100話 雅紀が煮え切らないので、璃香は九条家に乗り込みました。
栄治と咲恵と璃香が
向かい合って座っているところへ
雅紀が慌てて帰って来ました。
栄治は、璃香の隣に座るよう
指示しました。
雅紀は璃香を睨みつけました。
栄治は、いきなり雅紀に
本当なのかと尋ねました。
雅紀は、何のことかと
しらばっくれていると、
璃香が雅紀の子供を
妊娠したのは本当なのかと
怒鳴りました。
雅紀は、隣にいる璃香を
睨みつけながら、
彼女を心の中で罵りました。
璃香は、
雅紀が自ら招いたことだと思い
呆れて、溜息をつきました。
雅紀は不機嫌そうな顔で
事実だと認めました。
栄治は、
責任は取るように。
しかし、自分は
堤恵美という女と
親戚関係を結ぶつもりはないと
言いました。
雅紀も、璃香と
結婚するつもりはないと
言いました。
それを聞いて焦る璃香。
栄治は雅紀のことを
情けないと言うと、
会社からも家からも出て行けと
命令し、席を立ちました。
咲恵もそれに続きました。
顔に青筋を立て、
わなわなと震える雅紀。
璃香は、こんなはずではなかったと
焦りました。
外へ出た雅紀と璃香。
雅紀は璃香を振り返って睨みつけると
璃香はぎょっとしました。
そして、何も言えずに
ブルブル震えていると、
雅紀は、顔に青筋を立てて
なぜ自分に相談もなしに、
こんなことをするのかと
怒鳴りました。
璃香は、雅紀に連絡をしても
返事をくれないのに、
他に何ができるというのか。
自分だけの身体ではないのにと
抗議しました。
雅紀は、
璃香の母親はどうなるのかと
尋ねました。
彼女は、自分もよく分からないと
答えました。
雅紀は、軽蔑の眼差しで
璃香を見ました。
彼女は涙を流しながら、
妊娠の事実さえ知らせれば、
事が簡単に解決すると
思っていたので悔しがりました。
雅紀は、
取りあえず自分の車に乗れと
命令しました。
雅紀が璃香を連れて行ったのは
彼のマンションでした。
雅紀は、子供が生まれるまで
ここで過ごすように。
自分が父親を説得するので、
馬鹿な真似はするなと命令しました。
璃香は、本当に良いのかと
尋ねると、雅紀は、
確実に、自分の子供であることが
前提だと警告しました。
璃香は、
雅紀の子ではないと
疑っているのかと抗議しました。
雅紀は、璃香のせいで
自分も困っているからだと
言い返し、
璃香の西江グループの
妻になりたいという夢が、
水の泡になるかもしれないと
警告しました。
璃香は、それは絶対にダメだと
思いました。
雅紀は急に璃香に近づき
顔に青筋を立てて
恐ろしい目で彼女の顔を覗き込むと
璃香の助けは望まないから、
おとなしくしていろ。
今日のようなことが、また起きたら
自分は何をするか分からないと
警告しました。
璃香は冷や汗をかきながら、
分かったと返事をした、
頷きました。
恵美はイライラしながら
爪を噛み、カフェの椅子に
腰かけていました。
そこへ、佐藤亜希が笑顔で現われ
恵美に、ご無沙汰していると
挨拶をしました。
恵美は、
記事を見た。
なかなか可愛らしいことを
企んでくれたと
皮肉を言いました。
亜希は椅子に腰かけると、
自分もまともな暮らしを
してみたい。
ハラハラしながら、
息を殺して生きて行くのは
うんざりだからだと
言い返しました。
恵美は亜希を睨みながら、
原本を出せと命じ、
まだ、全部
渡していないようだと
指摘しました。
亜希は、
タダで渡すことはできないと
言いました。
恵美は、
お金を巻き上げるつもりなのかと
尋ねると、亜希は
否定はしないと答えました。
恵美は、
それならば、
自分に連絡すれば良かった。
亜希のせいで、
自分がどれだけ困ったか
知っているのかと責めました。
亜希は、恵美が
自分だけではなく家族まで
社会から葬ると脅迫したからだと
逆に恵美を責めました。
恵美は亜希に
いくら必要なのかと尋ねました。
亜希は1億だと答えました。
恵美は、1億だなんて
頭がおかしいのではないかと
怒鳴りました。
すると亜希は
1億5千万と値を上げました。
恵美は再び文句を言うと、
亜希は2億に値を上げました。
恵美は亜希を睨みつけて
怒りでわなわなと震えながら
ふざけるな。
自分は、まだ亜希に
振り回されるほどではないと
強がりました。
亜希は、
自分が持っている証拠を
マスコミにばら撒いても
構わないのかと、
笑顔で尋ねました。
恵美は、
やれるものなら勝手にやれ。
自分もじっとしてはいないと
怒鳴ると、立ち去りました。
恵美がいなくなると
亜希はため息をつき、
言われた通りにしたけれど
本当に大丈夫なのかと
後ろの席に座っている浅井に
心配そうに尋ねました。
浅井は、二人の会話を
録音していました。
浅井は亜希と家族の安全は
自分が保証するので
心配しなくても大丈夫だと
告げました。
浅井は、恵美はもう絶対に
逃げられないと思いました。
歓迎はされなくても、
子供ができたと言えば
九条家の人々に
結婚を認めてもらえると
璃香は思っていたのでしょうけれど
麗奈に対する恵美のひどい仕打ちや
彼女の脱税と
贈賄疑惑を耳にしていれば
栄治が恵美と
姻戚関係になりたくないと
言うのも、当然だと思います。
おまけに、雅紀は仁志のように
20数年も騙されるほど
お人好しではないどころか
恐ろしいサイコパス。
狙った相手が悪すぎる。
子供さえできれば何とかなると
思っていた璃香と恵美は
大きな計算違いをしたと思います。
これから、彼女たちが
自分たちの犯した罪の報いを
受けるかと思うと痛快です。