自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 145話 ネタバレ 原作 あらすじ 雪だるまが溶けたら

 

145話 ビョルンは、死んだ子供は女の子だったと打ち明けました。

 

じっと彼を見ていたエルナは、

それを、どうやって知ったのかと

たどたどしい声で尋ねました。

ビョルンは、主治医を訪ねて聞いたと

答えました。

 

エルナは、その理由を尋ねると、

祈るように両手を合わせて

ビョルンに近づきました。

一歩の隙間もなく

向かい合った2人の影が、

鈴蘭を付けた

赤ちゃん雪だるまを包み込みました。

溢れんばかりの涙できらめく

エルナの目を見つめていたビョルンは、

沈黙を守りながら視線を逸らしました。

どこを見ても、一面真っ白。

その眩しい光が目を刺しました。

 

ビョルンは、

女の子と男の子、

エルナはどちらだと思ったのか。

自分は到底分からなかったら

ぬいぐるみを2つ買ったと

返事の代わりに、

遅ればせながら質問をしました。

 

再び向き合ったエルナの目頭は、

凍りついた両頬より

さらに赤くなっていました。

ぬいぐるみと聞いて、

エルナは、驚きました。

彼女が瞬きする度に、

ビョルンを映し出すエルナの青い瞳は

ますます透明な光を増していきました。

もしかしたら、あのような目を持った

子供だったかもしれないという

儚い考えが、

ふと浮び上がって消えました。

 

子供を失ったその日に、

うちの子にプレゼントを買ったと、

永遠に口にできないと思っていた言葉が

あまりにも簡単に

ビョルンの口から流れ出ました。

それがおかしくて、

ビョルンは短く失笑しました。

 

彼は、

よりによって、あの日、そう思った。

頭の痛いことも一段落したし、

エルナに悪いこともしたし、

あれやれこれやでと話しました。

 

エルナは、

子供のプレゼントをビョルンが

買ったのかと尋ねました。

ビョルンは、

エルナが嫌がるような

プレゼントではなかった。

デパート中を騒がせながら

自分で選んだと答えると、

口の端を、

そっと引き上げてみましたが、

思い通りに

微笑むことができませんでした。

 

ビョルンは、

ふと喉が渇きました。

鋭利な刃物で、やたらと神経を

掻き毟られているようでした。

エルナの前でなければ、

急いで葉巻を吸っていたはずの

腐った汚い気持ちでした。

 

ビョルンは、

そのぬいぐるみは、

子供が好きなクマだっだ。 

形は同じだけれど、

毛とリボンの色が違っていた。

かわいくて、 柔らかかったと

話しました。

戯言を言っていることを

知っていながらも、ビョルンは

話すのをやめられませんでした。

 

忘れたい記憶が、

あまりにも鮮明に蘇りました。

手にしたぬいぐるみの感触。

ツルツルしていた目と鼻。

エルナが喜びそうなリボンの飾り。

集まった見物人たちのざわめきや

店の照明。

人形を選んでくれた

店員の優しい笑顔まで、

ビョルンは、はっきりと

思い出すことができました。

自分の子供が

死んでいくことも知らずに、

悠々自適に、

もうすべてが順調に進むという

漠然とした希望に浮かれ、

シュべリンの見世物を自任した

自分の姿までも。

 

ビョルンは、

それを買ったら、

また別のものが目に入った。

子供のプレゼントを買うついでに

エルナのも買いたいと思った。

きちんと妊娠を

祝ってあげられなかったから

遅ればせながら、

まともな夫、良い父親の役割を

してみたかったのだと思う。

エルナが子供を失いつつある間、

自分はそうしていたと話すと

ため息混じりに失笑しました。

与えたいものが多くて

なかなか帰れなかった

あの日の頭がいかれたクソ野郎を

あざ笑いました。

プレゼントが、

すべての不幸の元凶のように

感じられるほどでした。

 

あんなことはせずに

家に帰れば良かった。

そうしていれば、少なくとも最後まで

エルナと子供に、寂しい思いを

させることはなかったのにと言うと、

ビョルンは、

雪で濡れた指先についた水滴を

淡々と払い落としました。

そして、ゆっくりと、冷たい手で、

額を隠している髪の毛を、

かきあげました。

その瞬間にも、

まっすぐな姿勢と眼差しは

少しも崩れませんでした。 

 

エルナは、ぼんやりとした気持ちで

彼の名を呼びました。

その名前以外に、どんな言葉も

思いつきませんでした。

一体、何の話を聞いているのか

信じられませんでした。

 

いえ、信じていた。

ビョルンが、こんな嘘を

つくはずがないということを

エルナは、あまりにも

よく知っていました。

そのため、 このすべての言葉が

真実であることを知り、

この瞬間が信じられませんでした。

 

エルナは、

なぜ、それを

話してくれなかったのかと尋ねると

震える手を伸ばして

ビョルンの腕を掴みました。

そして、

一体どうしてなのか、話して欲しいと

催促するように彼の腕を振る

エルナの声が

ますます大きくなっていきました。

 

そっと目を閉じたまま

息を整えたビョルンは、

微かな笑みを浮かべた顔で

エルナを見つめました。

ビョルンは、

怖かったと告白しました。

その言葉とは裏腹に、

単調で落ち着いた声でした。

 

ビョルンは、

自分の子の命を奪った

クソ野郎である自分は何も言えないし

どんな言い訳も見つからないのに、

エルナが、その話を切り出したら

どうすればいいのかと思った。

自分はそれが怖かった。

それくらいなら、

むしろ何事もなかったように、

適当に顔を背けて

暮らしたかったのだと思う。

どうせ流産は、よくあることだし、

自分たちだけの

特別な不幸ではないので、

時間が経てば、

すべて良くなるだろうと思ったと

打ち明けました。

日差しを受けて美しく輝く彼の顔が

微かに歪みました。

 

そして、ビョルンは、

前妻が産んだ私生児は、

自分の子として世間をまんまと騙し

人格者のふりをしていたのに、

いざ本当の自分の子供は、

欲望に狂って暴れて命を奪った、

いかれたクソ野郎だなんて

おかしくないかと言うと、

苦笑いしました。

 

これまで、

強い酒と葉巻の煙で消してきた、

くだらない考えと感情が

明澄な意識の中で蘇りました。

自分の過ちではないという確証を得て

責任から逃れたかった。

最悪のことが相次いで起こったせいで

エルナの体が弱り、

子供も元気に育つのが

大変だったのではないか。

いわば、偶然の不幸が

重なった結果に過ぎない。

誰のせいでもない。

しかし、そう考えた瞬間にも、

すべてが、明らかに

自分の過ちであることを

すでに知っていました。

 

ウォルター・ハルディが

起こした問題と

グレディスの真実より、

さらにエルナを苦しめたのは、

まさに自分でした。

不安を感じているエルナを

安心させるどころか、

極限まで追い込んで

自尊心を踏みにじり、

深い傷を負わせました。

離婚。本気であるはずがない

その一言に、

それこそ狂って暴れまわり、

そうすれば、

二度とそんなことは考えられないと

信じていたなんて。

 

あまりにも、

自分が愚かで情けなくて、

涙が出そうになりました。

エルナをつかむために必要だったのは

ただ、真実の告白だけでした。

自分がエルナを愛しているので

大丈夫だと、その一言を、

最後まで言えませんでした。

 

妊娠の知らせを聞いた時、

せめて、おめでとうと、

自分が全部解決するから、

何も心配しないでという言葉くらい、

エルナに言ってあげていたら、

自分たちの子供を

守ることができたのではないか。

それとも、あの夜、あんな風に

エルナを抱かなかったら

どうだったのだろうか。

そうすれば、うちの子は

生きていたのではないか。

そんなことを考えると、

本当に、

気が狂ってしまいそうだったと

ビョルンは打ち明けました。

 

怯えているエルナに

どうしても欲情を抑えられなかった

夜の記憶が浮び上がると、

ビョルンは、

プッと笑いを漏らしました。

泣けないので、ただ笑いました。

真実と釈明を要求する人々に

苦しめられ、疲れ果てた日でした。

エルナも、やはり

そうだろうと思いました。

ところが、

むしろ自分を心配する

その女性を見た瞬間、ビョルンは

辛うじて握りしめていた意志力を

逃してしまいました。

 

温かいエルナを胸に抱きたかった。

その甘い体の匂いと体温に

癒されたかった。

ただ、その熱望だけに酔って

エルナを追い詰めました。

 

ビョルンは、

この全てが、自分の過ちであることを

知っている。

自分が自分の子供の命を奪ったと

告げました。

 

ビョルンは今、

奈落の底に埋めておいた

罪悪感と悲しみに、淡々と

向き合うことができました。

すると、エルナに何を言えばいいか

ようやく、

分かったような気がしました。

 

ビョルンは

エルナの目を見つめながら

「ごめんなさい」と

静かな謝罪を伝えました。

そして、自分が、一体、

何をどうすればいいのか

見当もつかなかった。

だから、そのすべてを

心の奥深くに隠した。

エルナもそうしてくれることを

願いながら。

自分は、エルナと子供に対して

それほどまでに卑怯だったと

打ち明けると、

ビョルンは、再び笑いました。

泣き声のように感じられる

その笑いを見守るエルナの瞳は、

溢れんばかりの涙で潤っていました。

 

昨夜、彼の胸に抱かれた時の

「ごめんなさい」という囁きが、

吹雪が作り出した

幻聴ではなかったことを、

エルナは、

もう分かったような気がしました。

 

ビョルンは、

失った我が子のための哀悼まで

回避してしまって申し訳ない。

エルナに謝って

一緒に悲しみたかったけれど、

自分の過ちを認めるのが怖かった。

そうすることで、

エルナを失うことになると思った。

結局、他の方法で

失うことになってしまったけれどと

平然とニヤニヤしながら話しましたが

ビョルンの目頭が赤くなっていました。

いつの間にか溢れ出た涙が

エルナの視界を曇らせていましたが、

彼女は、それをはっきりと

知ることができました。

 

ビョルンは、

相変わらず悪い男だと

エルナは呆れて笑いました。

目の前にいる、この悪い男のように

泣いているように笑いました。

むしろ永遠に隠してくれていたなら

思う存分憎むこともできたのに、

今になって、

こんなに傷だらけになった本心を

見せられたら、

自分はどうすればいいのだろうか。

 

ビョルンは、

そのすべての過ちが、お金で、

いくらでも報われると

信じたかったバカ野郎がエルナの夫だ。

最後までそうだったと言うと、

斜めに下がった

ビョルンの唇の間から、

いくつかの悪口が

失笑のように流れ出ました。

 

彼を見つめていたエルナは、

思わず唇を固く閉ざしました。

この男のように、絶対に、二度と

悪い愛に揺れないというかのように

スカートの裾を力いっぱい握り、

両足にも、しっかりと力を入れました。

 

その時、ビョルンは、

再びエルナに目を向けました。

彼は、

あの忌々しい贈り物なんかを買うために

子供が、自分たちの元を去る時も

見送ってやれなかったと呟きました。

ビョルンは、

じっと立っているだけなのに、

いつの間にか苦しくなった息を

整えながら、

白く輝く赤ちゃん雪だるまを

見つめました。

 

ゆっくり瞬きをしている間に、

赤ちゃんのドナイスタは、

柔らかい茶色の髪をした

少女に育ちました。

雪原の上をぴょんぴょんと行き来する

子供の頭を飾ったリボンが、

蝶の羽のように、

ひらひらと飛び跳ねました。

目が合うと、子供は

「お父様」と楽しそうに叫びました。

せっせと振る手は、とんでもなく小さく

彼女の母親と同じように笑う子供は、

今度は、彼に向かって

ぴょんぴょんと走り始めました。

その小さくて温かい体を抱き締めると

甘いお菓子の香りが

漂ってくるということを

ビョルンは、よく知っていました。

 

目をぎゅっと閉じて

開いたビョルンは、

再びエルナに向き合いました。

そして、涙に濡れた顔を

手で包み込みました。そして、

一度たりとも、あの子をことを

何でもないと思ったことはない。

自分にとっても

人生で初めての子だった。

大切でないはずがない。

自分たちの最初の子だと告げると、

ビョルンは、

静かに流れるエルナの涙を

優しく拭いました。

彼も、彼が作った悪夢に

閉じ込められていたエルナも

その悪夢から

覚めなければならない時でした。

 

ビョルンは、

これら全ての言葉を言うのは

遅すぎたけれど、

これが自分の本心だ。

だから、雪だるまが溶けたら、

もう、エルナの心からも

子供を送り出して欲しい。

そうすることで。

エルナの願いのように

子供が良いところへ

行くことができるのではないかと

告げると、柔らかい眼差しで

エルナを見つめました。

そして、

今度は一緒に見送るので、

そうしようと言って、頭を深く下げ、

エルナの目を見つめながら、

彼はゆっくりと微笑みました。

 

息を殺して泣いていたエルナは

泣き声を爆発させました。

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涙、涙、涙。

ビョルン、

本当によくやりました。

ウォルター・ハルディと

グレディスの問題で

本当に自分が大変だったこと、

エルナの流産に

責任を感じていたことなど、

隠しておきたかった

自分の気持ちを全て打ち明け、

子供に捕らわれていた

エルナの気持ちまで、

解放までしようとしたビョルン。

子供の雪だるまを作ったことに

そのような深い意味を込めていたなんて

想像できませんでした。

ここまで、深くビョルンに

愛されているエルナ。

ビョルンの本心を知ったのだから

後は、彼女の心も、

雪のように溶けるのを待つだけです

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