自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 117話 ネタバレ 原作 あらすじ 次のページをめくる番

 

117話 エルナとアルセン公爵夫人が食事をしているところへ、ビョルンがやって来ました。

招かれざる客に

アルセン公爵夫人は

不満を露にしましたが、

少なくとも同じ食卓に座って

話を交わす程度の

寛容さは与えました。

それは、自分を騙してきた孫を

許したのと同じでした。

 

夕食が続く間、ビョルンは、

笑うエルナ、黙々と食べるエルナ、

一段と気楽そうなエルナ、

しかし、まだ手が届きそうで届かず

彼を狂わせるエルナだけを

見ていました。

 

そんな自分が情けなくて、

自嘲する瞬間にも

ビョルンの視線は、

依然として妻に向かっていました。

 

ビョルンは、

この晩餐会に出席するために、

午後に予定されていた銀行の取締役会を

午前の早い時間に変更し、

昼食会の開始時間も

1時間繰り上げました。

ちょっとやそっとでは

午前中に業務を遂行しない王子を

よく知っている人々は

困惑しましたが、

ビョルンは尋常な態度で一貫しました。

この晩餐会は、無理をしてまで、

参加すべき席ではないということを

知っているけれど、

ビョルンは気にしませんでした。

 

チラッと孫を見た

アルセン公爵夫人は

もうこんな時間になった。

まだ無理をしてはいけない時だから

今日は、もう帰るようにと

勧めました。

 

そして、

少し疲れて見える大公妃を見ていた

アルセン公爵夫人は、

気持ちとしては、

もう少し引き留めたいけれど

自分の欲だけを

出すわけにはいかないと言うと、

再び孫を見ました。

エルナを一日ぐらい

この家に泊まらせるつもりで

招待したのに、自分の妻を探して

ここまで押しかけて来た

あの狼が、

それを許すはずがないと思いました。

 

何事にも有能でありながら、

妻に対しては、

ネジがいくつか緩んだ

まぬけ者のように振る舞ったせいで

怒りを招いた

新婚時代のフィリップを考えてみれば

その息子の振る舞いを

理解できないことは

ありませんでした。

彼らは、その明晰な頭を

恋愛に使う才覚がないに違いないと

アルセン公爵夫人は思いました。

 

ビョルンは彼女と目が合うと、

にっこり笑って頭を下げました。

きわめて優雅で

図々しく感じられる身振りでした。

ドナイスタの自尊心と

アルセンの意地が作り出した作品を

ぼんやりと眺めていた彼女は、

戦意を失った顔で

静かに舌打ちをしました。

 

険しい過程を経ることになるけれど

それでも、よく飼い慣らせば

使える夫になるという点は

幸いだと思いました。

 

公爵夫人は、

馬車の前まで二人を見送りに出ました。

エルナが先に馬車に乗り込むと、

随分、大騒ぎしたものだと

精一杯、声を低くして孫を叱りました。

予想通り、ビョルンは

眉一つ、動かしませんでした。

 

アルセン公爵夫人は、

こんなことなら、これを機会に

恋愛でも一度してみればいい。

その才能は、

かなり使えそうではないかと

真剣にアドバイスしたものの、

ビョルンは、祖母が酔っているのかと

とぼけました。

アルセン公爵夫人は、

たとえ自分が泥酔していても、

ドナイスタたちよりは

恋愛史に長けていると言うと

ビョルンは、

エルナは自分の妻だと言いました。

 

誰が違うと言ったのかと

言い返すアルセン公爵夫人を

じっと見つめていたビョルンは

返事の代わりに軽く微笑み、

丁重に黙礼すると、

馬車に乗り込みました。

 

ビョルンは、

父親よりはるかに傲慢で、

エルナは

昔のイザベルに劣らず頑固なので、

大公夫妻の将来が

あまり順調ではないように思えました。

 

応接室に戻ったアルセン公爵夫人は

ドナイスタの狼たちは、

どうして、いつも

互いに相容れない者に惚れるのか

分からないと、ぼやきました。

窓の外の闇を眺めていたエルナは

いつのまにか、うっかり眠ってしまい、

馬車が繁華街を通る頃、

目を覚ましました。

 

もう少し眠るようにと、

低くて柔らかい声が

頭の上から聞こえてきました。

窓の外の明かりを

ぼんやり凝視していたエルナは、

身震いしながら目を上げました。

ビョルンが、

深い夜のような静かな目で

エルナを見下ろしていました。

 

彼女は慌てて姿勢を正しました。

夫の肩に寄りかかって

眠っていたという事実に気づくと、

頬が熱くなりました。

 

エルナは、

大丈夫だと返事をすると、

息を整え、乱れた髪形を整え、

ドレスの襟とコサージュの形も

直しました。

 

頭を下げた妻を見る

ビョルンの目が細くなりました。

そして、

ありがたくはないのかと

皮肉るように投げかけた

彼の問いかけに

エルナの肩が震えました。

 

ビョルンは、

むしろ、あの苛立たしい挨拶でも

繰り返してくれることを願いましたが

エルナは唇を固く閉ざしたので

ビョルンの神経を刺激しました。

 

エルナはイライラしながら

窓の外を見て、

ビョルンは執拗な目で

そんな妻を見つめました。

 

うとうとしているエルナに

自分の肩を貸した瞬間、

すべてが順調に流れていると

ビョルンは確信しました。

 

明かりの消えた邸宅の前に

止まる馬車。

目を覚ましたエルナの顔の上に

広がる笑顔。

その甘い日常に戻るのかと思うと、

焦ったりもしました。

しかし、結局は再び原点。

息を深く吸い込むビョルンの喉元が

荒々しく動きました。

 

彼は衝動的にエルナを呼びました。

ステッキの握りに触れる手が

彼らしくなく

苛立っていましたが、

それを意識する余裕は

残っていませんでした。

 

窓の外の闇だけを

見つめていたエルナは、

慎重に首を回して

ビョルンに向き合いました。

空っぽになったような澄んだ目が

彼の息の根を止めて来そうでした。

こんな瞬間にも、愛らしい女性は、

まるで甘い呪いのようでした。

 

ビョルンは苦心の末に、

グレディスとのことは

国家間の機密で、

莫大な国益を得た代わりに

永遠に秘密を守ることにしたこと。

それは、自分が選択したことなので

自分が責任を

負わなければならなかった約束だったと

落ち着いて話をしました。

 

ビョルンはエルナに

すべてを語ることを決心した日、

よりによって彼女は流産しました。

しばらくは、

そのような話をする余裕がなく、

騒ぎがある程度、収まると

状況が曖昧になりました。

 

もはや無意味になった話を持ち出して

傷を掘り起こす必要はないと判断して

伏せておきましたが、

今にして思えば、それは

卑怯な回避に過ぎなかったのかも

しれませんでした。

 

閉じていた目を

ゆっくり開いたエルナは、

自分に話せば、

機密が守れないと思ったのかと

震える声で尋ねました。

ビョルンは、

それは信頼の問題ではなく、

ラルスとの密約は、

レチェンで、そのことを知っているのは

父と母、そしてレオニードだけだという

前提の下で締結された。

だから自分は、

その原則を守る義務があった。

エルナではない他の誰だったとしても

それは変わらなかったと答えました。

 

「なるほど」とエルナは頷きました。

 機密とはそのようなもので、

一人の女性の夫である以前に、

レチェンの王子であるこの男には

国益のために献身する義務があるので

あえて、それを

責めることはできないし、

理解しなければなりませんでした。

 

しかし、エルナは、

自分がどれほど大変だったか、

一番近くで見守っていたのは

ビョルンだと、思いがけない言葉が

衝動的に出て来ました。

 

それから、エルナは

詩人の遺作が世に出ることなく、

グレディスとのことが

依然として機密のまま

自分たちの赤ちゃんが

生まれていたとしたら

その子も自分のように、

グレディス王女と、彼女の子が

残した陰の下で

生きていくことになったのではないかと

震える声で尋ねました。

ぐっと押さえてきた

「赤ちゃん」という言葉を

口にした瞬間、エルナは

思わずスカートの裾を握りしめました。

 

ビョルンは、そうだろうと淡々と答え

頷きました。

エルナは、それでもビョルンは、

最後まで秘密を守ったのかと、

尋ねました。

今まで、その質問を

口に出せなかったのは、

その答えが分かる気がして、

それを聞くと、

心が沈んでしまうと思ったからでした。

 

ビョルンは、

それでも自分は、別の方法で

エルナと自分の子供に

十分な補償をしたはずだと

答えました。

 

エルナが補償という言葉を

じっと囁いているうちに

馬車は、

明かりを灯した橋に入りました。

エルナは熱くなった目頭を力を入れ、

膝の上に、きれいに手を重ねました。

乱れた息遣いも整えました。

 

エルナが夢見ていたのとは

違っていたけれど、

ビョルンは忠実な夫でした。

彼は、自分が決めておいた

妻の使い方の中で、

エルナに忠実に接してくれました。

だから子供に対しても、

そんな父親になってくれただろうと

思いました。

 

ビョルンは、

いずれにせよ、

もうすべてが解決したと言うと

エルナの頬を包み込みました。

エルナは小さく頷いて、

否定できない事実に同意しました。

 

グレディスの神話は破られ、

もう誰も、彼女が、

再びレチェンの王子の妃になることを

望んでいない。

そして、人々は、今、

エルナを主人公と呼んでいました。

 

至高の純愛で夫のそばを守った妻。

王妃としても遜色のない真の貴婦人。

彼女の父親は、

これまで犯してきた悪行の代価を受け

凄惨に没落し、辺境に追放されたので

これ以上、

エルナをいじめることができない。

すべての試練と逆境に耐え、

美しい王子様に救われた

童話の中の主人公は、

もう幸せになるだけ。

 

エルナがあれほど望んできた

完璧な結末でした。

 

だから、エルナは、

夏の宮殿で遊ぶ

王室の子供たちを見る度に、

自分たちの子供が自分のように嫌われ

仲間になれないのではないかと

恐れていたことと、

グレディス王女のように

立派な王子妃になれない自分が

本当に憎かったとは

言えませんでした。

 

言ったところで、何も変わらないし、

無能な母親にできることは、

子供が父親に似ることを

祈ることだけでした。

誰も、子供から、

自分の痕跡を見つけないことを

願っていました。

日光で、

自分の髪を染めたくなるような

悲しみを、

子供に受け継がせたくなかったし

子供が、間違って挟まれた

ビーズのような存在にならないことと

その子の人生が、

父親に似た金色だけで輝くこと

毎晩どれほど切実に祈ったのか

しれませんでした。

しかし、

子供が虚しく去ってしまった今は

何の意味もなくなってしまいました。

 

エルナは、人々の言葉通り、

次のページをめくる番でした。

自分の欲が作った不幸と苦痛は忘れ、

奇跡のように訪れた幸せに

向かえばいい。

それは、簡単なことだと思いました。

 

ビョルンは、

まだ説明が必要ならいくらでも話すと

言いましたが、

エルナは断固とした口調で

彼の言葉を遮りました。

 

エルナは、

自分もその本を読んで、

すでに知っていることだし、

ビョルンにとっても

大変なことだったろうから、

あえて、もう一度

説明しなくてもいいと言うと、

泣かないために

両目に力を入れました。

笑ってあげようと思い、

唇の先を上げてみたりもしましたが

何一つ、

思い通りになってくれませんでした。

 

エルナは、

ビョルンが言ったように、

もうすべて解決したので、

自分は本当に大丈夫。

だから、お願いと、エルナは

泣くことも笑うこともできない

道化師の顔で哀願しました。

嘘でもいいから聞きたいと

縋りついた、あの夜より、

もっと切実な気持ちでした。

 

視界がぼやけていましたが、

幸い涙は流れませんでした。

無理矢理引き上げた唇の先にも、

もう少し力を込められるように

なりました。

 

馬車が橋を渡ると、

ビョルンが口を合わせて来ました。

しばらく躊躇いましたが、

エルナは素直に目を閉じて

唇を開きました。

そんなに難しくないことでした。

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ビョルンは

エルナと元通りの生活が送りたくて

彼なりに

一生懸命頑張っている。

彼の、今までの行動を考えると、

ビョルンは、

本当に努力していると思います。

グレディスとのことを話したのも

エルナへの

思いやりからなのでしょうけれど

彼女は、否定的なことばかり

考えている。

 

エルナに必要なのは、

ビョルンのいないところで、

自分の好きなことをして

のんびり過ごす時間だと思いますが、

1日、外泊することすら

許されない状況では、

さらにエルナの神経が

参ってしまうように思います。

 

王のことを、

ネジがいくつか緩んだ

まぬけ者と呼ぶなんて、

アルセン公爵夫人の毒舌に

笑えました。

 

明日も更新します。

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