自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 18話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 14、15話 適正ラインは有効

 

18話 エルナは1年ぶりにパーベルと再会しました。

 

これまでの近況を

ぺちゃくちゃ話しながら

川辺を歩いていたエルナは、

父親は自分を嫁に行かせたいようだと

話題を切り替えました。

 

それが遅ればせながら

親の務めを果たすことだと

考えているようだけれど、

自分はそんなつもりはないと言うと

エルナは軽く眉を顰めましたが、

それほど深刻な表情では

ありませんでした。

パーベルはため息をつくと

立ち止まりました。

エルナも一緒に立ち止まると

無邪気な顔で彼と向き合いました。

 

まるで商品を披露するかのように

次々と娘を差し出している

ハルディ子爵の様子を見ると、

バーデン家の邸宅を守るのを条件に

買って来た娘を、

より高い金で売るという彼の目的は

明らかでした。

 

彼はエルナに

ハルディ子爵は親の務めなどには

少しも関心がない。

ただエルナを

売り払おうとするだけだと

とても言えなかったので、

もうバーデン家に帰ったらどうかと

遠まわしに警告しました。

 

エルナは、

そうしたいけれど、

1年間はシュベリンにいると約束した。

その後は、当然バーデン家に

戻らなければと返事をしました。

 

パーベルは、

エルナの父親の考えは

違うかもしれないと反論しましたが

エルナは、

そうだとしても

自分の決定は変わらない。

父親に助けてもらったけれど、

自分の家族は、祖母だからと

返事をしました。

 

笑顔とは違って、エルナの目から

断固たる意志が感じられました。

限りなく弱く見えるけれど、

誰よりも自尊心が強く屈強な、

パーベルが長年知っている

バーデン家のお嬢さんらしい姿でした。

 

一体何が、エルナのための

最善なのか、いくら悩んでも、

パーベルは、これといった答えを

見つけることができませんでした。

 

エルナがバフォードに戻る

決心をしたとしても、

ハルディ子爵は素直に

娘を手放さないだろうし、

どんな手を使ってでも

一番高い値段を提示した男に

この子を売り渡す。

それを知っているにもかかわらず、

すぐにできることがない事実が

パーベルを無力にさせました。

 

去年の冬、

そこまでにしろ。

バーデン男爵家に出入りするのは

そろそろ止める時だ。

パーベルも、その家門の孫娘も

もう子供ではないからと

父親に言われました。

父親はつっけんどんな口調でしたが

その目からは、

本気で心配していることが窺えました。

 

次の休みからは、

あえて帰って来る必要はない。

画家として出世するためには、

この田舎で

時間を無駄にするのではなく、

自分の仕事に打ち込むべきだと

ぶっきらぼうに助言をすると

父親は、席を立ちました。

 

それから5日後、パーベルは

故郷を離れました。

自分の考えも父親の忠告と

同じだったからでした。

自分にとってエルナは

妹同然だけれど、

世間の目は違うということ。

木材所の息子と

没落した貴族の家の孫娘という

自分たちの噂が

ちらほら出て来ていることも

パーベルはよく知っていました。

 

お互いのために、

今は離れなければならない。

その誓いを守るため、

パベルは1年以上、

1度もバフォードを訪れず、

エルナと手紙をやり取りする回数も

大幅に減りました。

 

だから、全てできたと

思っていました。

ここで、このようにエルナと

向き合うことになるとは

夢にも思わなかったので。

 

パーベルは、

もし助けが必要なことがあれば

必ず自分を訪ねて来てと

力を込めて頼みました。

それが苦労して空けた2人の距離を

縮めない範囲で見つけた

最善の策でした。

 

エルナはお礼を言って

幸せそうに笑うと

再び川辺を歩き始めました。

風が吹く度に

日傘のフリルと帽子の花とリボン、

ドレスのレースが揺れました。

とても大きな花のようなその姿に、

パーベルは、つい気が緩んで、

クスッと笑ってしまいました。

 

散歩が終わりに近づく頃、

エルナはパーベルに、

シュベリンで造花を売る方法があるかと

尋ねました。

パーベルは当惑しながら、

ここでも、その仕事をしているのかと

聞き返しました。

いくらハルディ家の家勢が

傾いているとはいえ、

社交界に出した娘に

そんなことをさせるはずはないし、

そんなことで少しお金を儲けても

その家門の役に立つはずが

ありませんでした。

 

エルナは、

仕事ではなく、

暇な時に花を作っている。

もし、バフォードにいた時のように

それを売ることができたら

そのお金を

祖母に送ってあげられると

大したことがないふりをして

答えましたが、

かなり切実そうに見えました。

 

パーベルは、

調べてみると返事をしました。

エルナが、造花を売って補っていた

生活費がないバーデン家の状況について

容易に推測できたからでした。

 

パーベルは

絵を売ったことのある

デパートのオーナーに、

造花を納品する方法があるか

聞いてみると言いました。

 

エルナは興奮して

お礼を言いました。

そのエルナを見ていたパーベルは

少し虚しくなって

笑ってしまいました。

 

エルナは相変わらずエルナだという

その事実が、

喜びと心配という相反する感情を

同時に抱かせました。

何気なく馬車の窓から外を見て

彼女を見た瞬間、ビョルンは

エルナだと確信しました。

近い距離ではなかったけれど

橋の上を歩いている女性は、

間違いなく、

彼のトロフィーを盗んだ

あの不埒な泥棒でした。

そして、彼女との距離が

もう少し縮まると、ビョルンは

彼女のそばにいる

若い男の存在を認知しました。

 

パーベル・ロアー。

覚えているか分からなかった

その名前を思い出した瞬間、

馬車は並んで歩く2人の横を

通り過ぎました。

 

ビョルンは、すぐに馬車の中へ

視線を戻しましたが、

煌めくように笑っていた女性の残像が

かなり鮮明に残りました。

 

花婿候補を探して社交界を物色し、

陰ではアカデミーの画家と

密愛を楽しむ、ずるい淑女。

さすが、

グレディス・ハードフォートの

後継者と呼ぶに値する。

 

馬車が繁華街に入る頃になると、

ビョルンは、

「ふざけている」と

明快な結論を導き出しました。

純真無垢な顔に騙されて、

あの女に振り回されている

無数のバカ野郎どもへの哀悼も

込められていました。

 

とにかく、ある日突然現れて

社交界をかき回している女のおかげで

今シーズンは

退屈しなくなりました。

はたして、

誰があの鹿の可憐な餌食になるか、

観戦する楽しみが、

かなりあるはずだからでした。

彼は、どんな演劇よりも楽しい騒ぎを

鑑賞した後、

掛け金を持って立ち去れば

済むことでした。

 

やがて、

神殿のように雄大な姿の

フレイル銀行の前に到着すると

ビョルンは無意味な記憶を消し、

馬車から降りました。

2人は、

来週も同じ時間、同じ場所で

再び会う約束をした後、別れました。

パーベルは送って行こうとしましたが

エルナは命がけで断りました。

メイドから

駅馬車に乗る方法を教わったと話す

エルナの顔からは、

無邪気な自負心が滲み出ていました。

 

パーベルは

遠ざかるエルナの後ろ姿の上に

彼女と初めて会った日の記憶が

ぼんやりと浮び上がりました。

 

晩春の午後。大雨が降り、

至る所に水たまりができた田舎道を、

ラバが引く車に乗って

父親の使いをしている途中だった

パーベルは、

泥水をかぶった姿で

とぼとぼ歩いている

幼い女の子を発見しました。

顔が分かるほど、近づくと

その子が、

バーデン男爵家の孫娘だということが

分かりました。

 

普段のように、知らないふりをして

通り過ぎる代わりに、パーベルは

衝動的に「乗せてあげようか?」と

尋ねると、

エルナは驚いて立ち止まりました。

しばらく悩んだ子供は

意外にも素直に車に乗りました。

村の子供たちとは付き合わない

高慢な貴族のお嬢さんというのは、

どうやらデマのようでした。

 

車に乗って行く間、

子供は澄ました顔で、

めちゃくちゃになった

靴だけを見下ろし、

一言も口をききませんでした。

 

余計なことをしたと後悔しましたが

すでに乗せた子供を

追い出すこともできないので、

パーベルは黙々と

ラバを走らせました。

 

車が止まり、子供が挨拶もなしに

飛び降りると、

かなりムカつく貴族のお嬢さんだと

思いましたが、

彼女は「これ」と言って

躊躇いながら

何かを差し出しました。

 

パーベルは

うっかりそれを受け取ると、

咳をするおばあさんが食べるような

まずい甘草の飴でした。

どんな反応をすべきか分からず、

パーベルがぼんやりしている間に、

エルナは腕に抱えた籠から

紙に包んだクッキーを

取り出しました。

 

子供が籠に入っている

すべての物を取り出す前に

パーベルはお礼を言いました。

そわそわしながら

顔色を窺っていたエルナは、

ようやく安堵の笑みを浮かべました。

その瞬間、パーベルは

子供が口をギュッと閉じていた理由が

分かりました。

 

子供は、前歯が一本抜けているのが

ばれたのが恥ずかしいのか、

すぐに口を閉じて、

バーデン家の邸宅の方へ

走り始めました。

そして、振り向いてお礼を言うと

小さく手を振りました。

 

遠さかっていたエルナが

突然向きを変えて彼の名前を呼ぶと、

あの日の少女のようにお礼を言い、

相変わらず、

ぎこちなく手を振りました。

 

パーベルは、

そこまでにしなさいと言う父親の声が

聞こえて来るような気がしました。

パーベルは、

その言葉が正しいこと。

彼女が妹に過ぎないこと。

これ以上、進展する何かが

存在しない間柄である事実を

今でも、快く

納得することができました。

 

パーベルも、あの日の少年のように

エルナに手を振りました。

適正ラインは依然として有効でした。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

マンガでは描かれていなかった

エルナとパーベルの

始めての出会いについて

知ることができて良かったです。

 

息子に対して、

厳しい言葉を言っているように

聞こえますが、

息子の絵の才能を認め、

自分の仕事の後を継がせることなく

絵の勉強をさせるために

都会に送り出したパーベルの父親は

先進的な考えの持ち主だったと

思います。

だからこそ、父親は、

エルナとの仲が

パーベルの才能を潰すかもしれないと

危惧したのかもしれません。

 

補足です。

銀行名のフレイルは、

レチェンの建国神話に出てくる

戦争と知恵の神の名で、

遠征に出た征服王フィリップ2世が

直接指揮した艦船の名前です。

いかにも、ビョルンの銀行らしい

名前だと思いました。

***********************************

いつも、たくさんのコメントと

温かい励ましのお言葉を

ありがとうございます。

明日も更新できるように頑張ります。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain