761話の要約 ラティルは聖騎士たちに話を始めました。
ラティルは、
議論するだけの証拠が足りないので、
相手の気を引くしかないと
考えました。
彼女は聖騎士たちに、
制御可能なレベルの怪物が現れても、
それが永遠に続くわけではないことを
思い出させようとしました。
アリタルの時代、
一見、順調そうに見えても、
やがて怪物の襲来で
村全体が消滅したからでした。
ラティルは、
現実を直視すべき時ではないだろうか?
ロードがいなくなった今
(ロードはアニャドミスだと
思われている)
怪物は自然にいなくなり、
時間とともに減っていくと
思っているかもしれないけれど、
のんびりしている場合ではないし、
それは問題を避けていることに
他ならないので、
今は、怪物に対する対策を
考えなければならない。
すでに自分は、いくつか考えてみて、
タリウムで応用されたものもあると
話しました。
そして、聖騎士たちを
期待するように見ましたが、
彼らは困惑した様子でした。
百花は微妙な笑みを浮かべていました。
ラティルが、
「ロードと怪物は関係ない」
という前提で、
怪物について議論するのではなく、
まさか、怪物から身を守ることに
こだわるとは思っていませんでした。
百花は、怪物の数が
減っているのは事実だけれど、
今以上に、自分の身は
自分で守るべきだと、
皆、考えているように思いました。
皇帝は、
パイの中に果物を隠すように、
皆が知っている話の中に、
彼らが知りたい情報を
巧みに紛れ込ませていました。
ラティルは聞かれたことに対して
冷静に答えていました。
ザイシンはそれを見て、
それまでの緊張が解け、
「何も問題ない」と思いました。
ラティルは、何とか表情管理を
しようとしていましたが、
唇の端がゆっくりと
上がっていきました。
思ったより状況は良いようで、
聖騎士の団長たちは、
ロードと怪物の関係よりも、
怪物からどうやって身を守るかの方に
関心がありました。
ところが、その時、
会長が扉から入ってきました。
なぜ、彼はここにいるのか。
ラティルの顔の筋肉が硬直しました。
会長が入って来ると、
何人かの聖騎士たちが
彼を振り返りました。
会長は手を振り、
ラティルに話を続けるよう促しました。
聖騎士たちは
ラティルの方を向きましたが、
すでに彼女が話を続けるのは
難しい状態でした。
その時、会長は 、
皇帝はロードであるか
ロードの部下であると
書かれた匿名の手紙は
どうなったかと尋ねました。
ラティルは会長を見て、
彼は自分を攻撃するために
ここに来たのだろうかと
考えました。
ザイシンは緊張した面持ちで
ラティルを見つめました。
タンベク団長が、その手紙は、
皇帝に危害を加えようとする
勢力から送られて来たと答えると
会長は、「そうなのですか?」と
驚きの声を上げた後、
それでも、
そのような手紙が届いたなら、
万が一に備えて、
徹底的に調査すべきではないかと
言いました。
ラティルは、
会長を殴りたくなりました。
彼はラティルを見て、
「自分は陛下を疑っていません」と
謝るように微笑みました。
そして、神殿長を見て、
「どうでしょうか?」と
意見を求めました。
神殿長は「もちろんです。」と
冷静に、きっぱりと返事をしました。
ラティルは反論しようと
口を開きましたが、
神殿長に先を越されました。
彼女は、
まず、自分でこの問題を
調査したけれど、
その過程で非常に手荒でひどい方法を
使ったため、
タンベク団長と問題が発生した。
手紙を送って来たのは、
皇帝に危害を加えたがっている
勢力の一員であるのは
本当だと話しました。
それを聞いた会長は
笑みを浮かべることなく、
唇の端を上げました。
そして、聖騎士の団長たち全員が
神殿長を見ました。
彼女は顔を上げ、拳を握りしめ、
前を向きました。
彼女は、
ラティルを擁護するために
そう言ったのではなく、
調査をしたけれど、
本当に何も出て来なかったと
言いました。
そして、神殿長は
何度もラティルを見つめ、
気を失いそうになりました。
ラティルは胸に手を当てて
「今、とても感動している」という
表情で彼女を見つめたので、
神殿長は不快になり、
荒々しく腕を揉みました。
そして、自分は
ルールに従っただけだと
言いました。
驚くべきなのは、ラティルが、
神殿長を助けたようでありながら
神殿長が、
ラティルを助けたことでした。
会長は、
神殿長がそう言うなら、
そうなのだろうと渋々呟くと
黙り込みました。
聖騎士たちの会議が終わるとすぐに
ラティルは会長の腕を取り、
話があると言うと、
彼はそれを了承しました。
二人は落ち着いて話ができるよう
人目につかない場所に移動しました。
二人きりになると、
ラティルは会長に、
何をしていたのかと尋ねました。
彼は何も考えていないと
答えました。
ラティルは会長と最後に会った時、
彼は子供を始末すべきだと言い、
今度は、公の場で
自分とロードが関係があるのかと
尋ねたことを非難すると、
会長は、
これは陰謀ではないと答えました。
ラティルは顔をしかめました。
会長は軽く笑うと、ラティルに
自分は、言うべきことを言っただけ。
もし、それが気になったのなら、
それは、おそらくラティルが
何か心に秘めているからだと、
言いました。
ラティルは驚きました。
会長は、一歩彼女に近づき、
自分の口を彼女の耳元に
近づけました。
ラティルは頭を上げると、
会長の顎のラインが見えました。
会長は、
皇帝と自分は
同じ目的を持っているけれど、
だからといって、
味方というわけではないので、
しっかり、やってくれないと困る。
皇帝がきちんととやってくれないと、
今日みたいに、
見ているだけでは済まないと
いました。
ラティルは、今日も、
ただ見ていたわけではないと
呟くと、会長は静かに微笑み、
先に部屋の外に出て行きました。
扉が閉まると同時に、
ラティルは椅子に座りました。
会長と話す度に、
精神的に疲れてしまうラティルは
なぜ、アリタルが
会長と仲良くしていたのか
不思議に思いました。
ラティルは元気になると、
聖騎士の団長たちが誰も
ロードと怪物を結びつけようとせず
ただ怪物を止めるための
準備に集中したことを喜びました。
そして、ラティルは
馬車に向かいました。
百花はザイシンに、
このままでは100年経っても
ラティルの寵愛を受けられない、
帰りは頑張るようにと言いましたが、
ラティルが到着するのを見ると、
百花は黙って、
何事もなかったかのように
振る舞いました。
ラティルは、
ザイシンの顔色が悪いのを見て驚き
どうしたのかと尋ねましたが、
彼は何も答えず、
馬車の扉を開けて、
ラティルに乗るように言いました。
クラインは馬車から降りて
宮殿を見ました
彼を見た宰相は驚き、
彼を出迎えました。
クラインが来てくれたことが
自信につながりました。
クラインは、
ヒュアツィンテのことを尋ねると
彼は国事で大変忙しいので、
夜になったら彼の所へ行くよう
宰相は答えました。
クラインは、
自分の部屋に行きましたが、
アクシアンは、
ヒュアツィンテの執務室に行き、
彼が出て来るまで
外で待ちました。
3時間後に、ヒュアツィンテは
疲れた顔で出て来ました。
彼はアクシアンを見ると挨拶をして
クラインのことを尋ねましたが、
アクシアンはヒュアツィンテに
内密に見せたいものがあると
言いました。
執務室に入ったアクシアンは、
アドマルの柱に刻まれた文字を
書き留めたノートを見せ、
そこで起こったことを
全て話しました。
ヒュアツィンテは、
アイニが生きていると聞いて
顔をしかめ、
アイニ、クライン、ラティルが
あの場所で、
「何か」を探していると聞いて
驚きました。
アクシアンは、これらの文字が
光る柱に書かれていたことを告げ、
この情報がタリウムを助け、
カリセンに害を及ぼすのではないかと
危惧しました。
ヒュアツィンテは、
そんな情報があるとは
思っていませんでしたが、
アイニとの出来事や、
ラティルとのメールでのやり取りから
タリウムとカリセンの関係が
悪くなっているように思えたので、
アクシアンの懸念は理解できました。
そして、ヒュアツィンテは、
ラティルを敵とは
思っていませんでしたが、
世論は違うようでした。
ノートに書かれた文字が
分かりにくいと思った
ヒュアツィンテは、秘書を呼び、
古代語の専門家を
探すように頼みました。
そして、そのうちの3文字を紙に書き、
そこに書かれていることを
解読できる人を連れてくるように
指示しました。
宮殿に着いたラティルは、
自分の功績を側室たちに
伝えたいと思いましたが、
そのような情報に興味を持つのは
人間だけなので、
ラナムンとタッシールに会いました。
しばらく、話をしていると、
二人は似たような表情をしました。
話し過ぎたのかと思ったラティルは
口を閉じて真剣な表情をすると、
タッシールは少し微笑みました。
ラナムンは、
冷たい視線を保ちながら
ラティルが楽しめたようでよかったと
言いました。
二人とも、ラティルを称賛したので
彼女は誇らしげに微笑みました。
ラティルは、
もう少し自慢話をした後、
帰ろうとしましたが、
その時、タッシールが近づいてきて
彼女の腕を取りました。
そして、先ほどの話について
考えがあるけれど、
聞いてみたいかと尋ねました。
ラティルは、
ロードと怪物が直接関係ないことを
証明したかったけれど
確固たる証拠がなかった。
けれども、
いつか自分がロードであると
明らかになる日が来た時に、
自分が怪物と関係している
危険な存在であると
思われたくなかった。
だから、事前に、
怪物から身を守る方法を
教えることで、
ラティルがロードだと分かった時に
彼女と怪物が関係ないことを
証明しようと考えた。
回りくどい方法ですが、
そういうことなのかと思いました。
けれども、会長が
手紙のことを持ち出したことで、
神殿長自ら、自分の過ちを認め
ラティルは潔白であることを
証明してしまった。
ラティルは、自分の功績を
ラナムンとタッシールに
自慢しましたが、
本当は、会長のおかげで
うまく行ったのだと思います。
会長が、
神殿長や聖騎士たちにとって
どのような存在なのかは
分かりませんが、会長の前では、
嘘やごまかしが通じないのかも
しれません。
神殿長がラティルを
擁護するという結果に終わり、
神殿長は悔しい思いを
したかもしれませんが、
これで、彼女が神殿長の職を
解任されずに済めば、
会長のおかげで、
全て丸く収まったということに
なるのだと思います。