自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 15話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 12、13話 鹿の角のトロフィー

 

15話 パーベルはエルナのいる展示室に入りました。

 

美しい作品に

囲まれているにもかかわらず

展示室の真ん中に

ぽつんと立っている女性の視線は

重ねた自分の両手の指先に

向かっていました。

 

絵を鑑賞するふりをしながら、

その女性をチラチラ見る

貴族たちの目からは、

蔑視のような好奇心が

滲み出ていました。

 

何気なく彼女を見ていたパーベルは、

妙な既視感にとらわれ、

その場で立ち止まりました。

黄緑色のかった茶色い髪。

小さな体。青白い肌と青い目・・・

 

パーベルは

慎重にエルナの名前を呼ぶまで、

すぐには、

確信が持てませんでした。

そのため、

一瞬、頭を上げた女性と

目が合った瞬間に感じた驚きは、

さらに大きくなりました。

 

「パーベル!」

信じられないといった様子で

彼を見ていたエルナの顔の上に

明るい笑みが浮かびました。

一瞬にして、

周囲の耳と目が集中しましたが、

エルナは

意識していないようでした。

 

怪訝な目で見ている

アカデミーの院長に

了解を求めたパーベルは、

急いでエルナに近づくと、

「お久しぶりです、ハルディさん」

と、貴族の家の令嬢に対する

完璧な礼儀を尽くして

エルナに挨拶をしました。

 

不思議そうな顔をするエルナに向かって

パーベルは密かに目配せしました。

見る目があまりにも多く、

このような場で、

つまらない言いがかりを

つけられてはいけませんでした。

 

聞き返そうとするエルナに

パーベルは「シーッ」と

警告しました。

しかめっ面で彼を見ていたエルナは、

後になって、

小さなため息をつきながら、

「 あ、はい。お久しぶりです。

ロアーさん」と、気まずそうに

パーベルに同調しました。

しかし、両方の目には、

隠しきれない笑みが

浮かんでいました。

 

やはりパーベルだったという事実が

悪い王子が残した不快感を消し、

喜びを与えてくれました。

 

自分の味方に会ったという

安堵感の中で、エルナは、

都会に来てから、ずっと

とても寂しかったということを

悟りました。

 

エルナに背を向ける前に、パーベルは

「また会おう」と囁き、

「連絡するよ」と言って

以前のように微笑みかけました。

 

無防備な言葉を吐かないために

唇を噛み締めたエルナは、

返事の代わりに小さく頷きました。 

 

もう一度、微笑んだパーベルは、

すぐに自分を待っている

初老の紳士のそばに戻りました。

エルナは、その男が

開会式で演説をした

芸術家だということを

後になって気づきました。

パーベルを貴族たちに紹介する

彼の顔には、隠すことのできない

誇りが滲み出ていました。

 

明るい笑みを浮かべたエルナは、

静かにその展示室を出ました。

このような再会は残念でしたが、

また会う約束をしたので、

その時に、思う存分

話せばいいことでした。

 

姿勢を整えたエルナは、

一段と軽くなった一歩を

踏み出し始めましたが、

階段を降りようとした瞬間、

金色の髪の毛と灰色の瞳が

ふと思い浮かびました。

手の甲にキスをした瞬間も、

その男の視線は

エルナの両目に向かっていました。

彼は、

そのように優雅で丁寧な身振りで

エルナを侮辱し、 何の呵責もなく

姫の代用品扱いしました。

 

眉を顰めたエルナは、

その記憶を消すように

王子の唇が触れた手の甲を

擦りました。

手袋をはめていたのに、その肌触りが

あまりにも鮮明に残っていました。

不思議で不愉快な記憶でした。

エルナはハンカチまで使って

手の甲を擦りましたが、

しきりに頬が火照ってきました。

できれば頭の中に残った記憶も

吹き取りたい。

このハンカチさえなかったらと

王子が返して寄こした

ハンカチに対する恨みが

込み上げて来ましたが、

それほど長くは続きませんでした。

 

このハンカチは、去年の誕生日に

祖母からもらったもので、

名前と花を刺繍してくれた

祖母の真心を考えると、

たとえ、あの男の手が触れたとしても、

冷たくすることはできませんでした。

 

ハンカチをしまったエルナは

足早に階段を下り始めました。

両頬は、依然として

赤く染まったままでした。

その日以降も、

王子が残した恥ずかしい記憶は

度々訪れて、エルナを苦しめました。

今のように、クシャミをした時も。

 

エルナはクシャミのせいで

落としてしまったペンが作った

インクの染みを見下ろしながら

軽いため息をつきました。

 

リサは飛び上がると

寝室の窓を開けました。

ようやく部屋に充満している

濃い花の香りが薄くなりました。

 

リサは、

シュベリンの花という花を全て、

お嬢さんの部屋に

押し込むつもりのようだと

舌打ちしながら、

あちこちに並んでいる、

求愛の手紙と共に送られて来た花束を

眺めました。

気の弱いエルナが、

どうしても罪のない花を

捨てられないためでした。

それだけではなく、

エルナは手紙にも

いちいち、丁寧な断りの返事を

送っていました。

パーティーに連れて行かれない日は

早くから寝ていたエルナが

夜が更けるまで、

起きている日が多くなったのも

そのためでした。

 

汚れた手紙を片付けたエルナは、

新しい便箋を

テーブルの上に置きました。

リサは、

もう一度深いため息をつくと、

この放蕩息子たちは

字が読めないのだろうか。

なぜ断られても、

こんなに執拗でしつこいのかと、

悔しさのあまり、唸りました。

断りの手紙を

あれほど丁寧に書く淑女は、

このレチェンの空の下に

エルナだけだろうと思いました。

その必要はないと

止めたりもしましたが、

エルナは、断る時にも

淑女らしい品位と礼儀が必要だと

主張しました。

そのようなエルナは、

じれったいけれど愛おしく、

さらにリサを不安にさせました。

 

エルナが新しい便箋を手に取ると

リサは、

断りの手紙を、少し遅れて

受け取っても問題にならない。

もう寝る時間だと

真顔でエルナを止めると、

彼女が躊躇っている間に

素早く便箋とインク瓶を

片付けてしまいました。

 

エルナは浴室に向かい、

手を丁寧に洗った後、部屋に戻ると、

櫛を持ったリサが

近づいて来ました。

 

他人の手に自分を任せることは

依然として

気まずくて不便だけれど

エルナは素直に

化粧台の前に座りました。

リサは丁寧に

ブラッシングをし始めました。

鏡に映るリサの顔には、

誇らしい笑みが浮かんでいて、

エルナがやろうとしていたことを

断る度に、

浮かんでいた不機嫌な表情が

消えていたので、

エルナは安心しました。

 

明日からは、

お風呂の世話も任せて欲しいと

リサが言うと、

エルナは真顔で首を横に振りました。

 

リサは、

自分を信じられないのか。

こんなことをするのは

初めてだけれど、

うまくできると主張しました。

エルナは困った目で、

鏡に映ったリサを見ながら、

リサが信じられないからではなく

恥ずかしいからだと打ち明けました。

 

リサは、

信じられないというように

目を見開き、

他の貴族のお嬢さんたちは皆、

平気でメイドの世話を受ける。

子爵夫人もそうだと反論すると

信じられないというように

目を見開きました。

 

エルナは、そっと目を伏せて

視線を避けました。

なぜか、むずむずする手の甲を

擦っている間に

リサが再びブラッシングを始めました。

そして、あまり自分のことを

負担に思わないでと

優しい声で勧めました。

 

それから、リサは、

恥ずかしいことなんてない。

自分がお嬢さんのように

きれいな体を持っていたら、

タラ通りで、裸で踊ることもできると

冗談を言って、

どっと笑いました。

しかし、エルナは

驚愕のため息を吐きながら

大都市の若者たちの冗談は

あまりにも刺激的で、

めまいがしそうだと思いました。

 

ようやく平常心を取り戻したエルナは

他の手紙はなかったかと

リサに尋ねました。

数日間、同じ質問を聞いているリサは

パーベル・ロアーさんからの

手紙はなかった。

こんなに待っているのを見ると、

とても重要な手紙のようだと

指摘すると、エルナは

そんなことはないと、ぎこちなく笑って

首を横に振りました。 

幸いリサは、それ以上のことは

聞きませんでした。

 

リサが退き、1人になったエルナは

もう4日目なのに、

もしかしてパーベルに

何かあったのだろうかと

心配しながら

部屋の中をウロウロしていましたが

真夜中近くになって

ベッドに横になりました。

そして、

くすぐったい手の甲を撫でながら

眠りに落ちました。

クラブで開かれた

バチェラーパーティー

泥酔した参加者たちが

1人2人と意識を失い、

必死に耐えていたパーティーの主役まで

テーブルに突っ伏すと、

残っているのはビョルンだけでした。

ビョルンは力を入れて

新郎の額を叩いても、

彼は意識を取り戻す気配が

ありませんでした。

 

ビョルンが、

「自分の勝ちだね?」と聞くと、

苦労して瞼を上げた彼は

呂律の回らない声で

「分からない、持って行け」と

返事をしました。

 

ビョルンはクスクス笑いながら

立ち上がりました。

少なからず酔ったせいで

少しフラフラしていましたが、

ぐったり伸びている、へべれけたちに

合流するほどではありませんでした。

 

ビョルンは

テーブルの中央に置かれている

鹿の角の形をした黄金トロフィーを

手に取ると、背を向けました。

酒の場で最後まで生き残った者が

このトロフィーを手に入れるのは

雄鹿の夜と呼ばれる独身パーティー

伝統でした。

彼は、自分が何匹の雄鹿の角を

手に入れたのか、

よく覚えていなかったし、

おかしなことに、

彼の独身パーティーでも

彼が鹿の角を手に入れました。

かなり縁起が悪いトロフィーなので

捨てたかったけれど、

同じ職人が作るトロフィーは

見た目が、皆、似たり寄ったりでした。

そのおかげで、

生き残ったその日の鹿の角は、

シュベリン宮殿の飾り棚のどこかに

詰め込まれているはずでした。

 

クラブを抜け出したビョルンは、

よろめきながら、

タラ広場を横切りました。

御者には、夜明け頃に

馬車を待機させるように

指示しておいたので、

まだ早い時間でした。

 

ビョルンは、噴水台の端に

倒れるように腰を下ろしました。

薄れ行く闇の向こうに見える星の光。

それが、ビョルンの意識に残った

最後の記憶でした。

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タウンハウスが買えるだけの

お金を手に入れられるなら

何としてでも、

賭けに勝ちたいと思うのは

当然ですよね。

何度断られても手紙と花を送って来る

賭けの参加者たちの涙ぐましい努力に

感動しました。

 

ビョルン自身のバチェラーパーティー

手に入れた鹿の角のトロフィーは

他のトロフィーと一緒に、

飾り棚に詰め込まれているので、

他のトロフィーと区別がつかないなんて

いかにもビョルンらしいのですが、

グレディスとの結婚の時に

手に入れたトロフィーは、

彼女にあげなかったし、

特別な存在にもならなかったのですね。

結婚前に、ビョルンが

グレディスのことを

何とも思っていなかったことを

垣間見ることができました。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

皆様からの温かいお言葉に

励まされて、

頑張ることができています。

まもなくクリスマスですが、

どうぞ、皆様が、平和で過ごせますよう

お祈りいたします。

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