778話の要約 カリセンからの返事の内容は?
レアンの側近が
固い表情で部屋に入って来た時、
レアンは
新しいバイオリンを見ていました。
側近は当惑しながら、
クラインが使節を殴ったと話しましたが
レアンは喜び、
やはり、馬鹿な皇子は役に立ったと
言いました。
側近は、レアンの言うことを
理解できませんでしたが、彼は、
これで、皇室にふさわしい人に
より自然にプロポーズできると
言いました。
レアンは、
ラティルはとても怒っているだろうと
指摘しました。
ラティルが謁見場に来ると、
そこには使節団がいました。
プロポーズを断られたくらいで
秘書が慌てて
自分を呼びに来るなんて、
一体何が起こったのかと思いました。
ラティルが席に座ると、
使節の顔が見えました。
彼の顔には大きな痣がありました。
彼は、クライン皇子が
全てを台無しにしたと訴えました。
ラティルは戸惑い、
クラインに何の関係があるのかと
尋ねました。
使節は、
最初はすべてうまく行っていた。
ヒュアツィンテ皇帝は、
ティメーナ伯爵の娘は
賢く才能のある女性であり、
彼女とレアン皇子が結婚すれば、
互いに有益だと言っていたけれど、
突然、クライン皇子が突進してきて
彼を殴ったと説明し、
目に涙を浮かべながら
自分の顔を指差しました。
ラティルは驚きのあまり、
口をポカンと開き、使節を見ながら、
なぜクラインが、
そのようなことをしたのかと
尋ねました。
特使は黙ったまま、唇を噛みました。
ラティルは謁見場の様子を見渡しながら
座席にもたれかかりました。
これだけ目撃者がいる以上、
聞かなかったことにはできないし、
伯爵の顔には明らかに痣がありました。
使節は、
クライン皇子はカリセンにいたから
横柄な態度を取ったと付け加え、
騒動を見たティメーナ伯爵は、
直ちにプロポーズを断って
立ち去ったと言いました。
ところが、
その時、後ろにいた男の1人が
どこからともなく現れ、
帽子を脱いで投げ捨てました。
顔を上げたラティルは
大きく目を見開きました。
その人は、クラインでした。
彼は、使節が自分を侮辱したので
殴ったと主張しました。
使節は、
クラインが後ろにいたとは
知らなかったので慌てました。
ラティルは、
なぜクラインがそこにいるのかと
尋ねました。
クラインは、使節が
嘘の話をするのではないかと心配で
付いて来たと答えました。
そして、ラティルに近づくと、
使節は結婚の依頼をするどころか、
カリセンと伯爵を侮辱し、
結婚を断らせるために
最善を尽くしたと言いました。
困り果てた使節は、
クラインの言葉を否定しましたが
ラティルはクラインの話を聞くや否や
彼が真実を語っていることに
気づきました。
ラティルは、レアンがなぜ、
あんなに適当に人を選んだのかが
分かりました。
彼の考えは、適当に人を選んで
わざと相手が断るように仕向け、
他の候補者を選ぶということだと
思いました。
最初からレアンが
本来の目的の人を選んでいれば、
ラティルは彼の意図を
察することができたからでした。
ラティルは
クラインを誇りに思いました。
レアンの意図を理解できて
安心した彼女はクラインに近づき、
マントを羽織らせると、
クラインは興奮した目で
彼女を見つめました。
使節は、クラインが嘘をついていると
主張しましたが、
ラティルはそれを無視し、
謁見会場にいる
他の人々の意見を求めました。
彼らは、
クライン皇子の行為は間違っているが、
使節はカリセンを侮辱したと
指摘しました。
クラインは、
彼がしたことは
彼女に対する侮辱だと言いました。
ラティルはクラインの背中を叩き
クラインを着替えに連れて行くよう
サーナット卿に指示しました。
彼はとても薄着で凍えていたので、
具合が悪くなる恐れがありました。
使節との話が終わると、
ラティルは執務室へ向かいました。
着替えを済ませ、
ラティルのマントを羽織ったクラインは
コーヒーを飲んでいましたが、
ラティルが近づくと立ち上がり
熊のような声で、
ラティルを呼びました。
その場にいたサーナット卿は、
その様子を見たくないのか、
目をそらしました。
ラティルは、クラインが
愛らしい子熊のようだと思い
彼に近づきました。
ラティルはクラインに、
どうやってここに来たのか、
自分がどれだけ驚いたか
知っているかと尋ねました。
毅然とした態度で話していたクラインは
あの使節を見て
嫌な予感がしたと言った後、
急に黙り込みました。
彼はタリウムに戻って来る前、
使節を殴った後、
しばらく監禁されました。
30分ほどしてヒュアツィンテが
会いに来ると、クラインは
タリウムに戻っていいかと
尋ねました。
ヒュアツィンテは承知し、
ラティルの所へ戻れと言いました。
クラインは興奮しましたが、
なぜ急に気が変わったのかと
兄に尋ねました。
ヒュアツィンテは
クラインを見つめながら、
使節の態度から、
ラティルはまだ内部に
多くの敵を抱えているようだと答え、
ため息をつくと、
クラインの背中を叩き、
彼に背を向けました。
そして、クラインに、
だから帰って彼女を支えて欲しい。
自分とは違うことをするようにと
告げました。
密かに使節団に潜入するのも
ヒュアツィンテのアイデアでした。
伯爵は単に態度が悪かったのか、
それとも、他に何か意図があったのか
分からなかったので、
クラインに目立たないように
彼の次の動きを
見てもらうことにしました。
しかし、クラインはラティルに
ヒュアツィンテのことを
考えさせたくなかったので
このことを
一切、話しませんでした。
クラインの顔が青ざめたので
ラティルは彼の頬に手を当てながら
どうしたのかと尋ねました。
クラインは首を横に振り、
ラティルの手に鼻を寄せて目を
閉じました。
ラティルは、全身で愛情を示す
クラインを見て、
彼の額をさすりました。
サーナット卿は、
この光景を見るのが辛くなりました。
ラティルは彼の不快感を
感じましたが、
わざと彼と見ないようにしました。
数時間後、ラティルは
使節や秘書の個別報告を
確認しました。
クラインが
暴力を振るったのは事実でしたが、
使節がカリセンを侮辱したのも
事実でした。
クラインが邪魔をしなくても、
結婚は断られていたと思いました。
その後、ラティルは
レアンを呼び出し、
彼女が彼の前に立つと、
残念ながらプロポーズは
断られたので
他の人を選ばなければならないと
告げました。
レアンは悩むふりをして
ベゴニア嬢を選びました。
レアンが部屋を出ようとした時、
ラティルは、
メッソ伯爵が、今回の任務から
外れることになったことを告げ、
今度は、
結婚を台無しにするようなことは
しないほうがいいと言いました。
レアンは立ち止まると、
微笑みながら、
ラティルの好きなようにしろと
返事をしました。
夕食時、
お風呂に入ったクラインが
ソファーの上で
ラティルにくっついてきました。
彼女は久しぶりに
クラインの髪を撫でました。
彼は可愛く見えました。
クラインはラティルの肩に
頭を乗せ、
嬉しそうに微笑みました。
ラティルはクラインに、
なぜディジェットではなく
カリセンにいたのかと尋ねました。
彼は、怪物との戦い方を
兵士たちに教えて欲しいと頼まれ、
そこに留まることを望まれたと
答えました。
ラティルは、
その言葉に感銘を受け、
それは、クラインが
有能だからではないかと尋ねると、
ラティルを見つめていたクラインは
微笑み、それを認めました。
クラインは
ラティルの具合はどうかと尋ね、
次にお腹の子の具合を尋ねました。
ラティルは元気だと答えると、
立ち上がって
クラインの陛下2のぬいぐるみを
持って来ました。
クラインは顔を輝かせて
ぬいぐるみを受け取りました。
しかし、すぐに表情を強張らせました。
ラティルがどうしたのかと尋ねると、
クラインは何度も人形を揺すりました。
ラティルは、
クラインに呼びかけましたが
彼は10回近く手首を振り、
不満げな表情で
ラティルを見つめました。
ラティルの胸は張り裂けそうでした。
以前、ヒュアツィンテは
使節団に紛れて
タリウムにやって来ましたが、
それをクラインに伝授したのですね。
ヒュアツィンテは
ラティルを裏切ったけれど、
自分は裏切らないという
クラインの言葉を素直に事実と受け止め
自分の代わりにラティルを守ることを
弟に託したことで、
彼女に対して誠実でありたいと
思ったのかもしれません。
もっとも、クラインが
ヒュアツィンテに頼まれたことを
言わなかったので、
ラティルには伝わりませんでしたが
それを聞いたとしても、
クラインが心配するようなことは
何も起こらず、
ヒュアツィンテに対して
友情を感じるだけなのではないかと
思います。