自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 167話 外伝 14話 ネタバレ 原作 あらすじ ビョルンからのプレゼント

 

167話 エルナはせっせとタイプライターを打っています。

 

夕方、机の前に座って

タイプライターを打っているエルナを

リサは、改めて

感嘆の目で見つめました。

 

エルナのタイピングの実力は、

教本を見ながら

たどたどしく打っていた以前とは

比べ物にならないほど上達していて

白くて細い指が

踊るように軽く動くたびに、

誤字のない文字が打たれました。

 

リサは、

満足げな笑みを浮かべていましたが

突然、不吉な予感がし、

まさか、訳もなく、わざと

大公妃に仕事を押しつけたのでは

ないですよねと、

眉を顰めて尋ねました。

 

人をむやみに疑ってはならないけれど

国中から、いじめと蔑視を受けて来た

大公妃を守ってきた時間が残した習慣は

簡単には直りませんでした。

 

しばらく、タイプライターを打つ手を

止めたエルナは、

そんなことはないと否定し、

心配そうなリサを見て

にっこり笑いました。

そして、

受け取ったリストを整理するだけの

簡単なことなので

自分が引き受けると言ったと話しました。

 

リサは、

本当なのかと尋ねると、

エルナは「本当に」と答えて

頷きました。

 

リサを安心させたエルナは、

読書台に置かれた書類を

一枚めくると、

再び熱心にタイピングしました。

 

ロッショー伯爵夫人の推薦で

加入することになった婦人会は

季節ごとに

慈善行事を開いていますが、

この夏には、救貧院の増築基金

用意するための

チャリティーオークションを

主催するとのこと。

エルナの役割は、

そこに寄付された商品のリストを作成し

招待状を送ることでした。

 

この世界の

一員になりつつあるという事実を

ふと実感する瞬間、

エルナは嬉しさを感じました。

うまく、

やり遂げることができるかどうか

恐怖心もありましたが、

それよりも、ときめきの方が

上回っていました。

 

午後の日差しが机の端に当たると、

エルナは、

もう少しスピードを上げて

リストを整理し始めました。

この仕事が終わる頃には

ビョルンが帰って来るだろうから

彼と一緒に夕食を取り、

その後はフィツ夫人に会い、

来週、このシュベリン宮の

敷地内で開かれるボートレースについて

話し合わなければなりませんでした。

レオニードが初めて

婚約者を披露することにした

公式の席なので、

余計に気になりました。

 

整理を終えた物品リストを

引き出しの中に入れたエルナは、

今度は招待状を書き始めました。

お客さんのリストが思ったより長くて

少し驚きましたが、

隙間時間に書いていけば

決められた期限までに

十分に書き終えることができました。

 

意欲に満ちたエルナが

3枚目の招待状を完成した頃、

まだ、

こんな馬鹿な真似をしているのかと、

突然、聞き慣れた声が

聞こえて来ました。

驚いて顔を上げると、

机の端に腰かけている

ビョルンが見えました。

 

いつ来たのかと尋ねるエルナに

ビョルンは呆れ、

随分早く、気づいてくれましたねと

皮肉を言ってニヤリと笑いました。

目の前まで近づいても気づかないので

悪ふざけをしているのかと思ったら、

本当に、

あの招待状などというもののせいで

すっかり忘れられていたようでした。

 

ビョルンは、

出よう。見せたいものがあると言って

机から立ち上がると

手を差し出しました。

エルナへのプレゼントが届いたので

ビョルンは、

少しでも早く妻にそれを見せたくて

予定より早く帰宅したのでした。

そうすれば、エルナは

きっとこの世で一番幸せな女のように

笑うだろうと思いました。

 

しかし、彼をじっと見つめていた

エルナは、

申し訳ないけれど、

これだけ全部書いてしまいたいので

少し待ってもらえないかと

全くビョルンの予想に反した

返事をしました。

 

言いたいことを言い終えたエルナは

再び招待状を書き始めました。

ビョルンは失笑しました。

 

すでに数日間、

エルナは暇さえあれば

タイプライターを叩いて

手紙を書いていました。

まさに、あのクララ・ロッショーが

問題でした。

 

エルナは、

クララ・ロッショーの亡霊が

大公邸の寝室を彷徨っているような

気がするほど、毎晩ベッドで

その名前を呟きました。

 

今はそこに

クララ・ロッショーの友人や

その友人の友人まで加わりました。

その婦人会と

チャリティー·オークションの話は

聞きすぎて、字一つ間違えずに

覚えることができるほどでした。

 

ビョルンは、

次の招待状を書き始めた

エルナに向かって、

タイプライターを使えと

ため息をついて助言しました。

しかし、エルナは、

そんな領収書みたいな手紙で

大公家の品位を傷つけることは

できないと反論しました。

 

ビョルンは、

使用人たちに任せたらどうかと

提案しましたが、依然として

招待状だけに没頭しているエルナは

それでは誠意がないと、

かなり断固たる口調で返事をしました。

 

ビョルンは、

エルナがどんなに一生懸命準備しても

人々は、

それを分かってくれる気がないと

忠告しました。

妻を見下ろすビョルンの目には、

今や、いくらかの老婆心が

宿ってました。

 

ほとんどの人は、

エルナが何をしても

関心がないだろう。

何人かは、エルナが何をしても

ケチをつけて噛みちぎる準備が

できている。

まあ、1人か2人は、

こんな馬鹿げたことを

理解してくれるだろうと

ビョルンが言うと、

ようやくエルナは頭を上げ、

ビョルンの言うことも一理あると

返事をしました。

しかし、エルナは

この仕事に、自分が

どれだけ誠意と努力を注いだか

自分は覚えているだろうし、

もしかしたらビョルンも

覚えていてくれるかもしれないので

自分は、それで十分だと

返事をしました。

 

ビョルンは、

自分がこんなくだらないことを

覚えていると思うのかと聞き返すと

エルナは、そこまで強要できないので

もし忘れても理解すると、

ビョルンのひねくれた反問に

エルナは、

ただ、にこやかに微笑みました。

そして再び、姿勢を正して座り

次の招待状を書き始めました。

 

あの雑務が、

そんなに楽しいことなのか。

ビョルンは、

今や純粋な疑問を抱きながら

エルナを見ていました。

 

妻が没頭する仕事のほとんどは、

彼の目には、

無意味な苦労を買っているように

見えました。

しかし、エルナには、この全てが

大切な喜びだということは

ぼんやりと

理解できるようになりました。

 

ビョルンは、

気になることも、

やってみたいことも多い

最近のエルナが嫌いでは

ありませんでした。

新しく付き合うようになった友人に

没頭したり、自分の役割を

成し遂げようと努力する姿も

やはりそうでした。

成長しきれなかった心の成長を

見守る気持ちになったりもしました。

 

だから、もしかしたら

今、目の前にいるこの女性が

本当のエルナなのかもしれない。

おとなしいが強情で、

泣いたり笑ったり、すねたり、

再び、よく笑う女。

時には甘えてきて、

子供のようにおねだりする。

一方では、依然として生真面目で、

旧時代の、より愛らしい

美しくしとやかな淑女。

 

穏やかなため息をついた

ビョルンは椅子を一つ持って来て、

エルナの机の反対側に座りました。

地獄の門番が、

まだこの部屋を守っているということは

その時になって分かりました。

静物に偽装する方法でも

身につけたような姿でした。

 

もう行けと、

ビョルンは目で命令しました。

ぐずぐずしながら

知らんぷりをしていたメイドは、

彼と目が3回合うと、

渋々、引き下がりました。

 

扉が閉まったのを

確認したビョルンは

「これで終わり?」と尋ねると

静かなため息をつきながら

便箋を手に取りました。

彼を見たエルナの目が丸くなりました。

彼女は、

「はい、一応今日書く招待状は」と

答えると、ビョルンは

「今日?」と聞き返すと、エルナは、

あと3日ほど頑張れば、

すべて終わらせることができると

彼が呆れたように聞いても

エルナは一様に真剣でした。

 

ビョルンは、

シュベリンで足の付いている者を

全員招待する

チャリティー·オークションを

開くようだと

諦めたように笑いながら

ペンを握りました。

準備したプレゼントを

披露するためには、

早く、この招待状を

処理するしかなさそうでした。

 

手伝ってくれるのかと

エルナは信じられないように

尋ねました。

驚いた目を瞬かせるたびに

揺れる長い睫毛の影、

上気した両頬と少し開いた唇が

美しいと思いました。

人生を、このように

生きてはいけないものだけれど、

その顔に向き合うと、

以前になかった寛容と理解が

生まれるという事実を

否定することは難しそうでした。

 

ビョルンは、

その忌まわしい

チャリティーオークションの

招待状を書き出すことで

返事の代わりにしました。

 

ビョルンは、

完成した招待状を置いた手で

次の便箋を手に取りながら、

 一つだけ覚えておくように。

これは礼儀や誠実さではなく

狂気だと厳粛に宣言しました。

それは、彼と彼の妃の両方を含む

定義のようでした。

艶やかな茶色の毛の美しい馬は

シュべリン宮の厩舎隣の放牧場を

悠々と歩いていました。

 

ビョルンは気に入ったかと

尋ねました。

木の柵の前に立って

その馬を見ていたエルナは

驚いた目で彼を見上げました。

 

見せたいと言っていたのはあの馬かと

エルナが尋ねると、

ビョルンは、ゆっくり頷き、

手で合図を送りました。

すると、遠くで待機中だった

厩舎の厩務員が放牧場の中に入り

馬を引いて来ました。

その馬は、木の柵の前に

おとなしく立ち、

大公夫妻に向き合いました。 

 

ビョルンは、

エルナのものなので

挨拶するようにと言うと、

にっこり笑って

エルナの背中を押しました。

子牛を、まるで子犬のように

扱っていたバーデン家の女性は

馬の前では、改めて緊張しながら

身をすくめました。

 

エルナは、

自分の馬なのかと尋ねました。

ビョルンは、

乗馬を学ばなければならないと

答えました。

 

エルナは、

それはそうだけれど・・・と 

しばらく躊躇った後、

ようやく馬に近づきました。

そのぎこちない出会いを見守る

ビョルンの口元に、

柔らかな笑みが浮かんでいました。

 

小柄な大公妃が扱うのに

適した大きさの

美しくておとなしい馬。

そのすべての条件を満たした馬が

今エルナの前に立っている

幼い雌馬でした。

資金提供者に会って

浮かれた前の飼い主が、

適正な値段より

高い値段をつけたことを

知っていましたが、

あまり気にしませんでした。

 

2人の関係が

なかなか進展しなかったので、

ビョルンは、

ゆっくりと妻の後ろに近づき、

仲良くするように。

この子も淑女だからと言いました。

 

エルナは、

それはどういう意味かと

尋ねました。

ビョルンは、目で

白い模様のある馬の頭を示しながら、

ほら、帽子をかぶっていると答え、

それに手袋もはめていると言うと、

今度は視線を馬の前足に向けました。

 

蹄から30cmほどの高さまで、

それも前足2本だけに

白い毛が生えていて、

本当に手袋をはめているように

見えました。

呆れた表情をしていたエルナは、

しばらくして笑い出しました。

 

エルナは、

「そうですね」と返事をすると

ビョルンは「そうだよ」と言い、

少しリラックスした

エルナの手を取り、

馬のたてがみを

ゆっくり撫でさせました。

馬はそのぞんざいな手を

黙々と受け入れ、

優しい目を瞬かせました。

自分に付けられた値段の分、

十分、やり遂げる

立派な淑女でした。

 

自分で馬の頭を

撫でてあげられるほど

勇気を出せるようなったエルナは

目を輝かせながら、

馬の名前を尋ねました。

ビョルンは、

エルナの馬なので

エルナが付けるようにと答えました。

 

しかし、エルナは

ビョルンからのプレゼントだから・・・

と慎重に提案しているところで、

名前は自分で付けることにすると

意見を変えました。

離婚という名前を

付けられるところだった

子牛のクリスタのことを考えると、

その方が、このきれいな馬にとって

良いことのように思えました。

 

その意図に気づいたかのように、

ビョルンは愉快そうな笑いを

噴き出しました。

その笑いが好きで

エルナも笑ってしまいました。

浮かれた子供たちのように

2人が笑い続けているうちに、

バラ色に染まった西の空から

優しく風が吹いて来て、

2人を包み込みました。

 

ビョルンは、

レッスンは明日から始めると

告げると、乱れたエルナの髪を

優しく撫でてあげました。 

 

依然として、

馬の背に乗るのは、途方に暮れて

怖かったけれど、

エルナは勇気を出して頷きました。

 

エルナは、

今この瞬間が楽しくて、

自分は本当に馬に乗ることが

できるだろうかと、

無駄に甘えてみました。

しかし、返ってきたのは、

自分に乗るように乗ってという

期待に反した言葉だったので、

エルナは驚きました。

 

ビョルンは、

良い師匠がいるのだから、

馬にも、よく乗れるように

なるのではないかと言ったので

エルナは、

どうか寝室の外で、

このような話をしないで欲しいと

お願いしたかったものの、

そのような機会は

与えられませんでした。

 

良い師匠が口を合わせて来たので

エルナは受け入れました。

良い生徒になるという

それなりの約束でした。

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グレディスの真実が

明らかになる前は

友達と呼べる人は誰もいなかったのに

今は、仲良くしてくれる人がいる。

エルナは、それだけでも

嬉しいでしょうし、

自分が誰かの

役に立てるということも

嬉しいのだと思います。

お金にもならないし、

誰も評価してくれないかも

しれませんが、

ビョルンが手伝ってくれるという

嬉しい驚きがありました。

一国の王子様が

チャリティーオークションの

招待状を書くなんて、

誰が想像できたでしょう。

その事実を知った人は、

その招待状を家宝にするかも(笑)

エルナの笑顔を見るためなら、

何でもやってやるという

ビョルンの意気込みが好きです。

 

次回は金曜日に更新します。

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