自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 27話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 21、22話 常識では理解できない女性

 

27話 エルナは、ひたすら造花を作り続けています。

 

機械的に動くエルナの指先から

咲く花々は、

今日も相変わらず美しく、

うず高く積もった造花とエルナの手を

交互に見つめるリサの目からは、

当惑の混じった驚嘆が

滲み出ていました。

 

エルナは何事もなかったかのように

穏やかでした。

傷が治るまで

外出を禁止するという

ハルディ子爵の命令に従い、

家の中に閉じこもって

造花を作り続けました。

たまに、ぼんやりと

虚空を凝視する瞬間がなければ

リサはエルナを

少し怖がるようになったかも

しれませんでした。

 

エルナは、

リサをたくさん待たせたことを

謝ると、最後に完成したバラの造花を

箱に入れました。

先週、納品した量の

優に三倍は越えそうでした。

 

リサは、エルナが、

無理をし過ぎだと思うと言って

心配そうな目で見ました。

父親に殴られた傷は治ったけれど

睡眠を削って

仕事に没頭しているため、

むしろ以前より顔色は

悪くなっていました。

 

エルナは

大丈夫。 このような暇つぶしにでも

集中していれば退屈しないからと

返事をし、暗い顔をしていても、

明るく笑いました。

 

エルナの充血した目と青白い頬を

ぼんやりと見ていたリサは、

ぎこちなく笑うことで

話をごまかしました。

大きな包みを持って

リサがデパートへ行くと、

寝室は静かになりました。

 

エルナは

窓際に置かれた椅子にうずくまり、

庭を見下ろしながら、

あと半月だけ耐えればいいと

パーベルと約束した日を

習慣のように数えてみました。

その数字が、

今の生活を支えていると言っても

過言ではありませんでした。

 

エルナは、

恥知らずでも、パーベルに

助けられることにしました。

夜逃げは、決して

淑女らしいことではないけれど、

世の中には、

例外が必要な瞬間も存在するという

新しい教訓を

非常な父親が教えてくれました。

 

詐欺に遭った父に

詐欺に遭ってしまった。

その事実を再確認すると、

エルナに、

再び込み上げてくるような鬱憤が

沸き起こりました。  

 

エルナは、

家の中に閉じこもっていた間、

父親が巨額の投資詐欺に遭い、

そのことで家計が急激に傾き、

娘を結婚市場に売ることで

起死回生を図っていることを

知りました。

その気になれば、

とっくに分かっていたはずの

浅はかな計略でした。

 

詐欺師は父親を騙し、

父親は自分を騙した。

詐欺の食物連鎖の一番下で

押しつぶされた馬鹿が

自分だと思うと、

あまりにも悔しくて

自尊心が傷つき、

眠るのが難しいほどでした。

 

自分を「一番弟子」と呼び、

賢い孫娘を、

とても誇りに思っていた

祖父のことを思うとなおさらでした。

 

エルナは、

あまりにも純真で甘かった

過去の自分に別れを告げて

力強く立ち上がると、

再び机の前に座りました。

たとえ逃げる決心をしたとしても

その日が来るまでは、

バーデン家の名誉のためにも、

引き受けたことを、

忠実にやり遂げるつもりでした。

 

エルナは当惑した表情で

手紙の山を眺めました。

すでに何度も

自分からの拒絶の返事をもらいながら

平気で同じ手紙を送って来る行動が

理解できませんでした。

そして、最近届く

若い紳士たちからの手紙には、

ボートレースの日に開かれる

夏祭りのパーティーで、

自分と一緒に船に乗って

花火を鑑賞しないかと

書かれていました。

 

リサは、

その日、一緒に船遊びをする相手を

見つけられないのは、

若い女性たちにとって

とても恥ずかしいことなので

誘いを断るだけではいけないと

エルナに助言しましたが、

彼女はすべて断りました。

 

夜中に、公然と、

見知らぬ男と船に乗るなんて、

とんでもない。

大都市の放蕩な風習が

全く理解できなかったエルナは

それに参加するよりは、むしろ

恥ずかしい淑女になった方が

良かったし、

半月後には別れる世の中に

自分を合わせる必要はないと

思いました。

 

エルナは、

この前より太いペン先と大きい字で

もう少し頑強な拒絶の意を込めて

今日も同じ内容の返事を書きました。

 

エルナが最後の返事に封をした時、

ノックもせずに

突然扉を開けたリサが駆け込んで来て、

息が切れそうに喘ぎながら

「どうしよう」と

慌てふためきました。

エルナはリサに

落ち着くようにと言い、

どうしたのかと尋ねると、

ようやく話ができるほど

呼吸が落ち着いたリサは、

泣きそうな顔でエルナを見て、

王妃殿下がお嬢様を読んでいると

絶望的に叫びました。

母方のアルセン公爵家

夏の別荘を訪問するため

二人の王子を乗せた馬車が

シュベリン宮殿の正門を出ました。

本来はレオニード一人で

向かう予定でしたが、王妃は

ビョルンを同行させました。

 

大公邸まで、

自ら歩いて行った王妃は、

おばあ様が、

どれだけあなたを愛していたのか、

一度、よく考えてみるようにと

訓戒しました。

それが異例なことだったので、

ビョルンは、やむを得ず

受け入れました。

 

王妃は概して寛大で穏やかでしたが

そうでないことに関しては

誰よりも頑固な面を見せました。

そのような時は、

素直に受け入れることが、

最も賢明な処世術であることを、

ビョルンは、よく知っていました。

それに、アルセン公爵夫人は、

誰よりも

最初の孫を愛した人でもあるので、

この程度の煩わしさを

甘受できないことも

ありませんでした。

熱烈だった愛が

どれほど大きな憎しみに

変貌できるかを

今は、証明してくれていますが。

 

レオニードは、

ビョルンのおかげで

退屈しない夜になると

軽い冗談を言いました。

どうでもいいというように笑う

ビョルンの顔には、

何の心配も見当たりませんでした。

 

離婚後一年間は、

彼に会おうともしなかった

アルセン公爵夫人は、

二年目には訪問を許し、

去年の冬からは

絶対に向かい合って座ったり、

言葉を交わしたりしないという

条件で、

同じ食卓に座ることを許しました。

 

レオニードは、おばあ様が

まだビョルンのことを

とても愛しているからだということを

知っているよね?と尋ねました。

ビョルンは返事もせずに

首を回して窓の外を凝視しました。

 

祖母には真実を教えたらどうかと、

今日もレオニードは

聞けませんでした。

すでにビョルンの答えが

分かるようだからでした。

 

ラルスの王家を除いて、レチェンで、

あのことを知っているのは

王と王妃とレオニードだけ。

もし、レオニードが、

王太子の座に就くことを

激しく拒否しなかったら、

ビョルンは彼にさえ、真実を

知らせなかったはずでした。

 

もし自分だったらと仮定してみる度に

レオニードは、ビョルンが

ものすごいと感じました。

自分だったら、

決してビョルンのようには

できなかったはず。

極度の無情さと責任感、

人に対する深い不信と配慮が

一人の人間の中に共存し得ることを

レオニードはビョルンを見て

初めて知りました。 

 

馬車が橋を渡り始めると、

レオニードは、

持ってきた本を開きました。

それと同時に、ビョルンは

とんでもなく愚かなやり方で

自分を待っていた女性が立っていた

花崗岩の柱に目を向けました。

 

女性と別れる前に、ビョルンは

自分が来なかったら

どうするつもりだったのかと

真剣に尋ねました。

いつ来るか分からない相手を

約束なしに待つというのは、

彼の常識では到底理解できない

範疇のことだからでした。

 

エルナは、

それがまるで当たり前のことでも

あるかのように

明日、また来てみようと思っていた。

宮殿と市内を結ぶ道は

一つだけなので、少なくとも一度は

あの橋を通るような気がしたと

自然に答えました。

 

自分なりの論理を

前面に押し出した彼女の説明が、

ビョルンを

さらに虚脱させました。

 

駅馬車の停留所がある通りに到着すると

エルナは

急いで馬車から降りました。

ビョルンは、

送って行くと言っても遠慮した女性を

あえて引き留めませんでした。

駅馬車の乗り方を知っていると、

まるで大きな成果のように

誇らしく語っていたからでした。

 

丁寧に挨拶をしたエルナは、小走りして

道の向こうに遠ざかりました。

馬車が出発すると、ビョルンは、

そのくらいで、

理解できない女性を忘れました。

スキャンダルが起こったのは

それから四日後でした。

 

いつの間にか馬車は

橋の中ほどに差し掛かり

ビョルンは風景から

目を逸らしました。

何気なく窓の外を見ていた

レオニードは、眉を顰めて

「誰だろう?」と尋ねました。

 

王室の馬車が

スピードを上げて走っていて、

馬車の窓越しに、ビョルンは

茶髪の女性を見ました。

エルナ。その名前の持ち主を

思い出させる女性でした。

イザベル・デナイスタは

のんびりした午後に、

談笑を楽しむために会った仲のように

笑顔でエルナを迎えました。

そして、使用人たちがいなくなると

落ち着いた目で

テーブルの向い側に座った

エルナを見ました。

緊張で凍りついた若い娘は

相変らず途方に暮れていました。

わけも分からないまま

突然、呼び出されたので、

それも当然でした。

 

まず、イザベルはエルナに

お茶を勧めました。

エルナは、恐縮ですと言うと

急いで茶碗を握りましたが、

お茶をこぼすのではないかと

心配になるくらい、

手が震えていました。

イザベルは

お茶の香りを味わいながら、

エルナを観察し始めました。

 

流行とかなりかけ離れた旧式のドレスと

化粧をしていない顔のせいか

社交の集まりで向き合った時とは

印象が全く違いました。

 

バフォードで、

エルナ・ハルディに関するすべてを

調査した侍従が

提出した分厚い報告書によれば、

エルナが

ハルディの名前を持ちながら、

事実上、バーデン家の家風の中で

育った淑女だと

結論を下していました。

イザベルは、そのため、

エルナに直接会うという決心を

固めました。

没落したが品位を失わずに生きてきた

正しくて善良な貴族の家柄で育った

お嬢さんなら、

社交界に流れている噂とは

違うのではないかという、

少しの期待が混じった好奇心が

彼女を焦らせました。

 

イザベルは、

落ち着きを取り戻したようなエルナに

ビョルンと、どのような関係なのかと

単刀直入に質問しました。

エルナはようやく顔を上げて

彼女と向き合いました。

大きくて美しい目が印象的な

若いお嬢さんは、

一気に社交界の注目を集めたのが

不思議でないほど、

ずば抜けた美人でした。

 

イザベルは、

二人の間に一体何があったのか、

一度話してみるように。

自分を欺むこうとはしないようにと

言いました。

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エルナが断りの返事を何度送っても

性懲りもなく手紙を送って来ることを

エルナは不思議に思い、

その手紙の中で

一緒にボートに乗ろうと

誘われていることを

言及しているシーンが、

マンガでは省かれていますが、

エルナが賭けのことを知った時に

このことを思い出して、

自分が賭けの賞品にされたことを

より実感したのではないかと

思いました。

 

原文で、

エルナと会っている時のイザベルが

王妃ではなくイザベルと

書かれているのは、

この時のイザベルが王妃としてではなく

ビョルンの母親として会っていることを

暗示しているのかと思いました。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

次回は、土曜日に更新いたします。

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