自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 13話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 10、11話 傷つかない方法

13話 ディセン公爵は、相変わらず賭け事に耽っています。

 

ぐちゃぐちゃに噛んだ煙草を

吐き出した食料品店の店主は、

とんでもないことを言ってないで

お金を持って来いと叫ぶと、

販売台の前で立ち上がりました。

息を吐く度に漂ってくる口臭は

吐き気が込み上げるほどで、

ディセン公爵は眉を顰めて

後ずさりしました。

 

こんなろくでもない町で、

商売を始めて間もないような

商人などに

懇願しなければならない身の上は

惨憺たるものでしたが、

他にどうしようもありませんでした。

 

あのムカつく海軍省の将校たちと

絡んだ日以降、

裏通りの賭博場への出入りさえ

難しくなりました。

今、残された希望は、

卑しい雑輩たちが開いている

場末の賭博場だけでした。

大きな場所とは

比べ物にならないけれど、

この場所を席巻すれば、

使えそうな借家を探す資金くらいは

十分に用意できるはずでした。

 

ディセン公爵は、

あの場にもう一度だけ

入れるようにしてくれ。

そうすれば、

自分が稼いだお金の一部を分けてやると

言いましたが、店主は、

小銭が一枚も残らなくなるまで

使い果たして

借金までしているくせに、

夢だけは本当に大きいと呆れ、

黄色い歯をむき出しにして

クスクス笑い始めると、

気まずそうな表情で

タバコを噛んでいた連中も

一人二人と同調し始めました。

 

理髪店の店主は、

ここで、こんなことをしていないで

娘の所へ行ってみるように。

聞くところによると男ができたそうだ。

父親の小遣いくらいは

もらえるかもしれないと、

馬鹿げた提案をしました。

 

ディセン公爵は、

オデットに男ができたなんて

とんでもないことを言っていると

非難しましたが、

自分の娘が

娼婦のようなことをしているのも

知らないなんて情けない奴だと

侮辱されました。

 

ディセン公爵は、

もう一度、自分の娘を侮辱したら

ただではおかないと脅しましたが、

彼らは、

それなら、なぜ、ある日から、

きれいに着飾って夜露に濡れながら

歩き回るようになったのか。

この前の真夜中も、

煌めく馬車から降りるのを

はっきりと見た。

おそらく金持ちの男を

捕まえたのだろうと言いました。

そして、世話になる前に、

自分たちにも一度、機会が来ればいい。

本当に次のゲームに参加したいなら、

娘を連れて来たらどうか。

不満のない額にしてやると、

下品な暗示を込めた冗談と

手振りを交わす彼らの顔が

陰険な笑みで輝きました。

 

真っ赤な顔で

荒い息を吐いていたディセン公爵は

出入口の横に積まれている

木の箱を蹴ることで

怒りを表しました。

箱から飛び出したガラス瓶の割れる音が

驚いた男たちの叫び声と共に

響き渡りました。

 

ディセン公爵は、

この汚らわしい奴らは

誰の娘を狙っているんだと怒鳴ると

残った箱もすべて倒してしまった後

食料品店を出ました。

 

あの鉱山から金脈さえ出ていたら、

今頃、領地を取り戻せた。

そうすれば、

妻がこの世を去らなかっただろうし、

皇帝の怒りを買うこともなかった。

ディセン公爵は、歯ぎしりしながら

空っぽの鉱山を売った詐欺師を

呪いました。

しかし、それよりもムカつくのは、

皇室の冷血漢たちでした。

 

帝国を裏切った娘に

大きく失望した先帝は、

公式に絶縁を宣言した後、

皇女の職位を剥奪しました。

皇帝の婿になって

家門を再建しようとした彼にとって

死刑宣告のような決定でした。

その激しい怒りを避けて

外国へ逃れた彼らは、

先帝が世を去った後、ようやく

故国に戻ることができました。

新しい皇帝が姉を許してくれた

おかげでした。

切実していた復権

行われなかったけれど、

それでも一家が住む家と

定住する資金を出す程度の好意は

与えてくれました。

 

そのお金をすべて失ったという事実に

大きな衝撃を受けて倒れたヘレネは、

病床で苦しみながら、

この世を去りました。

単なる不幸な事故に過ぎなかったのに

皇帝は妹の死に対する責任を

彼に転嫁しました。

彼の父親と同じくらい非情な者でした。

 

それでもオデットがいるから、

いつかは状況が変わるかもしれない。

ディセン公爵は、再び希望を抱いて

コートの襟を整えました。

ところが、ちょうど角を曲がった瞬間

端正に着飾ったオデットが

借家のある建物の入口から出て来るのを

発見しました。

 

ディセン公爵は

娘を呼ぼうとしましたが、

気が変わり、狭い建物の隙間に

慌てて身を隠しました。

そういえば、最近になって、

オデットの外出が多くなったし、

見たことのない良い物が

あったような気もしました。

多分に疑わしい変化でした。

ディセン公爵は、

不吉な予感に襲われました。

しかし、まさか。 あの子がと

あえて現実を否定しているうちに

オデットが近づいて来ました。

 

ディセン公爵は壁に張り付いて

背を向けました。

幸いオデットは、

その路地に目を向けませんでした。

彼女の行き先は、

都市の中心の繁華街に続く道でした。

短い悩みを終えたディセン公爵は、

影のように静かに

娘の後を追い始めました。

まず、オデットは

招待してもらったことに、

丁寧にお礼を言いました。

グラスを下ろしたトリエ伯爵夫人は、

わざと鋭い目つきで

オデットを見ました。

まるで、面白くない家庭教師のような

姿でしたが、

まあまあ見られる価値はありました。

男というものは、

だいたい可憐な美人に弱いものなので

虚栄心に満ちているように見えるよりは

こちらの方がましだろうと思いました。

 

沈黙が長引くと、

「合格ですか?」と

先にオデットが口を開きました。

相変わらず無表情でしたが、

一層柔らかくなった口元には

かすかな茶目っ気が漂っていました。

 

トリエ伯爵夫人は、

落第点はかろうじて免れたと

返事をすると

軽く笑みを浮かべながら、

テーブルの向かいの席を指差しました。

 

ウェイターが引いてくれた椅子に座る

オデットの仕草には、

貧しい境遇を忘れさせる気品が

こもっていました。

かつては輝いていた両親の過去。

その栄光の時代の

最後のエッセンスを集めて

作り上げたような子でした。

 

気まぐれな春の天気と神経痛。

見るに堪えないほどひどかった

先週末のオペラ公演。

何気ないおしゃべりをしているうちに

食前酒が運ばれてきました。

 

注文を保留して、

ウェイターを下がらせた

トリエ伯爵夫人は、

横目でレストランの通路側を

見回しました。

よく着飾ったお客さんたちが

相次いで出入りしていましたが、

まだ彼らの姿は見えませんでした。

 

驚いたことに、先にオデットが、

あの髪飾りはどうなったかと、

あの夜のことについて言及しました。

トリエ伯爵夫人はオデットを見ました。

真剣に心配している顔を見ると、

自然に空笑いが漏れました。

 

トリエ伯爵夫人は、

あんな侮辱を受けても、

壊れたアクセサリーの心配をする

余裕があったようだと言いました。

オデットは、

自分を信じて貸してくれた物に対して

責任を果たせなかったので、

心が落ち着かなかったと

返事をしました。

 

トリエ伯爵夫人は、

自分は、大げさな口先だけの

善意が好きではないと言いました。

オデットは、

伯爵夫人が望むなら弁償すると

告げました。

 

トリエ伯爵夫人は

冷たい嘲笑を浮かべた顔で

どうやって弁償するのかと

聞き返しました。

悪賢い嘘。 あるいは

身の程を忘れた蛮勇か。

いずれにしても、

失望するのは同じでした。

 

この子も結局、

自分の父親と変わらないという

気がした瞬間、オデットは、

皇帝陛下に話そうと思うと

とんでもない返事をしました。

 

トリエ伯爵夫人は、

娘が壊した宝石の代金を

父親に請求するのかと尋ねました。

オデットは、

あれは確かに皇女の過ちだからと

答えました。

 

トリエ伯爵夫人は、

余程のことがない限り、皇帝は

オデットの言うことに

耳を傾けてくれないだろうと

言いました。

皇帝は、

自分のことは意に介さなくても

皇室の大御所である

伯爵夫人に対する道理は

わきまえていると思うと返事をすると

オデットは、グラスを置いた手を

膝の上にきちんと重ねました。

 

本当に皇帝に

借りを返す決心でもしたかのように

決然とした姿を見守っていた

トリエ伯爵夫人は、

つい声を上げて笑ってしまいました。

 

トリエ伯爵夫人は、

確かに、帝国の皇帝が

自分の娘の過ち一つも、

まともに収拾できなくては困る。

宝石商から

修理費の見積もりが届き次第、

自分が直接皇宮に

請求書を送るようにすると言いました。

 

オデットは、

直せるのかと尋ねました。

トリエ伯爵夫人は、

オデットが割れた破片を

几帳面に集めてくれたおかげだと

答えました。

 

オデットは、良かったと言うと

ようやく、

安堵の笑みを浮かべました。

優しく曲がった目尻と

えくぼができたバラ色の頬が

爽やかでした。

虜にしなければならない男の前では

無感情なのに、無関係な場所では、

花のようにきれいに笑う

大馬鹿者でした。

 

かなり実益のない処世術でしたが、

指摘しないことにしました。

どうせ、

妖婦の役をする才能がないのなら、

いっそのこと

一羽の孤高の白鳥になった方がまし。

彼を相手にするには、

はるかに良い戦略かもしれないと

思いました。

 

トリエ伯爵夫人は、

イザベルは皇室の夏の宮殿に

送られた。

そこに閉じ込められたようなものだから

これ以上、クラウヴィッツ大尉との間を

邪魔することはできないだろうと、

大したことではないかのように

軽く皇女の消息を伝えました。

 

返事の代わりに小さく頷くと、

オデットは、

窓から大通りを見ました。

オデットが考えを整理した頃、

車輪のスポークが金色の

自動車一台が通りに入って来て、

この建物の前で停まりました。

おそらく、

レストランを訪れる客のようでした。

 

このくらいで、

無意味な風景から目を逸らした

オデットは、

再びテーブルに向き合いました。

今この瞬間も、

与えられた仕事の一部だと思うと、

不必要な感情を

整理することができました。

本心を出さなければ

傷つくこともない。

それは傷だらけの人生がくれた

プレゼントのような教訓だったし

おかげでオデットは、

どんな状況にあっても、

心を守ることができました。

 

舞踏会の夜に

皇女が起こした狼藉も同じでした。

あれは確かに恥ずかしくて

悔しいことでしたが、

オデットを傷つけることは

できませんでした。

 

適正ラインの礼儀正しさと

表面的な心。

オデットは、外出前に

ポケットナイフを準備するように、

自分が持っている唯一の武器を

再確認しました。

食事に招待された客らしく

行動した後は帰るだけ。

必要以上の感情に酔いしれるのは

愚かでした。

 

トリエ伯爵夫人は、

もう一度、通路側を見ると、

もう、そろそろ

お腹がすいてきたと言って

目でウェイターを呼びました。

その時、空いていた隣のテーブルに

客が到着しました。

 

思わず、そちらを見たオデットは、

思わず「あっ」と

小さな嘆声を漏らしました。

それとほぼ同時に、

オデットの斜め方向の席に

着席したばかりの将校が

目を細めました。

 

将校と向かい合って座った老紳士は

目を丸くして、

こんな偶然があるんですねと

言いました。

皇帝の命令を受けた、もう一人の仲人

デメル提督でした。

 

デメル卿にここで会えるとは

思っていなかったと、

トリエ伯爵夫人も、提督と同じくらい

驚いた表情をしました。

そして、トリエ伯爵夫人は、

ちょうど隣の席なので、

一緒に食事をするのはどうか。

ちょうど、自分たちも

注文しようとしていたところだと

誘いました。

 

デメル提督は、

淑女たちが許してくれるなら、

自分たちにとって

大きな喜びとなるだろうと返事をすると

自分の向かいの席に座っている

若い将校に、人の好い笑顔で

同意を求めました。

 

「もちろんです」と、

彼は自分に強要された答えを

快く出しました。

もうこの脚本が完成するために

残ったのは最後の一行、

オデットの取り分として与えられた

台詞だけのようでした。

 

トリエ伯爵夫人はオデットに、

大丈夫かとゆっくりと質問しました。

オデットは、

混乱した感情を消した目を上げて

隣のテーブルの将校を見ました。

この状況に呆れているのは

同じだろうけれど、

バスティアンは、

小賢しい笑みを浮かべていました。

皇命に従うと言っていた男は、

このありきたりな演劇にも、喜んで

参加するつもりのようでした。


オデットは、

「はい、伯爵夫人」と、

皆が待っていた答えをすることで

素敵な昼食の代償を払いました。

よろめく自分を支えてくれた

しわの寄った手の温もりと

細やかな気遣い。

温かくて柔らかだった

まなざしの記憶は消えました。

 

オデットは、この縁談が

決して自分を

傷つけることはないことを

よく知っていました。

その何物にも、

決して心を与えないからでした。

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やはりディセン公爵は、

皇室の婿になることで、

落ちぶれた自分の家門を

再興しようと思っていたのですね。

すでにヘレネは、

他国の王子との結婚が決まっていたのに

駆け落ちさえすれば、

皇室の婿になれると思うなんて

考えが甘すぎます。

外国で暮らしていた時、

どのような生活を送っていたかは

分かりませんが、ずっと

苦労のし通しだったのではないかと

思います。

それでも、先帝が亡くなって、

ベルクに戻って来られて、

それなりのお金と家をもらえて

ヘレネはほっとしたでしょうに、

一旗揚げようと思って詐欺に遭い、

お金を失ってしまうなんて。

真面目に

コツコツと仕事をするのではなく

楽してお金を儲けようとする

ディセン公爵は本当にクズ。

こんな男に騙されて

全てを失ったヘレネ

内心、後悔していたと思います。

そんな両親を反面教師にして、

オデットは

賢明な判断ができるようになったのだと

思います。

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