自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 19話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 16、17話 自分のもの

19話 サンドリンは水たまりの中にオデットのリボンを捨てました。

 

勝利を祝うパーティー

海軍省の宴会場で行われる予定でした。

 

オデットは一番最後に

観客席から立ち上がりました。

今度はバスティアンと合流し、

一緒に海軍省に移動する番でした。

一人で歩いてもいい距離でしたが、

どうやら、それは

良い選択ではなさそうでした。

 

競技場とクラブハウスをつなぐ

アーチ型の門の下に立ったオデットは

深呼吸を繰り返しながら

再び気を引き締めました。

クラウヴィツ大尉のパートナーとして

招待された席なので、

最後まで、その責任を果たす義務が

ありました。

少なくとも、

それだけは完璧にやり遂げて、

最小限のプライドを守りたいと

思いました。

 

クラブハウスの庭に入ると、

「どうしましょう、オデット穣」と

 試合中、休むことなく

ぺちゃくちゃ喋って

耳をひりひりさせた

海軍将校の妻の声が聞こえて来ました。

続けて、「頑張ってください」と

訳の分からない慰めの言葉をかけた

彼女は、すぐに夫と一緒に

立ち去りました。

 

人々が集まっている遊歩道の中央に

到着した後、オデットは

その理由を知りました。

木の下の水たまりに

ピンクのリボンが捨てられていて、

それを囲んでいた見物人たちの

同情と興味の混じった視線が

一斉にオデットに集中しました。

先程、会った将校の奥さんが

送ったような目つきでした。

 

オデットは彼らの間に立ち止まって、

リボンを見下ろしました。

端に刺繍された頭文字にも

汚い染みがついていました。 

あの男が勝手に持って行った

オデットのリボンでした。

 

見覚えのある貴婦人が

大丈夫かと慎重に尋ねました。

静かな笑みを浮かべたオデットは、

そこから一歩退きました。

 

大事にしていた物でしたが、

拾いたくありませんでした。

どうせ、

バスティアンに渡した瞬間から

もう自分の物とは言えなくなったので

どう処分しようが、

その権限は、もう彼にありました。

少し残念なことではあるけれど、

それ以上の感情を、

持たなければならない理由は

ありませんでした。

 

そこまで心を整理したオデットは

先ほどの貴婦人に、

少しお願いがあると告げました。

幸いなことに、

彼女は快く引き受けてくれました。

 

オデットは、

体調が優れないので、早く

帰らなければならないようだけれど

クラウヴィッツ大尉の準備が

遅れているようなので、

自分の代わりに、この知らせを

彼に伝えて欲しいと頼みました。

 

すべて理解していると言うように

頷いた彼女は、

早く帰るように。

大尉には、よく話しておくので、

心配しないようにと言うと、

より憐憫が深まった目で

オデットを見つめました。

 

オデットは丁重に挨拶すると、

未練を残すことなく庭を離れました。

後頭部に熱い視線を感じましたが

振り返りませんでした。

 

バスティアンが捨てたリボンを

発見した瞬間、オデットは、

自分が最善を尽くすことを、

彼が望んでいないことに

気づきました。

どうやら今日の役目は、

ポロ競技と共に終わったようでした。

そんなことも知らずに

不要な熱意を持った自分も、

一緒に泥の中に捨てられたような

気分でした。

 

最初から明確な線を

教えてくれれば良かったのに。

ポロクラブを出て街に出ると、

我慢していたため息が

静かに漏れました。

 

五月のラッツは、

まるでバラの天国のようでした。

わずか1週間前に

春の雪が降ったとは思えない

風景でした。

 

輝く午後の日差しに染まった街を

歩いていたオデットは、

劇場の前に立っている広告板の前を

通り過ぎた時、突然立ち止まり、

一番下にある

家庭教師を募集する白黒のチラシに

目を留めました。

 

教養のある中産階級出身の

若い未婚女性を求む。

文学、外国語、音楽、

礼法に造詣が深く、

容姿端麗であること。

適切な能力を有する場合、

十分な収入を保証する。

 

悩んだ末、オデットは、

手提げカバンから取り出した

小さな手帳に、

その広告を書き写しました。

皇帝のための、

今日の公演は幕を下ろしたので、

もう再び現実を生きる時でした。

賑やかだったクラブハウスが

閑散とした後に、バスティアンは

仲間と共に控え室を出ました。

 

バスティアンの顔色を

窺っていたルーカスは、

こうなることを知っていたら、

サンドリンを

捕まえておけばよかった。

パートナーなしで

パーティーに参加するよりは、

その方が良かったと、

そっと話を切り出しました。

バスティアンは答える代わりに

微笑むことで、

適当な余地を残しました。

 

オデット嬢は、

パーティーへの不参加の知らせだけを

残して姿を消しました。

彼女らしくない行動だと思いましたが

バスティアンは深く悩みませんでした。

たった五回。それさえも

短い時間会っただけの女について

知っていると信じるのは、

滑稽な勘違いに過ぎないだろうと

思いました。

 

あれは、

君のリボンではないか。

乞食姫がくれたお守りではないかと

先頭に立って歩いていた

エーリッヒ・ファーバーが

大げさに叫びました。

 

思わず、そこを見た

バスティアンの眉間に

しわが寄りました。

オデットのリボンが、

泥水に浸かっていました。

 

なぜ、あれが、あそこにあるのか。

まさか君が捨てたのではないよね?

 

ひょっとしてあれを見て

ショックを受けて

帰ったのではないか。

 

そうかもしれないね。

まあ、むしろ良かったではないか。

あらかじめ、

立場をわきまえていた方が

切り離すのが簡単だ。

 

自分たちだけで

何か言い合っていた将校たちは、

ルーカスを除き、

まもなく捨てられたリボンから

興味を引きました。

 

つまり、それは・・・

と言うルーカスの目が

不安そうに揺れ始めました。

バスティアンは返事もせずに

視線を落としました。

 

しばらく控え室に来たサンドリン。

逃げ出すように立ち去ったオデット。

そして、これ見よがしに

捨てられているリボン。

それら全てをまとめて

下すことができる結論は

一つだけでした。

 

バスティアンは、

微かに驚嘆のこもった笑みを

浮かべました。

 

自分のものを守るためなら

何でもするという信条に、

バスティアンも共感しました。

高潔なふりをして、

いいように踏み付けるより

はるかに高く評価できる面でも

ありました。

 

ルーカスは、

バスティアンが

誤解するかもしれないので

言っておくけれど、

絶対にサンドリンは、そんな・・・

と、必死でいとこを庇っていた途中で

驚愕の叫び声を上げました。

その声の方へ首を回した

将校たちの口からも、

悲鳴に近い嘆声が漏れました。

水たまりの前に近づいた

バスティアンが体を屈めて

リボンを拾ったからでした。

あまりにも遠慮がなかったので

彼らは、さらに当惑しました。

 

どうしたの?

頭がおかしくなったの?

 

巡航中のクラウヴィツ号が

海の魔女に会ったの?

 

英雄よ、しっかりしろ!

セイレーンに惑わされた最期が

どうなったか、まさか

説明しなければならないのか。

 

意地悪なからかいにも、

バスティアンは、

これといった反応を

示しませんでした。

そっと上げた眉を下ろして、

汚いリボンを握ったのが全てでした。

 

自分のもの。

どのような理由で引き受けたにしろ

それに対して

気乗りしようがしまいが、

とにかく今は、自分の管轄下にある。

だから、自分が守らなければならない

自分のもの。

 

バスティアンは歩幅を広げて

庭を横切りました。

指を伝って流れた泥水の跡が

その道に沿って続きました。

これは運命だ。

他のどんな言葉でも、

この偶然の再会を説明することは

できそうにありませんでした。

 

穏やかなため息をついたフランツは

路地の陰に身を隠したまま

向かいの建物を見守りました。

間もなく、最上階の端にある窓に

明かりが灯りました。

あそこが彼女の家のようでした。

 

婚約者を送って帰る途中に

オデットに会いました。

わけの分からない息苦しさを感じ

窓を開けると、甘い風が吹いて来て

その風を追って首を回した所に

運命のようにオデットがいました。

 

バスティアンと一緒に

祝賀パーティー

楽しんでいるはずの女性が、

なぜか一人で、

フレベ大通りを歩いていました。

その瞬間、フランツは

オデットと挨拶を交わした瞬間に

訪れた憂鬱と怒り、

試合中ずっと自分を苦しめていた

喉に刺さった棘のような感情の

正体が何だったのかを知りました。

それを確認しなければ

ならないようだったので、

フランツは衝動的に車から下りました。

 

胸が張り裂けそうになりましたが、

フランツは下手に

オデットに近寄りませんでした。

ただ適当な距離を保ちつつ、

彼女の平穏を守りながら

後を追うことだけが全てでした。

 

父と母は、

皇帝が取り持った縁談を

良い機会と考えました。

バスティアンが、

心強い後ろ盾になってくれる妻を

得るのは困るので、

理性的に判断すると確かにそうでした。

何の役にも立たない女が

バスティアンの足を引っ張ってくれれば

彼らにとって、

ただ、ありがたいことでした。

しかし、獣に投げられた

あの可憐な獲物の将来は

どうなるのだろうか?

 

明かりが漏れるガラス窓に、

か細い女性のシルエットが映ると、

フランツは、

思わず息を殺しました。

もう少しと切に願いましたが、

オデットは、最後まで

窓を開けてくれませんでした。

 

リボンを捨てたらしいと、

エラ・フォン・クラインは

その事件について

大いに騒ぎ立てました。

適当に弄ばれて捨てられる未来を

暗示したも同然だと言った時、

彼女の目は、

無邪気な喜びで輝いていました。

 

確かに、エラだけでなく、

そこに集まった全員が

オデットを蔑視し排斥しました。

甚だしくは、

皇帝にその女性を与えられた

バスティアンさえも。

 

もし自分のものだったら。

フランツは、

儚くも美しい家庭を想像しながら

彼女のいる部屋の窓を見つめました。

 

その間に日が沈み、

星が一つ二つと出て来ると、

結局、カーテンまで

閉まってしまいました。

フランツは、諦めて路地を出ました。

 

今頃、母親の怒りが

頂点に達しているだろうという考えに

ようやく至りました。

婚約者を早くから帰してしまった上に、

車と運転手を置き去りにして

逃げて来たので、簡単に済ませるのは

難しいだろうと思いました。

 

フランツは、

適当な言い訳を考えながら、

貧しい街の入り口を歩きました。

オデットという幻想が消えた

風景は、残酷極まりなく、

このような不快なところに、

あれほど美しい女性が

住んでいるという事実が

全く信じられませんでした。

 

バスティアン・クラウヴィッツ

絶対にあの女性と結婚しないだろう。

本来なら絶望すべきことだけれど

それが与えてくれた喜びに

フランツは酔っていました。

彼は、闇を照らす美しい光の中で

オデットを描きました。

目覚めたくない恍惚とした夢でした。

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バスティアンが

リボンを握り締めながら

自分のものと言っているシーン。

マンガではリボンのことを

言っているように描かれていますし

シチュエーション的にも、

そうなのかもしれませんが、

原作には「これは自分のもの」と

書かれていなかったので、

バスティアンが

守りたいと思っているものは

オデットのことなのではないかと

感じました。

 

家まで付いて来るなんて、

フランツはかなり

オデットにご執心の様子です。

 

今回のリボンの画像はAIで作りましたが

なかなか思い通りのものが

作れませんでした。

手は女性のように見えますし・・・

画像を言葉で表現するのは

本当に難しいです。

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