自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 96話 ネタバレ 原作 あらすじ 報告する役割

 

96話 レイラはクロディーヌに呼び出されました。

 

クロディーヌは、

バラ園のパーゴラの下で

立ち止まりました。

そして、微笑みながら、

本当に天気がいい。

もうすぐ春が来そうではないかと

尋ねると、

数歩離れた所に立っている

レイラの方を振り向きました。

頭を下げている彼女を見つめる視線は

笑みを浮かべた唇とは裏腹に

冷厳でした。

 

クロディーヌが、催促するように

もう一度、レイラの名前を呼ぶと

彼女は頭を上げました。

血色のない顔は艶やかで、

乾かすことができなかった髪は

一つに束ねたままでした。

 

「・・・はい、お嬢さん」という

予想と少しも変わらない

レイラの返事に、

クロディーヌは笑ってしまいました。

 

ヘルハルト公爵が、

愛人を一人くらい置くなら、それが

レイラであれば良いという考えは

依然として変わっていませんでした。

夫に愛人がいることは、

社交界では特別なことではないけれど

その女性のレベルは、

貴婦人たちのプライドと

直結していました。

売春婦やメイドに溺れて、

恥をかく情けない貴族も多く、

夫人の座を脅かすほどの高貴な女と

色恋沙汰を起こすよりは、

むしろその方がマシだと

思っていたし、貴婦人たちは

自分の地位を狙うには

卑しいけれど、

粗野でも浅はかでもない

夫の女を望みました。

レイラのように、

身分は低いけれど、教養があって

立派に育った

美しくて賢い女性教師なら

申し分ないと思いました。

 

あの完璧な貴族である

ヘルハルト公爵も、

愛人を置いたという噂が

好事家たちの口に上るのは

仕方がないけれど、レイラくらいなら

やたらとのさばって、身の程知らずに

横柄な態度を取ることもないので

愛人のレベルの低さのせいで、

二度、恥をかくことがないだろう。

もしかしたら、一生

そんなに悪くない仲を維持しながら

生きていくこともできただろうと

思いました。

ヘルハルト公爵が、彼女に対しても

本来の

マティアス・フォン・ヘルハルトでさえ

あったなら・・・

 

クロディーヌは、

ハンカチを敷いたベンチに座り、

冬と春の間の庭を眺めました。

 

昨夜、クロディーヌは、

あの家の戸口の前に

長時間立っていました。

聞こえてくる声は、

確かにマティアスのものでしたが

吐き出す言葉は

全く、彼のものだとは

信じられませんでした。

わずかな理性を保てなかったら、

あのドアをパッと

開けてみたかもしれませんでした。

 

むしろ、そうすべきだったのだろうか。

自分の目で確認した方が、

あの不潔でみだりがわしい音に

耐えるよりは、

マシだったような気もしました。

 

邸宅に戻ったクロディーヌは

一睡もできないまま、

森につながる道が見下ろせる窓の前を

うろうろしました。

マティアスは、夜が明ける頃になって

ようやく姿を現しました。

 

邸宅と庭園をつなぐ階段を

上っていた彼は、ふと振り返って

まるで何か、大切なものを

置き忘れて来たかのように、

しばらくの間、

通って来た道を眺めました。 

 

その瞬間、クロディーヌは、

これ以上、

グズグズしているわけにはいかないと

決意を固めました。

 

すでにマティアスは、

彼女が知っていた、

あのマティアスではなく、

彼が、どんな行動を取るか、

もはや予測するのは困難でした。

レイラも同様でした。

カイル・エトマンに全てバレたのに

まさかレイラが、

平気でマティアスの胸に抱かれて

発情した雌猫のように泣くとは、

思いませんでした。

 

手袋を外して手に持ったクロディーヌは

怪訝そうに首を傾げながら、

なぜ、そんなに緊張しているのか。

一緒に散歩をしているだけなのに、

誰かが見たら、自分がレイラを

いじめていると思われると、

満面の笑みを浮かべながら言いました。

レイラの顔が青ざめました。

 

彼女が否定すると、

クロディーヌは肩をすくめて

それならよかったと返事をすると

帽子を整えました。

 

小屋にやって来たマリーは頑なに

レイラが出て来るまで、

何度も名前を呼んで

ノックを繰り返しました。

 

驚いて飛び出して来たレイラに、

マリーは、お嬢さんが呼んでいると、

冷たく命令を伝えました。

レイラが、今は困ると断っても、

マリーは、

ブラントの令嬢が命令した。今すぐだと

礼儀正しいけれど、

あえて冷たさを隠さない口調で

伝えました。

 

結局、レイラは急いで服を着て、

メイドに付いて行きました。

クロディーヌは晴れやかな笑顔で

まるで懐かしい友達に会うかのように

庭の遊歩道で彼女を待っていました。

 

ベンチに座って遠くを見つめる

クロディーヌと、

そのそばに立ったレイラは、

長い間、黙っていました。

その息が詰まりそうな静寂を、

石畳の上に落ちたブレスレットが

破りました。

 

クロディーヌは眉を顰めて

プラチナブレスレットが

石畳みの上で煌めいているのを

見下ろしました。

留め具が緩んでいたけれど、

結局切れてしまったようでした。

 

クロディーヌはレイラに、

助けて欲しいと頼みました。

当惑したレイラは彼女を見ました。

クロディーヌは喜んで、

レイラと目を合わせました。

鈍くないレイラは、

すぐに言葉の意味を理解しました。

 

静かに近づいて身を屈める

レイラを見守っていた

クロディーヌの口元に

笑みが浮かんだ瞬間、

彼女はつま先で、

そっとブレスレットを踏みました。

ちょうど、それを拾ったばかりの

レイラの手も一緒に

クロディーヌの靴底の下に

敷かれました。

彼女の前に

跪いて座っていたレイラは、

驚いて丸くなった目を上げました。

 

クロディーヌは、

それはレイラが持っているようにと

告げると、つま先に力を入れました。

 

そして、

なぜ、そんな顔をしているのかと

尋ねると、もう一度、

足の下に置かれた小さな手を

ギュッと踏みました。

 

レイラは何の痛みも感じない人のように

ぼんやりと

彼女を見つめるだけでした。

焦点のはっきりしない目が

ブルブル震えていました。

 

クロディーヌは、

自分のものをあげたら

喜ぶと思ったのにというと

もう一度首を傾げながら、

足を引きました。

しかし、レイラは依然として

石畳の上に手をついて

跪いたままでした。

 

唇を動かすだけで

言葉が続かないレイラを直視しながら

クロディーヌは、

まるで子供に言葉を教えるように、

忍耐強く優しい口調で、

レイラは自分のものが好きではないかと

一言一言、力を込めて話し続けました。 

しかしレイラは、

口角を少し上げるだけで、

声を出すことができませんでした。

まるでロープを首にかけられた

死刑囚のようなレイラの目を見ると

クロディーヌは、

心から同情心が湧き上がりました。

 

クロディーヌは、

そんな顔をしないで受け取ってと

言うと、ゆっくりと腰を屈め、

冷たくて滑らかな手で

青ざめたレイラの顔を包み込みました。

そして、自分の男を盗んだレイラが

こんな宝石一つの前で高潔なふりをして

プライドを立てるのは、

おかしいではないかと、

バラの香りのように甘い声で、

レイラの耳元に囁きました。

メイドのマリーは、

庭の端をうろうろしながら、

邸宅のバルコニーの様子を

窺っていました。

万が一、

ヘルハルト公爵が早く帰宅したら、

知らせるようにと、クロディーヌから

命令されていたからでした。

簡単なことでしたが、

そこに隠されている意図は

決して簡単ではないということを

彼女はよく理解していました。

 

ところで、一体、あの貧乏人の孤児と

どんな緊要な話があるのだろうか。

マリーは好奇心から、

首を長く伸ばしてみましたが、

二人が一緒にいるパーゴラは

庭の遊歩道の奥にあるので

見えませんでした。

 

どういうことかは分からないけれど、

この際、あの生意気な娘の鼻柱を

折って欲しいとマリーは願いました。

初めて会った日から、

ずっと気に障ったレイラを思い出すと、

自然に眉間にしわが寄りました。

それしきのことが何だというのか。

お金を握らせても感謝もせず、

硬直していた幼い頃からずっと、

彼女が生意気なのを知っていました。

 

舌打ちをしたマリーは

再び邸宅の様子を見ました。

公爵は、

社交クラブの集まりに参加すると

言っていたので、早くても

夕方には帰ってくるだろうと

思いました。

 

しかし、この前、

予定より一日早く帰宅して、

自分とクロディーヌを

苦境に立たせたことを考えると、

安心するのは愚かでした。

レイラは立ち上がれませんでした。

指先、一つ動きませんでした。

そうしなければならないと

考えることさえ、できませんでした。

 

確かに、

はっきり見ながら聞いているのに

全てがぼんやりとした

夢の中のようでした。

もしも夢なら、レイラは、

これ以上、残酷な悪夢を

知りませんでした。

 

クロディーヌは、

可哀想に、震えていると

気の毒そうに嘆くと、

レイラの頬をそっと撫でました。

そして、

心配しないように。

自分の婚約者が、

あんなに可愛がっているのだから

あなたを、

どうすることもできないと言うと、

レイラの顎を、

そっと持ち上げました。

鑑定でもするように、

綿密に調べる視線には、

一見、無邪気に見える興味が

込められていました。

 

クロディーヌは、

実はあなたのことが

そんなに憎いわけではない。

むしろ同情しているので、

このことを、あなたのせいに

するわけがないではないかと

言いました。

 

そして、レイラの赤くなった

目元を見たクロディーヌは

にっこり笑うと、

なぜ、自分の前でも泣くのか。

でも、

あまり効果はなさそうだから

その涙は大事に取っておくように。

ヘルハルト公爵の前で

可愛い呻き声を上げながら

泣いてみるように。

喜んでいたからと言いました。

そして、瞬く間に笑いが消えると、

クロディーヌの顔は

冷ややかになりました。

レイラは、

もう息もまともにできなくて、

喘いでいました。

 

まさか・・・

レイラは信じたくなくて

必死で神に祈りました。

 

クロディーヌは、

レイラの顎から手を離し、

その手で子犬を可愛がるように

レイラの頭を撫で始めると、

昔、上品な貴族の令嬢が結婚する前に

あらかじめ、その令嬢の夫と一緒に寝て

そのことを、

主人に報告するメイドがいたそうだ。

身分の高いお嬢さんが、結婚する前に

そんな浅はかなことをすることは

できないので、

忠誠心のあるメイドが、

その役割を代わりにしてくれた。

自分たちの関係も、

そのように考えれば、

問題ないのではないかと思う。

むしろ少し有難いことでもあると

言いました。

 

レイラのぼんやりとした瞳に残っていた

一筋の微かな光さえ消えるのを

クロディーヌは静かに見守りました。

足元の木の台が片付けられ、

ロープが、この哀れな子供の首を、

しっかりと括りました。

もう、うるさい鳥の鳴き声に

耐えなくてもいいと思うと、

かなり気分が良くなりそうな

予感がしました。


メイドともつれあって、

泥の中を転がるのは滑稽だけれど

完璧な結婚のためなら、

多少の例外を設けられないことは

ありませんでした。

 

クロディーヌは、

本当に意外だ。

自分は婚約者が、ベッドでも

一滴の汗も流さない

冷血漢だと思っていたのに、

予想と全く違って情熱的だったと

言いました。

 

レイラは、もはや自分の体一つさえ

支えられなくなり、

ブルブル震える両手で

床をつきました。

首も力なく落ちましたが、

クロディーヌは、

その子の視線を逃す気は

ありませんでした。

 

彼女は、優しく撫でていた

レイラの髪をつかみ、

自分の方へ視線を向かせると、

だから、一度話してみるように。

自分に報告することまでが

あなたの役割だから。

あの冷血漢は、

ベッドの中でどんな男?

あなたの穏やかな呻き声から察するに

かなり大きな期待を持っても

良さそうだけれど、

本当にそうだろうかと尋ねました。

 

首を傾げながらレイラを見る

クロディーヌの顔は、

まるで純粋な好奇心を持った

子供のようでした。

 

クロディーヌは、

そんなに良かったのかと尋ねました。

いつも明敏に輝いていたレイラの瞳は

すでに死んだ人のように

ぼんやりしていました。

泣かずに耐え抜く姿が

気になったものの、

まだ真実が残っているので、

今は、この程度で

満足することにしました。

 

クロディーヌはレイラを見つめながら

可哀想なあなたの人生を

台無しにした男の胸に抱かれた瞬間が

そんなに良かったのか、

早く話してみてと急かしました。

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自分の婚約者が他の女性と

ベッドを共にしている様子を

長時間、窺っているなんて

並みの神経の持ち主であれば

できないことだと思います。

しかも、裏切られたことで、

悲しんだり、苦しんだり

嫉妬すらしないということは、

クロディーヌは本当に

マティアスのことを

愛していないのだと思います。

クロディーヌにとってマティアスは

完璧な結婚というビジネスをするための

取引相手で、今、そのビジネスが

レイラという商売敵が現れたために

ダメになりそうなので、

必死で商売敵を叩き潰そうと

しているように感じました。

 

もしもクロディーヌが男で

ブラント伯爵家を継いだら、

マティアスの

好敵手になれるくらい

実業家としての才能を

発揮できたように思います。

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