766話の要約 ラティルはアイニを追いかけ、ギルゴールはメラディムと戦っていますが、まだパーティは続いています。
大部分の貴族たちは、
ギルゴールが引き起こした恐怖について
語っていましたが、
中には皇女やその能力、
レアンがどのように非難されたかを
語る者もいました。
ザイシンは、彼らの話を
不快に思いながら聞いていました。
スポーツ好きの貴族たちが、
スポーツの話をしようと
ザイシンの所へやって来ました。
その時、ザイシンは、
群衆の中に、
会長を見たような気がしました。
なぜ、彼がいるのか
不思議に思っていると、
ザイシンの隣にいたカルレインが
彼の方を向きました。
ザイシンは会長がいたと、
カルレインに告げました。
彼は顔を上げて探してみましたが、
すでに、貴族の中に
彼の姿は見えませんでした。
ザイシンは、
幻だったのだろうかと思いました。
通行人に混じって
うろうろ歩き回っていた会長は、
バルコニーから人々を見ていた
シピサに見つかりました。
シピサは嬉しそうに彼の所へ行き、
二人は挨拶を交わしました。
その後、会長はシピサに、
彼が渡した水の瓶を、
まだ使っていない理由を尋ねました。
シピサの顔から、明るい笑顔が消え、
彼は、できないと答えました。
会長が、その理由を尋ねるとシピサは
母親が傷つくからだと答えました。
しかし、会長は、
結局は彼女のためになると言うと、
シピサは「わからない」と言って
ポケット中の瓶をいじりました。
会長はシピサの肩に手を置き、
彼のポケットの中を覗き込みました。
シピサは、
母親は最善を尽くしているし、
少しずつ、一つずつ変えていると
主張しました。
会長は、
愛される者、大切にされる者ほど、
より注意深くならなければならないと
言いました。
シピサは頷きました。
続けて会長は、
母親は正しい道を
見つけることができそうにない。
シピサが別の方向から、
それを変える必要がある。
シピサは、母親を愛していないのかと
尋ねました。
シピサは反論しようとしましたが、
社長は彼の肩から手を下ろして
目の前に差し出し、
シピサができないのなら、
自分がやるので、
瓶を寄こせと言いました。
ラティルは、
アイニと戦い続けていましたが、
勝てるチャンスが来た途端に
集中力がなくなり、
次第にアイニが優勢になり始めました。
このままでは、
ギルゴールが現れる前に
アイニに負けると
ラティルは思いましたが、
アイニの剣が、
ラティルの肩を掠めた後、
集中力が戻って来ました。
ラティルは、決心して攻撃に転じ、
アイニは後退し始めました。
ラティルの視界が、
風になびく髪に遮られていても、
攻撃のスピードは落ちませんでした。
アイニが負けるのを見たくなかった
ヘウンは、固く目を閉じました。
そして、ラティルが
最後の一撃を与えようと
剣を強く握った瞬間、
目の前に矢が飛んで来たので、
ラティルは、
反射的に後ろに下がりました。
彼女は、矢と、
見知らぬ人が砂丘を下ってくるのを
見ました。
一人や二人ではなく、グループでした。
冒険家か傭兵ではないかと、
ラティルは思いました。
彼らの一人が、ラティルに
剣を落とせと怒鳴りました。
彼は、ラティルが
アイニを攻撃していると
思っているようでした。
アイニは、その状況に乗じて、
ラティルを突き飛ばしました。
「一人はすでに死んでいる!」
誰かが叫ぶと、
冒険者たちはそれぞれ武器を抜き、
走り出しました。
アイニはラティルとの距離を広げ、
彼らに向かって走りました。
ラティルは歯を食いしばりながら
「しまった」と思いました。
これも、対抗者の運なのか。
以前、ギルゴールが
自分を遮ったのも、
対抗者の運なのだろうか。
一対一で戦うことができても、
自分が勝とうとする度に、
誰かが現われてアイニを助ける。
一体、これは何なのか!
ラティルは憤慨して、
彼らの方を見ました。
とにかく、彼らの前で
アイニを攻撃するわけには
いかないと思いました。
そうすれば、
さらに誤解が深まるからでした。
ラティルは、
せっかく、ここまでたどり着いたのに
またチャンスを
探さなければならないと思い
悪態をつきました。
ラティルは怒りながら、
戦闘中に落とした
狐の仮面を拾いました。
その時、ラティルの脳裏に
アリタルも、そうだったという
記憶が蘇りました。
かつて、アリタルは、
理由もなくセルを攻撃したという
汚名に悩まされていました。
ラティルは立ち止まりました。
もし、自分がここを離れたら、
同じことが起こらないのだろうか。
これを変えることが、
自分に運命づけられているのか。
アリタルと逆のことをすることで
運命は変えられないのか。
なぜ運命は、ここまで残酷なのか。
ラティルは拳を握りしめて
彼らの方を見ました。
今、諦めたら、
即座に対決を避けることになるだけ。
人々は誤解を解くことなく、
アイニの視点から
恣意的に誤解をすると思いました。
避けることが最善ではないと
考えたラティルは、再び剣を握り
走り出しました。
冒険者たちはアイニに、
大丈夫か、どうしたのかと
尋ねました。
荷物はなく、アドマルにいるのに
適した服装でもなく、
一緒に戦っていた女性は
完全に破れたドレスを着ていました。
荷物も水もない女性二人が
危険な場所にいることに、
彼らは、何が起こっているのか
理解できませんでした。
アイニは、
彼女に襲われたと主張しました。
そう見えたけれど、
二人ともドレスを着ていると、
冒険者は言いました。
何かしっくりしない気分でいた時、
彼らは砂の音に驚きました。
破れたドレスを着た女性が、
剣を振り回して走って来ました。
冒険者の一人が弓を上げて
矢を放ちましたが、
女性は立ち止まることなく、
剣を振り回して、矢を防いだので、
矢は地面に落ちました。
他の冒険者は、
彼女がこちらに来る、彼女を止めろと
叫びました。
冒険者たちは驚き、
武器を手にしました。
アイニは、
自分が対抗者であっても
ラティルが気にせず、
自分に向かって走ってくるのを見て、
戸惑いを覚えました。
ラティルは、
冒険者たちの攻撃を防いで倒し、
別の冒険者が矢を放ちましたが、
彼女はそれを防いで
剣で弓を打ち砕きました。
多くの冒険者たちが、
ラティルと対峙した後、
次々と倒れていくので、
彼らは後退せざるを得ませんでした。
ラティルが剣を振り上げると、
アイニがその剣を奪い、
ラティルの腹に向かって
振り下ろしました。
ラティルは、
アイニに斬られないように
高くジャンプしましたが、
普通に落ちるのではなく、
他の誰かの肩を踏み、
隣の男に切りかかりました。
こんな戦い方をしているのは
一体誰なんだと、
地図解析士は思いました。
そして、その瞬間、解析士は
自分がこの戦いについて
何も知らないこと。
黒髪の女性は、
彼女が倒した冒険者たちが
大怪我をしないように、
わざと力を
コントロールしていることに
気がつきました。
分析官は、
自分たちは、何が起こっているのか
よくわかっていないので、
戦うのを止めろと叫び、
皆を止めようとしましたが、
彼らは、
なかなか戦いを止められず、
すぐに戦いをやめる者もいましたが、
ほとんどの者たちは、
分析官の叫びを聞きませんでした。
そこで、分析官は鈴を鳴らすと、
それを聞いた他の者たちは
戦うのを止めました。
分析官は、
他にも奇妙なことに気づきました。
仲間たちの、
人を救うという正義感は良いけれど、
今日は、それが少し
歪んでいるような気がしました。
彼らは聞く耳を持たず、
すぐに黒髪の女性が悪者だと思いました。
それは、なぜなのか。
分析官は不気味さを感じました。
よく見ると、赤毛の女性は
黒髪の女性よりも、
戦いに適した服装を
していませんでした。
しかし、黒髪の女性は赤毛の女性を
襲おうとしているようには見えず、
英雄のように見えました。
彼女はしっかりと
何かに備えているようで、
その表情に疑いの色は
微塵もありませんでした。
もう一つ不思議だったのは、
どこにも血痕がないことでした。
黒髪の女性が、
男の頭を切り落としたということは
ありえないと思いました。
ラティルは、
過去は繰り返さないという一心で、
冒険者を死なせないように
力を調整しながら
アイニに近づいて行き、
彼女が戦闘不能になったところで
ラティルは突進し、
アイニに剣を失わせることに
成功しました。
「これで終わりにしよう。」
ラティルはそう思いながら
勢いよく剣を振るいましたが、
剣がアイニに触れる前に
再びギルゴールが姿を現しました。
ラティルは
ギルゴールに押されました。
その瞳の色を見て、ラティルは、
シピサではなく、
間違いなくギルゴールだと思いました。
なぜ彼は、こんなことするのかと
思いました。
ラティルを阻むギルゴールの姿を見て、
アイニは横に退きましたが、
彼女も困惑していました。
これはやり過ぎだ。
運命を元通りしろと言ったのに。
アイニは対抗者なのに、
なぜ、ギルゴールは阻止するのか。
ラティルはそう思い、
目を赤くし、
泣きながら剣を振るいました。
ギルゴールはラティルの攻撃を避け、
なぜ泣いているのかと尋ねました。
ラティルは、
これは違う、
こんなことはなかったと
叫びながら剣を振るいました。
そして、ギルゴールの槍と
ラティルの剣がぶつかり合い、
音を立て、
ラティルの剣は粉々に砕け、
彼女は押し戻されました。
剣を失ったラティルは
狐の仮面を掴み、
ギルゴールに向かって
投げつけました。
それは怒りに任せた行動でしたが
思いがけず、
槍とぶつかった仮面は、
音を立てて衝撃を吸収しました。
その瞬間、ラティルは、
今のギルゴールについて、
ある考えが浮かびました。
今回、登場した冒険者たちは
クラインが雇った者たちでしょうか。
もし、そうであれば、
クラインは、ラティルを助けるために、
自分の代わりに
アドマルを調査して欲しくて
冒険者たちを雇ったのに、
その彼らが
ラティルを攻撃したことを知れば
クラインは悲しみ、
冒険者たちを雇ったことを
後悔するかもしれません。
そして、ギルゴールに邪魔をされ
涙するラティル。
アリタルの作った運命を変えたくて
必死で頑張っているのに、
ギルゴールに邪魔されたことが
本当に悲しかったのだと思います。
でも、最後のシーンで、
もしかしたら、このギルゴールは
本物ではないのかもしれないと
期待しました。