自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 16話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 13話 夜明けの散歩

 

16話 ビョルンは噴水台に座っているうちに意識がなくなりました。

 

悪夢に悩まされたエルナは、

普段よりはるかに早い時間に

目が覚めました。

目覚めた瞬間に、

夢は薄れてしまったけれど

とても大きな獣に

追いかけられた記憶だけは

鮮明に残っていました。

 

エルナは、

ぼんやりと虚空を見ながら

夢のことを考えていましたが

思わず起き上がって座りました。

時計を見ると

まだ4時にもなっていませんでしたが

再び寝るのを諦めたエルナは

ベッドを抜け出しました。

 

身支度を終えて、

ベッドを整えているうちに

徐々に夜が明けてきました。

エルナは窓の前に立ち、

庭を見下ろすと、その上に、

この時期になると

赤いケシの花が満開になる

田舎の野原が浮かび上がりました。

睡蓮が咲いている池と

その向こうの果樹園が

あるべきところに、

石造りの高い建物が

いっぱいあるという事実が

ふと不思議に感じられました。 

ぼんやりと

バフォードを思い出す瞬間が

多くなったのは、おそらく

パーベルと会ったせいでした。

 

弱くなりそうな心を引き締めるように

エルナは窓に背を向けました。

普段なら造花を作るところだけれど、

今日は、なかなか

その意欲が湧いてこなかったので

夜明けの光が、

カーテンの隙間から差し込む頃、

エルナは散歩に行くことにしました。

 

髪を一つに編んで

ボンネットをかぶった後、

手袋もはめました。

いつもなら、

手首にビーズの飾りがついた

レースの手袋を選んだはずでしたが、

今日は別のものを

はめることにしました。

よりによって、

一番大切にしている手袋に

悪いことをした王子のことが

再び恨めしくなりました。

 

飾りのない手袋をはめた手で、

エルナは訳もなく

手の甲を触りました。

そして、

くしゃみが出そうになったエルナは

花束を少し減らすべきだと、

結論を出しました。

支度を終えたエルナは、

そっと寝室を出ました。

メイドなしで家の外を歩き回るのは

貴族の令嬢らしくない行動だと

子爵婦人に言われたけれど、

今はリサを起こすには

早過ぎる時間でした。

それに、この辺の地理は

全て覚えたので、散歩くらいなら

一人で、いくらでも

することができました。

 

街は、まだ薄暗かったけれど

思ったほど怖くはなく、

通行人でいっぱいの真昼より、

エルナは、むしろ今の方が

気が楽でした。

視線がない分、自由なので、

初めて街の風景が

まともに目に入りました。

 

エルナは、

先にパーベルに手紙を送ったら

どうだろうかと考えながら

夜明けのタラ通りを

ゆっくり歩き始めました。

バフォードから持って来た

パーベルの手紙に

住所が書かれているので

直接訪ねてもよさそうでした。

しかし、人々の視線を意識して

距離を置いていた

パーベルの姿を思い出すと、

彼を困らせることに

なるのではないかと心配しました。

 

その時、エルナは

倒れている浮浪者を発見し、

小さく悲鳴を上げながら

後ずさりしました。

広場の中央にある

大きな噴水の手すりに

男が横たわっていました。

 

エルナは、

驚いて逃げようとしましたが

不吉な予感に捕らわれ、

そちらへ顔を向けました。

死んだように横になっている

男の腕が、手すりの下に

だらりと垂れ下がっていました。

どう見ても、意識のある人とは

思えない様子でした。

 

エルナは、慎重に

噴水に近づき始めました。

背の高い金髪の男は

片腕で顔を覆ったまま

横になっていました。

奇妙な形をした金色の物体が、

その男の足もとに転がっていました。

 

先日、リサが持って来てくれた新聞に

掲載されていた犯罪小説の中に、

深夜、怪漢の襲撃を受けて

死亡した男の遺体を

探偵が確認するシーンが

ありましたが、もしかして、

この男も襲われたのではないかと

思いました。

怖くなったエルナは

慌てて浮浪者の所へ走って行きました。

そして、

大丈夫か。自分の声が聞こえるかと

不安そうに尋ねました。

しかし、男は

微動だにしませんでした。

 

どこか具合が悪いのか。

怪我をしているのか。

人を呼んだ方がいいかと

声をかけながら、さらに近づくと、

男が、顔を隠していた腕を

下ろしました。

死んでいなかったと

安堵したのも束の間。

彼と目が合ったエルナは、

余計な心配と同情心に

振り回された自分の選択を

骨の髄まで後悔しました。

その男は、絶対に会いたくなかった

ビョルン王子だったからでした。

 

エルナは慌てて

後ずさりしましたが、

ビョルンは、それよりも少し早く

エルナの手首をつかみました。

 

 「エルナ・ハルディ?」と

彼はため息をつきながら

彼女の名前を呼びました。

ビョルンから、

強いお酒の匂いがしたので、

ようやく、エルナは、

王子がこのような姿で

広場に横たわっている理由を

理解しました。 

 

ビョルンは、

なぜ、ハルディさんが

ここにいるのかと

クスクス笑いながら尋ねました。

依然として、

エルナの手首を握ったままでした。

 

エルナはビョルンに、

手を放すように。

そうしなければ叫ぶと

警告しましたが、ビョルンは、

なぜ、ここにいるのか

自分が聞いていると、

再び尋ねました。

エルナが

手首を抜こうとすればするほど

ビョルンの握力は

強くなるばかりでした。

 

エルナは、

ここは王子の私有地ではなく

広場なので、

自分がいくらでも来られる所だと

抗議しました。

 

確かに、そうだと頷いたビョルンは

ゆっくりと体を起こして

噴水台の手すりに腰掛けました。

 

目の前に立っているエルナの

真っ赤な顔を見ると、

再び、ビョルンは

クスクス笑いました。

こんな時間に、こんな場所で

ハルディ家の令嬢に

会うはずがないのに、

目の前にいるエルナが

本当のエルナなので、

ふと、ビョルンは、

それが耐えられないくらい

滑稽になりました。

 

エルナは

「放してください!」と

もう一度激しく叫びました。

そして、

助けが必要なら人を呼ぶので、

この手を放して欲しいと

訴えましたが、ビョルンは、

本当に自分に売られたいのかと

低く沈んだ声で尋ねました。

 

つかまれた腕を振りながら

バタバタしていたエルナは、

ようやく、

おとなしくなりました。

 

「何ですって?」と、

純真な顔で問い返す女が

目に入ると、また笑いが出ました。

合理的な取引などと

高尚なことを言いながら、

今日は、このように

自分の後を追う女性のことが

限りなく滑稽に思えたからでした。

 

ビョルンは、

噂が立ったついでに

勝負しようという気持ちを

理解できないわけではないけれど、

朝露を浴びながら

こんなことをするのは、

あまりにも露骨ではないかと

尋ねました。

 

しかし、エルナは

ビョルンが酔っていることを

指摘し、このような会話は、

無礼で不快だと非難すると、

再び、放して欲しいと訴えました。

 

ビョルンは、

取引をするなら

交渉から始めなければと言うと

よろめきながら立ち上がり

エルナと向き合いました。

そして、いくらなのかと

ぼそぼそ尋ねました。

灰色の目に、

泥酔した人らしくない異彩が

漂っていました。

 

エルナはまともに言葉を続けられず、

うめき声のような

ため息をつきました。

その間に、ビョルンは

さらに一歩近づき、

いくらなのか、

一度言ってみるようにと促しました。

 

過度に大きな侮辱感を感じたエルナは

すべての感覚が麻痺し、

悪口でも浴びせるべきなのに

声が出ませんでした。

頭の中が、ボーッとして、

つかまれた手首の痛みも

薄れて行きました。

 

エルナは、

これ以上、このような

侮辱的な話をしたくないので

止めて欲しいと、

しばらくしてから、

ようやく口を開きました。

ビョルンは、

ひどく無関心な目つきで

再びエルナに向き合いました。

 

ビョルンは、

「嫌だと言ったら?」と

尋ねると、エルナは、

王子は適正ラインというものを

知らないのかと、

カッとなって叫びました。

 

ビョルンは、

分かるように見えるのかと、

唇に嘲笑を浮かべながら、

平然と問い返しました。

 

エルナは一瞬息が詰まり、

これ以上、話を続けることが

できませんでした。

なぜ、このように

めちゃくちゃな放蕩者が、

一時でも、この国の王太子

なれたのだろうか。

その事実に驚愕したエルナは

頭の中がクラクラしてきました。

 

その間、また、何か言おうとした

ビョルンの目がとろんとしました。

エルナが何かおかしいと感じた時、

すでに、ふらついていた彼の体が

傾いてしまった後でした。

 

驚いたエルナは

本能的に彼を助けようとしましたが、

酔っ払った大きな男に

耐えることは不可能でした。

2人は絡み合ったまま、

一緒に広場の地面を

転げ回りました。

 

半分ほど意識が離れたエルナは、

両目に夜明けの空が映ると、

自分が冷たい石の地面に

横になっていて、 王子が

自分の上に倒れていることが

分かりました。

彼の息が首筋を刺激し、

密着した彼の体は、

とても熱くて硬くて脅威的でした。

 

「助けてください」と

エルナは、死力を尽くして

悲鳴を上げ、もがき始めましたが

ビョルンは

微動だにしませんでした。

遠くから、人々が

近づいてくる足音まで

聞こえ始めました。

 

「退いて! あっちへ行け」と

エルナは拳で

王子の肩と背中を殴りましたが

ダメでした。

そんな中でも、王子は、

握ったエルナの手首を

離しませんでした。

彼の熱くて柔らかい唇が

首筋をかすめると、

エルナは今にも

泣き出しそうな顔になりました。

その間に、近づく人の気配は

ますます鮮明になって行きました。

 

エルナは恐怖のあまり、本能的に、

そこに落ちている金色の物体を

手に取りました。

もはや理性的な判断は残っておらず

「あっちへ行って! 嫌だ!」と

叫びながら、エルナは

握り締めた棒を振り回して

もがきました。

そのため、ドレスの裾が

膝の上までめくれましたが、

そのようなことを気にするだけの

余力は残っていませんでした。

 

「助けてください!」と

さらに鋭くなった悲鳴を上げながら

エルナはトロフィーで

容赦なくビョルンの背中を

叩き始めました。

 

酔いに勝るほど大きくなった痛みに

ビョルンが目を覚ましたのと、

いつの間にか近くまで近づいて来た

人々の足音が止まったのは

ほぼ同時でした。

 

とんでもない光景に驚いた

大公家の御者と侍従が

「うわっ、王子様」と叫びました。

 

ビョルンは眉を顰め、

長いため息をついた後、

地面の方へ倒れました。

エルナは急いで立ち上がりました。

鹿の角のトロフィーは

握りしめたままでした。

ようやく焦点の合った目で

その光景を見たビョルンの唇から

新たな失笑が漏れました。

 

助けようとする侍従を

断ったエルナは、

苦しい息を吐きながら

後ずさりしました。

両目から、涙が

溢れそうになりましたが、

泣きませんでした。

 

エルナは身震いしながら

彼を睨みつけました。

御者と侍従が

ビョルンを起こしている間に、

エルナは逃げ出しました。

 

顔色を窺っていた侍従は

「大丈夫ですか?」と

たどたどしく尋ねました。

ビョルンは返事もせずに

ゆっくりと目を閉じました。

そして再び目を開けた時、

エルナは、すでに広場の向こう側まで

遠ざかっていました。

一つに編んだ髪の先に

結ばれたリボンが、

彼を怒らせるように揺れていました。

再び意識を失う前に

ビョルンが見たのは、

依然として

エルナ・ハルディの手中にある

朝日に輝く黄金の鹿の角でした。 

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ビョルンは、

全く関心のない人、物に対しては

とことん無関心だと思うので、

エルナのことを

何とも思っていないのなら、

声をかけられても

無視すればいいだけなのに、

つい、彼女に

つっかかってしまうのは

ビョルンも気づかないうちに

心のどこかで彼女のことが

気にかかっているけれど、

エルナが不純な動機で

自分に近づいていると信じ込んで

腹を立てているからではないかと

思います。

 

マンガでは、

ビョルンがエルナに倒れ込んだ

描写しかありませんでしたが

原作では、

ゴロゴロ転がったのですね。

そして、エルナのスカートが

めくれ上がったなんて、

刺激的なシーンでした。

 

明日は「泣いてみろ・・」を

更新いたします。

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