自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 87話 ネタバレ 原作 あらすじ そこまで狂っているはずがない

 

87話 レイラはマティアスが脅迫したと主張していますが・・・

 

マティアスは、

「あっ、あれ」と

大したことがなさそうに言い返すと

今回は、もう少し力を入れて

レイラの頬を包み込み、

あれを脅迫とは言えないと

否定しました。

 

レイラは、

あれが脅迫でなければ、

一体、何なのかと尋ねました。

マティアスは、

「たぶん、助言?」と答えました。

良心の呵責など微塵もない顔で

かましい言葉を吐き出す男を見る

レイラの瞳が怒りで揺れました。

 

今朝、レイラの気分は

ひときわ良いものでした。

森の空気は冷たくても、

真っ青な冬の空がきれいでした。

そして、何よりも

公爵がいませんでした。

 

皇太子が滞在している間ずっと、

レイラを訪ねて来なかったあの男は

何も言わずに出張に行きました。

この程度になれば、

本当に嫌気がさしたのだろうと信じても

無理がないはずでした。

 

本来の人生に戻ったような気分で、

レイラは鼻歌まで歌いながら

家事を始めました。

森を歩きながら枯れ枝を一抱え拾い、

新しいパンも焼きました。

ところが、

台所いっぱいに広がる

香ばしい匂いを嗅ぎながら

ストーブを掃除していた時、

招かれざる客がやって来ました。

 

最初は、

幻覚を見ているのだと思いました。

明らかに他の都市にいるはずの

公爵の運転手が、

レイラを訪ねて来るのは

ありえないことだからでした。

 

しかし、何度も瞬きしても

運転手の姿は消えず、彼は

ご主人様が呼んでいると

信じられない言葉を告げました。

続けて運転手は、困りながらも、

早くレイラを連れて来いと命令されたと

力を込めて告げました。

 

レイラは、

自分をどこに?と聞き返しました。

運転手は、ご主人様がいる所だと

答えました。

レイラは断固として首を横に振り、

自分は嫌だ、

行かないと拒否しました。

 

まだ終わっていなかったという絶望感は

すぐに侮辱感と入り混じりました。

呼ばれれば行き、

帰れと言われれば帰る公爵のおもちゃ。

最初から、

そのような関係ではあったけれど

それを他人に露わにしたことは

改めてレイラの傷になり、

彼女の心を踏みにじりました。

だから絶対に、

一歩も動きたくありませんでした。

あの脅迫状がなかったら、

きっとそうしていました。

 

レマーさんのことを考えて。

 

蜜蝋でしっかりと封をした封筒に

入っていた手紙には、その一行しか

書かれていませんでした。

しかし、公爵が書かなかった

裏の意図を伝えるのに

十分な一行でもありました。

 

くしゃくしゃになった手紙を

手にしたレイラは、

屠殺場に連れて行かれる

家畜のような足取りで、

一歩を踏み出さなければ

なりませんでした。

めちゃくちゃな姿のまま

車に乗ったのは、

最後のプライドでした。

面白がってくすくす笑う

公爵を見ると、それすら

無意味になったようでしたが。

 

レイラは、

名誉、体面、品位は、

公爵のような人にとって

命のように大切なものではないか。

それなのに、なぜ、

ビルおじさんのことで、

自分を脅迫することができるのかと

問い詰めるように尋ねましたが、

マティアスは別に、

動揺する気配を見せませんでした。

 

彼は、

助言しなかったら、

君が来なかっただろうからと

答えました。

その口調が、あまりにも無感情で

レイラは茫然としました。

一方、マティアスは

両手でレイラの顔を包み込み、

鑑賞するように、青い目で

彼女を見つめました。

 

レイラは、

何とかしてマティアスの神経を

逆撫でしようとし、

とても紳士的なやり方だと

皮肉を言いましたが、

公爵は、

本当に気が狂った人のように

クスッと笑っただけでした。

 

もう一度じっくりと

レイラの服装を見た彼は、

かなり淑女のような姿をしている。

だから、

かなり公平なことのようだと

のんびりとした口調でいいました。

 

彼の手にしっかり捕まえられ

退くことができないレイラは、

足の甲でも踏むべきかと

悩んでいる間に

ノックの音が鳴り響きました。

当惑したレイラとは違って、

マティアスは、

すでに予想していたかのように

平然としていました。

 

ソファーに戻って座った彼が

入室を許可すると、

客室のドアが開きました。

カートを押しながら入って来た

メイドを見たレイラは驚き、

逃げるように窓際に退きました。

レイラと目が合うと

当惑した表情をしたのもつかの間

メイドは、

すぐに穏やかで優しい笑顔で

自分の仕事をして、出て行きました。

 

メイドが去った後、

レイラは、これは何かと、

ようやく口を開きました。

応接テーブルには、

豪華なアフタヌーンティー

置かれていました。

それよりもっと呆れたのは、

それが一人分だったことでした。

時間を確認したマティアスは、

見たとおりだと淡々と答えました。

 

テーブルには、

ピンク色のクリームを塗ったケーキも

見事に並べられていました。

マーク・エバースは

きちんと命令を履行したようでした。

 

マティアスはレイラに

食べるようにと言いました。

レイラは、

その理由を尋ねましたが

マティアスは、

二時間後に起こしてと、

ますます不可解な言葉を告げると

長いソファーに体を横たえました。

 

ゆっくりと瞬きしていた目が

すっと閉じるのを、レイラは

ぼんやりした気分で見守りながら

立っていました。

 

レイラは、

今、何をしているのかと尋ねました。

マティアスは目を閉じたまま、

優雅な淑女をお迎えしたので、

淑女をもてなしていると

静かに答えました。

 

レイラは、

公爵様の言う淑女のようなものに

なる気がなかったら?と

聞き返しました。

マティアスは、

そうすればいいと答えました。

レイラは、

どういうことかと尋ねると、

マティアスは、

レイラが淑女でなければ、

自分も紳士になる必要はない。

それが自分たちの間の

ルールではないかと

次第に力が抜けて行く口調で

答えました。

 

そして、ゆっくりと目を開けた彼は、

ソファーの横に立っている

レイラを見ました。

ただ目が合っただけなのに、

胸がドキッとして崩れそうな気がして

レイラはさらに

硬くなってしまいました。

 

マティアスは、

なぜ、そこに立っているのか。

眠っている間に

消えてしまうつもりなのかと

尋ねました。

レイラは、考え中だと答えると、

マティアスは、

それなら一度で成功させろと言って

微笑むと、再び目を閉じ、

レイラが失敗したら、

その時は自分の番だと言いました。

その言葉とは裏腹に、

眠気を含んだ声は優しいものでした。


レイラは、まさかという気持ちで

彼を見守りました。

この狂った人が自分にすることは

ほとんど理解の範疇外だけれど、

脅迫をして呼び寄せたのに、

ティーテーブルを用意して、

自分は呑気に眠るなんて、

あまりにも妙でした。

しかも驚いたことに、

公爵は本当に眠ってしまいました。

 

規則正しい息づかいに

耳を傾けていたレイラは、

目を細めて眼鏡を直しました。

何度見ても、公爵は

確かに眠っている様子でした。

信じられないけれど、

本当にそうでした。

刺繍枠を置いたクロディーヌが、

マリーに、

レイラの所へ行って来てと命令すると

彼女の目が丸くなりました。

 

マリーは、

また、あの子と何かあったのかと

尋ねました。

クロディーヌは、

唇に笑みを浮かべながら、

そんなことはないと否定しましたが

彼女の眼差しは冷たく沈んでいました。

 

レイラをメイドとして使ったことで

自分にあのような恥をかかせた男が、

あれ以来、驚くほど

あの子に無関心になったのは

どう考えても少し変でした。

マティアス・フォン・ヘルハルトは、

このようにすぐに飽きる女性に

そんな愛着を見せたはずのない

男でした。

 

クロディーヌは、

この前のことをお詫びするついでに、

一緒にお茶を飲みたいと伝えるよう

命令しました。

 

マリーは、

あえて、あんな子と・・・と

反論しましたが、クロディーヌは、

マリーに、行って来るよう

優しく催促することで、

メイドの心配を断ち切りました。

主人の意図を理解したマリーは

その辺で口を固く閉じて

命令に従いました。

 

マリーの帰りを待ちながら、

クロディーヌは中断していた

刺繍を続けました。

マティアスは、全く心の中が

分からない男でしたが、

レイラの心の中は透明なので

彼女を連れて来て調べれば、

見当がつくはずでした。

 

しかし、戻って来たマリーは、

レイラは留守のようだ。

いくら呼んでも返事がないと、

予想外の報告をすると、

そっと目を上げて

主人の顔色を窺いました。

 

しばらく物思いに耽っていた

クロディーヌは、

大したことではないと言うように

軽く微笑むと、

しばらく出かけているようだから、

少し後で、もう一度行って来て欲しいと

指示しました。

 

マリーは、今日、あの子に

会わなければならないのかと

尋ねました。

クロディーヌは

「うん」ときっぱりと答え

そうすべきだと思うと付け加えました。

とても不愉快な考えが浮かびましたが

無理矢理、消しました。

まさか、あの卑しい子供に

そこまで狂っているはずがないと

思いました。

レイラが目を開けた時、

部屋はすでに暗くなっていました。

公爵が言った二時間は、すでに

とっくに過ぎていました。

眠っている男を見守っているうちに

いつの間にか、つられて

眠ってしまったようでした。

 

躊躇いながらもレイラは、

静かに立ち上がると、

ソファーの横にあるスタンドを

点けました。

薄暗い光が、

まだ眠っている公爵の顔まで

届きました。

猫のように静かに動く男は、

寝ている時も寝返りを打つことなく

静かでした。

 

レイラは時計を見ながら、

起こすべきかと悩みましたが、

結局、静かに

元の場所に戻る方を選びました

目を覚ました公爵と一緒にいる時間は

耐え難いことばかりなので、

あえてこの平穏を、自分の手で

壊したくありませんでした。

 

レイラは、

頑固に身に着けていたエプロンを外すと

凝った肩を揉みながら

周囲を見回しました。

手もつけていないお茶とお菓子を見ると

突然、お腹が空いてきました。

そういえば、今日食べたものは、

いつもより早い時間の朝食だけでした。

 

そっと出て行って、

夕食を買って食べようかと

考えましたが、小銭一枚もないまま

見知らぬ都市まで来たので

不可能でした。

 

しかし、公爵を起こしたくはない。

彼をチラチラ見ながら、

レイラは、再び悩み始めました。

二時間後に起こせと言った理由が

何なのか、少し気になりましたが、

深く考えないことにしました。

あの男のことは何も考えてはいけない。

そうすることで、

この悲惨な関係の中でも

心を守ることができました。

 

レイラは、

テーブルの中央に置かれたケーキを

発見すると、

公爵に巻き込まれたくないけれど

お腹がグーグー鳴るほど飢えるよりは

あれを食べた方が

馬鹿げていなさそうでした。

 

心を決めたレイラは、

音を出さないように努めながら、

ケーキの皿を手に取りました。

一口、また一口、

もぐもぐ食べている間も、

レイラは眠っている公爵を

注意深く見ました。

 

レイラが半分食べたケーキを

ちょうどテーブルの端に置いた時

微動だにしなかった彼が

小さく寝返りを打ちました。

幸いにも目を開けませんでしたが、

レイラはあまりにも驚いて、

握っていたフォークを

落としてしまいました。

 

よりによって、

公爵が横になっているソファーの前に

落ちたフォークを見て、

レイラは、

音のないため息をつきました。

いきなり、こんなに遠い所まで

連れて来られ、戦々恐々としながら

飢えを凌いでいる情けない身の上を

実感したからでした。

 

惨めな気持ちを無視するかのように

首を振ったレイラは、慎重な足取りで

ソファーの前に近づきました。

マティアスが目を開けたのは

緊張感で固くなった白い手が

ちょうどフォークに触れた頃でした。

 

まだ焦点がぼやけた目で、

マティアスは屈んでいるレイラと

その向こうの闇を凝視しました。

すでに夜になったことに気づくまで、

それほど長い時間は

必要ありませんでした。

 

なぜ、自分は、

今頃、目を覚ましたのか。

目を細めたマティアスは

手を伸ばして

レイラの手首をつかみました。

フォークを拾って

立ち上がろうとしたレイラの口から

短い悲鳴が上がりました。

再び落ちてしまったフォークに

当たった光が、

マティアスの目つきのように

鋭く光りました。

 

理由を聞く代わりに、

マティアスは横になったまま

静かにレイラを見つめました。

悪いことをしてばれた子供のように

そわそわしていたレイラは、

唇を噛み締めながら頭を下げることで

その視線を避けました。

 

慣れた拒絶の仕草に神経が尖ったのは

この馬鹿みたいな行動が、

改めて滑稽に思えたせいだろうか。

 

自分の手を振り払おうと

必死になるレイラを、マティアスは

力いっぱい引っ張りました。

ふらふらしていたレイラは、

すぐに彼の懐の中に入りました。

レイラは悲鳴を上げながら

もがいてみたものの、

抜け出す方法はありませんでした。

気がついた時には、レイラは、

マティアスの体の下に

しっかりと閉じ込められた格好で

ソファーに仰向けに

横たわっていました。

自分を見下ろすその男の顔が

視界を埋め尽くしました。

避けようとすればするほど、

彼の視線は、さらに執拗に

レイラを追いかけました。

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マティアスが目を覚ました時、

すでに暗くなっていて、

自分の置かれた状況が

すぐに把握できなかったので、

レイラの手首を

つかんでしまったのでしょうけれど

こういう時は、寝たふりをして

レイラが美味しそうにケーキを

食べている姿を見て、

密かに喜んでいるのがいいと思います。

まさか、レイラがフォークで

自分を襲おうとしたなんてことは

考えていないですよね・・・

 

マリーをもう一度、小屋に送って

レイラがいないことを知った

クロディーヌは、

レイラがマティアスと一緒にいると

疑うことになるのでしょう。

そうなった時、彼女がどう出るか

気になります。

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