自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 80話 ネタバレ 原作 あらすじ 早く済ませて欲しい

 

80話 マティアスはクロディーヌのメイドを呼んで来るよう命令しました。

 

誰も気軽に口を開くことができない

冷たい雰囲気の応接室の中に、

メイドが悲しそうに

すすり泣く声だけが、

広がって行きました。

 

メイドが仮病を使ったことを

知ったエリーゼは、

軽蔑を露わにした目で

顔を隠しているメイドの手を見ました。

包帯を解いたメイドの手は、

軽い切り傷一つが残っているだけで

何ともありませんでした。

どう見ても、

自分の仕事ができないほど

怪我をした傷ではありませんでした。

この上なく不埒だと、

呆れて鼻で笑うカタリナの目つきも

冷たいのは同じでした。

 

クロディーヌは彼女たちの間で

唇を固く閉じていました。

膝の上にきちんと乗せられている両手も

硬くなっていました。

 

ずっと沈黙していたマティアスは、

慎重で落ち着いた表情で

エトマン博士を見つめると、

ひょっとして、

骨でも折っているかもしれないので

もう一度よく診て欲しいと頼みました。

 

エトマン博士は当惑し

「公爵様、それは・・・」と

言葉を濁しました。

引きずられるように連れて来られた

真っ青な顔のメイドの手に

縛られた包帯を外した瞬間、

すべてのことが、

一つ残らず明らかになりました。

 

軽い切り傷以外、

何の異常も認められないと、

苦労して整えた声で

エトマン博士が報告すると、

あちこちで、ため息が漏れ、

ざわめきが起こりました。

 

その瞬間も、

クロディーヌの姿勢はまっすぐでした。

瞳が小さく揺れていましたが、

それは注意深く見なければ

気づきにくい、

小さな動揺に過ぎませんでした。

 

マティアスは、

確かに、自分の仕事ができないほど

手を大怪我したと聞いたけれど、

そうではなかったのかと

クロディーヌに尋ねました。

彼は、

全く理解できないと言うかのように

しかめっ面で彼女を見ていました。

それと共に、皆の注目が

クロディーヌに集まりました。

クロディーヌは、

自分は本当にそうだと思ったと

答えました。

 

マティアスは、

ということは、あのメイドが

令嬢を騙したということかと

尋ねました。

 

メイドと、さっと目を合わせた

クロディーヌは、

信じたくないけれど、そうみたいだと

落ち着いて答えました。

 

マティアスは椅子から立ち上がると

震えながら泣いている

メイドに近づきました。

すべての過ちを被るつもりなのか

メイドは唇を固く閉じたまま、

ただ泣いているだけでした。

その悲壮な姿からマティアスは、

クロディーヌが、自分の部下一人は、

きちんと使いこなせるという

新たな長所を一つ発見しました。 

かなり立派な

公爵夫人の資質だと言っても、

過言ではありませんでした。

 

「騙した」と言うマティアスの声には

微かな笑いが含まれていました。

ギョッとして、

顔を隠していた手を下げたメイドは

怯えた目で彼を見上げました。

マティアスは喜んで、

メイドの濡れた目を見つめながら

「よくも、私の女を」と言いました。

言葉を一つ一つ重ねていくうちに、

マティアスの声は、

低く優しくなって行きました。

じっと見下ろす視線に込められた感情は

怒りよりは、

むしろ面白がっているように

見えたりもしました。

 

結局、クロディーヌは、

どうかマリーを許して欲しい。

自分が代わりに謝ると言って

前に出ました。

隣に座っていたブラント伯爵夫人が

引き止めましたが、

クロディーヌはその手を振り切って

立ち上がり、

今にも気絶してしまいそうな

自分のメイドのそばに近づきました。

 

クロディーヌは、

最近、マリーは苦労していたようだ。

嘘をついてでも

休みたかったメイドの事情を

察知できなかった自分の過ちも

大きいので、自分に免じて、

どうかマリーを許して欲しいと

頼みました。

 

マティアスは、

主人を欺いたメイドのために謝るなんて

寛大だと言いました。

クロディーヌは、

長年、共に過ごしてして来たメイドだ。

たとえ、こんな愚かなことを

しでかしたとしても、一度の過ちで

冷たく追い出すことはできないと

言いました。

そして、窮地に追い込まれると、

クロディーヌは、

むしろ大胆になりました。

彼女は、

あの大きな事故を起こした庭師を善処し

依然として、

このアルビスに留まれるように

恩を施したヘルハルト公爵は、

このような自分の気持ちを、

誰よりも、よく分かってくれると

信じていると言いました。

 

マティアスをじっと見つめる

クロディーヌの目は冷徹でした。

もう少し平然として図々しい方が

勝利するゲームなら、

決して負けない自信がありました。

すでに全てを知っていたとしても、

あの男は、

決して何も表に出さないだろうと

思いました。

 

しばらくクロディーヌを見ていた

マティアスは、

静かな笑みを浮かべながら頷くと、

庭師を解雇しなかった自分の決定に

疑問を呈した令嬢も、

もう、その気持ちを

理解してくれたようだと言いました。

クロディーヌは予期せぬ反撃に

静かに息を呑みました。

 

続けてマティアスは、

このように、よく理解してくれて、

とても寛容なのは立派だ。

こんなに立派な令嬢を見ただけでも

愚かなことをしたメイドを

許したくなると、

いい子を褒めるような口調で

言いました。

クロディーヌの頬が

徐々に赤くなり始めました。

 

マティアスは、

もしも許しを請うのなら、

このような、

とんでもないことをしたこのメイドも

罪を償わなければ

ならないのではないかと尋ねました。

クロディーヌは、

明日、マリーと一緒にレイラに会うと

答えました。

マティアスは、その理由を尋ねました。

クロディーヌは、

自分のメイドの嘘で、一番困ったのが

レイラだからと答えました。

 

クロディーヌは、必死で

気を引き締めようとしましたが

結局、恥辱感の前に崩れ、

今や、彼女の顔は

真っ赤になっていました。

マティアスは軽く頷いて

「ああ、そうですね」と

返事をしましたが、

わざわざ令嬢が一緒に行くのも

おかしいのではないか。

それこそ、

令嬢の過ちのように見えないかと

言いました。

 

ブラント伯爵夫人も、

メイドが犯した

愚かな過ちに過ぎないのに、

なぜクロディーヌが

直接、謝罪をするのかと、

口を挟みました。

 

クロディーヌの動揺が大きくなった分

マティアスは落ち着きました。

彼は、まるで慰めているような表情で

贖罪は、過ちを犯したメイドに

任せるように。

令嬢の品位は自分の品位でもあると

言いました。

 

しかし、クロディーヌは、

骨の髄まで染み込むような

寒気を感じました。

彼と戦おうとした自分が

ふと馬鹿のように思われました。

おかしなことだけれど、

この鳥肌が立つ冷血漢が

愛着を持った相手が自分ではなく

レイラ・ルウェルリンだという事実が

幸いとさえ思えました。

 

クロディーヌは

「はい、ヘルハルト公爵」と

返事をしました。

その一つの返事のために、

マティアスはクロディーヌを

巧みに駆り立てました。

そして、とうとう屈服させた瞬間にも、

マティアスの顔には、

どんな喜びや満足感も

浮かびませんでした。

 

その代わり、彼は再び

死人のような顔色をしている

メイドと向き合うと、

お前の主人が、

どれだけ大きな恩恵を施してくれたのか

しっかり覚えておくようにと

言いました。

離れは灯りが消えたままだったので

マティアスは、ため息をつきました。

 

彼は、そのまま庭師の小屋に

向かおうとしましたが、気が変わり

大股で離れの階段を上りました。

あの愚かな女なら、灯りを

点けないかもしれないからでした。


離れの中に入ると、

ランプはもちろんのこと、

暖炉一つさえ

火が点いていなかったので、室内には

冷たい空気が漂っていました。

 

今、マティアスは、

レイラが来なかったと確信しましたが

それでも、じっくりと

離れを見て回りました。

もしかしてという微かな期待、

あるいは心配を振り切ることが

できなかったからでした。

 

マティアスは、静かな目で

人が留まった痕跡を探すのが難しい

室内を見回しました。

一歩ずつ踏み出し、

コートのポケットの奥深くに

入れておいた箱の角を触る度に

少しずつ唇が乾きました。

 

彼がアルビスを離れた時間だけ

積み重なった冷気が、

離れを飲み込んだようでした。

寝室のドアを開ける頃には、

どうかレイラがくだらない意地を張り

命令に従わなかったことを願いました。

その願いが叶ったかのように、

寝室も他の空間のように

暗くて静かでした。

マティアスは安堵して

背を向けようとした瞬間、

眉間にしわを寄せました。

 

まさか。

否定するかのように、

ため息を飲み込みましたが、

闇に慣れた彼の目は

火の消えた暖炉のそばに置かれた

ウイングチェアに座った女を

はっきり見ました。

彼女は体を丸めて

深く眠り込んでいました。

コートと手袋とマフラーで

体を包んでいるようでしたが、

この寒さを防ぐには

物足りないように見えました。

マティアスは、

こぶしを握りしめていた手を広げて

顔を撫で下ろしました。

 

あんなに余計な意地を張るくせに、

こんな時だけおとなしい。

こみ上げて来た悪口と共に、

乾いた唾を飲み込みながら

一歩踏み出すと、

レイラがゆっくり目を開けました。

寝起きの顔は穢れがなく純真でした。

もちろん、怒りと恐怖、

その後に続いた深い諦めが、

その清らかな顔を汚すまで、それほど

長い時間はかかりませんでしたが。

 

マティアスは、

飢え死にすることを諦めて、

今度は凍え死ぬつもりなのかと

尋ねると、暖炉に近づいて

火を点けました。

すでに積み重ねられた薪に、

ただ火を点けるだけの

簡単なことでした。

 

マティアスは炎に背を向けて立ち、

レイラを見下ろしながら、

それとも、火の点け方を知らないのかと

尋ねました。

レイラは依然として体を丸めながら

彼を睨みつけると、

そうしたら、

煙突から煙が見えるからだと

答えました。

 

暖炉の火が燃え広がると

血の気一つなく、

本当に、このまま

永遠の眠りに落ちても

おかしくないようなレイラの顔が

より鮮やかに見えました。

 

レイラは、

主人のいない所で、

煙が立ち上ってはいけないと

主張しました。

マティアスは、

こんな夜に誰がここに来るのかと

言い返すと、レイラは、

それでも嫌だと返事をしました。

そして、両膝を抱えていた腕を解き

ゆっくりと床に両足を置きました。

手袋をはめた両手を揉む

ゆっくりとした動作を見守る

マティアスの唇が歪みました。

 

彼は、

そういうわけなら、

帰らないといけないのではないかと

尋ねました。

レイラは、公爵が、

待っていろと命令したではないかと

答えました。

マティアスは、

いつから自分の命令に、

こんなに従順になったのかと

尋ねました。

レイラは、

自分がここにいなければ、

あなたが来るからだと

力のない声で答えました。

しかしマティアスを見つめる目には

冷たい刃が立っていました。

 

レイラは、

あなたを自分の家に入れるくらいなら

凍えて死んでやると言いました。

マティアスは、

それなら、是非一度、

小屋に寄ってやると返事をすると、

もう少し薪を投げ入れて

火を起こしました。

 

マティアスは、

そんなに嫌がるのだから、

きれいに泣くだろうと言いました。

レイラは、

あなたのことが大嫌いだ。

憎いと言い返しました。

マティアスは、

いつも同じ言葉だと面白くないので

もう少し頑張ってみろと促しました。

レイラは、

それなら幸いだ。

公爵を面白くしてあげたい気持ちは

少しもないからと返事をしました。

 

負けずに、

てきぱきと言い返す姿を見ると

凍え死ぬことはなさそうだ。

失笑したマティアスは、

脱いだコートを、

フットベンチの上に投げました。

ギョッとしたレイラは

立ち上がろうとしましたが、

マティアスの動きの方がはるかに速く

彼は、もがく冷たい体を

しっかりと抱きしめ、

少し前までレイラが座っていた椅子に

深くもたれかかりました。

無駄な未練を捨てられず、

しばらくもがいていたレイラは、

一瞬にして、ぐったりし、

静かになりました。

そっと頭を撫でるマティアスの手が

いっそう、のんびりとしました。

 

彼の肩に、

じっと顔をもたせかけていたレイラは

ため息をつくように、

今日は早く終わらせて欲しいと

囁きました。

一つに緩く編んだ髪をいじっていた

マティアスの手が

ぴたりと止まりました。

彼は「何を?」と

冷たく聞き返しました。

レイラは、

何でも。あなたがやりたいことと

答えると、力なく頭を上げて

彼を見ました。

世の荒波にもまれて疲れてしまった

老婆のような目をしていました。

 

レイラは、

自分が何を言おうと、

あなたは、どうしても

あなたの好きなように、

したいようにするから、

それなら、いっそのこと

早く済ませてと言いました。

そして、レイラは

マティアスから視線を逸らすと

早く帰って休みたいと言いました。

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クロディーヌの悪巧みが

マティアスに明らかになり、

彼女が成敗されて、

スッキリしました。

一方、マティアスが

クロディーヌに公爵夫人としての

資質を認めたのは、

何となく残念に思いましたが、

アルビスの主人で、

ヘルハルト家の当主の妻たるもの、

そうでなければいけないと

いうことなのでしょう。

今回のことでクロディーヌは、

マティアスの恐ろしさを

思い知ったでしょうから、

今後、レイラに

手を出すことはないだろうと

期待しています。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

「侍従はつらいよ」の言葉に

多くの反応があり

とても嬉しかったです。

 

ヘッセンは、マティアスに命じられて

パーティーのドレスを入れ替えたり、

離れにケーキをお取り寄せしたり、

おそらく食事の用意も

ヘッセンがしたのだと思います。

レイラが愛人になっていることも

知っているでしょうし、

カタリナ様からは、

レイラの結婚相手を探すよう

頼まれている。

マティアスは止めているかも

しれませんが・・・

色々な人の板挟みなっている

ヘッセンが気の毒で、

つい「侍従はつらいよ」と

言いたくなりました。

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