769話の要約 運命が変わったかどうか確かめるために、ラティルはラナムンと戦うことにしました。
ラナムンは警戒していました。
木刀とはいえ、頭や首を狙うのは
危険だとわかっていたので、
ラティルは、ラナムンの肩を狙って
走ってきました。
ラナムンは剣を防ぐのではなく、
一歩下がって、剣を避けました。
ラティルは向きを変え、
ラナムンはラティルとの距離を縮めて
攻撃しようとしました。
二つの剣がぶつかり合い、
ラティルは反射的に
ラナムンを蹴りそうになりましたが
顔を傷つけてしまうので、
彼の頭を抱いて
降伏するよう命じました。
ラナムンは驚きましたが、
跪いて敗北を受け入れました。
ラティルが手を離すと、
ラナムンは剣を投げました。
「運命は変わった!」と
ラティルは微笑みましたが、
その瞬間、彼女の頭に何かが当たり、
彼女はよろめきながら
後ろに倒れました。
ラナムンは立ち上がって
ラティルの所へ行き、
どうしたのかと尋ねました。
それを見ていたサーナット卿が
駆け寄って来て、
彼女を抱きしめました。
サーナット卿は、
ラナムンが投げた剣が折れて
ラティルに当たったと言いました。
ラナムンは、
そんなことがあるのかと
咎めるような口調で返事をし、
他に何か言おうとしましたが、
その前にギルゴールがやって来て、
サーナット卿の腕から
ラティルを取り上げ、
哀れな弟子よ、
運命を変えたと思ったのに、
彼が投げたばかりの木刀に
負けるとは。
と嘆きました。
サーナット卿は、
ラナムンが非常識だと責め
再び戦おうとした罪は重いと
非難しました。
ラナムンは、
負けを認めて剣を投げただけなのに、
その木刀が跳ね返って
ラティルに当たるなんて、
分かるはずがありませんでした。
目を覚ましたラティルは、
「成功しなかった」と呟き、
鏡を見ると、額に痣がありました。
罪悪感を覚えたラナムンは、
彼女のもとに行き、謝りました。
ラティルは膝を抱え、
ため息をつきました。
ラナムンは、
彼女が気を失っている間、
他の人たちから、
アドマルでの出来事と、
アイニを倒したことで
ラティルは運命が変わったと
思ったことを聞きました。
ラティルは、
ギルゴールへの不信感を
乗り越えたにもかかわらず、
運命は変らなかったと言いました。
一体、何が問題なのかと
考えていた時、
誰かが扉を叩きました。シピサでした。
彼は部屋の中に入ってきて、
大事な話があると言いました。
シピサは、
普段から重要なことを
簡単に話さないので、
ラティルは
側室たちと会議を開くことにしました。
夜中でしたが、
とにかく彼らを招集しました。
ゲスターの姿が見えなかったので、
ラティルはグリフィンに尋ねました。
グリフィンは、ゲスターが
ディジェットに行ったと答えました。
驚いたラティルが理由を尋ねると、
グリフィンは、ゲスターが
調べたいことがあると言っていた。
詳しくは知らないと答えました。
何を調べるのかと思いましたが、
ラティルは、心配は脇に置いて、
残りの側室たちに
アドマルで起きたことを話し、
その後、シピサに話を聞きました。
シピサはラティルが不在の時に
会長に会いに行ったことを話したので
ラティルは驚きました。
カルレインは、ザイシンと共に
群衆の中に会長を見た気がしたけれど
確信が持てなかったと言いました。
ラティルは、会長の用件は
何だったのかと尋ねました。
シピサは、
ラティルが
間違った方向に進んでいるので
薬の瓶を返してほしいと
会長に言われたことを伝えました。
ラティルは訝しみながら
会長は何の瓶のことを言っているのかと
尋ねました。
シピサは会長からもらった
薬の便を持っていると答えました。
ギルゴールは、
自分の弟子が対抗者2号と戦うことを
会長は知っていたのかと口を挟むと、
シピサは、分からないと答えました。
ラティルは不安な気持ちで
手をこすりながら、
アイニは対抗者だけれど、
セルと一番似ているのはフローラなので
アイニと戦っても無駄だと考えました。
メラディムはその瓶は何なのか、
なぜ会長は、
それを欲しがったのかと尋ねましたが、
シピサは、
困惑して答えられませんでした。
タッシールは、
それは重要なものなのか、
それとも言いにくいのかと尋ねました。
シピサはラティルを見て、
彼女と目が合うと、
前世の記憶を呼び覚ます効果のある薬だと
答えました。
ラティルは驚き、その薬は、
本当にそういうものなのかと
尋ねました。
シピサは、誰にでも効くわけではなく
皇女にだけ効く。
彼女は会長に無理やり転生させられたと
答えました。
会長の目的は明確でした。
ラティルはコーヒーを飲み干すと
立ち上がりました。
何も知らない姫に会うのも
気乗りしないのに、
彼女が前世を思い出したら、
もっと会うのが辛くなる。
姫が過去を思い出した時、
彼女は自分を嫌うだろうから。
そうなれば、
姫を亡き者にするのは簡単。
大統領の思惑通りでした。
タッシールは、
薬をどうやって作ったのかと尋ねると、
シピサは、
自分が作ったのではない、
会長にもらった。
薬を作るのはとても面倒だからと
答えました。
ラティルは、
アナッチャの宮殿に行きました。
そこでトゥーラに会うと、
彼は、なぜ来たのかと尋ねました。
その言葉に気分が悪くなったものの、
ラティルはヘウンのことを聞きました。
彼はベッドの上にいました。
ヘウンはラティルを見ると安心し、
彼女が自分のことを
忘れてしまったと思っていたと
告げました。
ラティルは、
忘れていなかったと答え、今回は、
頭を身体に乗せるだけなので簡単。
しっかり押さえるだけで十分だと
言いました。
ヘウンが身体を取り戻すと、
トゥーラは、
少し身長が伸びたのではないかと
ヘウンをからかったので、
ラティルは彼の脇腹をつまんで
突き飛ばしました。
コーヒーを飲んでいたアナッチャは、
息子を困らせるなと注意しました。
その後、トゥーラと彼女は
部屋を出て行きました。
ヘウンと二人だけになると、
ラティルは、
彼の頭を取らせてくれたことに
お礼を言い、
大変だったのではないかと
彼を労いました。
ヘウンは笑いながら、トゥーラが、
「ラティルはよく見ると可愛い」と
言った理由がわかったと話すと、
ラティルは
「トゥーラがそんなことを言うのか」
と不気味な表情をしました。
ヘウンは笑いながら、
「ごく稀に」と答えました。
ラティルは震え上がると、
ヘウンにもう一度お礼を言い、
帰ろうとしましたが、
ヘウンは、
なぜアイニの命を奪わなかったのか。
彼女が、もっと問題を
起こすかもしれないのにと尋ねました。
ラティルは、なぜヘウンが
あの約束をさせたのか、
自分が約束を破って
アイニの命を奪うこともできたのにと
尋ねました。
ヘウンは「陛下を信じたから」と
答えると、
ラティルは「私も私を信じた」と
微笑んで胸を叩き、
本宮に向かって歩き出しました。
ラティルは歩きながら、
ヘウンと約束はしたけれと、
元々、アイニの命を奪うつもりは
ありませんでした。
三人の対抗者がいるのに。
一人だけいなくなっても
運命は変わらないと思いました。
アリタルの記憶を取り込んで
それを再現したアドマルは、
アイニとの出来事を、
セルに最も似ているフローラと
再現する場所になるのだろうか?
死ぬことで
変化を起こせる人物がいるとすれば、
それはアイニではなく、
会長が主張するようにフローラだ。
逆に、三人の対抗者の中で、
死なずに大きな変化を起こせるのは、
ドミスの呪いに取り憑かれた
アイニしかいない。
しかし、運命は変わらない。
ラティルはそう思い、立ち止まると、
凍てつくような冬の風を吸い込んだ。
今、自分は何をすべきなのか。
過去がどうであれ、
ラティルはフローラの
命を奪うことはできませんでした。
黒魔術師はパイを焼いて戻って来ると、
アイニがいました。
どこかへ行っていたアイニは、
ぼんやりと湖を眺めていました。
黒魔術師は、
どこに行ったせいで、
そんなに恍惚としているのかと
尋ねました。
彼女は、とても古い地下と砂漠と答え
彼女が手を伸ばすと、
黒魔術師はパイを渡しました。
偶然にも、そのパイは
砂の色をしていました
アイニは、ビールを1本持って来るよう
頼みました。
アイニは安い酒を飲みながら、
自分が見た
柱で埋め尽くされた地下のことを
思い出していました。
一方、カリセンでは
ヒュアツィンテは休憩を取り、
部下の一人が連れてきた
古代語の専門家に会うために
執務室を後にしました。
応接室に着くと、
珍しく長い金髪の男が
ソファーに座って
新聞を読んでいました。
扉の開く音を聞くと、
彼は新聞を畳んで静かに立ち上がり、
自分は古代語の専門家だと
自己紹介をしました。
ヒュアツィンテが名前を尋ねると、
彼は微笑んで手を差し出しながら、
「ランスターです。」と答えました。
途中の話を読んでいないので、
なぜ、逃げていたアナッチャが
別宮にいて、
憎み合っていた
ラティルとアナッチャが
とりあえず、
和解?したように見えるのか
分かりません。
けれども、トゥーラは子供の頃、
レアンとラティルが
仲良くしているのを見て
自分も、そんな妹が欲しいと
思ったことがあるので、
トゥーラがラティルのことを
可愛いと思うのは
嘘ではないと思います。
ラティルは、アナッチャのせいで
母親が苦しんでいるのを
ずっと見て来たので、
アナッチャに仕返しする代わりに
トゥーラを
いじめていたかもしれませんが
トゥーラが、自分は兄だと威張って
ラティルに服従させようとしたのは
内心、ラティルと
仲良くなりたかったのかもしれません。
レアンは可愛がっていた妹が
ロードだという理由で
攻撃するようになり、
トゥーラは一度、ラティルに
命を奪われたこともあるのに
ラティルを憎んでいない様子。
母親は違っていても、
トゥーラの方が妹に対する
情があるように思います。