自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 98話 ネタバレ 原作 あらすじ レイラの決意

 

98話 マティアスは帰って来たビルおじさんを呼び出しました。

 

固まっているビルに、

マティアスが先にお茶を勧めました。

ビルは、相変らず

訳が分からない顔をしていましたが

カップをわしづかみにすることで

命令に従いました。

 

マティアスは、

長い間、お疲れ様とビルを労うと

彼は大きく驚いて首を横に振りました。

そして、自分の過ちで壊した温室を

自分の手で直せる機会を

与えてくれたことを、

心から感謝していると言って

再び公爵に頭を下げました。

 

ややもすれば、

監獄に行くところだった罪を

善処されたことだけを考えれば、

ヘルハルト公爵には

自然と頭が下がりました。

ビルにとって公爵は、

一生をかけて感謝する恩人でした。

 

マティアスは、

アルビスの温室を復旧したら、

首都にあるヘルハルト家の邸宅で

働くのはどうかと

すぐさま本題を切り出しました。

これは、じっくり考えた末に下した

結論でした。

ビル・レマーを

自分の命のように思っている女なので

彼がラッツへ行けば、

当然レイラも一緒のはずでした。

 

ビル・レマーは当惑した様子で

あの事故のせいか。

いくら善処を受けたとしても、

あのような事故を起こした自分が、

アルビスで働き続けていくのは、

どうしても無理があることを、

自分も分かっていると返事をしました。

 

しかし、マティアスは、

あの事故のせいだけではないと

否定すると、

カップを置いて姿勢を正し、

アルビスの庭は規模が大き過ぎて

レマーさんには、

ますます手に負えなくなるだろうと

告げました。

 

ビルは否定したかったけれど

気軽に言葉を続けることが

できませんでした。

公爵の言葉は間違っておらず、

すでに中老となった彼が、

今後もアルビスの広大な庭園を

手入れするのは、

どうしても手に余りました。

 

マティアスは、

ラッツ邸の庭園はそれほど広くないので

ここでの仕事よりずっと楽だろう。

あの邸宅の庭園も

このアルビスのように

美しく整えてもらえると信じていると

話しました。

 

ビルは顔を赤くしながら、

ここまで気を遣ってもらい、

本当にどうしていいか分からない。

しかし、自分にできることは

何もないので、 公爵の気持ちだけ

ありがたくもらっておくと

返事をしました。

 

マティアスは、

ずっとアルビスで働くことを

望んでいるのかと尋ねました。

ビルは、

そんなことができないことは、

善処を受けた日にすでに分かっていた。

温室を復旧する手助けをした後、

レイラと一緒に出て行くつもりだった。

恥知らずの人間は、

当然そうするのが正しいことだからと

答えました。

 

公爵は一段と落ち着いた声で、

理由もなくレマーさんに

善処したのではないと告げました。

ぎこちなく握っていたカップ

下ろしたビルは、

そっと目を上げて、

若くて美しいアルビスの主人に

向き合いました。

 

公爵は、

当然それだけの理由があって

善処したのだから、

そのことに関しては、

借りを返す必要はない。

ラッツ邸の庭師の席も

レマーさんの実力を認めて

提案していると告げました。

 

ビルは、

ありがたいことだけれど、

レイラを置いて、遠い首都まで

行くことはできないと返事をしました。

しかし、公爵は、

ミス・ルウェリンと一緒に行くようにと

告げました。

 

「レイラと一緒に?」と

聞き返したビルは、

気絶しそうに驚いていましたが、

公爵は、まだ落ち着いていました。

衝動的な言葉ではなさそうでした。

 

公爵は、

ヘルハルト家がルウェリン嬢の

後援者になると告げました。

ビルは、レイラを大学に

行かせてくれるということかと

尋ねました。

公爵は、

軽く頷き「はい」と答えました。

そして、

去年、あの気の毒な窃盗事件があった時

祖母は、ルウェリンさんの学費を

支援したいという意思を明らかにした。

あの時は事が急展開し、

うやむやになってしまったけれど、

ルウェリンさんが、

また試験を受けて大学に合格したら、

その時は正式に後援する。

それは祖母の意思でもあるので

自分もその意思を尊重すると

告げました。

 

ビルは口を大きく開けたまま

目だけパチパチさせていました。

とんでもない事故を起こして、

監獄に閉じ込められそうになってから

数ヵ月も経っていないのに、

どうしてこのような幸運が

訪れるのかと、現実感がなく、

夢を見ている気分でした。

しかし、公爵の顔は

依然として冷徹でした。

彼は、

「それで、よろしいですか?」と

尋ねました。

ビルを発見したレイラは

慌てて駆けつけて、

彼の前に立ちました。

最初に見たビルの顔色は

それほど悪くなく、

手のかかる子供に接するように、

レイラを見つめながら、

温かい笑みを浮かべました。

 

ビルは、

ちょろちょろ付きまとって面倒だ。

ここに何をしに来たのか。

家で待っていろと言ったのにと

文句を言いながらも、

レイラの頭を撫でる手は、

いつもと変わらず優しいものでした。

レイラは、ようやく

安堵のため息をつきました。

 

二人は歩調を合わせながら

並んで小屋に向かって歩きました。

そして、レイラが用意した食卓に

向かい合った後、ビルは、

今年の夏になる前に、

レイラと一緒にラッツの邸宅へ行き、

そこで庭師として働いて欲しいと

公爵に言われた。

そして、ヘルハルト家が、

レイラの後援者に

なってくれるということも言われたと

興奮気味に話しました。

 

レイラが

後援者・・・と呟くと、ビルは

今年、首都にある大学の試験に

受かったら、公爵が

学費を出してくれると言った。

老婦人の意向だそうだ。

レイラが、どれだけ優しくて賢いか

公爵家でも分かったのだろうと

答えると、ビルは誇らしげな目で

レイラを見ました。

そして、

その申し出を受け入れたらどうか。

恥知らずなことをしたのは自分だから

お前が気にすることではない。

お前が、

やりたい勉強を思う存分できるなら

自分はどうでもいいと言いました。

 

レイラは、

首を絞められているような気分になり

急いで水を一口飲みました。

熱くなった目頭が疼きました。

どうしても、

ビルおじさんを見られなくて

レイラは、長い間、

目を上げることができませんでした。

 

クロディーヌに会った昨日が、

遠い過去のように、

遥かなことに感じられました。

どのように体を起こして

家に帰ったのか、よく思い出せず、

気がついたら、

床を這いずり回りながら

泣いていました。

 

熱い涙と傷ついた獣のような泣き声は

疲れ果ててから、

ようやく止まりました。

死んだように床に倒れていたレイラを

再び起き上がらせたのは、

現実を否定したい衝動でした。

 

レイラは、レイナー家に

向かいました。

ダニエル・レイナーと、

どんな関係になってしまったのか

考える暇などありませんでした。

クロディーヌが嘘をついたという

確信さえ持てれば、

何でもできると思い、

無計画に、レイナー家のドアを

叩いたようでした。

 

姿を現したダニエル・レイナーは

幽霊でも見たような

表情をしていました。

 

レイラを門前払いしようとする彼に

しがみつきながら、レイラは

一つだけ答えて欲しい。

自分の家から学費を持って行った

あの日、領地で

公爵に会ったかと尋ねました。

むしろ、その質問は、

すべきではなかったと後悔しましたが

今更、無駄でした。

 

ダニエル・レイナーは渋い顔で

それを認めました。

レイラの視線を避ける彼の顔は

真っ赤に燃えていました。

それから、彼は、

今さら、なぜ、またそのことを

蒸し返すのかわからないと

レイラを責めました。

 

その後も、

あの事はすでに終わっていて、

こんな風に再びほじくり返されるのは

非常に不快だという口調の言葉が

続きましたが、レイラの耳には

もう何も入って来ませんでした。

 

気が抜けたレイラが

ふらふら後ずさりすると、

ダニエルは慌ててドアを閉めて、

鍵をかけてしまいました。

レイラは、枯れ果てた涙の代わりに

虚しい笑みを浮かべながら

暗い道を歩きました。

 

警官たちは、

いくら調査をしても、甚だしくは

公爵邸まで訪ねてみたけれど

あの窃盗事件の目撃者は

一人もいないと話していました。

そのすべてのパズルのピースが

一つに合わさると、レイラは

残忍な現実を受け入れなければ

なりませんでした。

 

実はレイラは、

クロディーヌが嘘をついていないことを

彼女の話を聞いた瞬間に、

すでに予感していました。

クロディーヌは、

公爵夫人という生涯の目標を賭けて

ギャンブルをするような人では

ありませんでした。

レイラが公爵の愛人であることを

すでに知っていた彼女は、

いくらでも公爵に

すべての事実を確認できることを

知りながら、

あれほど大胆な嘘をつくことは

できませんでした。

 

自分の名前を呼ぶ

ビルおじさんの声を聞いて、

レイラは我に返りました。

 

ビルは、そう簡単に

答えられることではないということは

分かっていると言いました。

幸いなことに彼は、

公爵の予想外の提案が

レイラを混乱させていると

思っている様子でした。

 

ビルは、

でも真剣に考えてみるように。

自分が与えることのできない翼を、

公爵家が代わりにつけてやると

言っているのと同じではないかと

言いました。

 

レイラは心の中で

いいえ、おじさん。

あの男は、

自分の翼を残忍に折った虐殺者だと

答えると、

泣きたい気持ちで笑いました。

 

ビルは、

お前は翼さえ付けてやれば、

あの高さまで飛んで行く子だ。

ちょっとやそっとの男には

かなわない。 きっとそうだろうと

言いました。

信頼に満ちたビルの目つきは

食卓の明かりよりも、

さらに暖かいものでした。

 

レイラは再び一口水を飲んで

乾いた唇を潤しました。

そして再び、

レマーさんちのレイラになって

微笑みました。

夕食が終わると、二人は

久しぶりにポーチに並んで座って

コーヒーを飲みました。

夜風は、まだ冷たかったけれど、

耐えられないほどでは

ありませんでした。

その間、ずっとレイラは

平常心を失わないように

非常に努力しました。

 

幸いにも、

旅の疲れが取れなかった

ビルおじさんが早く寝床に入ったので

笑顔の仮面を脱ぐことができました。

 

レイラが、ドアを閉めると、

ちょうど公爵の手紙を持って来た

フィービーが窓際に座りました。

レイラは自分でも驚くほど

淡々とした気持ちで

その手紙を確認しました。

公爵の命令は

以前と変わらなかったけれど、

レイラは、もはや

その命令が恐ろしかったり、

途方に暮れたりしませんでした。

 

涙が枯れた瞬間、レイラは、

高貴なヘルハルト公爵夫妻の人生から

消えてやると決心しました。

しかし、

このままではありませんでした。

 

細かく破った手紙を捨てたレイラは

箪笥の前に歩いて行くと、

彼が好きそうな姿であることを

願いながら、

公爵が買ってくれた服を着て、

靴を履き、 編んだ髪は解いて、

丁寧にブラッシングしました。 

 

自分はあなたに

何も問い詰めたりしない。

 

レイラは、冷たく厳しい目つきで

鏡に映った自分の姿を見つめました。

 

彼が自分にそうしたように、

彼から学んだやり方で、

ひっそりと彼の心を引き裂く。

 

覚悟を決めると、妙な興奮して

胸がドキドキしました。

 

考えてみれば簡単なことでした。

レイラは、

人の心を最も痛く引き裂く方法を

誰よりも、よく知っているので

この世界が

自分に対してしたようにすれば

良いことでした。

 

守れない約束をして、

期待に胸を膨らませさせ、

美しい夢を見させた後、

粉々に砕いて踏み付けなければ。

その壊れた心の破片が

深く突き刺さるように。

 

ゆっくりと目を開けたレイラは

そっと小屋を出ました。

レイラがそうだったように、

あの男も、

惨めさと苦痛の中で、

床を這いずり回らせながら

泣かせるやると決意しました。

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もしも、マティアスが

ダニエル・レイナーと出くわしたことを

警官に話していれば、

すぐにダニエルは取り調べを受け

リンダ・エトマンの悪事も

明らかになったでしょうけれど、

少なくとも、レイラは、

リンダがどれだけレイラのことを

憎んでいるか聞かされずに

済んだと思います。

そして、マティアスが

ダニエルの財政状況のことを

調べていなければ、

ダニエルはお金のために、

リンダに頼まれたことを

黙っていたかもしれません。

 

いずれにしても、

レイラは傷ついたと思いますが

マティアスが陰で画策しなければ

レイラの心の痛みは

軽かったのではないかと思います。

 

マティアスのせいで翼を折られて

自由を奪われ、

リンダに苦しめられ、

クロディーヌにも苦しめられた。

レイラが

マティアスに復讐したくなるのも

無理はないと思います。

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