自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 13話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 10、11話 賭けには勝たなければならない

 

13話 エルナはパーベルを見つけましたが・・・

 

聞き慣れない名前を呼ぶ女性の声が

ウトウトしていたビョルンを

起こしました。

次第に鮮明になって行くその声は、

ビョルンが目を開けた瞬間消えました。

 

静かにため息をついたビョルンは、

何気なく、再び目を閉じましたが

その時、「パーベル!」と

さえずる小鳥に似た女性の声が

再びその名前を呼びました。

それから、とても軽快に歩く

女性の気配が近づいて来ました。

 

ビョルンは諦めたように

目を開けました。

カードルームで夜を明かした後、

直ちに、

この退屈な行事に参加しに来たため

一睡もできていませんでした。

適当に抜け出して、昼寝でもして

帰るつもりでしたが、

どうやら場所を間違えたようでした。

 

ビョルンが、

ズキズキする目の周りを

押している間、

青いドレスを着た小柄な女性が

現れました。

ふと、エルナ・ハルディという

名前を思い出したのは、

周囲を見回した女性が

ベンチに座り込んだ瞬間でした。

 

向かいのベンチに横たわっている彼を

まだ発見できていないのか、

彼女は仏頂面で

自分のつま先だけを

見下ろしていました。

ドレスの裾の下に、そっと現れた足は

人形のように小さく見えました。

 

ビョルンは、

まだベンチに横になったまま

女性を見ました。

何をそんなに急いで走ってきたのか

女性はしばらくの間、

息を切らしていました。

そのリズムに合わせて揺れる

ドレスの前立てのリボンと

長く垂らした茶色の髪をかすめた

ビョルンの目は、息を吐くために、

そっと開いている唇の上で

止まりました。

エルナが頭を上げたのは

まさにその瞬間でした。

 

驚いて目を丸くして

ビョルンを眺めていたエルナは、

遅ればせながら悲鳴を上げ、

ベンチから立ち上がりました。

人の隠れ家に乱入したくせに

女はまるで痴漢にでも会ったように

振舞っていました。 

 

右往左往していたエルナは、

ようやく声を絞り出して

謝罪しました。

しきりに頭を下げる仕草に従って

ひらひらする帽子の羽飾りに、

ビョルンは、にっこりと笑いました。

 

震えながら謝罪を繰り返したエルナは

慌てて逃げ出しました。

その後ろ姿を

じっと見つめていたビョルンは、

失笑しながら体を起こし

座りました。

自分を見ると逃げる女が滑稽で、

一方では気に障りました。

一体、自分が何をしたせいで

怖がって逃げるのか。

厳密に言えば、

一方的に被害を受けているのは

自分なのに。

 

クスクス笑っていたビョルンは、

ついにベンチから立ち上がると

脱いでおいたジャケットを羽織って

タイの形を整えました。

その間も笑いは止まりませんでした。

 

この人里離れた庭の片隅で、

密会でも楽しみに来たのだろうか。

 

ビョルンは、女が必死に探していた、

おそらく、

ここで会う約束をしていたと思われる

男の名前を繰り返し呟くと

カフスボタンを留めました。

あの女性を

純真無垢な子鹿だと信じる

マヌケたちのことを思い浮かべると、

いくらか憐憫の情が湧いて来ました。

 

ビョルンは、その哀れな男たちに

弔意を示しながら歩き出すと、

少し前まで、彼女が立っていた所に

落ちている何かが目に入りました。

眉を顰めながら、

ゆっくりと、そちらに近づいた

ビョルンが手に取ったのは、

女性の名前が刺繍された

白いレースのハンカチでした。

今回の美術展に入選した

新進画家を称える

王立芸術アカデミーの院長の

スピーチが終わったところで

グレディスは姿を現しました。

拍手をしようとしていた

客たちの耳と目が

一斉に彼女に集中しました。

上座に座っていた国王夫妻と王太子

遅れて来た客に気づきました。

 

グレディスは、

彼らが、やや当惑した視線を

交わしている間に

静かに一人で入って来ました

遅ればせながら

院長に拍手を送る中でも、

客の視線は、依然として

グレディスに向かっていました。

 

そんな中、彼女は、時々、

視線が揺れたりしましたが、

姿勢と歩き方、

薄っすらと笑みを浮かべた表情は

決して崩れませんでした。

 

客たちは、

感嘆と物足りなさが混じった視線で

国王夫妻に丁寧な挨拶をする

グレディス王女を見守りました。

もう自由に展示を観覧できたけれど

興味津々な見せ物を放って

ホールを離れる人は

誰もいませんでした。

 

相変わらず美しくて優雅だ。

大公の宮殿も訪ねたそうだけれど

あんなことをした夫が

憎くないのだろうか。

 

それでも一時は夫婦だったし

二人の間には子供もいたので、

踏ん切りをつけるのは簡単ではない。

あのような

悲劇的なことさえなければ、

グレディス王女は、

今の王妃殿下と同じくらい

立派な王妃になったはず。

一体なぜ、あのような妻を放って

あのような悪いことをして

王太子の座まで奪われたのか、

理解できないと

人々は、声を低くして囁きました。

 

エルナは一番隅に置かれた

ヤシの木の植木鉢の横に

おとなしく立ったまま

人々の視線が集まる所を

窺いました。

新聞と雑誌で見た写真よりも、

お姫様は、はるかに気品があって

美しい人でした。

 

あのような妻がいるのに

浮気をしたなんて。

ベンチに横たわっていた男が

思い浮かぶと、

エルナは思わず眉を顰めました。

しかし、

ふとパーベルの名を思い浮かべると

その不快な記憶は消えました。

 

あれは、明らかにパーベルだった。

夢中で追いかけたけれど

結局逃してしまった男の後ろ姿が

目の前にちらつきました。

10年以上も見て来た、

家族同然の友人なので、

見間違うはずがありませんでした。

 

エルナは慎重に目を上げて

辺りを見回しました。

もしかしたら、ここで

パーベルに会えるかもしれないという

希望で、胸がドキドキし始めました。

しかし、人々が自分の方を

チラチラ見ているのを感じると、

恐怖を覚え、

一瞬、息が詰まりました。

 

震え始めた両手を合わせたエルナは、

自分の背より高いヤシの木に

ぴったりと寄り添いました。

 

それからエルナは

マイアー伯爵夫人の

とんでもない助言通り、

ほっそりとした若い淑女たちは

森の中の恵みの雨。

膨れっ面の老紳士は

怒っているライチョウなどに

想像してみました。

意外にも、それはエルナに

大きな安定感をもたらし、

依然として体が震えて

冷や汗が出ることはあっても、

息ができないほどの苦痛は

避けられました。

 

ようやく、エルナが

一息つくことができるようになると

群衆が再びざわめき始めました。

彼らが視線を向けたホールの入り口に

ビョルン王子が立っていました。

王太子と挨拶を交わしていた

グレディス王女も

まもなく彼を発見しました。

目を細めて、彼女を凝視していた

ビョルン王子は、

しばらく立ち止まりましたが、

その後、悠々とした足取りで

ホールを横切りました。

 

王子を眺めていたエルナは

無意識のうちに、彼が、

あの優雅な猛獣、

デナイスタ王家の紋章のように

大きくて美しい白い狼のようだと

思いました。

ビョルンはグレディスを直視しながら

ゆっくりと足を進めました。

どんな状況なのか、

グレディスの意図が何なのかを

把握するのは、

それほど難しいことでは

ありませんでした。

 

あれくらいしておけば

理解できただろうと思った自分が、

呑気過ぎたようだ。

相変わらず、本当にありきたりで

典型的だと思いました。

 

緊張している中でも、

ふと期待感を示すグレディスが

彼を笑わせました。

レチェンに戻ったのは、

ラルス国王の

意思だけではないという言葉は、

どうも本心のようでした。

確かに、本来は、

嘘をつかないお姫様だったけれど

ビョルンは彼女から、

嘘よりも卑劣で無責任な真実が

存在することを学びました。

 

心配そうな視線を送る両親。

冷たく固まっている

レオニードの顔を

じっくりと見たビョルンは、

ホールの中央で足を止めました。

 

あれは、かなり公正な取引であり、

彼らの関係はきれいに整理された。

その見解に、

依然として変わりはないけれど

グレディスが

新たな局面を迎えるとなると

話は変わって来ました。

 

ビョルンは

少しも損をする気はなく、

それがグレディスによる損害なら

猶更でした。

 

その時、ヤシの木の鉢植えの横に

隠れているエルナが

ビョルンの目に入りました。

ジャケットのポケットの中に

入っている彼女のハンカチが

思い浮かぶと、

固まっていた唇が

柔らかくなりました。

 

あの女の手口は

あまりにも露骨で、このように

恥ずかしいことをしでかすのを見ると

彼女もお姫様と同じくらい

言わずと知れた

典型的な部類のようでした。

 

それならば、あの女のように

効率的な手札も持たないだろう。

 

王女に近づいていたビョルンは

躊躇うことなく

急に突拍子もないところに

方向を変えました。

あちこちで動揺が起き始めました。

エルナもそうでした。

 

ビョルンは、

無意味に後ずさりした女性との距離を

余裕で縮めました。

カードルームでの賭けでも、

グレディスが仕掛けた賭けでも

勝利できる手札がエルナなら

拒む理由はありませんんでした。

あげるものをあげて、

もらうものをもらう、

いくらでも、

簡単できれいな取引ができる

相手でもありました。

 

スタートは今日この展示会。

そして決戦の日は

ボートレースの日。

ビョルンは、

聞き流していた賭けの内容を

じっくりと振り返り、

最後の一歩の間隔まで縮めました。

 

ボートレースは、

毎年、夏至に行われ、

その日、レチェン全域で

夏を記念する祭りが開かれました。

そして、

シュベリン夏祭りのハイライトは、

その夜、アヴィト川で船に乗って

楽しむ花火でした。

一緒に船に乗って花火を見れば

愛が叶うという幼稚な俗説を信じる

若い恋人たちのおかげで、

その日は、都市全体のボートが

足りなくなりました。

まさにその日、

エルナと一緒に船に乗る人が

勝者になる賭けでした。

 

かなりバカバカしいと思ったし、

その考えは、

今も大きく変わらないけれど、

とにかく、

賭けに足を踏み入れた以上は

勝たなければなりませんでした。

 

王子の求愛を受けた女という

噂のおかげで、身代金が

もう少し上がるだろうから、

女にとっても

悪くはないことだでした。

そもそも、

この女性のシャぺロンが狙ったのは

それだったのではないか。

勝負欲に燃える入札者が増えれば

おじいさんのような老人より

マシな花婿候補を

手に入れられるかもしれない。

 

ビョルンは

わざと優しい視線で

女性を見下ろしながら、

「ここにいたのですね」と

声をかけました。

観客を配慮するかのような

力のこもった声でした。

エルナは途方に暮れて

大きな目を瞬かせました。

 

ビョルンは、女性と目を合わせると

庭にこれを置いて行ったと言いながら

意図的にゆっくりと取り出した

ハンカチを差し出しました。

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王家の血筋でない子供が

王位継承権を得るのを防ぐためと

国益のために、

ビョルンが浮気をして妻を裏切り

子供まで捨てたという汚名を

被ることにしたのに、

その原因となった卑劣な王女が

寛大な心で夫を許すという

シチュエーションを

ビョルンもレオニードも国王夫妻も

許すわけがない。

それなのに、

悲劇のヒロインを演じ、

事実を知らない国民を味方にして

いけしゃあしゃあと現れたグレディスに

本当に腹が立ちました。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

 

生成AIで作成した

エルナの白いレースのハンカチ。

マンガで描かれていたのとは

違いますし、

皆様のイメージとも

かけ離れていたら申し訳ありません。

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