自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 41話 ネタバレ 原作 あらすじ マンガ 30話 片をつける

 

41話 エルナは倒れた祖母の看病をしています。

 

絶対的な安定が必要だという

医師の助言を聞いた瞬間、

エルナは、都市の放埓に染まった

分別のない孫娘と

誤解された方が良いと思いました。

そして、今も、

その考えは変わりませんでした。

 

エルナは窓にもたれかかって

病院の廊下を見ました。

病院へ駆けつけて

意識のない祖母を見たエルナは、

危うく、息が止まってしまうかと

思いました。

倒れた祖父を発見した日の記憶が

蘇ったからでした。

 

祖父は心臓麻痺で

書斎の床に倒れたまま

息を引き取りました。

その姿を初めて発見したのは

ティータイムを知らせに行った

エルナでした。 

祖母が倒れた理由も

心臓に無理がかかったためだと

聞きました。

 

もし人の多い都市の真ん中で

倒れたのでなかったら。

もう少し遅れて病院に到着していたら。

祖母の心臓がもう少し弱かったら。

そのせいで、祖母も祖父のように、

ある日、突然、お別れの一言も言えずに

逝ってしまったら、

そんな仮定をするだけでも

涙が溢れ出ました。

もし、そんなことになっていたら

エルナは一生、

自分を許さなかったはずでした。

 

エルナは、

運命を愛せよという

これまで人生を支えてきた信念を

思い出しながら、熱くなった目頭を

ギュッと押さえました。

こういう時こそ、

強くならなければならないので

自己憐憫

陥りたくありませんでした。

 

まずは、祖母が

健康を回復することだけに集中し

長い距離を移動できるほど回復したら

一緒にバフォードに戻ればいい。

そして、

パーベルに借りることにしたお金で

借家を探し、

この都市のことはきれいに忘れて、

そこで新しい人生を・・・と

考えていたところで、

突然「絶対的安定」という

医師の助言が何度も思い浮かび、

エルナの顔の上に

絶望の色が浮かびました。

 

一生の思い出が込められた

大切な邸宅を失い、

借家を転々とする人生に、

絶対的な安定が存在し得るのか。

エルナは自問するかのように

窓に映った自分の顔を見ました。

 

きっと、祖母に大きな混乱を

もたらすことになるだろうと

思いました。

 

しかし、

他にどんな方法があるだろうか。

田舎の家を守れる道は、

もうどこにもありませんでした。

トーマス・バーデンのプロポーズを

受け入れることが、

一番簡単な道だったかもしれないという

気がすると、

自分が限りなくみすぼらしくて

惨めになりました。

最善を尽くした努力が、

諦めに及ばない結果をもたらした。

認めたくないけれど、今、

エルナの目の前に広がっている現実は

確かにそうでした。

 

石像のように、

その場にぽつんと立っていた

エルナは、夕方になって

ようやく窓から離れました。

見舞い客で賑わっていた

病室の前の廊下は、

今は、閑散としていました。

 

エルナは、

廊下の隅にあるベンチに座り

化粧を直しました。

いくら努力しても、

リサがしてくれたように

うまくいきませんでした。

努力すればするほど、

ますます悪くなるのが、

まさに目の前の現実のようでした。

 

ゆっくりと息を整えたエルナは

バカみたいな化粧を

落としてしまいたい衝動を抑えながら

立ち上がりました。

長くなった夕方の影が、

病室に向かう重い足取りの後を

付いて来ました。

 

病室のドアを開ける前、

エルナは仮面をかぶるように

微笑みました。

大き過ぎて手に負えない現実に

押さえつけられて息が詰まっても

依然として、

この人生を愛したいと思いました。

そんな自分が恥ずかしくて悔しい分、

エルナの笑みは

明るくなって行きました。

ピークを過ぎた夏が終わるのに、

どこへ行っても

エルナの名前は、まだ熱く語られ

彼女を噛み砕くことは、

今や一種の狂気に近い遊びに

なっていました。

 

ビョルンは、

耳鳴りのようにグルグル回る

その名前を消すように、

ゆっくりと目を開けました。

 

そろそろ終盤に入った

カードゲームは、随分前に、

最初の熱気が冷めていました。

いつの間にか夜が明けていたので

それも当然でした。

 

ビョルンは、

カードテーブルに頬杖をついて

座ったまま、

カーテンの隙間から入って来る

朝の日差しを眺めました。

 

この数日間、

耳にタコができるほど聞いた

エルナという名前が、

再び意識に浮び上がって来た瞬間

ウェイターが入って来ました。

慎重にカップを置いた彼は、

静かに退きました。

 

真っ赤になった目の周りを

撫でていたビョルンは、

そのカップを握りました。

渋めの濃いお茶を一杯飲むと、

初めて、ぼんやりしていた頭の中が

すっきりしました。

あの女の名前も、

やはり鮮明になりました。

 

聞いたところによれば、

エルナは、

まだ祖母の看病をしながら

病院に留まっているらしい。

 

人目を意識するなら、

助けるふりをしても良さそうだけれど

ハルディ子爵は、今更、

評判を気にする必要がなくなったのか、

徹底的にバーデン男爵夫人を

無視している。

そんないい加減な父親に代わって

病院代を払っているのは、

パーベル・ロアー。

あの女と夜逃げをしようとした

画家でした。

 

ふざけている。

家族のような友人だと、

真顔で釈明していた女を

思い浮かべながら、ビョルンは、

少し笑いました。

 

非常に高い確率で金は嘘をつかない。

この世に、

好きでもない女にお金を使う

間抜けな男はいない。

 

ビョルンは、彼らが

友達であれ、家族であれ、

恋人であれ、これ以上、

気にしたくありませんでした。

 

ビョルンは自嘲すると

カップを下ろしました。

いつの間にか、

自分の順番になっていました。

 

そろそろ、この退屈なゲームを

終えることにしたビョルンは、

必勝の手札を淡々と投げました。

すでに自暴自棄になった

プレイヤーたちは、

純粋に敗北を受け入れました。

 

微かな苛立ちを含んだため息を

長く吐き出したビョルンは、

椅子に深々と座って目を閉じました。

勝利を収めても、

気分が良くなりませんでした。

どうやら、一日でも早く、あの女に

お金を送るのが良さそうでした。

 

プレイヤーたちが次々と去って行く

騒々しい気配が止んだ後、

早朝特有の澄んだ静けさが

ビョルンを包み込みました。

 

最後まで残っていたペーターは

慎重に彼の名を呼ぶと、

ビョルンは、

ゆっくり彼の方を向きました。

 

ペーターは、

ハルディさんは悪い女ではないと、

躊躇いながら言いました。

ビョルンは、

「それで?」と聞き返しました。

またエルナだと思いました。

 

ゆっくり目を開けたビョルンは、

冷ややかだけれど、沈んだ目つきで

ペーターを見つめました。

 

「えーっと、それで、

俺の言いたいことは・・・」

と言いかけたところで、

緊張したペーターは

乾いた唾を飲み込みました。

 

ややもすると鋭い猛獣のような

王子を怒らせることに

なるかもしれませんでしたが

だからといって、

知らないふりをするには

エルナ・ハルディへの心の借金が

大き過ぎました。

 

レチェンの生ける恋愛小説である

ビョルン王子とグレディス王女の

熱烈なファンを自任する彼の母親、

そして、祖母と妹、幼い甥っ子まで、

最近、全力を尽くして

エルナ・ハルディを中傷していました。

ある日、

突然登場した悪役を退治するために

皆一丸となっていました。

 

男たちも同様で、

特にビョルンに、あまり良い感情を

抱いていないけれども、あえて

立ち向かうことができなかった者たちは

これまで抑えてきた悪意を

全てエルナに対して

吐き出していました。

ビョルンが、

彼女に本気でないことが

幸運に思えるほどでした。

もし、ビョルンが本気だったら、

相当、酷い目に遭った人が、

一人や二人ではないはずだからでした。

 

ペーターは、

いい加減にしたらどうか。

このままでは、本当に、

再起不能な状態にまで

追い込まれてしまう。可哀想だと、

ペーターは、

ぎこちなさそうな笑いを交えながら

不快な会話を終えました。

ビョルンは肯定も否定もせず、

天井を見上げました。

「いい加減にしろ」と、皆、

ペーターのような話をしました。

もちろん、その理由はペーターとは

全く違っていましたが。

人々は、まだ、元王太子夫妻の再婚を

熱望していました。だから、

いい加減にしろ。

あの取るに足りない女と片をつけ、

自分たち全員が望むハッピーエンドを

見せて欲しいと訴えました。

そのような要求は、

一線を越えていました。

 

大公邸に押しかけて来たルイーゼは、

どうか、あの女と別れてくれと

涙ながらに訴えました。

この調子だと、夏中、

退屈で疲れる回りくどい同じ言葉を

聞くことになりそうでした。

 

そんなことを考えていると

ビョルンは、耐えられないほど

退屈になりました。

この、うんざりした夏の日々と

無意味な騒ぎ。残りの人生の日々まで

全てが、そうでした。

 

ビョルンは目を細めて、

山積みのポーカーチップを見ました。

あの女の言葉や顔。

恥ずかしい連中。

赤毛の画家とグレディスが、

その上に、短く浮かび上がり、

消えて行きました。

 

エルナが消えても、

この噂は終わらない。

自分とグレディスのどちらかが

再婚するか死なない限り、

別の女、また別の女と

狙われて行くだろう。

エルナ・ハルディと結婚しろという

命令を下した父親の心境も、

このようなものだったのかも

しれないという気がしました。

 

確かに、

最初も愛なしで結婚し、

愛なしで離婚しました。

政略結婚だから、私的な感情を

排除したわけではなく、

ビョルンにとっては、愛が最初から

無意味だったからでした。

彼は、そんな曖昧な概念よりも、

単純で明瞭な感覚と数字を

信じていました。

善か悪か。得をするか損をするか。

それを、もっともらしい名分で包んで

自分を欺く。

感情的な贅沢を楽しみたい気持ちは

まるで、ありませんでした。

 

グレディスだけでなく、

他のすべての女に対してもそうで

エルナ・ハルディも同様でした。

あの女が与える利益が、

損害より大きければ、愛なしで、

もう一度、結婚できない理由も

ありませんでした。 

 

それなら、

はたしてエルナはどうなのか。

ビョルンは、

その名前を天秤にかけ、

静かに集中しました。

 

彼女は美しかったので、

それ以外、

特別な利益を与えることができない

赤字だらけの

むちゃくちゃな帳簿でも、

彼女を楽しむ時間の効用を

彼は喜んで認めました。

それに、大公妃の席が埋まれば、

少なくとも、これ以上、

グレディスの名前を聞かなくても

済むだろうと思いました。

その静けさは、

ウォルター・ハルディを

甘受するだけの価値があると

思いました。

そうやって足して、また引けば

差し引きゼロ。

 

乱れた髪を、

ゆっくりかき上げたビョルンは、

カードテーブルに手を伸ばして

チップを一枚手に取りました。

このような状況が与える迷惑は

ますます大きくなり、彼の忍耐は

今や臨界点に達していました。

 

どうせ、カードのテーブルから

始まったことなので、

ここで終わらせるのも

悪くはありませんでした。

 

表と裏。 ビョルンは、

それぞれのケースの場合、

どうするかを、無情に決めた後、

チップを高く投げ上げました。

 

カードルームを出ようとした

ペーターは、足を止めたまま

ぼんやりと彼を見守りました。

日光が輝く空中に飛び上がった

チップは、すぐにビョルンの手の中に

戻って来ました。

ゆっくりと指を広げると

数字が見えました。 表でした。

手に握ったチップを

じっと見下ろしていたビョルンは、

失笑して立ち上がると、

ジャケットを手に取りました。

 

困惑したペーターは、

何をしているのかと質問をしました。

ビョルンは、「片をつける」という、

曖昧な答えを残して、

悠々とカードルームを出ました。

王子を乗せた馬車は、

シュベリン宮とは反対の方向へ

走り始めました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

家の問題。家族の問題。

19歳のエルナの小さな肩にのしかかる

責任が重すぎて、手に負えないのに

「運命を愛せよ」という信念を支えに

何とか活路を見出そうと

頑張って来たエルナが、

どんなに努力しても、

ますます悪くなると

絶望に近い心境になっているのは

今が、本当に、

人生のどん底にいるからなのだと

思います。

そのエルナを助けに来てくれた

ビョルン。

今まで、エルナが

ビョルンのことを

好きでなかったとしても、

今回のことで、

一気に恋に落ちたと思います。

 

好きでもない女にお金を使う

間抜けな男はいないと

考えているビョルン。

ということは、エルナに

お金を渡そうとしているビョルンは

エルナのことが

好きなのではないかと思いました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain