765話の要約 ギルゴールが登場して、レアンは青ざめました。
周囲の人々が
どんどん遠ざかっていく中、
ギルゴールは、
レアンに近づき始めました。
彼の前に立つと、
彼は棘のある薔薇を丸かじりしたので
誰もが唾を飲み込みました。
ギルゴルはレアンを
バイオリンと呼んで挨拶し、
ラティルに向かって、
彼女が慰めに何人子供を産んでも、
次の皇帝は、
自分の息子だと言いました。
貴族たちは、そのとんでもない言葉に
目を見開きました。
さらに、ギルゴールは、
もしラティルが女の子を産めば
自分の娘は皇太女になる。
もし、男の子を産めば、
自分の息子が皇太子になる。
たとえ、ラティルが
犬を産んだとしても、
その犬が跡継ぎになると言いました。
その厚かましく傲慢な発言に
誰もが、口を閉じないわけには
いきませんでした。
レアンも、一言も話しませんでした。
皆、ギルゴールの噂を
聞いたことがあったからでした。
ギルゴールは、
ラティルの顔を見て同意を求めました。
ラティルは「その通りです!」と
即答しそうになりましたが、
ぐっとこらえて、
優しい声でギルゴールに呼びかけ
人間は怖がり屋だからと告げました。
ギルゴールは、
人間は、何も怖がらないのではないかと
尋ねましたが、ラティルは、
人々は、
手のひらサイズの赤ちゃんでも
怖がると笑顔で言うと、
誰も反論することはできませんでした。
ラティルは、これで十分、
彼を静かな所へ
連れて行った方がいいと思い、
ギルゴールに、
ケーキがあると言いました。
彼は、ケーキよりも花の方がいいと
言いましたが、ラティルは、
ケーキに花が付いていると言って、
彼の手を取り
連れて行こうとしました。
しかし、逆に
ギルゴールがラティルの手を取り
彼女と一緒に行きました。
人々は驚き、
レアンは酒を飲みながら、
ふてくされていました。
ラティルの
「狂った側室」が騒いでくれたおかげで
彼女はレアンの質問に答える必要はなく
彼を連れて行くふりをすることで
彼女は難から逃れることができました。
側室とは、何と便利なものか!
しかし、彼女は、
この思い込みを変える必要があると
思いながら扉の方を向くと、
ラナムンとフローラは
姿を消していました。
ラティルは、貴族の間を
ゆっくり歩いて行きました。
ラティルはギルゴールを
ケーキコーナーに案内しました。
そこはクリームと砂糖の香りで
いっぱいでした。
ラティルはラズベリーケーキを取り、
それに花を添えました。
そして、ギルゴールに
お礼を言おうとしましたが、
彼女が顔を上げると、ギルゴールは
別の花を食べていました。
彼はラティルに、
鐘が鳴ったら、
やることがあるのではないかと
尋ねました。
彼女は、「ある!」と答えながら
ケーキの皿をテーブルの上に置き、
アナッチャの屋敷に走って行きました。
喧騒の中で、
それを忘れそうになっていました。
ラティルが、
アナッチャの屋敷に到着すると
静まり返っていました。
すでに、アイニは立ち去っていました。
ラティルのレアンに対する怒りが
再燃しました。
「なぜ、今頃来るんだ?」と言いながら
トゥーラは無礼に扉を開きました。
ラティルの怒りは、
さらに大きくなりました。
ラティルはトゥーラに、
ヘウンはどこにいるのかと尋ねると、
彼は、アイニが持って行った。
重要な事だったのに、
ラティルは遅すぎたと非難しました。
彼女は何も言えませんでした。
トゥーラはラティルを見つめ、
彼女の落胆ぶりが
少し心配でしたが
アイニとラティルが戦わなかったことに
安心していました。
ところが、ラティルは
「彼女を追いかける!」と
叫び、グリフィンを呼び始めました。
現れた鳥に、ラティルは、
アドマルへ行き、
アイニがどこへ入ったか、
どこに行くつもりなのか
空から確認して、
自分に教えてくれるよう頼みました。
そして、ラティルは
後ろを振り返ると、そこに
狐の仮面を見つけました。
なぜここにいるのかと、
ラティルが戸惑いながら尋ねると
彼は何も言わずに手を伸ばしました。
ラティルは戸惑っていると、
狐の仮面は曖昧な口調で
「今回だけだ」と言いました。
ラティルは狐の仮面の手を握った瞬間
一瞬にして、
吸い込まれるような感覚に陥りました。
目を開けると、そこは砂の砂漠で、
強風が吹き荒れ、
ラティルのスカートは揺れていました。
彼女は明るく笑いながら狐の仮面を見て
ゲスターにお礼を言いましたが、
その瞬間、
彼女の目の前に黄色の閃光が現れ、
轟音が聞こえ、白い光が点滅しました。
強い光のために、
ラティルの視界は真っ白になり、
目を覆うと、狐の仮面が消えました。
ラティルは、
ランスター伯爵を呼ぶと、
閃光が走った場所と同じ場所に
狐の仮面が立っていました。
ラティルの視界がはっきりすると、
そこに伯爵の姿はなく、
狐の仮面が地面に転がっていることに
気づきました。
ラティルはそれを手に取ると
呆然とし、まさかと思い、
心臓がドキドキしました。
その時、彼女を呼ぶ声が聞こえました。
ラティルは、声のする方を見ると、
アイニがヘウンの頭を抱えていました。
彼女は、なぜラティルが
ここにいるのかと尋ねました。
メラディムは湖の近くの岩に座り、
パーティで誰かがくれた
尻尾用のブラシを
使おうとしていました。
人魚が髪をとかすのを見るために
行ったり来たりしている貴族たちは、
驚きながら、彼を見つめていました。
メラディムはティトゥに、
やってみて、うまくいったら
自慢しようと、
鱗を綺麗に磨きながら、
興奮気味に言いました。
ティトゥは彼らを見ていましたが、
近づいてくる人物を見て
表情が一変しました。
ティトゥは、ギルゴールの名前を
叫びました。
なぜ、彼が来るのか、
メラディムが頭を上げると、
確かにギルゴールが手に槍を持って
近づいて来ていました。
メラディムはそれを見て
激怒しました。
ギルゴールは微笑み、
手に持っていた槍を回して、
まっすぐメラディムに向けました。
それは宣戦布告でした。
メラディムは
「それはいい!戦おう!」と
叫んで、ブラシを落とすと、
ギルゴールに飛びかかりました。
メラディムが尻尾を磨いているのを
見ていた貴族たちは、
側室たちの戦いに戸惑いました。
二人とも湖の中にいたため、
波のうねりを見て、
二人が戦っていることが分かりました。
すると、一瞬にして
大量の水が空へと舞い上がり、
辺り一面に落ちて来ました。
貴族たちは水に当たらないように
逃げ始め、
静かだったハーレムは
一瞬にしてカオスと化しました。
ティトゥは
2人が戦っていることに戸惑い、
今は、戦っている場合ではないと
思ったので、
メラディムを呼ぼうとしました。
そして、傍らにいるザイオールを見て
自分はメラディムを止めるので、
彼はギルゴールを止めて欲しいと
頼みましたが、ザイオールは、
コーヒーを飲んでいるだけだったので
呆れたティトゥは
文句を言いました。
しかし、ザイオールは彼を見て、
それはできないと穏やかに答えました。
それでも、ティトゥは
止めるように頼みましたが、
ザイオールは、
主人から邪魔をするなと
命令されていると答えました。
命令と聞いて、
ティトゥは困惑しました。
続けて、ザイオールは、
それだけでなく、
自分を見張っていろ、目を離すなと
言われていると言ったので
ティトゥは、
どういうことなのかと尋ねましたが、
ザイオールは、知るわけがないと
答えました。
アイニはラティルを見て、
ヘウンの頭を注意深く地面に置くと
ラティルはスカートの裾を掴み
引き裂きました。
アイニが剣を抜いた瞬間、
二人は互いに向かって走り出しました。
ヘウンは、二人が一歩も引かずに
戦う姿に不安を覚えました。
地面に置かれているせいで、
視界に限界がありましたが、
アイニは今までに見たことのない
戦いぶりでした。
アイニが一瞬で、
圧倒されると思っていたヘウンは
混乱しました。
彼の選択は間違っていたのではないかと
疑問を感じました。
そして、ヘウンは
ラティルの動きが
どんどんおかしくなっていることに
気づき、彼女はどうしたのかと
考えました。
アイニもそれに気づきましたが、
彼女は驚くどころか、
より激しい攻撃を仕掛けてきました。
ラティルは自分を呪いました。
ギルゴールが、
また現れるのではないかと心配で、
戦いに集中できなかったからでした。
ギルゴールの言葉に
何も言えないレアンが
小気味いいです。
おそらく、ラティルも、
ギルゴールが、
自分を助けようとして
戯言を言ったとは
思わなかったのではないかと思います。
もっとも、ギルゴールが
ラティルとの間に
子供を持つことができたら、
本気で、その子を
後継者にしそうな気がしますが・・・
ギルゴールが
親切の押し売りをするのではなく
さりげなく、
彼女に助言をしたシーンが
とても良かったです。
ゲスターも今回だけと言いながらも
ラティルを助けてくれましたし
彼女は血の繋がった家族には
恵まれませんでしたが、
側室には恵まれたと思います。