自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 101話 ネタバレ 原作 あらすじ コントロールできない感情

 

101話 エルナは、自分が賭けの対象になった話を聞いてしまいました。

 

エルナが消えました。

ぐっすり眠っていた女性が

消えた所には、

きちんとたたんだ毛布と

飴の入った紙袋だけが

ぽつんと残っていました。

 

ビョルンは、その場に座って

エルナを待ちました。

最近、自分の体の一部のように

持ち歩いている飴を

置いて行ったのを見ると、

遠くへ行ったのではなさそうでした。

 

エルナは子供ではないからと

思ったビョルンは微笑むと、

薄黄色の飴を口に入れました。

口の中に、さわやかなレモンの香りが

広がりました。

最近、エルナに口付けする度に

感じられる、

まさにその香りでした。

 

ビョルンは、ゆっくりと飴を

口の中で転がしながら、

森を見つめました。

ウォルター・ハルディの

詐欺性の濃い事業計画は

まもなく片付くだろうと、

それを引き受けた銀行の弁護士が

報告しました。

集めた投資家の数が

思ったより多かったけれど、

解決するのが難しい規模では

ありませんでした。

 

ビョルンは、

できる限り静かにと

一つだけ要求しました。

今まで収拾してきたことより

大がかりなので、

ある程度、話が出回るのは

覚悟しなければならないだろうけれど

気後れする妻の姿を見たくないので

その噂が、エルナの耳には

届かないことを願いました。 

 

彼が楽しみたいのは

美しいエルナで、

夢を見るように自分を見つめて

日差しのように微笑む女性でした。

そのために、

いくらか面倒なことになっても

ビョルンは、

いくらでもその用意がありました。

美しいエルナは、

喜んでこの程度の代価を払えるだけの

効用がありました。

 

懐中時計を確認したビョルンは、

少し目を細めて

飴の袋を見下ろしました。

ますます貪欲さを増している

ウォルター・ハルディが

エルナを泣かす前に、

これ以上譲れない限界点を

知らせるために、

近いうちに一度は、

彼と顔を合わせなければならない

はずでした。

 

エルナ。

ビョルンはその名を繰り返すと、

飴のように甘いため息が

漏れました。

あなたの妻だと、

丸くて優雅な筆跡で書いた

その言葉が、

色とりどりの飴の上に描かれました。

エルナ·ドナイスタ。

私の妻。 私のものと考えながら、

再び懐中時計を開いた瞬間、

リサがビョルンを呼びました。

 

彼女の後ろを見たビョルンは

眉をひそめながら、

エルナのことを尋ねました。

当然、リサと一緒にいると思っていた

エルナの姿が見えませんでした。

彼女がビョルンと一緒にいると

思っていたリサは

当惑している様子でした。

ビョルンは、

エルナがどこにいるのか

リサも知らないのかと尋ねました。

リサは、

大公妃が、ぐっすり眠っていたので

自分は、

しばらく野遊会の会場の仕事を

手伝って来た。

ところが戻ってみると、

大公妃がいなくなっていたので

当然、王子と一緒に

どこかに行ったと思っていたと

泣きそうな顔で説明を続けました。

 

ビョルンは、その顔をじっと見て、

次に、静かな森を見て、

再び時計を確認しました。

そろそろピクニックが

終わる時間が近づいていました。

 

エルナがいなくなったという

もう、これ以上、

軽く考えることができない

その事実を再確認しながら

ビョルンは立ち上がりました。

幽霊のように

ふらふら歩いて来たエルナを見た

パーベルは、信じらない思いで、

エルナの名前を呟きました。

その当惑する光景に、

「何てことだ。エルナ!」と

悲鳴のように溢れ出た、その名前に、

エルナは立ち止まりました。

至る所に、

濃い草の色がついた白いドレスと

半分ほど解けて垂れている髪が、

風の中で揺れました。

 

パーベルは、

渓谷沿いの岩の上から飛び降り、

夢中でエルナに駆けつけました。

無造作に投げ捨てられて

地面を転がっている葉巻を

気にする余力は

残っていませんでした。

 

パーベルはエルナに、

一体、どうしたのかと尋ねました。

エルナと目が合いましたが

彼女は何も見えていない人のように

ぼんやりしていて、

まだらに涙の跡が残った顔は

血の気がなくて青白く、

生きている人のように

見えないほどでした。

 

パーベルはエルナに

自分の声が聞こえるかと

尋ねながら、

震える手でエルナの肩をつかんで

揺さ振りました。

エルナは、真っ赤になった目を、

何度もゆっくり瞬きさせた後、

ようやく、彼に気づき、

彼の名前を呼びました。

周りを見回すエルナの目が

不安で震えていました。

 

パーベルは、

ここまで一人で来たのか。

夫と使用人たちは

どうしたのかと尋ねると、

混乱した目で、

エルナがよろめきながら

歩いてきた道を見つめました。

そして、

誰かに悪いことでもされたのかと

心配しましたが、

エルナは、慌てて首を横に振ると

自分が道に迷ってしまった。

散歩をしていたら、

あまりにも遠くまで来てしまって

帰りたかったけれど

道がわからなくなったと、

震える手で、濡れた目を擦りながら

たどたどしく説明しました。

 

パーベルは

嘘だと思いましたが

知らんぷりをして頷きました。

指先に触れるだけで、

がらがらと崩れてしまいそうな

危うい彼女を、

これ以上追い詰めることは

できないからでした。

 

怒りを鎮めたパーベルは

エルナを平らな岩の上に座らせ、

人を呼びに行くので

しばらくここで待っていて欲しいと

頼みました。

大公妃に対する

些細な言葉でも取り上げて

執拗に食い下がる者たちが

うようよしている所へ、

このような姿で、

アカデミーの画家と共に現れた

エルナが、

どんな扱いを受けることになるか

予測するのは

それほど難しいことでは

ありませんでした。

 

このように

卑怯にならざるを得ない自分を

恥ずかしいと思いながらも

自分の感情を前面に出して

さらにエルナを大きな苦境に

陥らせたくはありませんでした。

 

パーベルは、

何度もエルナにお願いした後

踵を返しました。

この卑怯な選択が

エルナにとって最善だと

考えたパーベルは、

頭のてっぺんまで上がった

訳の分からない怒りは

忘れることにしました。 

大公妃が消えたという知らせを

聞いた人々は、また、彼女は、

どこかの人里離れた所に

隠れているのだろうと思いました。

しばらくの間は、気が利かず、

ここかしこに、

よく割り込んで来ていましたが、

最近は、また逃げるような

情けない姿を見せていました。

森を捜索するための

一群の使用人たちを見た

ある中年の婦人は、ピクニックを

こんな風に台無しにするなんて

ハイネ公爵夫人が可哀想だと

舌打ちをしました。

 

放っておけば

勝手に帰ってくるはずなのに

ビョルン王子は

いたずらに事を大きくした。

 

興味津々な見世物を

逃すことはできないと、

予定より早くピクニックが

終わったにもかかわらず、

多くの貴族が帰りませんでした。

そんな視線を

知らないはずがないのに、

王子は気兼ねなく行動しました。

 

元々、自分勝手だったけれど

とんでもない結婚をした後は、

さらに放漫になった。

これは全て、2番目の奥さんを

間違って迎えたせいだと、

女性のために墜落を繰り返す王子を

同情する言葉が行き交う中、

ビョルンが戻って来ました。

まだ妻を見つけていないようでした。

 

誰かが見たら、

何か宝物でもなくした人だと思うほど

いつもと違う彼を不満に思う言葉が

あちこちから流れ始めた頃に

捜索中の場所と正反対の森から

2人の男と一緒に

大公妃が現れました。

 

あれは、あの画家ではないかと

見物人たちの視線が

赤毛の男に集中しました。

彼とほぼ同時に、ビョルンも

戻ってきた妻を見つけました。

エルナの名前を叫ぶビョルンの声が

野原の騒乱を圧倒しました。

その声に、エルナは

びっくりして立ち止まると、

怯えた目で彼を見ました。

 

ビョルンは、

じっとその姿を凝視しました。

腫れぼったい目。

震える肩を包んでいる、

おそらく画家のものと思われる服。

 

パーベル以外に、他の使用人が

もう一人同行しているし、

彼らの間には、

どのような不審な空気も

流れていなかったので

汚い疑いが割り込む余地はなく

困っている女性を助けてくれた

通行人で、

それ以上でも以下でもない

関係だったはずでした。

 

ビョルンは、

それが、よく分かっていたけれど

それでも、どうしたら良いのか

途方に暮れるほどの怒りに

襲われた自分が滑稽に思えました。

 

それから彼は、意気揚々と

エルナの傍らに立つ

パーベルに憎しみを覚えました。

そして、

灯りが消えた窓のような目で

彼を見つめ、ついには

その目さえ逸らして、

忌まわしい画家の後ろに

隠れてしまったエルナが

彼を狂わせました。

痛くなるほど

強く拳を握ったビョルンは、

何かに追われる人のように

苛立ちながら考えました。

 

新婚旅行で彼のプレゼントを

選んでいた頃からだろうか。

それとも、画家と大公妃として

再会し、 キャンバスを挟んで

切ない視線を交わした

あの瞬間からだろうか。

 

お話にもならないということを

すでに分かっているけれど

憶測を止めることは難しく

コントロールできない感情が

ビョルンを飲み込み、

まるで、ぬかるみの中を

ゴロゴロしているような気分でした。

 

パーベルの後ろに隠れている

妻を見るビョルンの目が

冷たく沈みました。

彼女の明るい微笑一度で

全てが良くなるようなのに

自分を泥沼に突っ込んだクソ女は

相変わらず他の男の背後で

震えているだけでした。

 

消えていたエルナが

全く違う女になって帰って来た。

その事実が与える戸惑いが、

自分のものを奪われた

子供のような怒りと

入り混じっていました。

 

静かに失笑するビョルンの視線が

パーベルに向けられました。 

炎のような怒りが理性を侵食し、

残っているのは、

恐怖に近い不安感と、

あえて自分のものを奪っていった

画家に対する憎悪だけでした。

それが不当な誤解だという事実は

もはや重要ではありませんでした。

 

そっと閉じていた目を開けた

ビョルンは、

エルナに向かって歩きました。

気が抜けた表情の見物人たちも

一人二人と歩き始めました。

妙な不安感に駆られて、

ビョルンを見守っていたルイーゼも、

ようやく安心しました。

大公妃が起こした騒動は

このように一段落すると、ルイーゼが

安堵のため息をついた瞬間、

人々の悲鳴が沸き起こりました。

 

画家の前に近づいたビョルンは

拳を振るい、 避ける暇もなく

不意打ちを食らったパーベルは

バランスを崩してよろめき、

草むらの上に倒れました。

 

ルイーゼの悲鳴が上がったのと同時に

ビョルンが倒れた画家を蹴りました。

驚いたエルナは、

夫の腕にしがみつきましたが、

何の役にも立ちませんでした。

 

興奮した人々が、どっと駆けつけて、

喧嘩の場を取り囲みましたが、

どうしよう。大変だと言うだけで、

誰一人として、その戦いに

割り込む人はいませんでした。

その間、

一方的に殴られてばかりいた

パーベルが立ち上がりました。

これ以上、我慢する気がなさそうな

彼の目つきに、

さらに見物人たちが興奮しました。

 

エルナが哀願するように

パーベルの名前を呼んだ時、

二人の男は、

すでに一つに絡み合って

拳を振り回していました。

王子に劣らず、背と体格の大きい彼が

全力を尽くして立ち向かうと、

もみ合いは

さらに激しくなっていきました。

 

騒ぎを聞きつけて

走って来たビョルンの友人たちを

発見したルイーゼは

早く、兄を止めて欲しい。

このままでは大変なことになると

急いで叫びました。

 

思わず背中を押された彼らは

驚愕しながら、ビョルンに向かって

走って行きました。

4人の男が力を合わせて、

互いに相手の息の根を

止めようとするかのような勢いで

相手に飛びかかっている

王子と画家を

引き離すことができました。

 

ビョルンは、切れた唇から流れ出る

血を拭いながら、「放せ!」と

抵抗しました。

一方、パーベルも、

今すぐにでも飛びかかるような勢いで

荒い息を吐いていました。

 

ビョルンの腕にしがみつきながら

しっかりしろ。

今何をしているのか分かっているのかと

宥めるペーターに、

放せと悪態をつき、

腹立たしそうにため息を吐いた

ビョルンがペーターを押し出した瞬間、

ざわついていた人々の間から

悲鳴が沸き起こりました。

 

睨み合っていた二人の男は、

同時に、見物人の視線が

注がれている方を振り向きました。

草むらの上で

四つん這いになったエルナが

苦しそうに

吐き気を催していました。

 

ぼんやりと

エルナの名前を呟いたビョルンは、

夢中で走って

エルナを抱き起しました。

これ以上、この状況を

楽しむことができなくなった人々が

一瞬にして静かになりました。

聞こえるのは

妻を抱いて走る王子の足音だけでした。

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いなくなったエルナのことが

心配で心配でたまらなくて

必死で探し回っていたのに

よりによって彼女は

パーベルと一緒に現れた。

彼との間には、

何もないはずだと分かっていても

自分が一生懸命、

探し回っている間に

エルナは彼と何をしていたのかと

ついつい彼との仲を

邪推してしまったのかもしれません。

 

嫉妬のあまり、理性を失い、

行動を抑制することが

できなかったビョルン。

それだけ彼はエルナを

愛しているのでしょうけれど

とりあえず物だけ与え、

愛情を与えられないのは、

もしかして、彼は恋愛に対して、

ひどく不器用なのかもしれません。

 

今回のことで、エルナが

再び、醜聞の矢面に立つことに

なるかと思うと辛いです。

 

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