自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 95話 ネタバレ 原作 あらすじ 悲しみの色に似た人

 

95話 早くやってと、レイラはマティアスを急かしました。

 

レイラは震える手で

マティアスのコートとジャケットを

脱がせました。

ネクタイを外し、

シャツのボタンを外し始めた頃、

もはやマティアスの息も

穏やかではありませんでした。

 

熱いため息を漏らしたマティアスは

投げつけるようにして、

レイラをベッドに横にしました。

体の上に乗った男の体温と重さに

レイラは安堵しました。

他のことは

何も考えられないように、

今は心全体が潰れるほど、

傷つけられたいと思いました。

だから、それだけの関係らしく

むやみに痛めつけて

踏みにじって欲しいと思いました。

 

レイラは苦痛を渇望するように

公爵にしがみつきました。

その男の髪を搔き乱して鷲掴みにし、

慌てて唇を飲み込みました。

自分のものとは思えない呻き声にも、

今はむしろ感謝していました。

 

いつの間にか、

一糸まとわぬ姿になったレイラの中に

彼は彼女を気遣うことなく

押し入って来ました。

腰を離した彼が、

再び力いっぱい押し込むと、

レイラはもがくように

体を捻りました。

 

マティアスは、

声を出してと要求すると、

唇を塞いでいるレイラの手を離し、

シーツの上に押し付けました。

体は追い詰められるままに

揺れているけれど、

このクソ女の目は、

依然として彼を睨んでいました。

カイル、カイルと、

よく口にしていた唇が、

すすり泣きながら

呻き声を上げていることで、

よりピリピリする快感を覚えました。

 

好きなの。

カイル・エトマンを守るための

嘘に過ぎなかったとしても、

レイラの口から出た

新たな、その言葉は、

気が狂いそうになるほど甘く。

怒りと幻滅、酷い混乱は

一瞬にして消えてしまいました。

 

このように侮辱されている瞬間にも

あの甘美だった一言の余韻に

捕らわれている自分の姿が

滑稽なだけに、

マティアスは荒々しくなりました。

 

身を屈めて唇を吸い込むと、

彼を包み込むレイラの中が

締め付けられるのを感じました。

ある瞬間から、レイラも

小さく腰を動かしていました。

自分が何をしているのかも

分からないまま、

目をギュッと閉じている無垢な顔が

マティアスを、

さらに荒々しくさせました。

 

あの子のことでも考えて

耐えているのかと、

マティアスが、笑い混じりの声で

皮肉を言うと、

レイラの睫毛が震えました。

 

マティアスはレイラに

目を開けるよう命令しながら

力いっぱい突っ込みました。

レイラは

小さな体をバタバタさせながら

すすり泣きました。

やっとの思いで瞼を持ち上げ

現われた緑の目は、依然として

憎悪に満ちていました。

目頭を赤くしながら喘ぎ、

湿っている顔が、

酷くいやらしいと思いました。

 

いくら自分を憎んでも、

結局、自分の女だという事実は、

マティアスに慰めと自責の念を

同時に抱かせました。

少なくとも体を交える瞬間は

この女が、完全に

自分のもののように思えました。

さらに深く入り込み、

しつこく絡み合うほど、

安堵感が大きくなりました。

 

しきりに目を閉じて、

両手で顔を覆うレイラを

見守っていたマティアスは、

本当にそうなら、

君の意思を尊重してやると、

冷たく吐き捨てました。

 

その言葉の意味を、

レイラは彼の行動で理解しました。

あっという間に

体がひっくり返ったと思ったら

腰が持ち上がりました。

背中に覆いかぶさる

大きな男の体の下で、

レイラは先程よりずっと激しく

揺れ始めました。

シーツを握って捻じる手の甲の上に

微かに血管が浮き出ました。

狭い部屋は、

肌がぶつかる音とベッドが軋む音で

埋め尽くされて行きました。

 

レイラは呻き声を上げて、

もがきながらも、

良かったと安堵しました。

少なくとも、これ以上、

あの耳鳴りに襲われないので、

それでいいと思いました。

そして、

ただ、それだけの関係だということを

全身が記憶することだけを

願いました。

 

そうしているうちに、

急激に荒くなった息遣いと動きが

止まりました。

ぐったりしたレイラの背中の上に

マティアスは、

汗に濡れた体を伏せました。

 

カイル・エトマンに向かって

走って行ったレイラ、

彼のために全身で自分を阻み、

死ぬより嫌な嘘を喜んでつき、

むやみに自分を侮辱していた

レイラ・ルウェリンの姿が

思い浮かびました。

 

この愛らしくて憎らしい女の中で

欲望が再び膨らみました。

マティアスは躊躇うことなく、

幻滅と入り混じった快感を

追い求め始めました。

 

マティアスは、

死ぬほど憎んでみろと命令すると

レイラの髪をつかんで、

彼女の顔を自分の方へ向けました。

まだ怒りがこもったままの目が、

今は哀れにさえ思いました。

 

マティアスは唇に

歪んだ笑みを浮かべながら

それでも君は自分のものだと告げると

熱い息を吐いているレイラの唇を

飲み込みました、

彼の美しい愛人は息さえも甘く

マティアスは心の中で

クソ、私のレイラと呟きました。

クロディーヌは長い間

小屋の前の庭を歩き回りました。

マティアスの後を追った時、

すでに予想していたことでしたが、

いざ自分の目で確認すると、

この状況が耐えられないほど

滑稽で虚しくなりました。

 

それでも、ヘルハルト公爵は

違うと思っていました。

これは、あまりにもありふれていて

くだらない、

安っぽい不倫だからでした。

 

それなのに、なぜ、

この汚ならしい場所を

ウロウロしているのか、

クロディーヌは、

自分でも分からなかったし、

どうしても確認したいという

自傷行為に近い衝動を抑えるのが

難しい理由もそうでした。

 

クロディーヌは、

痛くなるほど握りしめていた

拳を緩めると、気配を押し殺して

小屋の玄関に向かいました。

むしろ鍵がかかっていることを

望んだドアは、すぐに開き

クロディーヌは虚しくなりました。

 

悩んだ末、クロディーヌは、

とうとう、その敷居を越えました。

玄関の明かりだけが灯っている

家の中は薄暗く、

その微かな明かりを頼りに

周りを見回したクロディーヌの視線は

台所の裏側にある部屋の

ドアの上で止まりました。

 

そこに向かって一歩ずつ近づくにつれ

そのドアの向こうから聞こえてくる

子猫の泣き声のような女の呻き声と、

低く荒々しい男の声が

鮮明になって行きました。

体が冷えて、

心臓が本来の鼓動を取り戻すくらい

時間が経った後も、

ベッドに並んで横になった二人は

黙ったままでした。

マティアスは天井をじっと見つめ、

レイラは壁に向かって横になり、

身を縮めていました。

 

それこそ狂ったような時間を振り返る

マティアスの唇に、

虚しい笑みが浮かびました。

何も理解できないけれど、

それが嫌ではありませんでした。

自分の人生に存在するとさえ

思わなかった感情でした。

 

このような甘い混乱をもたらした

レイラは、彼に背を向けたまま

固い殻のように黙っていました。

 

マティアスは彼女の髪を掴んで

揺さぶりたい衝動に駆られて

手を伸ばしましたが、

レイラに触れたマティアスの手は、

優しいものでした。

レイラの体を回して胸に抱くと

死んだようにじっとしていた

レイラが、一瞬目を開けました。

マティアスは冷たいけれど優しい手で

レイラの濡れた目を拭いました。

 

彼を押し退けようとしたレイラは

すぐに体をだらりと伸ばしました。

もう何の力も残っておらず、

瞼を持ち上げることさえ

大変に感じられるほど酷い疲労が、

全身を縛り付けていました。

 

レイラが静かになると、マティアスも

一層のんびりとしました。

彼は懐に入れたレイラの目元、

額と頬、そっと開いている唇に

キスをしました。

そして、そのキスのように優しく

汗に濡れた髪と背中を撫でました。

少なくとも、

再び体を交えないような気がして、

レイラは、ほっとしました。

 

彼女のぼんやりとした顔に、

マティアスは数え切れないほど

キスをしました。

鼻の頭をそっと擦り、

真っ赤な頬を、いたずらっぽく

噛んでみたりもしました。

 

レイラは、

ゆっくり瞬きをしていた目を閉じたり

首を横に振ることで、

わずかに抵抗しましたが、

マティアスは止まりませんでした。

 

レイラは、しかめっ面をし、

止めて欲しいと小声で囁きました。

再び溢れて来た涙で輝く美しい目が

彼を映しました。

 

マティアスは、

それなら言ってみてと要求しました。

レイラが「何を?」と聞き返すと、

マティアスは、

「好きなの」と答えました。

そして再びレイラの目頭にキスをすると

言ってくれれば、

思い通りにしてやると告げました。

涙を舐める音と、やや低い笑い声が

入り交じりました。

 

レイラは途方に暮れて

公爵を見ました。

閉じた目を開く度に滴り落ちる涙が

彼の唇と舌先に染み込み、

跡形もなく消えました。

体に触れる手も、これ以上、

レイラを痛くしませんでした。

 

このように親密で優しい瞬間を

否定するかのように、

レイラは目を閉じて

唇を噛みました。

このまま帰って欲しいと願いましたが

マティアスは、

うなじと震える肩と握り締めた髪に

再びキスをし始め、

目頭に彼の唇が触れると、

泣かないでと囁きました。

信じられない言葉に、

レイラは思わず目を開けました。

 

レイラは、変だと告げました。

マティアスは、

「何が?」と聞き返すと、レイラは

自分が泣いたら楽しいはずなのに

すごく変だと答えました。

レイラが力を込めて目を見開いても

涙は絶え間なく流れ落ちました。

 

マティアスは「うん」と返事をすると

その涙もゆっくり拭ってやりながら

「でも、泣かないで」と頼みました。

レイラの涙は相変わらず甘いけれど

今やマティアスは、

それ以上のものを望みました。

 

マティアスは、

「笑え」と命令しました。

レイラは、

今は自分が笑ったら楽しいのかと

尋ねました。

マティアスが「たぶん」と答えると

レイラはもう、すすり泣くのを

堪えきれなくなり、

首を横に振りながら、

絶対に笑わないと告げました。

 

静かに彼女を見ていたマティアスは、

短く笑いました。

その気品のある美しい顔のどこにも

傷を負った様子は

見当たりませんでした。

 

レイラは、

逃れられない男の胸に抱かれて

子供のようにわんわん泣きました。

いくらもがいても

押し退けることができない彼が、

まるで堅固な柵のようでした。

身震いがしましたが、

温かくて穏やかでした。

生まれて初めて、

このような安穏感を与えた人が

まさにこの男だという事実が嫌で

レイラの泣き声は

さらに悲しみに満ちて行きました。

 

カイルを傷つけ、ビルおじさんの家で

クロディーヌの夫になる男に

抱かれている自分を

レイラは汚いと思いました。

今、この瞬間、公爵より

レイラを苦しめているのは

まさに自分でした。

自分をこんな風にしたこの人は

何なのかと思いました。

 

レイラは目にいっぱい涙を浮かべた目で

彼を見つめながら、

いつか自分もあなたを泣かせてやる。

胸を引き裂いて泣かせてやると、

誓うかのように、

力を入れて吐き出しました。

その言葉がマティアスを笑わせました。

 

マティアスは

期待していると返事をすると、

涙に濡れて輝くきれいな頬に

短くキスをしました。

耳元で囁く声が、この上なく優しく

刃を握っていたと思ったのに

深く切られたのは、

今回もレイラでした。

レイラは、

長い間すすり泣いているうちに

意識を失いました。

再び目を覚ましたのは、

薄っすらと夜が明ける頃でした。

 

驚いたことに、公爵は

依然としてレイラのそばに座り、

じっと彼女を見下ろしていました。

レイラは低い声で、

帰るように

そうすべきではないかと囁きました。

返事のない彼を、

レイラは、もう一度急かしました。

マティアスは頷くと、

ベッドから立ち上がりました。

すでに服を着ていました。

 

レイラは、

なぜ自分のそばにいてくれたのかと

声に出せない質問を、

唇だけで繰り返している間に、

ジャケットとコートを羽織った

マティアスが背を向けました。

 

ベッドの端に座った彼は、

布団を引き上げて、

レイラの肩に掛けました。

彼女は息を殺して

マティアスを見ました。

彼もそうでした。

その間に夜明けの空が

真っ青に染まりました。

もう本当に、

帰らなければならない時間でした。

 

マティアスは

レイラの頬にキスをし、

訪ねて来た時のように、

急ぐことなく帰りました。

 

だんだん小さくなって行く

規則的な足音が、

これ以上聞こえなくなると、

レイラは静寂の中に

一人残されました。

 

枕カバーを握ったまま、

空中を眺めていたレイラは、

あの男の目は、

まるで今のこの青い光みたいだと

ぼんやりと考えました。

夜が訪れる色。

そして夜が去っていく色。

暗闇の中で一緒にいられる、

自分の悲しみの色に似た人。

 

永遠に止まらないような考えを

止めるように、

レイラは枕に顔を埋めました。

浅い眠りに落ちては

目覚めることを繰り返している間に

いつの間にか日が昇って

朝になりました。

 

いつもより遅く

ベッドから抜け出したレイラは

真っ先にお風呂に入りました。

しかし、体のあちこちに残った

あの男の痕跡は、

消そうと努力すればするほど、

より鮮明になるだけでした。

 

諦めたレイラは、

抱えた両膝の間に顔を埋めました。

湯気がうずくまっているレイラを

包みこみました。

 

お風呂の湯が冷めて、

レイラを隠してくれた湯気が消えた後

丁寧だけれど、多少荒っぽい、

ノックの音が聞こえて来ました。

レイラが凍り付いている間に

クロディーヌのメイドのマリーが

「ルウェリンさん!」と呼ぶ

きりっとした声が響き渡りました。

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母親が出て行った時に

渡された飴と同じ色の目を持つ

マティアス。

暗闇の中でしか一緒にいられない

彼の目を見る度に、

悲しくなるレイラ。

好きになってはいけない人を

好きになってしまった自分を恥じて

立派な大人になるために

彼から離れたいと思っているけれど

彼から逃れられないレイラ。

レイラはマティアスのことが好きでも

彼に束縛されたくないし

自由に生きたいと

切に願っていると思います。

マティアスが本気で

レイラを手に入れたくても、

彼女の気持ちを理解しない限り、

そして、クロディーヌとの結婚を

止めない限り、レイラは

彼から逃げようとする考えを

止めないと思います。

 

皆様もコメントされていたように、

クロディーヌは、

リエットの助言に従い

レイラとマティアスのことは無視して

二人のことに

干渉すべきではなかったと思います。

けれども、

ブラント家の跡取りとなれない

クロディーヌは、

ベルク帝国一の家柄の男性と

結婚することで、

自分も最高の女性になることを

子供の頃から目指して来ました。

しかし、マティアスが

今までの彼とは変わってしまい、

ただの不倫とは思えないほど、

レイラに夢中になっているので

強い危機感を

覚えているのだと思います。

そのため、この事態を

自分自身で何とか打開するため

あれこれ行動に移していたけれど

ついに見たくなかった現場に

出くわしてしまいました。

それで、さっそくクロディーヌは

再び二人の仲を裂こうとして

マリーをレイラの元へ

遣わしたのでしょうけれど

マティアスは

まだクロディーヌと結婚する意思を

覆してはいません。

クロディーヌは辛いでしょうけれど

どうしてもマティアスと

結婚したいのなら、

じっと我慢して耐えるしかないと

思います。

けれども、そうできないのは

彼女の性分なのだと思います。

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