自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 63話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 初雪が降った日

 

63話 皆の笑いを誘った芝居を最後に、下級クラスの子供たちが公演した第1部が終わりました。

 

第2部で公演をする兄弟がいる

子供たちは、両親と一緒に残り、

早く寝なければならない

小さい子供たちは帰路につきました。

 

モニカの家族は、馬車に乗る瞬間まで

本当に申し訳ないと

レイラに繰り返し謝罪しました。

彼女は、

そんなこと言わないで。

大丈夫だからと返事をしました。

 

それでも、モニカの祖母は、

モニカのせいで、

先生があんなに大恥をかいたと

深刻な言葉を口にしたので、

レイラはビクッとしました。

 

モニカの家族を見送ったレイラに

グレバー先生が近づき、

優しい笑みを浮かべながら、

熱いコーヒーでも飲まないかと

誘いました。

レイラは、

ありがたいけれど、自分はしばらく

一人でいなければならないようだと

返事をしました。

グレバー先生は、

大丈夫。可愛かったと慰めました。

しかし、レイラは、ニッコリ笑うと

あまり慰めにならないのは

知っていますよねと、

いたずらっぽく言い返しました。

すると、グレバー先生は、

今日、ルウェリン先生は

本当に大変なことをやり遂げた。

貴族の招待客はなかなか笑わないのに

あそこまで、とても楽しく

笑わせたではないかと慰めました。

しかし、レイラの絶望は、

さらに深まりました。

 

きっと、彼も見ただろう。

なんということだと

レイラは心の中で嘆きました。

 

グレバー先生は、

ルウェリン先生のおかげで

寄付金が増えることになったので

校長先生も喜んでいたと言いました。

レイラは、今夜は校長先生が

本当に憎いと言うと、

ため息をついて笑いました。

 

グレバー先生を先に行かせると、

本当に一人になる時間が必要なレイラは

公会堂の裏側にある公園に

とぼとぼ歩いて行きました。

白い息のように、魂が抜け出して

散らばってしまった気分でした。

 

一体、自分が何をしたのか。

人通りのない公園の隅のベンチに座った

レイラは、まず足を苦しめる靴を脱ぎ、

そして、夜空を見上げて、

我慢して来たため息を

自然に漏らしました。

それでも、依然として、

このように息をしているのを見ると

恥ずかしさが、人の命を奪うことは

できないようでした。

 

ウワーッとレイラは絶叫しました。

恥ずかしくて、たまらないだろうから、

人のいない所へ逃げるだろうし、

不便な靴に耐えられない女だから、

おそらくベンチのあるどこか。

しかし、かなり臆病だから

街灯一つくらいはある所で、

木が立っている所ならなおさらいい。

 

「やっぱり」

マティアスの予想通り、レイラは、

公会堂の裏手の公園の片隅の

大きな木一本と街灯のそばに

置かれているベンチに

靴を脱いだまま、

夜空に向かってため息をつきながら

ぽつんと座っていました。 

 

マティアスは

ゆっくりとした軽い足取りで

レイラに近づきました。

彼の影の先がベンチに届く頃になって

レイラは、

びっくりして頭を上げました。

ハッと息を呑む音が

小さく聞こえました。

 

どうやって・・・

周りを見回したレイラは

再び彼を見た後、突然、足を伸ばして

脱いでおいた靴を

ギュッと押さえました。

靴を奪われた夜のことを

思い出したようでした。

 

警戒に満ちた目つきを見た

マティアスは軽く笑うと、

そんなことをすれば、

持って行かれないと思うのかと

靴を見ながら冗談を言いました。

 

レイラは慌てて靴に足を押し込み

ストラップをしっかり締めて、

ぱっと立ち上がると、

ほっとした表情をしました。

 

パタパタと、

一人で忙しそうにしている仕草が

以前と同じように軽やかなのを見ると

「治ったのか?」という質問は

必要なさそうでした。

 

マティアスはレイラに

座るよう指示しました。

しかし、レイラは断り、

街灯の下まで後ずざりしました。

マティアスは、気に障りましたが、

これ以上関与しないことにしました。

ガス灯の、

ほのかな明かりの中に立っている

女の姿がとても気に入ったからでした。

 

マティアスは、

教師より俳優になってみたらどうか。

君より多くの観客を笑わせた俳優を

まだ見たことがないと言いました。

 

それを言うために来たのだろうと

思ったレイラは、唇を閉じたまま、

視線を落としました。

そして、あれが生半可だったのは、

自分も知っていると弁解をすると、

マティアスは「少し?」と聞き返し、

声を出して笑いました。

 

レイラは、恥ずかしさが

人の命を奪えるのではないかと

思うくらい恥ずかしくなり、

さらに唇を噛みしめました。

捻りながら組んだ手も、

イライラして震え始めたので、

自分はこれで失礼すると

言おうとしたところ、マティアスは

「きれいだ」と言いました。

 

何とかして彼から逃れようと

顔色を窺っていたレイラは、

予想外の一撃のような言葉に

呆然として頭を上げました。

マティアスは、

彼女をじっと見ていました。

 

「ありがとう」とお礼を言うには

あまりにも馬鹿げているし、

「違います」と言うのも

情けないと思いました。

 

結局、レイラは必死に悩んでも、

言える言葉を見つけることが

できませんでした。

 

むしろ何も言わずに逃げようか。

しかし、結局、しばらくすれば

捕まってしまうはず。

 

レイラは、

ビルおじさんが買ってくれたと

何とか最善の答えを思いつきました。

ネックレスのことではないということを

分かっているけれど、

今夜、何度も、

ネックレスを褒められたので、

もしかしたら、

ネックレスのことかもしれないと

思ったからでした。

 

眉を顰めてレイラを見ていた

マティアスは、

再び笑みを浮かべました。

ほんのり赤い頬から白い首筋へ。

そしてその首にかかった

エメラルドのネックレスへと

ゆっくり動く彼の視線に、レイラは、

ますます気分が変になり、

肩をすくめました。

 

マティアスは、

気に入ったかと尋ねました。

レイラが「えっ?」と聞き返すと、

マティアスは、

そのネックレスと答えました。

レイラは「はい、もちろんです」と

確信を込めて答えました。

 

それが何でそんなに面白いのか、

公爵は低くて柔らかい声で

再び笑いました。

 

こんな風に笑うことを

知っていた人だったのか。

レイラは公爵の見知らぬ姿に戸惑い、

しばらく、

注意深く彼を見つめました。

笑うのを止めたマティアスも、

深まった瞳いっぱいに

レイラを湛えました。

 

黙って見つめ合っていた

二人の静かな時間を、

木の枝の上に座っていた一羽の鳥が

乱しました。

 

鳥の羽ばたきの音にレイラは

ひどく驚き、ふらふらしました。

もしかしたら、誰かに

見られるかもしれないという

気がして、

全身が凍りつくような恐怖も

一緒に押し寄せて来ました。

 

早く戻らなければならないという

考えにとらわれて、

足を踏み出したレイラは、

一歩も踏み出すことができずに

マティアスに捕らえられました。

短い悲鳴を上げている間に、

硬直した背中が、

冷たい街灯に触れました。

レイラの前に立ちはだかった

マティアスは、

いつものように大きくて頑丈でした。

 

レイラは泣き顔で、

「叫びますよ」と言って、

マティアスの胸板を押しました。

 

好きなようにしろと、

淡々と返事をしたマティアスは、

片手でしっかりとつかんだ

小さな顔を、

隅々まで調べました。

必死にもがいてみても、

レイラは彼の目一つも

動かすことができませんでした。

 

マティアスは、

何かを探すかのように、

執拗にレイラを見ながら、

どこに隠したのかと尋ねました。

 

レイラは、びっくりして息が止まり

ひどく震えた声で

自分が、一体何を隠したというのかと

聞き返すと、途方に暮れた目で

彼を見ました。

 

しばらく、レイラの顔を見ていた彼は

若干、虚脱感が滲み出るため息を

吐きました。

ようやく、微かな糸口を

見出したかと思いましたが、すぐに

また姿を消してしまいました。

その事実が癪に触って

かなり苛立たしさを覚えましたが、

今、彼の目の前にいる女の顔は

その未熟な欲望を消し去るほどの

美しさでした。

 

マティアスは、ゆっくり

頬から顎へ手を下ろし、

細長い首を包み込みました。

指先に冷たい真珠が触れると、

意識しないうちに、首筋が蠢きました。

 

肌が弱いので、

簡単に痕が残る体でした。

だから力いっぱい握れば

手の痕が残るだろう。

いや、それよりは思い切り吸って

全身に自分が残るように、

赤い痕跡を刻むのはどうだろうか。

 

いくらでも、

そうすることができる女を前にしても

マティアスは、

再び虚しいため息をつきました。

怖がって硬くなった首筋を

優しく撫でた手で、マティアスは、

再びレイラの頬を包みこみました

指先に触れた唇が

しっとりして温かでした。

 

彼女の中も、こうだろうと思った

マティアスは、開いた唇の間に

指を押し込みました。

レイラは目を丸くしました。

そして、その指は、

すぐに柔らかい舌に触れました。

その時、

レイラは、彼の指を噛みました。

まともに力を入れることができず、

痛いどころか、さらに

眩暈がするような刺激だけを与える

その呆れた抵抗に、

マティアスは笑いました。

 

彼は、

相変わらず自分の指をくわえている

女を見下ろしながら、

もっと強く。そうした方が痛いと

まるで助言でもするかのように

優しく囁きました。

 

やはり、狂っている。

笑うマティアスに呆れ果てたレイラは

思わず気が抜けて

くわえていた彼の指を

放してしまいました。

もっと強く噛んで痛みを与えても

マティアスは、

止めるつもりがなさそうでした。

 

レイラが静かになると

マティアスは指を抜き、

レイラの唾液で濡れて輝く指で、

ゆっくりとレイラの唇を触りました。

 

キスをすれば、また拒否するだろう。

そうは言っても、

この女の抵抗一つを制圧することくらい

虚しいほど簡単なことでした。

今までそうだったように、

マティアスは、いくらでも

自分の欲を出せば良いことでした。

けれども、マティアスは、

なかなか唇を下ろすことができず

ただ、両手でしっかりと包んだ

レイラの顔だけを見下ろしました。

 

彼は、

自分を叩いて押しやるのではなく

喜んで自分を受け入れ、

小さな手で抱きしめ、

撫でてくれる、その瞬間と

その喜びを考えてみました。

 

マティアスは、

レイラの顎をいじっていた手を

下ろし、白い首筋を撫でました。

どうすればいいのか分からず

途方に暮れ、自分でも知らないうちに

乾いた唾を飲み込みました。

 

クソっ。

悪口がこみ上げてきそうなので

ギュッと拳を握っていた手で

再び、そっとレイラの頬を

包み込んでみました。

そして結局、静かなため息をつくと

レイラを手放しました。

 

戸惑っていたレイラは、

彼が一歩退いた後に

ようやく安堵の表情を浮かべました。

そして、すぐに

逃げると思っていましたが、

意外にもレイラは、

その場にじっと留まりました。

物思いに耽っているように、

しばらく目を伏せてから、

また彼を見て、少ししかめっ面をし、

そして再び、何度も

マティアスを見つめました。

その間ずっとマティアスも

ただレイラだけを見つめていました。

 

馴染みのない奇妙な気分の中で

道に迷ったような気がする頃、

冷たくて柔らかい何かが

睫毛の上に落ちました。

レイラは、

ビクッとして顔を上げました。

マティアスも、

ゆっくりと顔を上げました。

初雪が降って来ました。

2部の公演が終わった頃には

夜が更けていました。

 

後片づけを終えたレイラは、

足早にホールを横切りました。

どうしても歩いて行くのは

大変な天気なので、

アルビスの近くまで行く

駅馬車やバスに

乗らなければならないようでした。

もうすぐ最終の便が出る時間なので、

自ずと、気持ちが焦って来ました。

 

公会堂の階段を降りたレイラは、

「レイラ!いやルウェリン先生!」

と、自分を呼ぶ、聞き慣れた声に驚いて

振り返りました。

ビル・レマーの友人であり、

アルビスの御者であるペト氏が、

レイラに向かって

大きく手を振っていました。

 

ペト氏は、

さあ、早く行こうと言って、

公会堂前の道路に停まっている

ヘルハルト家の馬車を指しました。

紋章を見ただけで、

その男の顔が思い浮かんだので、

レイラは反射的に首を横に振り、

「自分は一人で・・・」と

断りましたが、ペト氏は、

老奥様の命令だと言いました。

レイラは呆然としました。

 

ペト氏は、

どうせアルビスに帰るところだから、

一緒に帰ればいいと、

老奥様が言っている。

早く行こう。 二人が君を待っていると

言いました。

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レイラの居場所を推察したり、

レイラのいつもの仕草を

知っていたりと、マティアスは

どれだけレイラのことを

よく観察していたのでしょう(笑)

何の関心もなければ、

ここまでレイラの行動を

把握できるわけがないので、

マティアスは、知らず知らずのうちに

レイラの行動一つ一つに

注意を払っていたのだと思います。

マティアスとクロディーヌは

子供の頃からの知り合いだけれど、

きっと、クロディーヌの行動を

ここまで推察することはできないと

思います。同じくリエットのことも。

マティアスにとってレイラは、

生まれて初めて、

本気で関心を寄せられる相手なのだと

思います。

そして、レイラのことを

「きれいだ」と褒めたり、

レイラに、

叩かれて押しやられるよりも

抱き締めて撫でて欲しいと

思うようになったマティアス。

マティアスが人間らしい感情を

持てるようになったことが

嬉しいです。

 

馴染みのない奇妙な気分。

今まで見たことのない

マティアスの笑顔を見たことで、

レイラの感情にも

変化が訪れたように思いました。

 

カテリナは

自動車を信用していないので

馬車で来たのですね。

カテリナは、

夜の雪道を一人で帰る

レイラのことを心配して

馬車に乗せてあげることにしたのだと

思います。

使用人思いの立派な方だと思います。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

新たに

コメントしていただく方も増えて

「問題な王子様」に負けず劣らず

こちらも賑わって来たのが嬉しいです。

貴重なお時間を割いて、

コメントしていただき、

本当にありがとうございます。

 

それでは、

次回は月曜日に更新いたします。

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