自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 21話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 17話 逃亡

21話 バスティアンはディセン公爵をクソ野郎と呼びました。

 

すでに一度、自分に

娘を売った人らしくない言葉だ。

会っていない間に、

急激な心境の変化でも

あったのだろうかと言うと、

バスティアンは、

真剣に疑問を感じているように

頭を傾げました。

 

ディセン公爵は、

バスティアンの行儀の悪さを

叱責しようとしましたが、

気が変わり、

あれは、窮地に追い込まれて

犯した過ちに過ぎなかったと、

急いで、

準備しておいた返事をしました。

話が通じない奴なので、

無駄な口論をして

体面を傷つけるのは愚かでした。

 

バスティアンは、

もし自分が寛容でなかったら、

そう簡単に片づけられるものでは

なかっただろうと、

何の躊躇いもなく、

あの日のことを口にしました。

 

予想と大きく異なる会話に

慌てたディセン公爵が

躊躇っている間に、

侍従が茶を持って来ました。

 

やっと一息つくことができた

ディセン公爵は、

その隙を狙って周囲を見回しました。

影のように静かに近づいて来て

お茶を注ぐ侍従の仕草は、

水が流れるように

自然で熟練していました。

パリッと糊の利いた制服も、

かなり高級な素材で仕立てられたことが

明らかでした。

権力のある名門の家でのみ、

雇われるようなレベルを備えた

上級の使用人でした。

 

卑しい古物商の家の悪名と

似つかわしくない点は、

それだけではありませんでした。

 

今は適当に放置された状態だけれど

よく見ると、

念入りに手入れされていた跡が

残っている庭園でした。

樹齢が古い木と貴重な品種の草花も

簡単に見つけることができました。

おそらく、前の主人の好みと

目利きによるもののようでした。

古物商から借りたお金を

返せなくなった貴族の家から

借金の代わりに受け取った

邸宅だと聞いていました。

 

汚いネズミが病気を移すように、

このような成金たちが

世の中の秩序を蝕んでいました。

この帝国を築き、守り続けて来た

高潔な名門の名と、

その悠久な歴史と伝統は、

ディセンがそうであったように、

彼らが広めた疫病の前で、

なすすべもなく消えつつありました。

 

鬱蒼とした木々の間に見える邸宅と、

しゃれている旧式の噴水台を

チラッと見た後、ディセン公爵は

再びバスティアンを見ました。

帝国軍の将校服と

栄誉ある戦功を象徴する勲章。

さらに首都中心部に位置する

豪華なタウンハウスまで、

その出自について事前に知らなかったら

名門の家の子息だと

信じて疑わないような姿でした。

主人を失った廃墟の上で、

卑劣な奴が王様気取りをしているような

姿でした。

 

ディセン公爵は、

実は裏通りの賭博場で

オデットを賭けて勝ったことがあると

どこかの皇帝の前でも、

一度話してみたらどうか、

できないなら、自分が

代わりに話してやることもできる。

そうすれば、

お前が得た名声は、一夜にして

泥沼に埋もれてしまうだろうと

さらに過激な言葉で敵意を表しました。

できれば良い方法を使いたかったけれど

古物商の孫がこのように出てくるなら、

彼としても、

どうしようもありませんでした。

 

一口飲んだ茶を下ろしたバスティアンは

好きにすればいい。

たかがそんなことで、自分の評判が

損なわれるはずがないし、

たとえ、そうだとしても、

そんなことは大したことではないと

返事をしました。

 

ディセン公爵は、

英雄の名誉がそんなものだというのか。

いくら、もっともらしく見せかけても

やはり、本質は

隠すことができないものだと

非難しました。

膝の上に置かれた手が

冷や汗でびしょびしょになりましたが

ディセン公爵は、その事実を隠すために

さらに必死に、

悪く見せようとし始めました。

 

バスティアンは、

そんなによく知っている人が、

名誉なんかで

自分を動かそうとしたのかと

残念そうに問い返すと、

タバコの灰を払い落としました。

彼の青い目にじっと見つめられると

まるで冷たい蛇に、全身を

ぐるぐる巻かれているような気分になり

ディセン公爵はぞっとしました。

 

窮地に追い込まれた彼は、

皇帝を信じているようだけれど

誰が何と言おうと、

オデットの父は自分なので、

皇帝の意思がどうであれ、

あの子を手に入れるためには、

自分の許可が必要だと、

ますます、声を高めました。

 

ディセン公爵は、

すでにバスティアンがオデットに

夢中になっていると聞きました。

その経緯を知るために会った

情報筋の結論は一様で、

すでに社交界に広まっている噂だと

話していました。

ディセン公爵が見聞きしたことも

それほど変わりませんでした。

不名誉ではあるけれど、

喜ばしいことでした。

 

一時、自分もそうだったので、

愛に目が眩んだ男が、

どれほど盲目的になるかを、

ディセン公爵はよく知っていました。 

そのため、

皇女を利用するために接近したと

非難されるのは無念でした。

ただその理由だけだったら、

皇女の資格を剥奪された日に、

妻を捨てたはずでした。

もしかしたら、その方が、

お互いにとって

良いことだったかもしれませんが、

今となっては、何の役にも立たない

後悔に過ぎませんでした。

それでも、最高の宝石のような

オデットを残したのだから、

あの愚かな愛が、全く、

無意味ではなかったわけでした。

 

自分には、その気になれば、

すぐにでもオデットを

他の所に嫁がせる権利がある。

英雄と称えられたところで、

結局、卑しい成金に過ぎないお前より

財産が多少不足していても、

品格のある家柄の方がずっと

オデットに相応しいだろうと

虚勢を張ると、バスティアンは

ひねくれた笑みを浮かべながら

頷きました。

 

バスティアンは、

ディセン公爵が、

そのような切ない気持ちを抱きながら

なぜ今まで、結婚適齢期を迎えた娘を

見殺しにしておいたのかと

尋ねました。

 

ディセン公爵は、

慎重を期しているだけだ。

自分の家門の状況が

今のように厳しくならなかったら

オデットは、とっくに、

この帝国最高の名門の家に

嫁いでいただろう。

もしかしたら、

外国の王族と結婚して

妃の座に就いていたかもしれない。

それだけの資格を、

十分に持っている子だからと

言い返しました。

 

バスティアンは、

ああ、そうなんですねと、

返事をしました。

ディセン公爵は、

だから、お前が、

自分の娘と付き合うためには、

それに見合った努力と誠意を

示すべきではないのかと

主張しました。

 

バスティアンは、

成金の努力と誠意とは、

おそらくお金のことだろうと、

率直に言い返したので、

ディセン公爵は当惑しました。

 

彼は、弁明しようとしましたが

横柄な態度で

ディセン公爵の話を遮った、

バスティアンは、

公爵は、いかなる代価も

自分から受け取ることができないと

冷酷な通知をしました。

そして、

娘を他の所に嫁がせたいのなら、

そうするように。公爵の言う通り、

それは父親の権利だから尊重する。

しかし、今は、

皇帝がオデット穣を手放さないので、

次の順番を待つしかなさそうだと

肩をすくめながら、

全く予想外の返事をしました。

 

続けてバスティアンは、

名門の女主人であれ外国の王妃であれ

時が来たら、いくらでも

公爵の意のままにするように。

しかし、その大切な希望を

守りたいのであれば、

しばらくは自重した方がいい。

ひょっとして、

生臭い奴が触れた淑女という

噂でも広まれば

公爵の結婚商売に、相当な支障が

生じるのではないか。

もちろん自分にとっては、

もう一つの武勇伝になるけれどと、

声を荒げることなく、

汚くて卑劣な脅迫を続けました。

言葉が詰まってしまったディセン公爵は

ただ、ぼんやりとした目を

パチパチさせるだけでした。

 

バスティアンは、

おとなしく待っていてくれれば、

あの夜、あの賭博場でそうしたように

娘さんを謹んで返すと告げました。

 

血の気の失せたディセン公爵の唇から

「お前なんかが、あえて・・・」と

首を絞めつけられているような

声が漏れました。

しかし、バスティアンは眉一つ動かさず

再びタバコの煙を吸い込みました。

今にも息が詰まりそうな

彼に向き合っても、

バスティアンは平然と

席から立ち上がりました。

半分燃え尽きたタバコの吸い殻を

灰皿に投げ入れて、

ゆっくりと帽子をかぶる動きが

まるでダンスの一つの動作のように

スムーズに続きました。

 

優雅に頭を下げたバスティアンは、

格調高い会話を希望するなら、

次回は皇宮を訪ねてみることを

勧めると言って翻弄しました。

 

一歩遅れて、

我に返ったディセン公爵は

テーブルをひっくり返しました。

テーブルに置かれていた

陶磁器が割れる音と、

遠ざかっていく彼の足音が

奇妙なハーモニーを奏でました。

最後の瞬間まで、バスティアンは

一度も振り返りませんでした。

乳母は、

すぐに深い眠りに落ちました。

もしかして、大きな事故が

起きるのではないかと心配で、

全ての量を

使わなかったにもかかわらず、

睡眠薬は、確実に効いたようでした。

 

安堵のため息をついたイザベルは、

まず、ベッドの下に隠しておいた

包みを取り出しました。

何日かに渡って一枚ずつ集めた

メイドたちの服でした。

 

このまま手をこまねいて

ベロップに売られる日だけを

待つわけにはいかないという執念が

イザベルを動かしました。

 

意図的に狼藉を働いて、

睡眠薬を持って来させ、

飲んでいない薬が効いたふりをして

乳母とメイドたちの目を避けました。

 

こうして監視の目から

逃れる時間を稼いだおかげで、

イザベルは、

自分が眠っている間に、

メイドたちがティータイムを

過ごすことと、近いうちに、

休暇に行く番が回って来る

若いメイドのことと、

食料品を運ぶ荷車が出入りするため

慌ただしくなる時間があることを

知りました。

イザベルを彼の所へ連れて行く

希望の足掛かりでした。

 

バスティアンに会わなければならない。

イザベルはその誓いを思い出して

素早く着替えました。

枕とクッションを布団の中に入れて

眠っている自分の姿のように

見せることも忘れませんでした。

 

最後に、地味な麦わら帽子をかぶった

イザベルは、

慎重な足取りで窓際に近づきました。

長椅子に横たわる乳母は、

依然として、ぐっすり眠っていました。

乳母と一緒にお茶を飲んだ

他のメイドたちも同様でした。

 

イザベルは、

どうか自分を理解して欲しいと

呟くと、しわだらけの乳母の頬に

謝罪の口づけをしました。

感情が込み上げてきましたが、

涙を堪えました。

これが最後のチャンスかもしれない。

残りの人生を

後悔の中で過ごしたくないなら、

強くならなければならない時でした。

 

イザベルは、

あらかじめ準備しておいたお金と

アクセサリーを、

メイドの古いトランクの奥深くに

詰め込みました。

これだけあれば、当分は

持ちこたえられそうでした。

もう少し高価な宝石を

見つけることができれば

良かったけれど、

身動きが取れない今は、

これが最善でした。

 

最後にイザベルは、謝罪の手紙を

引き出しの中に入れました。

ベロップ王太子からもらった

婚約指輪も、

そのそばに置きました。

相当、高い宝石であることは

明らかだけれど、

バスティアンとの愛に

他の男の影を落としたくはないので

少なくともこれだけは、

手をつけてはいけないようでした。

 

万全の準備を終えたイザベルは、

力いっぱいカバンを握りしめ、

寝室のドアの前に近づきました。

いつのまにか11時。

夏の宮殿の裏門が開く時間でした。

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ディセン公爵は、

ヘレネのことを愛していたなら

ティラの母親と浮気をしては

いけなかったのではないでしょうか。

昔の栄光にすがりついているだけで

自分でお金を稼ごうともせず、

娘のお金を横取りするような父親に

金貸しの孫と言って、

バスティアンを馬鹿にする資格は

ないと思います。

 

イザベルの結婚相手は

ベロップの王太子

ということは、イザベルは

未来の王妃になるのでしょうけれど

国同士の団結のためとはいえ、

イザベルを王太子妃にするなんて

止めておいた方が絶対にいいと

思いました。

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