自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 135話 ネタバレ 原作 あらすじ それぞれの用事を済ませるだけ

 

135話 恋愛に狂った狼が現れてから5日経ちましたが、バフォードは平穏です。

 

ビョルンにとって、

過度に早く始まる田舎の一日は

耐えられないほど長くて

退屈でした。

気が進まない様子で

本棚を漁っていたビョルンは、

倦怠と苛立ちが滲み出る目を上げて

時計を見ました。

やっと正午になったところで、

いつもなら、

まだ目が覚めてもいない時間でした。

 

ビョルンは、

投げるように本を置き、

ベッドから起き上がり、

葉巻をくわえて窓を開けると

冷たい風が吹き込んできました。

バーデン家の使用人たちの

情熱が作り出した、

地獄の炎のように燃え上がる

暖炉と火鉢、

そして、ベッドと椅子の上の

あちこちに置かれた

湯たんぽの温もりが薄れて来て、

ようやく息がつけました。


ビョルンは窓枠に腰を下ろし、

ゆっくりと葉巻を吸いました。

エルナと一緒にここに泊まった

春の記憶が、

浮かび上がって来ました。

目覚めてから眠るまで、全ての瞬間を

彼女と一緒に過ごしました。

 

故郷に帰って来たエルナは

いつにも増してさわやかに輝き、

ビョルンは喜んで

その美しい花を楽しみました。

世界中が花で彩られた季節でしたが、

ビョルンの記憶に残ったのは

彼が咲かせた花一輪エルナだけでした。

 

ビョルンは、

エルナが望んでいたけれど、

自分は持てなかった

愛について考えてみました。

ビョルンが知っている愛情とは

一種の施しに近く、

エルナではなく、誰との関係においても

ビョルンは与えたら、

それ相応の見返りを享受してきました。

 

彼の人生は、

そのように明瞭な計算で

動いていました。

グレディスと、

あのように離婚できた理由も

そこにありました。

くだらない感情や観念のような

無駄を取り除くと

核心が見えて来ました。

 

ビョルンはそれを判断し決定した後

責任を負えばいいだけ。

そのトータルを見て、

失うものより得が大きければ、

それは勝利を意味しました。

 

ビョルン・デナイスタは、

そのような勝利者として生まれ育ち

人生の毎瞬間に勝利してきました。

その計算が通じない相手、エルナが

人生の中に入ってくるまでは。

 

彼はエルナを選び、施すまでは

ビョルンが知っている

計算通りでしたが、

エルナは、彼の理解が及ばない愛を

注ぎ込んでくれました。

彼女の愛は、

夏祭りの夜を彩る花火のようであり

世界中を白く染める雪の花であり、

波打つように咲き乱れる

美しい春の花でもありました。 

 

与えたもの以上に得たので、

明らかに

勝利と呼ぶに値する結婚でした。

だから喜んで享受して来たけれど

そのような日々が続くほど、

ビョルンの計算は崩れ、

エルナに施したものが

その愛を享受できるほどの価値を

持っているという確信が

持てませんでした。

 

いつまでもエルナの救い主として、

その愛の中で生きていけるように、

この結婚の裏に隠されている真実を

エルナに永遠に知られたくなかった。

エルナの愛を失いたくなかった。

それだけの理由で、

多くの物を与えようとしたのでした。

冷徹な計算などは、

とっくに消えていました。

 

彼にとっては、人生の根底が

崩れるようなものでした。

それを認めたくなくて

わざと悪く見えるように

振舞いました。

そうすればするほど

ますます不安になり、

その分、その愛に対する執着も

大きくなっていきました。

そうすれば掴めると信じていました。

情けない考えでした。 

まさに、このレチェン最高の

間抜けのような体たらくでした。

 

再び一口、

葉巻の煙を深く吸い込んでいる間に、

バーデン家の馬車が

玄関の前に止まりました。

 

ちょこちょこ出て来た地獄の番人が

何かを喋ると、年老いた御者は

ゆっくり頷きました。

エルナが外出を

しようとしているようでした。

ビョルンは

葉巻を灰皿に投げ入れると

窓を閉めて振り向きました。

 

習慣的に、

呼び鈴を探してしまった彼は、

しばらくして、このバーデン家では、

大抵のことは、自分で

解決しなければならない所で

あることを思い出しました。

 

彼がこの家に

泊まることになったという事実を知った

エルナは、火がついたように怒り、

シュベリン宮の使用人を

従えてきた春とは違い、

王子様自身でカーテンを引いて、

服も着なければならないし

呼び鈴さえ鳴らせば、

何でも解決してくれる数多くの使用人が

待機しているような場所ではないと

それが、すごい脅威でもあるかのように

叫びました。

 

怒ると、さらにきれいになる

青い目を見つめながら、

ビョルンは快く頷くと、

分かっている。

妃との恋愛のためなら、

その程度の不便は、

喜んで甘受してみると、

いけずうずうしく返事をしました。

 

彼を睨んでいたエルナは、

何の返事もすることなく

彼に背を向けました。

怒った足取りと共に波打つ

たっぷりのフリルとレースが

ビョルンを笑わせました。

エルナらしくなったエルナを

愛らしいと思いました。

 

ビョルンは

自分でジャケットとコートを探して

着ました。

混乱に陥ったバーデン家の

負担を減らすため、侍従一人を除いて、

全ての使用人と馬車は、

シュべリンに送り返しました。

 

最初の数日間は

不便で困りましたが、

今では、どうにか

過ごすことができました。

ビョルンは鏡の前に立ち、

身なりを整えた後、部屋を出ました。

ビョルンは目を細めて

馬車の窓の外に延々と広がる

枯れた木と草、荒涼とした野原を

見ていましたが、

耐え難いほど退屈になり、

視線をこっそり隣の席に移しました。

 

一番最初に目に入ったのはリサ。

地獄の番人のように

彼女の主人を守っていました。

リサと目が合ったビョルンは

「退いてくれ」と

目で命令しました。

しかし、リサは、

その意味が分からないはずがないのに

訳が分からないといった風に

首を傾げました。

這うように進む馬車と

かましいメイドのせいで、

頭の中にまで苛立ちが

湧き上がって来ましたが、

ビョルンは我慢しました。

 

彼は、この鈍くて壊れそうな

馬車に乗るために

フレイル銀行の倒産、

それによるレチェン経済の崩壊。

国民の人生の崩壊と涙という

もっともらしい理由を挙げて

努力しました。

それを思えば、この程度のことを

甘受できない理由はありませんでした。 

 

電信局に立ち寄って、

銀行業務をしなければならないのは

事実なので、純粋に嘘とは

言えませんでしたが、

それが必ずしも今である必要は

ありませんでした。

 

あらゆるとんでもない話を

聞いたかのように

彼を睨んでいたエルナは、

それなら自分が外出しないと

言い出しましたが、

ちょうどその時、現れた

バーデン男爵夫人は

状況を把握すると、

同じ馬車に乗ったからといって、

大公と一緒に外出するわけではなく

それぞれの用事を済ませに行くだけ。

エルナが、

本当に大公に未練がなければ、

この程度のことに

敏感になる必要はなさそうだと、

特に「未練」という言葉に

力を入れてエルナを説得し、

そっとビョルンの肩を持ちました。

 

祖母を恨めしそうに

見つめていたエルナは、

渋々馬車に乗りました。

 

真ん中の席に、

壁のように座っている

メイドがいなければ、

完璧だったはずでしたが、

これくらいなら、

とても悪いスタートでは

ありませんでした。

 

ビョルンは、

必死に自分の主人を隠そうとする

メイドの向こうに座ったエルナを

要領よく観察しました。

村人たちの目に留まりたくないのか

エルナは、

大きなボンネットを深くかぶって

顔を隠し、

身なりも極めて地味でした。

それでも諦め切れなかった

いくつかの造花が

帽子の上で軽く揺れていました。

その花々の上に、

エルナが話してくれた

彼女と自分のシュベリン中央駅での

最初の出会いが

浮かび上がって来ました。

 

詳細な記憶はなく、

ただ王立病院の

チャリティーパーティーに

参加するために、

シュベリンを訪れた母親を

迎えに行くために、

そこに足を運んだという程度。

しかし、その日、

混雑したプラットホームで

すれ違うように見た

一人の女性の記憶は、意外にも

かなり鮮明に残っていました。

小柄で野暮ったい身なり。

そして花が鈴なりの帽子。

無意識のうちに目が行った

一人の女性を記憶していました。

そして、覚えていることも

知らなかった、

その記憶の中の女性と結婚しました。

 

ビョルンは、

少しがっかりした笑いが混じった

ため息をつきました。

エルナはギョッとして

肩をすくめながらも、

ついに彼を見ませんでした。

それでも、ビョルンは、

その美しい女性を、

長い間、見つめました。

1時間後にここへ来てと、

エルナは町の入り口に立っている

像を指差して冷静に言いました。

去年の春にビョルンが指名した

まさにその約束の場所でした。

 

自分とリサは重要な用事がある。

王子様もそうだろうから、

各自の仕事を終えた後に

ここで会おうと言うエルナに、

ビョルンは「復讐するの?」と

あまり心が傷ついた様子もなく

笑いました。

 

一様にのんびりとした、その態度が

エルナを、さらに怒らせました。

何を言っているのか、

よく分からないと冷たく言うと

エルナはビョルンに背を向けました。

ビョルンは、

村の人たちが見ている前で

自分を拒絶した女性の尻を追う

醜態までは犯しませんでした。

 

広場を横切ったエルナとリサは、

まず雑貨店に立ち寄り、

造花を納品しました。

 

注文数より多くのものを

持って行きましたが、

アレさんは

喜んで受け取ってくれたので、

2人は予想以上のお金を

手に入れることができました。

浮かれた2人は、

新たに注文を受けた造花を作る材料を

十分に買い、

チョコレートとお茶も

一箱ずつ購入しました。

そのように商店街を一回りすると

エルナの気分も一層良くなりました。

 

リサは、

市場を見に行こう。

妃にプレゼントを買ってあげると

浮かれている子供のように言うと

村の広場にある

露天市場を指差しました。

五月祭のレースが行われた

まさに、その場所でした。

 

エルナは、しばらく躊躇いましたが

快く頷きました。

もう無意味になった記憶に

囚われていたくは

ありませんでした。

未練がなければ、当然、

そうしなければなりませんでした。

どうせ、あの孤高の王子が

いつまでも、このような冷遇に

耐えられるはずがない。

結局、彼の口から先に

離婚を言い出すことになるだろうから

かえって良かったような気がする。

もう少し我慢して耐えれば

思ったよりはるかに簡単できれいに

離婚することができると思いました。

 

買いたい物を、

ぶつぶつ唱えていたリサが

突然足を止め、

あそこを見て欲しいと言いました。

目が丸くしたリサが

露天市場の中央に位置した

メリーゴーランドの前を指差したので

エルナはそちらを見ると、

リサが驚いた理由に気づきました。

とても背が高くて壮健な

赤い髪の男が

そこに立っていたからでした。

 

話をしていた同年代の男が去ると

彼はエルナが立ち止まっている方へ

体を向けました。

エルナが「パーベル」と呟くのと

ほぼ同時に、

彼もエルナを発見しました。

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エルナは、ビョルンに

何もあげられないと

思っていたけれど、

エルナからもらった愛は、

ビョルンにとって、

エルナのために使った多くのお金よりも

価値のあるものだったなんて!

その愛が欲しくて、ビョルンは

エルナに次々と

高価なものを買い与えたのですね。

お金が大好きなビョルンには

ありえない行動。

けれども、ビョルンの周りには

打算的に彼に近づく人が

多かったので、エルナのように、

ビョルンが王子かどうかなんて

関係なく、一人の男性として、

惜しみなく愛を捧げる女性に

どうやって、お返しをしたらいいか

本当に分からなくて、

いつものようにお金を

使ってしまったのではないかと

思います。

 

長年、抱いていた固定観念

覆すのは難しいけれど、

ビョルンが一つ一つ

自分の感情に気づいていく過程で

彼自身を閉じ込めていた殻を

少しずつ破って行くことを

期待しています。

 

明日も更新いたします。

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