自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 66話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 恐ろしい轟音

 

66話 レイラ宛に、またカイルから手紙が届きました。

 

今回はかなり分厚い手紙でした。

郵便配達員は低く沈んだ声で、

どうするつもりかとビルに尋ねました。

秋から今まで、

彼はカイルの手紙を盗む

ビルの密かな共犯者に

なってくれていましたが、

ビルと同じく、

心が重くなっていました。

 

郵便配達員は、

いつまでも隠し通すことはできないと

言いました。

ビルは頷いて、

分かっていると答えると

深くため息をつきました。

 

ビルは、

自分から話すのでレイラには・・・

と言うと、郵便配達員は

そうすべきだ。

自分は何も言わないと答えました。

 

ビルは、

こんなことに巻き込んでしまった

郵便配達員に謝りました。

彼は、

これがすべて

レイラのためだということを

自分が分からない訳がない。

誰よりもビルの気持ちが複雑だろうと

その気持ちを、

すべて理解しているかのように

微笑みました。

 

郵便配達員は、レイラを、

このアルビスに配達してくれた

張本人なので、その前とその後で

ビルの人生がどれほど変わったか。

そして、彼を変えたのが、

まさに、あの子への愛であり、

そのように変わったことで、

彼がはるかに幸せな人に

なったということを、

誰よりもよく知っていました。

 

郵便配達人が去ると、

ビルは手紙を持って小屋に戻りました。

レイラは出勤して家は空っぽでした。


ビルは、

手紙をまとめている引き出しに

新しい手紙を入れようとしましたが

衝動的に手紙の束を取り出して

握りました。

事実を話せば、

レイラはがっかりして怒るだろう。

それが怖かったけれど、このまま

隠し続けることはできませんでした。

 

手紙を紐で縛ったビルは、

今日の夕方には話をするつもりで

それを食卓の端に置きました。

ここに置いておけば、

再び口をつぐむという卑怯なことは

できないからでした。

そう心に決めたら、

むしろ気が楽になりました。

いくら考えても

レイラが選ばせるのが正しい。

そして、その決定に

全面的に従うことにしました。

 

鶏小屋を見て、

夕方に捕まえる太った奴に

目星をつけておいたビルは、

公爵邸のガラスの温室に

向かいました。

 

そして、普段のように

花壇の手入れを終えて

温室の隣の倉庫に行き、

暖炉用の薪を割ろうとした時、

このアルビスで長年一緒に働いて来て

友人でもある飼育士が

彼に近づいて来て、

発電機のそばに

薪を積んでおかないでくれと

執事が頼んでいたと、

笑いながら伝えました。

その言葉に、ビルは眉を顰めました。

 

邸宅に、電気という奇妙なものを

導入するようになり、

倉庫に発電機が設置されました。

それが回って電気を作るそうだけれど

ビルにとっては

ただ恐ろしい轟音を鳴り響かせる

悩みの種に過ぎませんでした。

 

ビルは、

勝手にやるので心配不要だと

ブツブツ呟くと、

温室の隣の倉庫に向かいました。

ドアを開けるや否や、

発電機が回る音が鼓膜を震わせました。


このクソッタレ。

あの音はいつ聞いても同じだと

悪態をつくと、

ビルは敵にでも会ったかのように

発電機に向かって目を剥きました。

最近、世の中から出てくる、

何がなんだか分からない

文物に対する拒否感は、

ビルと老婦人の共通点でした。

 

電気がなかった時代には

静かだった倉庫の中に入っている

家ほどの大きさの

招かれざる客を睨みつけたビルは、

これ見よがしに

発電機のそばに薪を積みました。

こうして防音壁を作っておけば、

あのおぞましい音が少しは減り、

働きやすくなりました。

 

今日は、特に奴がうるさい。

首を横に振ったビルは

倉庫の奥に積んでおいた薪まで

泣き叫ぶ発電機の横に

移動させ始めました。

 

昔の時代が良かったと、

老婦人が口癖のように

いつも言っているその言葉に、

今日はさらに深く共感しました。

休みを迎えた子供たちは

飛び跳ねるように喜ぶか、

ひどく悲しむという

両極端の反応を示しました。

 

最も深い悲しみに陥ったモニカは、

今日もレイラのスカートいっぱいに

涙の跡を残した後、家に帰りました。

何度も振り向き、手を振り、

また、すすり泣いて、

遠ざかっていくその子に

レイラも、長い間手を振りました。

この学校を離れることで、

モニカを大きく傷つけそうなのが

一番気にかかりました。

 

転勤する前に、

一緒に過ごした子供たちに

必ず別れの言葉を

伝えなければならない。

 

そう決心して教室に戻ったレイラは

せっせと荷物をまとめました。

鶏を焼くためには、

いつもより早く夕食の準備を

始めなければなりませんでした。

 

そして、帰りに、

おじさんの新しい靴下と

セーターも買って、

一緒に飲むワインも一本

用意するつもりでした。

次の学期から、他の都市で

勤務することになるという話を

伝えると、おじさんはきっと

寂しがるだろうから、

和解のためのお酒が一杯

必要になるかもしれませんでした。

 

上履きを脱いで

靴を履こうとしていたレイラは

思わずクスクス笑ってしまいました。

チャリティー公演の夜、

ベンチの前に近づいてきた公爵が

脱いでおいた靴を見ながら

「そんなことをすれば、

持っていけないと思うのか」

という冗談が、

ふと思い浮かんだからでした。

棺桶に横たわるその日まで、

冗談など一言も言わないと思っていた

公爵が、そんなことも言えるなんて、

考えれば考えるほど不思議でした。

 

世の中が静寂に包まれる季節が

訪れたおかげなのか、

あの男との関係も最近は平穏でした。

最初はそれさえも不安でしたが

いつしか、

安心するようになりました。

 

その理由が気になりましたが、

深く考えたくありませんでした。

ただ単に、興味が

なくなったのかもしれないし、

レイラが

最も望んでいたことでもありました。

 

レイラは自転車のカゴに

所持品の箱を載せて学校を出ると、

いつもよりスピードを出して

市街地へ向かいました。

カゴに入りきらなかった

かさばる品物は、後部座席に

紐でしっかりと括り付けました。

 

荷物を積むのを手伝ってくれた

食料品店の店主は、

レマーさんによろしくと

笑いながら言いました。

「また会いましょう」と

挨拶をするレイラに、

転んでお酒の瓶を割ったら、

レマーさんが、

わんわん泣くかもしれないと

冗談を言うと、レイラは

陽気な笑顔で答えました。

それから、レイラは、

スピードアップして

アルビスまで自転車を走らせました。 

 

ところが公爵家に向かって走っていく

消防馬車を見たレイラが

自転車を止めると、

涙で顔がぐちゃぐちゃになった

モナ夫人が

レイラの名前を叫びながら、

無我夢中で走って来て

彼女の手を握りました。

 

レイラは、周囲を見回しながら、

これは一体どういうことなのか。

どうしてアルビスが・・・と

尋ねている途中で、彼女の視線が

公爵邸とつながっている温室の方から

立ち上る煙の上で止まりました。

レイラは、

まさか、火事でも起きたのかと

尋ねると、モナ夫人は、

それよりもっと大変なことが起きた。

発電機が爆発し、

ガラスの温室の半分が崩壊したけれど

それがレマーさんのせいらしいと

答えました。

 

レイラは驚き、

ビルおじさんがどうしたのかと

尋ねました。

モナ夫人は、

発電機が爆発したのは、

レマーさんがやったことが

原因らしいけれど、

何を言っているのか、

自分も気が気でないので

よくわからない。

そのことで、老婦人も怪我をして、

今、邸宅全体が

大騒ぎになっている。

炎はすぐに収まったようだけれど

今、警官たちが、レマーさんを・・・

と答えました。

 

警官と一緒に車に乗り込もうとする

ビルを発見したレイラは驚愕し、

そこへ駆けつけました。

魂が抜けたように、

ボーッとしていたビルは、

レイラと目が合うと、

途方に暮れた顔をしました。

 

レイラは、

これはどういうことなのか。

おじさんのせいだなんて、

違いますよね、 誤解ですよねと

尋ねました。

 

ビルは、

大丈夫。大したことではないと

答えると、

無理矢理、笑ってみようと

努力しましたが、彼の顔は

すでに真っ青になっていました。

 

ビルを捕まえていた警官は、

レイラに向かって、

退いてくれないかと命令しました。

レイラがじっと立っていると

彼の目つきが険しくなりました。

驚いたモナ夫人が慌てて近づき、

レイラを引っ張りました。

 

警官の車に

押し込められそうになるビルを見た

レイラが「おじさん!」と叫びました。

ビルは「早く退け」と言うように

切羽詰まった様子で手を振りながら、

しきりに泣きそうな笑みを

浮かべました。

 

ビルは、

家に帰るように。

自分もすぐ行くから、

心配しないで。分かった? と言うと

他にも何か言い残そうとして

口を開きましたが、警官たちは、

これ以上、遅らせるわけには

いかないというように、

彼を後部座席に乱暴に押し込みました。

切なく彼を呼ぶレイラの絶叫を後にして

車は、すぐに

アルビスを去って行きました。

 

よろよろして座り込んでしまった

レイラのそばに、

アルビスの使用人たちが

慌てて走って来ました。

彼らの助けを受けて、

やっと起き上がった瞬間、レイラは

邸宅の玄関の階段の下に立っている

ヘルハルト公爵を見ました。

目が合ったような気もしましたが、

すぐに熱い涙が溢れ出て来て、

レイラは、もう何も

見ることができませんでした。

 

騒乱が過ぎ去った夕方、

レイラの泣き声が長く響き渡りました。

レイラは、目が落ち窪んだ顔で

警察署を出ました。

ようやく気を取り直して

ビルが連行された警察署に

付いて来たけれど、

できることは何もありませんでした。

 

薪をいっぱい積んで塞いだため、

過熱した発電機が爆発し、

倉庫の壁が崩れた事故でした。

その残骸が飛んで来た

温室の片方の壁が割れ、

よりによってその時、

その温室の壁の前の花壇を見ていた

老婦人が負傷しました。

 

傍らにいたメイドが

全身で彼女を庇ったので、

ガラスの破片で怪我をした傷は

深くなかったけれど、

驚いて転んだ時に折れた骨が

問題でした。

 

アルビスの天国と絶賛されていた

美しいガラスの温室と珍しい草花は

取り返しのつかないほど

壊れてしまいました。

 

レイラを気の毒に思い、

ビルの面会まで取り持った警官も、

レマーさんが、

意図してやったことではないことは

分かっているけれど、

事故が起きた以上、

罪がないとは言えない。

老婦人が怪我までした事故なので

なおさらだと、

絶望的な言葉だけを口にしました。

そして、ヘルハルト公爵家

善処する意思があるならまだしも、

そうでない以上、自分たちも

何もしてあげられないと言うと

ひざまずいて懇願する

レイラを立たせながら、

長いため息をつきました。

 

レイラは、

もし罰を受けることになったら、

おじさんは、本当に

刑務所に行くのかと尋ねました。

 

警官は、

それはまだ確かではないけれど、

訴訟には、

かなりの時間と費用がかかるだろうし

まともに弁償できなければ、

おそらく・・・と

言葉を濁しながら

レイラの視線を避けることで

会話を締めくくりました。

どうしても言えなかった言葉が、

あまり肯定的ではないということは、

その態度だけで、

充分に察知できました。

 

レイラは、自分が

どのように歩いたかも分からないまま

アルビスに戻りました。

今、ビルおじさんのために

レイラができることは、

公爵家の善処を求めることだけでした。

しかし、

老奥様が怪我をして、

奥様が愛する温室が消えたのに

そんなことができるのか。

むやみに攻め込んで頼み込んで、

かえって、事を

台無しにすることになれば、

おじさんは・・・

 

ぼんやりと、

闇の向こうの邸宅を

眺めていたレイラの濡れた瞳に、

ふと微かな希望の光が宿りました。

 

ヘルハルト公爵、あの男なら!

彼の顔と、

不快で恐ろしいだけの存在だった彼が、

秋に見せてくれた、

とても見慣れない姿が、

邸宅の明かりの中に

浮かび上がりました。 

 

だから、もしかしたら公爵は・・・

祈るように

両手を合わせていたレイラは、

バラの庭を横切り、夢中で森の道を抜け

川辺に近づきました。

荒い息の向こうに

明かりを灯した離れが見えました。

その明かりに向かって

レイラは走り出しました。

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発電機のそばに薪を置くなと

事前に注意を受けていたのに

どうして、ビルおじさんは

それを無視して、

薪を置いてしまったの?

発電機の音がうるさいなら、

耳栓でもすれば良かったのに。

 

ビルおじさんは、

ようやく隠していたカイルの手紙を

見せる気になったのに、

今までレイラを

泣かすことはなかったのに

レイラが

マティアスを頼るしかない状況に

追い込んでしまいました。

マティアスは、

老婦人までレイラの結婚相手を

探させていたので、

レイラに打つ手がなくて

沈黙していたのかもしれませんが

ビルおじさんがマティアスに

機会を与えてしまいました。

やはり、マティアスは

運がいいと思います。

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