自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 91話 ネタバレ 原作 あらすじ 父親の痕跡

 

91話 エルナとビョルンはバフォードに滞在中です。

 

バフォードの奇跡。

エルナは、ここ数日間を

そのように命名することにしました。

それ以外の言葉では

到底説明のつかないような

完璧な日々でした。

 

優しいビョルンと

愛する家族のいる家。

あれほど懐かしかった

故郷の風景の中で流れる一日一日。

胸がいっぱいになるほど幸せで、

まるで夢の中を

生きているようでした。

たまたま、エルナが

新聞の山を見つけるまでは・・・

 

エルナは、庭を見回った後、

祖母の部屋を訪ねて

楽しく、おしゃべりをしていました。

バーデン男爵夫人は、

せっせとパッチワークをし、

エルナは、そのそばに座って

今日一日の計画を話しました。

もし、ちょうど糸を切らさなければ

そのような平穏な一日が

続いていたはずでした。

 

しばらく手を止めた

バーデン男爵夫人は、エレナに、

あの引き出しの一番下にある

赤い糸を持って来てくれないかと

頼みました。

エレナは、

窓のそばに置かれた引き出しに

素早く向かいました。

そして、それは、

バーデン男爵夫人が

糸を保管する小さな箱のそばに

積み重ねられていました。

エルナがその紙束の正体に

一目で気づいたのは、

一番上に置かれていた

新聞のせいでした。

全レチェンから嫌われている

シュベリン大公妃が、ついには

精神分裂症患者の襲撃まで

受けることになったという

ニュースを扱った刺激的な記事は、

いつものように

エルナの写真を掲載していました。

結婚を記念して撮ったものだけれど、

大体、このような恥辱的な記事と

一緒に使われている写真でした。

 

じっとうずくまって座っている

孫娘の背中を見つめていた

バーデン男爵夫人が、

そこにも赤い糸はないのかと

尋ねました。

小さな老眼鏡は、いつの間にか

鼻先まで落ちていました。

バーデン男爵夫人がエルナを呼んでも

彼女は答えませんでした。

重苦しい沈黙の中で、紙が

カサカサ音を立てるだけでした。

 

バーデン男爵夫人は

「一体、どうし・・・」と

声をかけている途中で、エルナは、

一体、どうして

これを集めているのかと

祖母に尋ねました。

 

不吉な予感がするや否や、

ぱっと体を起こしたエルナが

引き出しから取り出した

新聞の山を胸に抱いたまま

振り返りました。

やっと自分の過ちに気づいた

バーデン男爵夫人は狼狽しました。

 

エルナは、

祖母はこういうものを

見る人ではないのに、

なぜ、こんなありえないものを

なぜ、こんなにと

バーデン男爵夫人を責めました。

 

表情を整えたバーデン男爵夫人は、

急いで首を横に振ると、

そういうことではない。

寂しい時に

クロスワードをしようと思って

持って来ただけだと弁解しました。


しかし、エルナは

やめて欲しいと訴えました。

新聞を持ったエルナの手が

細かく震え始めました。

 

エルナは、

どうか、おばあ様まで、

こんなことをしないで欲しい。

見れば心が痛むだろうし、

腹が立つだろうけれど、

なぜ、こんなに自分を

悪い孫娘にするのかと抗議しました。


半分理性を失って怒った瞬間、

すでに、エルナは

これが不当な怒りであることを

知っていました。

世界の人々の目に映った

シュベリン大公妃の姿がどうなのか

祖母はただ、

気になっただけなのだと思いました。

定期的に手紙を書いてはいるけれど、

そこには、いつも

いくらかの嘘が添えられていることに

気づかなかったはずがありません。

エルナは、分かっているけれど、

こうしてはいけないことを

よく分かっているけれど、

感情がうまく

コントロールできませんでした。

これまで努めて無視してきた

自分の恥部を、無防備状態で

直面することになった気分でした。

少なくともここにいる間は

全て忘れたかったけれど、

それさえ許されず、

しつこく自分を苦しめる

世の中に対する怒りが、

無実の祖母に向かって

爆発してしまいました。

必ず幸せになると、

うまくやり遂げると固く約束しておいて

このような厄介者の境遇から

逃れることができない醜い姿が

ばれてしまったという

恥辱感も一緒でした。

 

バーデン男爵夫人は、

本当だ。

エルナだって、自分が

クロスワードを解くのを

好きだということを、

よく知っていたではないかと

主張しました。

エルナは、返事をしませんでした。

 

バーデン男爵夫人は

エルナが嫌なら、

これからはしないと約束すると

言いましたが、エルナは

黙ったままでした。

バーデン男爵夫人が

エルナを呼ぶと、彼女は

胸に抱いた新聞の山を見下ろしながら、

これは自分が捨てると、

小声で呟きました。

 

バーデン男爵夫人は

とても、怒っているのかと

尋ねました。

エルナは否定しました。

心配に満ちた祖母の声を聞くと

エルナの目頭が熱くなりました。

 

彼女は、

「そんなことはないけれど、 ただ・・」

と、何を言えばいいのか分からなくて

躊躇っていたエルナは、

さらに頭を深く下げて

長いため息をつきました。

そして、少し散歩に行って来ると、

自分の耳にも無理に聞こえる

言い訳だけを残して

急いで祖母の部屋を出ました。

足が震えて、息が詰まりました。

大丈夫だと、呪文を唱えるように

自分を慰めても、

何の効果もありませんでした。

 

そんなに急いでどこへ行くのかと

驚いたグレベ夫人の叫び声を後にして

エルナは急いで裏庭へ駆け出すと

まっすぐ、木柵の向こうの小道を

まるで何かに追われているかのように

苛立たし気に、遠くへ走りました。

 

バーデン家から離れた

桜草とブルーベルが満開の

美しい野原を通って

沼地に近づいた後、エルナは

ようやく立ち止まりました。

力いっぱい投げつけた新聞の山が

ドボンと、けたたましい音を立てて

沼の中に落ちました。

それが完全に沈んで姿を消すと、

エルナは崩れるように

その場に座り込みました。

あごの先まで上がった

苦しい息から滲み出る鉄の匂いを

ようやく感じることができました。

 

エルナは魂が抜けたように

ぼんやりとした目で

自分が走ってきた道を振り返りました。

全く自分らしくない自分の姿に

慣れておらず、

鳥肌が立ちそうになりました。

醜聞を飲み込んだ沼と

野原の向こうに立っている

バーデン家の邸宅を

交互に見ていたエルナは、

混乱と安堵感が入り混じった

ため息を長く吐きました。

エルナの姿が見えませんでした。

いつも周りをうろついている妻が消えた

静かな部屋の中を見るビョルンの目が

細くなりました。

花が咲いた野原へ、

一緒に朝の散歩をしに行こうと

あんなにせがんでいたのに。

いったい一人で

どこへ行ってしまったのか、

髪の毛一本さえ見えませんでした。

 

読んでいた本を置いたビョルンは、

どうってことないと思いながら

部屋を出ました。

 

丹精込めて育てた

草花でいっぱいの庭に下りると、

大きなトネリコの木陰に座った

バーデン男爵夫人が見えました。

ビョルンは自然に

彼女の向かいの席に近づきました。

木柵の向こうのどこかを見ていた

老婦人の視線は、

ようやく彼の方へ向かいました。

 

エルナは、

すぐに戻ってくるはずだと、

バーデン男爵夫人は、

ビョルンの心の中を読んだような言葉を

自然に口にしました。

そして、エルナは

朝の散歩に出かけたようだけれど

この辺りの道は、

目をつぶっても歩き回れる子なので

心配ないと言いました。

 

ビョルンはニヤリと笑いながら、

バーデン男爵夫人は、

読心術でもするのかと尋ねると

彼女は、そうかもしれないと、

微かに微笑んで答えました。

 

ビョルンは、

気楽に話してもいいと

言いましたが、バーデン男爵夫人は

大公は自分の孫娘の夫である前に

レチェンの王子なので、

そうしてはいけないと

穏やかな口調で返事をしました。

しかし、男爵夫人の目つきからは

強いこだわりが滲み出ていました。

そして、バーデン男爵夫人は

たとえ人里離れた

田舎に住んでいる老人でも、

自分は礼儀をわきまえている淑女だと

言いました。

 

考えと言葉遣いさえ

エルナにそっくりな老婦人を

じっと見つめていたビョルンは、

降伏するように笑って、頷きました。

 

ビョルンは、

バーデン男爵夫人のそばに座って

妻を待ちました。

メイドが運んで来た

レモン水を飲みながら

田舎の朝の風景を眺め、

せっせと針を動かす老婦人を

見たりもしました。

 

バーデン男爵夫人は

4枚の端切れを縫い合わせると

ようやく再び彼を見ました。

そのまなざしからは、

この朝の日差しに似た温もりが

滲み出ていました。

 

バーデン男爵夫人は、

自分の夫も、大公のように

美しいプラチナブロンドの髪を

持っていた。

アネットも、

父親の髪の色を受け継いだと

話しました。

 

アネット・バーデン。

短い人生を送った

娘の名前を呼ぶ男爵夫人の声は

淡々としていて、

さらに深い余韻を残しました。

コップを置いたビョルンは、

姿勢を正して

老婦人に向き合いました。

 

バーデン男爵夫人は、

エルナは髪の色以外、不思議なほど

母親によく似ている子だ。 

自分たちは、エルナの髪の色を

気にしていなかったけれど

あの子は、そうではなかったようだ。

髪の色が、父親の痕跡だと思い、

その髪の毛が

アネットと自分たちに、

ウォルター・ハルディから受けた傷を

思い出させると思って、

とても申し訳ながっていたと言うと

縫い針から手を離し、

膝の上にきちんと重ね合わせました。

木柵越しの小道は

まだがらんとしていました。

 

子供にそんな罪悪感を

植え付けてはいけなかったけれど

その時、自分たちは

傷だらけで寝込んでいた娘の世話に

汲々としていて、

孫娘にまで細心の注意を払う余力が

なかった。

そのため、子供の耳に、

他人の話をするのが好きな

喋りたがり屋の言葉が

手加減なく入り込んでくる日が

多かった。

 

そう語るバーデン男爵夫人は

悔恨のまなざしで

遠い空を見ました。

 

棘のある言葉を抱え込んで

一人で苦しんでいたその子供は

結局、自分の髪色を

変えなければならないという

決心をしたそうだ。

それでエルナは、

使用人たちを追いかけながら

その方法を問い詰めたけれど、

それが面倒だった、あるメイドが

長い時間、日光に当たれば、

髪の毛も日光のような色に染まると

嘘をついたようだ。

エルナはその言葉を真実だと信じた。

 

彼女は、

悲しそうな笑みを浮かべた顔で

再びビョルンに向き合いました。

 

その日、エルナは日の出から日没まで

一日中、日差しを浴び続けた。

7月上旬の、

日差しが照りつく日だったけれど、

あの子は、本当に屈することなく

耐えた。

 

子供が消えたという話に驚いて

家中隈なく探していたら、

日が暮れる頃になって、

ようやく、あの野原で

エルナを見つけた。

あの子は、

髪が日光のように染まっていないのは

途中、暑すぎて大変で、

日陰で休んだせいで失敗したのかと

悲しそうに泣いた。

その騒動のせいで

エルナは顔に火傷をして、

しばらくの間、かなり苦労した。

 

心の奥深くに

棘のように刺さっている

その日のエルナを思い浮かべると、

バーデン男爵夫人は

思わず両手を合わせました。

 

ビョルンは静かな目で

彼女を見つめながら、

続く言葉を待ちました。

 

今も太陽が熱い季節が来ると、

自分はあの日を思い出す。

今は立派な淑女に育って

大公妃になったのに、

この老人の目には、

まだ皮がむけた真っ赤な鼻を

すすっていた、

あの可哀そうで愛らしい子供のように

見える日が多いと言うと、

小道の向こうから

小花柄のドレスを着た一人の淑女が

歩いて来ていました。

それを見たバーデン男爵夫人は、

一層安らかになった笑みを浮かべ、

ビョルンを見ました。

 

茶髪が本当にきれいだ。

他に何もする必要はない。

エルナは、

ただエルナのままでも完璧で、

自分たちは、

そんなエルナを愛していると、

もう少し早く

言ってあげられなかったことは、

依然として自分の胸の奥に

固いしこりとして残っている。

おそらくアネットと夫も

そうだったろうと話しました。

 

エルナが邸宅の庭に入ったことを

確認したバーデン男爵夫人は、

テーブルに置いた布を

再び手に握りました。

そして、エルナが

自分の茶色の髪を愛して

生きていけたらいいなと思っている。

この年寄りの切実な願いだと

話しました。

 

向かい合って座っている2人を

発見したエルナが

ビクッと驚いて立ち止まりました。

彼女に背を向けているビョルンは、

まだその事実に

気づいていないようでした。

 

バーデン男爵夫人は、

あの子の茶髪は

本当にきれいではないかと

尋ねると、

孫娘をちらっと見た目を

すぐに再びビョルンに移しました。 

ビョルンは微笑みを浮かべながら、

とてもきれいだと

躊躇わずに答えました。

その言葉が、

バーデン男爵夫人の心配を

和らげました。

 

彼女はビョルンに、

今日は町へ出かけるそうだけれどと

尋ねました。

ビョルンは、

シュベリンに電報を送るので

しばらく出かけて来る予定だと

答えました。

 

バーデン男爵夫人は、

この村で開かれる五月祭が

真っ最中なので良かった。

この年寄りのことは

気にしなくていいので、

そこまで出かけたついでに

水入らずの時間を

過ごして来るように。

大都市の華やかな

お祭りのようなものではないけれど、

この退屈な田舎の邸宅よりは、

ずっと楽しいだろうからと、

ビョルンが答える前に、

彼女は素早く結論を出しました。

 

その間、

ゆっくりと近づいて来てエルナが

彼らが座っている

テーブルの横で立ち止まりました。

 

散歩はどうだったかと、

ずり落ちた老眼鏡を持ち上げて、

バーデン男爵夫人は

何事もなかったかのように、

何でもなかったかのように

優しく質問をしました。

しばらく、躊躇ったエルナも

「はい、おばあ様」と

笑みを浮かべた顔で答えました。

 

バーデン男爵夫人は、

あまり遅くならなくて良かった。

大公が、たくさん待っていたと

告げると、エルナは

「ビョルンが?」と

驚いた目で夫を見ました。

彼もやはり、

エルナと大差ない表情でした。

その2人を注意深く観察していた

バーデン男爵夫人は、

新しい端切れを縫い合わせながら

大公は、村の祭りが

気になっているようなので、

エルナが案内するように、

良い妻なら、

当然そうすべきではないかと

助言しました。

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前話の話が幸せいっぱいの

エルナのお話だったので

今回のお話は辛かったです。

 

博覧会で王族の記念撮影をした時、

エルナは一人だけ茶色の髪であることを

気にしていましたが、

父親に似ている髪のせいで、

子供の頃から、傷ついていたとは

思いませんでした。

自分の茶色の髪を見る度に、

そして、一人だけ茶色の髪と

指摘される度に、エルナが、

大公妃になってからの苦しみと

子供の頃からの苦しみに

悩まされていたかと思うと

エルナが可哀そうで

たまりませんでした。

 

いつもは辛い目に遭っても

じっと耐えているエルナ。

けれども、

おばあ様と一緒にいることで

つい甘えが出てしまって、

感情を爆発させてしまったのかも

しれません。

 

家を飛び出してしまったエルナのことが

とても心配だけれど、

彼女のことを信じて、

平然とエルナを待つおばあ様。

もし、自分が取り乱したら、

エルナに何が起こったか

ビョルンに知られてしまうと思い

ひたすら平静を

保っていたのではないかと

思いました。

けれども、孫娘のことが心配のあまり

決してエルナがビョルンに

話さないであろう、

子供の頃の話をしたのだと思います。

でも、おばあ様は、

自分が後悔していることだけを

話すだけで、ビョルンに

だからエルナをお願いしますとは

言わないのですよね。

動揺していることを見せず、

常に節度を保ち、

自ら要求することをしないおばあ様は

素晴らしい淑女だと思います。

 

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

それを励みに、記事の更新を

頑張りますので、

今後ともよろしくお願いいたします。

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