自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 6話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 11、12話 目障りな女

 

6話 マティアスがアルビスに戻って来ました。

 

名目上の理由は、

親戚の家の訪問でしたが、

マティアスとクロディーヌの

婚約を公表する前に、

ヘルハルト家とブラント家の事前交渉と

当事者の親交を図るという目的は

明らかで、両家とも、その事実を

あえて隠そうとしなかったし、

クロディーヌは誰よりもそうでした。

 

迎えに出たマティアスの前に立った

クロディーヌは、

完璧な礼儀を尽くして挨拶をしました。

その姿のどこにも、

幼い妹分だった頃の面影は

残っていませんでした。

 

マティアスも

まるで初めて会った淑女に

対するように、クロディーヌを

正式な挨拶で迎えました。

2人は、優雅に微笑みながら

見つめ合いました。

 

2人は、それほど親密では

ありませんでしたが、

長い間、お互いを見て来たので、

自分たちが、骨の髄まで

徹底した貴族であることを知っていたし

それが、お互いを選択した

最も大きくて、

明確な理由でもありました。

マティアスは、クロディーヌを

巧みにエスコートしました。

 

アフタヌーンティー

邸宅の裏側にある

ガラスの温室に用意されていました。

そこが好きなクロディーヌのための

エリーゼの配慮でした。

 

クロディーヌは、

若い娘らしく、

朗らかで落ち着いた上品な話し方で

この温室はいつ見ても美しい。

ヘルハルト夫人は

ここに天国を移したのですねと

言うと、一口飲んだ茶を

静かに置きました。

 

本当に長い歳月をかけて

丹念に育てて来たので、

その価値を知っている女主人に譲る日を

楽しみにしていると、

エリーゼは優しい声で言いました。

 

向かい側に座っている

ブラント伯爵夫妻は、

胸がいっぱいになり

感激の眼差しで娘を見ました。

クロディーヌは、控えめに

恥ずかしそうな笑みを

浮かべましたが、

それ以上は話しませんでした。

 

ティータイムが終わる頃、

エリーゼは、

クロディーヌをアルビスの天国に

案内するよう、

マティアスにそれとなく言いました。

親たちの間では、

本格的な交渉と調整が

行われる様子でした。

 

マティアスが手を差し出すと、

クロディーヌは、

レースの手袋をはめた手を

そっと乗せました。

その手の上に、

泥と血が付いていた小さな手の記憶が

短く浮び上がって消えました。

 

2人は適当な話題で話をしながら

遊歩道を歩きました。

クロディーヌは、チラッと横目で

マティアスを見ました。

穏やかな笑みを浮かべていても、

なかなか、その感情を

読めませんでした。

 

非の打ち所がなく丁重だけれど

その根底には、一生誰にも

頭を下げたことのない者の傲慢が

宿っている男。

クロディーヌの心を

かなり満足させる姿でした。

 

木の枝に座っている

華麗な色の鳥たちを見た

クロディーヌは、

この温室の鳥たちは本当にきれいだと

驚嘆しました。

マティアスは、その時初めて

この温室で飼っている鳥たちの

存在を知りました。

 

エリーゼは、

バラと同じくらい鳥を愛し、

バラ同様、鳥たちも

飼育士が世話をしていました。

彼女の役割は、ただ楽しむこと。

それは、エリーゼ

世の中を愛する方式でもありました。

 

クロディーヌは、

自分が差し出した手の上に

舞い降りた小鳥を見て微笑むと

鳥が、こんなに人懐っこいことを

不思議がり、

その秘訣が気になると言いました。

 

マティアスは、ゆっくりと

辺りを見回しました。

確かに、この温室の鳥たちは

驚くほど穏やかで、

窓を開けっ放しにしても

逃げることはなく、

美しくさえずっていました。

 

マティアスは

礼儀正しく待機している飼育係に

目配せしました。

彼は静かに近づいて

クロディーヌのそばに立つと

羽根を切ることで、

遠くへ飛べなくなるので

逃げることができないし、

気性も穏やかになる。

自由に飛べる鳥は、

なかなか人に馴れないからと

説明しました。

 

クロディーヌは、

羽を切って痛くないのかと

尋ねました。

飼育係は、

羽を切るだけなので痛くはない。

危険な場所へ飛んで行き、

道に迷ったり

怪我をしたりすることを

防ぐことができるので、

鳥にとっても良いことだと答え、

気になるなら見せることができると

提案しました。

 

クロディーヌは目を輝かせながら

マティアスに了解を求めると

彼は、彼女の思い通りにしろと

喜んで許可を出しました。

 

飼育員は彼らを

まだ羽を切っていない小鳥たちが

入れられている

大きな鳥かごの前に

連れて行きました。

 

飼育士は、

その中で最も美しい金色の鳥をつかみ、

作業台の前に近づきました。

じっと鳥を見守っていた

マティアスは鳥の種類を尋ねました。

飼育係は、

カナリアだ。

美しく歌う鳥だと短く説明すると、

まず小さなハンカチで鳥の目を覆い

羽を広げて握ると、躊躇うことなく

鳥の羽を切り落としました。

 

羽を切られた鳥は

必死に羽をばたつかせましたが

あまり飛ぶことができず、

落ちるように舞い降りました。

まともに飛べなくなった現実を

否定するかのように、

鳥は何度も逃げ出しましたが、

結果は同じでした。

 

鳥を見守っていたマティアスは、

花壇の端に座っている鳥を

拾い上げました。

鳥は悲鳴に近い鳴き声を上げました。

 

飼育係は、

すぐに懐くものではなく

慣れるまでに少し時間が

必要だと言うと、

マティアスから鳥を受け取り、

鳥を落ち着かせるように

撫でながら、クロディーヌに、

手なずけてみるかと尋ねました。

 

クロディーヌは、

見るだけで満足したと

礼儀正しく断り、

飼育係が、質問に答えてくれたことに

お礼を言うと、マティアスに、

もうテーブルに戻ろうと言って、

今度は彼女が先に

手を差し出しました。

 

美しくて滑らかなその手の上に

泥と血が付いた小さな手の記憶が

もう一度、短い間、浮び上がって

消えました。

 

マティアスは去る前に

寝室に移しておいてと

衝動的に命令しました。

意外な言葉に、

飼育士が目を見開くと、

マティアスは目を細めて鳥を指差し、

「私のカナリア」と答えました。

レイラは髪を束ねて、エプロンを着て、

大きな籠を持ちました。

そして、とても真剣な表情で

今日で終わらせなければと

呟きました。

 

ヘルハルト公爵が帰って来た上、

数日前には、クロディーヌも

アルビスを訪問しました。

 

公爵が森を占領する前に、

そしてクロディーヌに

頻繁に呼び出される前に、

野イチゴを十分に

集めなければなりませんでした。

どうやら、2人は、

婚約という一大事を控えているので

まだ静かにしていました。

 

レイラは、

麦わら帽子をしっかりとかぶり

足早に森へ向かいました。

そして、

せっせと森を走り回ったレイラは、

正午になる前に

籠を野イチゴでいっぱいにしました。

 

木陰の下に籠を置いたレイラは、

川辺に向かうと、手を丁寧に洗い

顔も洗いました。

 

シュルター川は

ヘルハルト家の森と谷を

包み込むように流れる

美しい川でした。

レイラはハンカチで

顔を拭きました。

夏でも冷たい川のおかげで

暑さが一層和らぎました。

足も一度、

浸してみようかと思いましたが、

レイラは首を横に振りました。

 

最初に世話になった叔母の家には

レイラより年上の、

乱暴で意地悪な5人の兄妹がいました。

ある日、彼らはレイラを

強制的に引っ張って行き

川の水の中に投げ込みました。

その家で暮らすための

儀式のようなものだと言われました。

子供の悲鳴を聞いて駆けつけた

隣の家のおじさんがいなかったら、

レイラは

溺れていたかもしれませんでした。

 

しかし、その夜、

酒に酔った叔父に殴られたのは

悪いことをした彼らではなく

レイラでした。

そして数週間後、レイラは

身の程知らずに

問題を起こす子供は、

引き取れないと言われ、

次の親戚の家に追いやられました。

悔しかったけれど、次の親戚の家は

以前よりはましだったので、

レイラは

良かったと思うことにしました。

 

その後も、次々と

別の家に押し付けられる度に

同じことを考えました。

そして、ビルおじさんの小屋まで

来ることになったので、

信じた通りになったと言っても

過言ではありませんでした。

 

ニッコリ笑ったレイラは

木の下に戻ると、

籠の隅に挟んでおいた新聞を

エプロンのポケットに入れて、

すばやく、その木に登りました。

幼い頃ほど

機敏ではなかったけれど、

ビルおじさんが

教えてくれたおかげで

要領がよくなりました。

 

レイラは、座り心地のよい木の枝に

上手に腰を据えて座りました。

ここから見下ろしたシュルター川が

この世で一番美しい川だと

レイラは固く信じていました。

多くの都市を

旅行したことのあるカイルも

同意してくれたので、

客観的な事実に

近いかもしれませんでした。

 

レイラは、

餌を探す水鳥たちや川岸を覆う緑を

じっくり眺めました。

レイラは、この風景が好きで

夏を待ち遠しく思いました。 

ヘルハルト公爵という

不確定要素があるけれど、

夏はやはり美しい季節に違いない。

明快な結論を出したレイラは、

ポケットから取り出した新聞を開くと

連載小説を夢中で読み始めました。

明晰な頭脳で推理をしてきた探偵が、

犯人を

見つけ出そうとしているところでした。

しばらくしてマティアスは

水面から顔を出しました。

このくらいで戻ろうという

気持ちを変えて、水が流れる方向に

再び泳ぎ始めました。

 

シュルター川と

アルビスの森が好きなマティアスは

その風景を一望できる

船着場の隣のボートハウスを

離れに改造しました。

祖母と母親は

川辺まで歩くことが珍しかったので、

そこは、

マティアスだけの世界でした。

 

邸宅に客がいない時、

マティアスは、しばしば離れを訪れ

ぼんやりと窓越しの風景を眺めたり

本を読んだり、

それさえも退屈になると

昼寝をしました。

何をしても気が楽な所でした。

もちろん、一番良いのは

今のように、

川に身を任せる瞬間でした。

 

マティアスは

水の上に横たわると、

緑の隙間から見える

空を眺めました。

 

ここ数日、

邸宅が騒然としていたため、

川の平穏が

より鮮明に感じられました。

 

ヘルハルトとブラントの

婚姻関係についての交渉は

順調に進みました。

異変がなければ、

彼とクロディーヌの婚約は

この夏の終わりまでに

公表されることになりました。

ブラント家では

婚約期間を1年程度と予想し、

マティアスも同意しました。

 

ヘルハルト公爵として

十分な名誉を獲得したので

あえて将校の座に

長く留まる必要はなく、

さらに近衛隊で

1、2年ほど過ごした後、

除隊して結婚するのが

最も適切でした。

その後は家門の事業に

集中するつもりでした。

穏やかな川の流れのように

続く人生でした。

 

マティアスは目を閉じたまま

川の水に身を任せました。

暖かい日差しと涼やかな流れ。

耳元で砕けるさざ波の音が

世の中の全てのように

感じられました。

 

ところが、再び目を開けた瞬間、

完璧だった平穏が乱れました。

川辺に立っている木の枝の上に、

ある女性が座っていました。

その瞬間、

読んでいた新聞をたたんだ女性も

彼の方へ顔を向けました。

本当に目障りな

レイラ・ルウェリンでした。

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私のカナリア

マティアスは無意識のうちに

金色の鳥から金髪のレイラを想像し

自由奔放なレイラを

カナリアが羽を切られて

自由を奪われたように、

何らかの手段で、

レイラからも自由を奪い、

自分の手中に

収めたくなったのではないかと

恐ろしい妄想をしております。

 

レイラを目障りだと思うのは

マティアスの平穏で完璧な人生を

レイラが乱すからだと思います。

人間としての心を

どこかへ置いて来たような

マティアスが、

どのような変化を遂げるのかが

楽しみです。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

問題な王子様は、

土曜日に更新予定です。

よろしくお願いいたします。

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