、
その姿を見て、
妙な笑みを浮かべました。
タッシールは
アライグマがラティルに、
とてもなついていると指摘すると、
彼女は、
アライグマはあまりのショックで、
海藻のようにへばりついていると
返事をしました。
ラティルは、
机の上にクッションを置き、
アライグマを乗せました。
アライグマが奪ったメモについて、
すでに聞いていたタッシールは、
にっこり笑って、
アライグマの突き出たお腹に
手を当てました。
ラティルは料理を待っている間、
イライラしながら、
拳で足を叩いていましたが、
料理の匂いが届くと、
怒りに満ちていた胃が動き出して
空っぽになったようでした。
使用人たちが下がると、
ラティルは料理を脇に置き、
タッシールに、
皇帝の墓の爆発とその犯人について
尋ねると、彼は、
犯人のことではなく、
皇帝の遺体が、
墓にある可能性を指摘したので、
ラティルは驚きました。
将軍に手紙を届けた使者の居場所を
突き止めた神殿長は、
直接、その人物の元へ向かいました。
その場所に到着した神殿長が
扉を叩くと、女が扉を開きました。
神殿長は、手紙について、
女に尋ねましたが、
彼女は何も知らないと言って、
扉を閉めようとしました。
しかし、神殿長はそれを阻止すると、
彼女と同行し、
馬車から降りて来た騎士たちを
指差しながら、
何も知らないというのはあり得ない。
自分たちは、証人を探していると
彼女を責めました。
その時、家の中から女の夫が現れ、
神殿長と対峙して、
拳を振るいましたが
神殿長が彼の腹を蹴ると、
男は床に転がりました。
騒ぎを聞きつけた隣人たちは
外を見ましたが、
すぐに隠れてしまいました。
騎士たちは女を連れて、
無理やり馬車に乗せると、
男がよろめきながら、
探している男を見たと叫びました。
神殿長は男に近づき、
何を見たのかと尋ねると、
男は、自分に手紙を渡した男は
ずる賢い狐のような風貌で、
貴族のような格好をしていて
とても美しかった。
手紙を妻に渡すと立ち去ったと
説明しました。
神殿長は騎士たちに、
女を解放するよう合図すると、
彼女は、すぐに家の中に入り
扉を閉めました。
神殿長は唇の端を上げながら、
女を見続けました。
狡猾な狐と言われれば
一人しか思い浮かびませんでした。
彼女は、
タッシール、私は戻って
お前を捕まえる。
と呟きました。
ラティルは、父親の遺灰が
墓にあるのかと尋ねました。
タッシールは彼女を椅子に座らせ
自分は彼女の向かいに座ると、
パイを一切れ取って食べました。
タッシールは、
レアンの行動について
考えてみたところ
爆発について気になった。
危険度の高い罠ががあるということは
彼にとって、守りたい何かが
あるという意味だと説明しました。
ラティルは、
アライグマをじっと見ていました。
彼女はタッシールの話を
理解していないようでした。
タッシールは微笑みながら、
パイを食べると、
遺灰を動かしたのが
レアン皇子であれ先皇帝の手下であれ、
本当に扱うのが難しい。
もし遺灰の新しい置き場所が、
他の皇帝の墓の中だったら
どうなるだろうかと、
タッシールは尋ねました。
ラティルは頷きました。
問題は、棺を開けた途端に
その場所が爆発したことでした。
恐らく遺骨を隠すためだろうけれど、
他の墓にも、
そのような爆破魔法が
かけられているのだろうか。
一つ一つ確認するとしても、
もしライオンの宮殿全体が
崩壊したらどうなるだろうか。
そうなっても、問題ないけれど、
飛散った灰が、黒魔術師に
利用される可能性がある。
しかし、普通に考えても、
そんな場所を守れるはずがないと
考えたラティルは、タッシールに
ザイオールに聞いてみようと
提案しました。
温室に入ると、
ラティルはザイオールに、
他人の爆破魔法を
消すことができるかと尋ねると、
ザイオールは困惑した様子で
彼女を見つめました。
その時、欠伸をしながら
ギルゴールが現れ、
ラティルを見ると彼女の所へ行き、
彼女の肩に額をこすりつけました。
ラティルは彼を撫でましたが、
タッシールが、
それを見ていると分かると、
ギルゴールを突き放しました。
主人とロードがベタベタしているのを
見たくないザイオールは
背を向けると、
魔法をかけた者でなければ、
魔法を消すことはできないと
言いました。
ラティルは、
ゲスターは他人の魔法を
消すことができると指摘すると、
ザイオールは、
黒魔術は、
誰でも簡単に習得できるけれど
白魔術は、
力の差がはっきりしているので
同じ者しか、
その魔法を消すことはできないと
答えました。
ラティルは、
方法はないのかと尋ねると、
ザイオールは、
「解除魔術師」という、
他人の魔法を消すことを
専門にする人がいて、
彼らは皆、白魔術協会に
属していると答えました。
ラティルは頷き、
連絡してみると言いました。
ザイオールは、
白魔術協会は
皇室との関わりを好まないので、
きちんと話を聞かないと思うと
指摘しましたが、
ラティルは自信満々に笑い、
おそらく、聞いてくれるだろうと
言いました。
白魔術協会では
ギルゴールが破壊した場所の
修理をしていました。
老魔術師は懐かしさと悲しさで
その場所を眺めていました。
その時、誰かがやってきて、
ライオンの宮殿に、
他の爆発物がないことを
確認して欲しいと、
宮殿から連絡が来ていると告げました。
老魔術師は目を見開き、
ラティルの側室が
執務室をバラバラにしたのに、
爆発物を確認して欲しいなんて、
よくそんな依頼ができるものだと
拒絶しました。
しかし、周りにいる魔術師たちは
首を横に振りました。
そして、ラティルの頼みについて
報告した魔術師は、
皇帝は報酬を出すと言っている。
皇帝は、側室の一人が
建物を壊したことに責任があるので、
ギルゴールに2階を建設させると
言っていると告げました。
老魔術師は驚きました。
続けて魔術師は、
2階を作れば、もっと大きくなるし
今の流行りの
執務室にすることもできると
言いました。
老魔術師は首を傾げながら、
皇帝は不謹慎だと、
文句を言い始めましたが、
しばらくして老魔術師は、
渋々、やると言いました。
レアンの従者は、
それを伝えるために、
レアンの元へ走りました。
バイオリンの調律をしていた
レアンの表情は、
たちまち、強張りました。
側近は、なぜ皇帝が、
突然、そんなことをするのか。
何を知っているのかと呟きました。
まさか、タッシールが
ラティルを裏切るなんてことは
ないと思いますが、
レアンの言っていた通り、
ラティルがロードであることを
隠すために、
わざと、ラティルがロードだと
匂わせるようなことを
しているのでしょうか?
でも、もしタッシールが
そのようなことをしたとしても、
自ら、手紙を渡すようなことは
しないと思います。
わざとタッシールの仕業に
見せるために、
タッシールに化けた誰かが
やったのだと思います。