自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 75話 ネタバレ 原作 あらすじ カイルとの再会

 

75話 カイルがカルスバルに戻って来ました。

 

マティアスはカナリアの歌で

目を覚ますと、気怠い眠気の中

美しく囀りながら、

鳥かごのあちこちを歩き回る鳥を

しばらく眺めました。

 

思う存分歌ったカナリアは、

今度は、鳥かごの中に置かれている

水の器の中で水浴びをしました。

 

軽く笑ったマティアスは起き上がって

ベッドにもたれかかりました。

その瞬間も、

目は鳥かごに向かっていました。 

水浴びを終えたカナリアは、

止まり木に登って水滴を払い落とし、

羽繕いをしました。非常に勤勉でした。

マティアスは、

性格もそっくりだと思いました。

 

鳥が自分の巣に戻ると、

マティアスも

ベッドから起き上がりました。

鐘を鳴らして間もなく、

新聞とコーヒーを手にした

ヘッセンが入って来ました。

彼は皇太子夫妻を迎えるための準備が

どれほど進んでいて、

パーティーの招待客は、

どのように決定されたのかを

落ち着いて報告しました。

続けてヘッセンは、

ブラント家の令嬢は、今日の午後に

アルビスに到着予定で、

リンドマン侯爵も、

明日の午後に到着予定だけれど、

公爵が数日間席を外しているので、

二人を直接

出迎えることができないことは

予め伝えて

了解を得ていると報告しました。

 

新聞をたたんで置いた後、

カップを握ったマティアスは、

軽く頷くことで、

話を聞いていることを示しました。

 

同い年のマティアスと皇太子、

そしてリエットは、

同じ人生の軌跡を辿って来たので

自然に親しくなりました。

クロディーヌも、社交界

皇太子妃と最も近い淑女の一人なので

彼らが滞在する間、

アルビスで一緒に

過ごすことにしたところでした。

 

ヘッセンは、

10時頃に出発すれば

汽車に間に合うだろうから、

そのように準備をすると提案しました。

マティアスは笑顔で頷きました。

 

マティアスは、仕事で数日間、

首都に行ってこなければ

なりませんでした。

皇太子夫妻の訪問前に戻るには、

かなり忙しいスケジュールに

なりそうでした。

 

マティアスはシャワーを浴びた後、

いつもと変わらない表情で

のんびりと身支度をしました。

 

カイル・エトマンが帰って来た知らせは

一日も経たないうちに

アルビスに広がりました。

 

でも、それで?

 

舌の上で、何度かゆっくりと

転がしてみたその名前を、

マティアスは軽い笑いで

消し去りました。

 

旅行をキャンセルして

故郷に帰ってきた理由がどうであれ、

マティアスの知ったことでは

ありませんでした。

たとえカイルがレイラに、

レイラもカイルに

未練を残していたとしても

同じことでした。

レイラは、マティアスの愛人のまま

医者の息子を受け入れるような

女ではないので、

それでいいと思いました。

 

カフスの飾りボタンを留める

マティアスの唇に、

今や穏やかな笑みが漂っていました。

彼は、レイラの愚かで潔癖な性格が

かなり気に入っていました。

 

こんな風に彼女を手に入れたのは

もしかして、

間違った選択ではなかったかと

時々、湧き起こる疑問を、

今はきれいに

消すことができるようなりました。

 

その選択は正しかった。

マティアスは、明快な結論と共に

ドレスルームを離れました。

これ以上、気にする理由がない

カイル・エトマンの名前は、

すでにきれいに消し去りました。

目前に迫った

皇太子夫妻のアルビス訪問のため

使用人たちは忙殺されていましたが

彼らは三々五々集まると、

レイラとカイルの話をしました。

 

やはりレイラのためではないか。

二人は再会したのだろうか。

 

まだ会っていないようだ。

もしかしたらカイルは、別の理由で

戻って来たのかもしれない。 


エトマン家では、カイルが休みの間

ずっと大陸南部を旅行すると

言っていた。

予定もなく故郷に帰って来たのは

レイラが理由ではないか。

 

長い年月を共に過ごしたのだから

その気持ちを

簡単に断ち切れるわけがない。

 

二人は小さい時から、

お似合いだったのに。

天が与えた縁は

ああいうものかと思ったけれど。

 

彼らは興味本位で騒ぎながらも、

結局、気の毒になって、

ため息をつきました。

アルビスの使用人の大半は、

レイラとカイルが一緒に育つ姿を

長い間、見守って来ました。

そのような二人の子供を、

ただの面白いネタにするほど、

残忍で非情になるのは

難しいことでした。

 

深くため息をついたモナ夫人は

後でレイラの所へ行って来ると

呟きました。

情に厚い分だけ好奇心も強く、

料理の腕がいいほど

おしゃべりの実力も

ずば抜けている好事家の彼女は、

この種のことを、

なかなか見過ごすことが

できませんでした。

 

モナ夫人は、

レマーさんが留守をしているので

あの子一人で元気に過ごしているか

少し心配してあげなければ。

食べ物でも少し持って行って

顔を見てくれば安心できると思うと

言いました。

「レイラ、家にいるの?」と

モナ夫人の甲高い叫び声が、

小屋の庭中に響き渡りました。

机の前に

ぼんやりと座っていたレイラは、

その声に驚いて我に返りました。

 

自分がぼんやりしていたことへの

戸惑いが消える前に、モナ夫人は

再び力強くレイラを呼びました。

レイラは急いで返事をすると

慌てて身なりを整えて

玄関の外に走り出ました。

 

モナ夫人を台所に案内して

お茶を淹れた後、

ようやく頭の中がすっきりしました。

 

カップを置くレイラを

注意深く見ていたモナ夫人は、

顔色が全然良くないけれど、

どこか具合でも悪いのかと、

それとなく尋ねました。

生半可な言い訳をしてみても、

余計に疑われるかもしれないので

レイラは素直に頷くと、

よく眠れない。

疲れているからかもしれないと

答えました。

 

眠れないと聞いて、モナ夫人は、

また一晩中勉強したみたいだと

確信に満ちた口調で言いました。

ぎこちなく笑ったレイラは

眼鏡を直した後、

急いで彼女の前にカップを置きました。

モナ夫人が持って来た籠から取り出した

ドライフルーツのケーキも

大きく一切れ切り取りました。

 

モナ夫人は、

勉強もいいけれど、健康にも

気をつけなければならない。

こんなにやつれているのを見れば

レマーさんの心が張り裂けてしまう。

そういえば、

レマーさんが帰って来るまで、

まだ時間がかかるのかと尋ねました。

レイラは、

昨日、手紙が届いたけれど、

まだ半月ぐらいはかかりそうだと

答えました。

 

モナ夫人は、

それも当然だ。

あまりにも貴重な花が多かったから

再び手に入れるのは

容易ではないだろう。

レマーさんは本当に苦労しているけれど

こうして善処を受けて、またアルビス

働けるようになったことだけでも、

本当にありがたいことだと言いました。

レイラは「はい」と答えました。

 

モナ夫人は、

うちの公爵だから、そうしてくれた。

他の貴族の主人なら

とんでもなかっただろうと

微笑ましい顔で、

しばらくヘルハルト公爵を

称賛しました。

その間、レイラは、

味がよく感じられないケーキだけを

もぐもぐ食べました。

 

その後、モナ夫人は、

来週アルビスに到着する皇太子夫妻と

彼らのために準備している

盛大なパーティーに関する

おしゃべりを続けました。

レイラとは無関係の、

遥かに遠い華やかな世界の話でした。

 

そして、ついにモナ夫人が、

カイルが故郷に帰って来たそうだけれど

もしかして、その話を聞いたかと、

本論を持ち出すと、レイラは

むしろ心が楽になりました。

レイラは、聞いたと返事をすると、

モナ夫人は、

あちこちで騒いでいるから、

知らないわけがないだろうけれど

挨拶はしたのかと尋ねました。

レイラは「いいえ」と答えると

ティーカップの持ち手をいじりながら

苦笑いしました。

 

その青白い顔を

気の毒そうに見つめながらも、

モナ夫人は、

むずむずする唇を我慢できず、

自分がレイラだったら

カイルの手を握って逃げる。

もちろんエトマン夫人は

ひどいことをしたけれど、

あの子が、レイラ無しでは、

絶対にダメなら、

仕方のないことではないかと

言いました。

 

しかしレイラは、

自分とカイルは、

もう、そのような仲ではないと

言いました。

 

モナ夫人は、

それは自分も知っているけれど、

もしカイルが、本当にレイラのために

故郷に帰って来たのなら、

もう一度よく考えてみるように。

他の男ならやめさせるけれど、

カイルは違うからと、

しばらく悩んだ末に言いました。

結局、そのような上っ面な表現しか

できなかったけれど、

それこそカイル・エトマンを

最もよく説明する言葉でもありました。

 

モナ夫人は、

レイラとカイルを

このまま別れさせるのが

はたして正しいことなのかと、

ビルと度々話をしたことを

打ち明けました。

 

モナ夫人は

まだ言いたいことがたくさんあるような

顔をしていましたが、

レイラは笑みを浮かべたまま

黙っていただけでした。

 

他の男の愛人となっている

レイラ・ルウェリンが、

今更、カイルについて

何を言えるだろうか。

そう考えると、

心臓がかきむしられるような

痛みが訪れました。

そして、心の奥底に沈んだその痛みは

マティアスに対する憎しみにより

着実に積み重なって行きました。

 

レイラが、

なかなか口を開く気配を見せないと、

モナ夫人は、

うっかりしていた。早く行かなければ。

無駄に話が

長くなってしまったと言って

立ち上がりました。

そして、

ブラントの令嬢が来ると聞いて

とても慌ただしい。

皇太子夫妻の訪問が終わるまで

アルビスに泊まるそうだけれど

こんなに足繁く出入りするなら、

何のために

結婚を延期したのか分からないと

ぶつぶつ言いながら、

モナ夫人は急いで小屋を出ました。

 

レイラは庭まで彼女を見送りました。

クロディーヌの名前を聞いた瞬間から

しきりに口の中が渇いたので、

それを隠すために、レイラは

いつもより明るく笑おうと

努力しなければなりませんでした。

 

モナ夫人が去ると、

レイラは台所に戻って

残りのケーキを

ゆっくり食べ始めました。

相変わらず食欲はなかったけれど

ビルおじさんに

心配をかけたくなかったし、

何よりも、あの男のせいで

痩せていくという事実が嫌だったので

何でも食べなければなりませんでした。

 

何様のつもり。

 

冷めたお茶をごくごく飲んで

ケーキを飲み込んだレイラは、

モナ夫人が持ってきた他の食べ物も、

大きな皿に少しずつ取り分けました。

しっかり噛んで飲み込むことを

しばらく繰り返すと、

かなり多かった食べ物の底が

見えて来ました。

 

痩せた体云々言いながら、

公爵が投げかけた

下品な言葉が思い浮かぶと、

吐き気がすることもありましたが

よく我慢しました。

 

平凡な日常を過ごすために、

レイラは最善を尽くしました。

なかなか目に入らない本を閉じて

部屋を掃除しました。

ついでに洗濯まで終えたら、

ぼんやりしていた頭の中が

すっきりしました。

 

首都に向かった公爵は、早くても、

今週末には帰ってくるだろうと

話していました。

少なくとも数日は、

あの男から逃れられたという安堵感が

レイラを悲しませました。

 

いつになったら終わるのか。

しきりに絶望的な考えに陥るのが嫌で、

レイラは急いで小屋を出ました。

寒い天気でしたが、

スピードを上げて自転車を走らせると

少しスッキリしました。

 

図書館に寄って本を返却し、雑貨店で

粉石鹸と掃除用ブラシを買いました。

眩暈がするほど

甘いホットチョコレートまで飲んで

帰る途中には、

元気な笑みを浮かべることも

できるようになりました。

アルビスに入る道で、

あまりにも恋しくて、

決して見たくなかったその顔に

向き合うまでは。

 

カイルが、温もりを帯びた低い声で

レイラを呼びました。

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カイルが帰って来ました。

一読者の私としては、

カイルの登場はとても嬉しいですし、

昼ドラのような

ドロドロした展開の中、

もしかしたら、カイルはレイラに

希望を与えてくれる

一筋の光になってくれるのではないかと

期待したくなるのですが、

マティアスの愛人となった境遇を

苦しんでいるレイラは

過ぎ去った楽しい日々を思い出させる

カイルとの再会は

辛いだけではないかと思いました。

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