774話の要約 レアンはアニャを探すよう側近に指示しました。
レアンの側近は
短い黒髪の女性を必死で探し、
3日で候補者のリストを作って
レアンに手渡しました。
レアンはワクワクしながら
リストを見ましたが、
顔だけで名前を知るのが
難しいように、
名前だけで女性を特定するのも
難しいと思いました。
しかし、レアンは、
女性の顔を知らない者に
この仕事を任せるしか
ありませんでした。
それから数日間、
レアンはリストを片手に
宮殿内を歩き回りました。
レアンの足跡を追うラティルは、
彼が何をしているのか、
なぜそんなことをしているのか
理解できませんでした。
彼が貴族に会うのなら分かるけれど
なぜ、下女や職員に会いに行くのか。
明らかに
結婚に関係することだろうけれど
レアンはどういうつもりなのかと
不思議に思いました。
ラティルは
タッシールのところへ行き、
レアンの行動について、
彼に意見を求めましたが、
彼も分からないようでした。
一瞬ラティルは、グリフィンが
アニャとレアンの会話について
話していたのを思い出しましたが、
そんなはずはないと思い
首を振りました。
グリフィンからその話を聞いた後、
アニャは対怪物部隊と一緒に
出発したので、
レアンとはもう会っていないはず。
何度も会っていない人を
レアンが探すなんて
ありえないと思いました。
レアン本人ですら
何をしているのか分からないので、
当然、ラティルも
分かるはずがありませんでした。
レアンはリストに載っている
すべての人に会いましたが
彼女はいませんでした。
ラティルが示した
1週間の期限の前日に、
レアンはリストを破りながら
馬鹿なことをしたと呟きました。
側近は、
そんなに、その女性が好きなのかと
尋ねると、レアンは否定しました。
側近は訳がわかりませんでした。
レアンは、
仕事をしているラティルの所へ
行きました。
ラティルは彼が入って来るのを見ると、
決心したかと尋ねました。
レアンは結婚すると答えました。
ラティルは笑顔で、
彼に好きな人がいないなら、
自分の方で良さそうな人を
選んでもいいかと尋ねました。
レアンは、
構わないけれど、
彼女の良いと思うタイプが気になるので
それについて教えて欲しいと頼むと、
ラティルは承知しました。
レアンは、ラティルに、
誰か思い当たる人が
いるのかと尋ねると、ラティルは、
いないけれど、
カリセン人がいいと答えました。
部屋にいた秘書たちは、
それを聞いて驚きました。
レアンはラティルに、
カリセンと仲が悪いのかと尋ねました。
ラティルは、それを否定し、
カリセンとの関係を
強固にするのはいいことだと
答えました。
その後、レアンは執務室を出て、
廊下を歩いていると、
あれほど、探していた女性が
百花の隣を歩いているのが
見えました。
制服を着ている、その女性は
下女でも職員でもなく、
新しく作られた対怪物部隊に
所属していました。
アニャは、
3位の男と百花に話しかけながら、
気づかぬうちに
立ち止まっていました。
以前見たことのある
信じられないほどハンサムな男性が
自分を見ていたからでした。
その姿を見て、
アニャの頬が熱くなり、
顔が赤くなりました。
百花は、彼女を心配しましたが
アニャは何も言わずに歩き出しました。
彼女は百花に続いて執務室の中に入り、
扉が閉まりました。
レアンは、もう一日後に、
ラティルの所へ行けば良かったと
後悔しましたが、
すぐに頭を振りました。
もう1日待ったところで、
何も変わらないのではないか。
彼女が自分に興味を示さなければ
何の意味もないだろうと思いながら
自分の住まいに戻りました。
レアンは側近から
ラティルとのことを聞かれたので
彼女が自分とカリセン貴族との
結婚を望んでいることを告げました。
側近は、レアンが
タリウムの貴族と結婚することで
その妻の家族から援助を受けることを
事前に阻止しようと
しているのではないか。
カリセン貴族は地位が高いけれど、
今のような状況で
レアンを支えるのは難しいと
側近は言いましたが、
レアンは返事をしませんでした。
その代わりに、
別の考えがあったからでした。
レアンは、ゲスターを調査するように
頼みました。
ゲスターは、とても内気で
大人しい人なので、
最初、側近は戸惑いましたが、
レアンは、ラティルが
ライオンの宮殿を捜索していた時に
ゲスターが一緒だったのはおかしいと
指摘しました。
側近は頷きましたが、
最近、宮殿で、あまりゲスターを
見かけなくなったので、
時間がかかるかもしれないと
告げました。
ゲスターは
「古代語専門家」を妨害するために
カリセンの宮殿を
行ったり来たりしていました。
自分がヒュアツィンテから
ノートを奪えなければ、
古代語専門家から奪うか、
その者に、真実を語らせようと
考えていました。
その時、誰かが
自分を呼ぶ声が聞こえました。
それは腕を組んで
自分を見ているクラインでした。
視線が合うと、
クラインはゲスターの方に歩いて来て、
「お前は誰だ?」と聞いてきました。
(注:クラインは
ランスター伯爵の姿をした
ゲスターを知らない)
ゲスターは、
一瞬、過去を振り返り、
今まで、このバカが、
このような態度だったことを
見たことがあっただろうかと
考えました。
ランスター伯爵の目に映るクラインは
愚かで退屈な存在でしたが、
宮殿の庭園を彷徨う多くの人々の中で
クラインはランスター伯爵を
奇妙な人物だと
認識することができていました。
ゲスターは、
新しい秘書だと自己紹介しましたが
クラインは顔をしかめて、
ランスター伯爵を
頭からつま先まで見た後、
確信できないと告げました。
気分を悪くしながらも、
宰相は、
クラインがカリセンにいることを
強く求めすぎではないか。
いつか、クラインが、
大変なことになると思っていたと
言いました。
クラインは、宰相との会話を
指摘されたので、ぎょっとし、
なぜ、それを知っているのかと
尋ねました。
ランスターは、
同情的な表情を装いながら、
宰相から聞いたと答えました。
クラインはランスターに近づき、
彼が自分の立場だったらどうするか、
家族と国家のどちらを選ぶかと
尋ねました。
ランスターは、
目に笑みを浮かべながら
クラインに近づき、
自分の状況とは全く違うので
比較することはできないと
答えました。
クラインは、
それはどういう意味かと尋ね、
こんなに近くにいることに
顔をしかめました。
ランスターは、通常、家族の中に
配偶者は一人しかいないけれど
クラインの妻には何人もの夫がいる。
もし彼が妻と別れて
カリセンに戻って来ても、
皇帝には多くの夫がいるままだと
話しました。
クラインの顔が歪み、
口汚く罵りました。
ランスターはクラインに
気を悪くしないようにと告げた後、
普通の人が
伴侶を選んで国を裏切った時、
誰がそれを
知ることができるだろうか。
身近な人や周りの人が聞いて、
彼を呪うだけ。
しかし、王子が国を裏切って
妻を選ぶとどうなるか、
よく考えてみるようにと告げました。
クラインは、
どうなるのかと尋ねると、
ランスターは、
クラインは公の裏切り者となり、
彼の名は歴史に残るだろうと
答えました。
クラインの顔が強張り、
これ以上、我慢できなくなると、
ランスターを罵りながら、
彼の服の襟を掴もうとしましたが、
ランスターは、
一歩下がって逃れました。
そして、悲しい表情をして、
クラインを侮辱するつもりはなかったと
告げると、
丁寧に別れの挨拶をして、
立ち去りました。
一人残されたクラインは、
髪をかきむしって、
宰相を罵倒しました。
ゲスターはカリセンから戻ると、
ラティルを訪れ、
10分から30分くらい滞在しました。
大抵、報告は5分もしないうちに
終わりましたが、
彼は、その後もお茶を飲むために
滞在しました。
日が経つにつれ、秘書たちは
ゲスターに会うのも、
彼がラティルの執務室を出るのにも
慣れてきました。
ゲスターはラティルのために
チョコレートとお菓子を持って
やって来ました。
ラティルは彼に会うと、
どうだったかと尋ねました。
ゲスターは
ラティルに尋ねられるとすぐに、
恥ずかしそうに彼女に近づき、
お菓子を机に置きました。
ラティルはチョコレートを受け取ると
成功したかと尋ねました。
すると、ゲスターは
深くため息をついたので、
ラティルは、
どうしたのかと尋ね、
チョコレートを口の中に入れました。
ゲスターは話すのを躊躇っていました。
ラティルは話をするよう迫り、
柱の文字が書かれた紙を
見たかと尋ねました。
ゲスターは首を振り、
見ていないと答えました。
それならば、なぜゲスターが
躊躇っているのか、
その理由を尋ねると、ゲスターは、
クラインを見たと答えました。
ラティルは、
自分たちのしていたことが
バレたのかと尋ねると
ゲスターは否定し、
クラインが宰相と話しているのを
こっそり見たと言いました。
ラティルは困惑しました。
ゲスターは、宰相がクラインに
カリセンに残るように
言っていたことを告げたので、
ラティルは、
ゲスターが話すのを
躊躇っていた理由を理解しました。
ラティルは、
クラインがそんなことをするだろうかと
尋ねました。
レアンのことは嫌いですが
恋に不慣れなせいか、
アニャに恋しているのに
それを認めない姿は
少しだけ可愛いと思いました。
アニャの方も、
レアンに気があるのでしょうか。
アニャがレアンのことを
信じられないほど
ハンサムだと思うのは、
恋しているからなのかもしれません。