自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 102話 ネタバレ 原作 あらすじ 従順ではない息子

 

102話 早朝から使用人たちは、慌ただしく二人の奥様の荷物を運んでいます。

 

毎年、

皇后の誕生パーティーが開催される

春先になると、

帝国の名望高い貴婦人たちは

首都に集まりました。

その年の、

本格的な社交シーズンの幕開けを

告げるような行事であるため、

招待されたすべての家門は、

心血を注いで

パーティーのを準備をしました。

何の気配もなく近づいて来た

ヘッセンが、

出発の準備ができたと告げると、

優雅な笑みを浮かべた二人の女主人は

立ち上がり、

待機中だったメイドたちも

静かに後に続きました。

 

マティアスは祖母をエスコートして

ロビーのホールにつながる

階段を降りました。

 

カタリナは、

あなたも一緒に出発すればいいのにと

言って、残念そうに孫を見ました。

スケジュールが合わないマティアスは

パーティーが開かれる日に合わせて

首都を訪問することになっていました。

 

カタリナは、

忙し過ぎるのは仕方がないけれど

事業に熱中するあまり、

社交界を疎かにするものではない。

ヘルハルトの本質が何なのか、

誰よりも、

よく知っているだろうけれどと

心配そうに小言を言いました。

 

世の中が変わり、貴族たちも、

これ以上、領地だけに頼って

生きていけない時代になったため、

社交界内での立ち位置と評判は

より一層重要でした。

爵位のない資本家たちが

上流階級に組み込まれているとはいえ

見えない壁は、むしろ、より高く、

より堅固になっていました。

 

マティアスは丁重に微笑んで

「はい」と答えました。

いつもと変わらない姿に

ひと安心したのもつかの間、

視線を交わす二人の奥様の表情には、

まだ完全に消えていない不安が

残っていました。

 

ラッツで会おうと言って

明るく笑ったエリーゼは、

息子と短い抱擁を交わした後、

馬車に乗りました。

マティアスは最後の最後まで、

完璧な礼儀作法で

二人を見送りました。

 

玄関のロビーに入る

マティアスの後を追いながら

ヘッセンは、

弁護士のスタプ氏が、

午後にアルビスを訪問することを

声を低くして報告しました。

マティアスは頷きました。

スタプ家は長年、

ヘルハルト家内部の法律問題を

担当して来ました。

 

スタプ氏が聞かされた状況について、

もう少し詳細にアドバイスするためには

会社の弁護士たちとも

議論してみなければならないようだとも

話していたと、ヘッセンが伝えると、

マティアスは、

今日、話し合ってから

決めることにしようと返事をしました。

 

ヘッセンは、

そのようにスタプ氏に伝えておくと

言うと、すぐに

反対側の廊下へ向かいました。

 

マティアスは、

大理石のホールの真ん中で

しばらく立ち止まり、

ゆっくり頭を上げると、

冷たい光を放っている青い目で、

巨大なシャンデリアと

その奥の天井を飾った

ヘルハルト家の紋章を見ました。

 

淡々と目を逸らすと、

マティアスは、

もう少し落ち着いた足取りで

ホールを横切りました。

馬車が領地を離れると、老婦人は

目に見えて暗い顔で、

本当に、そのような種類のことだと

思っているのかと

エリーゼに尋ねました。

 

エリーゼは、やや疲れた表情で

手袋を脱いで握ると、

他でもないあの子が、

まさかと思うかもしれないけれど、

マティアスも男だ。

ビル・レマーに親切にするのは、

どう見ても不明瞭だけれど、

レイラ・ルウェリンの名前を入れて

考えると理解できないかと

尋ねました。

カタリナは肯定も否定もせず、

馬車の窓の外を凝視しました。

 

彼女は有能な公爵夫人として

一世を風靡し、

彼女の嫁も同様だったので、

この種のことに、

とんでもなく騒ぎ立てるほど、

あやふやな予感を

覚えたりしませんでした。

 

カタリナは、

あの子がラッツに来たら、

直接聞いて確認してみるのはどうかと

提案しました。

エリーゼは、

自分もそうしようと思ったけれど

それほど良い方法ではないと思うと

答えると、困惑した様子で

老婦人を見ました。

そして、マティアスは

自分たちが、それを聞くことを

間違いなく望んでいるように見える。

あの子が、本当に

そんな気持ちになったとしたら、

それはどういう意味なのか、

よく知っているではないかと

尋ねました。

 

嫁の言葉を一気に理解した

老婦人の憂いが深まりました。

もし推測していることが事実なら、

そう簡単ではないと思いました。

 

マティアスと庭師の養女の間に

何かがある。

マティアスが予期せぬ決定をした午後

彼女たちは、

すでに、ぼんやりと気づきました。

今になって考えてみると、

気づいたという考えさえ変でした。

マティアスは公然と露わにしていたのに

彼女たちは、あえて

知らないフリをしていただけでした。

 

エリーゼは、

自分たちの推測が間違っていなければ

どうするのが自分たちの家門のために

最善だろうかと尋ねました。

カタリナは、自分たち以外、

誰も聞いていないということを

知りながらも、声を精一杯低くして

知らないふりをするのが最善のようだと

囁きました。

 

マティアスとクロディーヌの結婚式は

目前に迫っていました。

雑音は最小限にし、

無事に結婚式を行うことが

何よりも重要でした。

 

エリーゼは、

やはり、それがいいのだろう。

レイラ・ルウェリンを

首都に送ろうとしているのを見ると

マティアスは、そのことで結婚を

台無しにする気はなさそうだからと

言いました。

カタリナは、

まずは無事に二人を結婚させることに

集中しなければと返事をすると

エリーゼはため息をついて

頷きました。

 

気持ちとしては、このことに関して

直ちにマティアスを問い詰め、

長年、両家が

念入りに準備して来た結婚の

邪魔になるかもしれない彼女を

片付けてしまいたかったけれど

そんなことをすれば、

むしろ逆効果でした。

結婚を台無しにしない点で、

レイラ・ルウェリンを黙認するのが

最善のはずでした。

 

エリーゼはズキズキ痛む頭に

手を触れながら、

自分は少し怖いと

心配そうな声で呟きました。

 

エリーゼは、

バレることを決心したかのように

振る舞うマティアスのことが心配だ。

もし、万が一、

ブラント家との婚約を破棄して

レイラ・ルウェリンと

とんでもない結婚をするという意思でも

明らかにしたらどうするのかと

尋ねました。

カタリナは、

他でもないマティアスが

そんなことをするはずがないだろうと

否定しました。

孫に対する自負心が

誰よりも大きい老婦人の顔は

不快感でしわくちゃになりました。

 

しかし、エリーゼは、

なかなか心配が収まらず、

他の人ではなく、マティアスだから

こんな心配をしていると言いました。

血の気が失せた彼女の手の甲に

血管が浮き出ました。

 

マティアスは、

一度もトラブルを起こすことなく

育った子でした。

自分のやるべきことを

完璧にこなしたので、

一言も文句を言う必要が

ありませんでした。

しかし、彼女は、

そのような自分の息子が従順だと

一度も感じたことはありませんでした。

完璧な後継者になろうと決意し、

そのような人生を

完璧に生き抜いた子供でした。

言い換えれば、他の何かになろうと

心変わりすれば、一日で

完璧な後継者の人生を

捨てることもできる子供という

意味でした。

非の打ち所一つなく礼儀正しいけれど

実は、これまで、

この世の誰にも従ったことがなく

傲慢で硬骨な息子の気質を

彼女はよく知っていました。

 

そうですよね。

まさか、そうはならないでしょうと

エリーゼは必死に

不吉な予感を消しました。

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採点を終えた子供たちの試験用紙を

片付けたレイラは、

凝った肩を揉みながら

机の前から立ち上がりました。

時間は、すでに九時を

はるかに過ぎていました。

 

フィービーは夕方、

手紙なしで帰って来ました。

幸い、今日は、

公爵の呼び出しがなさそうでした。

 

長い安堵のため息をついたレイラが

ちょうどクローゼットのドアを

開けた時、窓を叩く音が

聞こえて来ました。

 

確かにフィービーは

鳥かごの中に戻ったし、

しっかりと閉めたドアを

何度も確認したので、フィービーが、

こっそり抜け出したはずは

ありませんでした。

 

もしかして幻聴?

レイラが疑問を覚えている間に、

窓を叩く音は、より速く、

はっきりと聞こえて来ました。

フィービーでないことは確かでした。

鳩の軟弱な嘴に、

あのような力はありませんでした。

 

レイラは半信半疑で

カーテンを開けました。

幸い、あの男は見えませんでしたが、

疑問はさらに深まりました。

 

それでは、一体誰が?

 

暗闇だけの窓の向こうを

見ていたレイラは、

慎重に窓を開けました。

本当に聞き間違えたのだろうと

思った瞬間、レイラは

窓の向こうの地面に落ちている

長い影を発見しました。

その影を追って視線を移したレイラは

思わず悲鳴を上げました。

急いて口を塞がなかったなら、

ビルおじさんに聞こえるほど

大声を上げたかもしれませんでした。

 

窓の横の壁に寄りかかって、

そのようなレイラを

見守っていた公爵は、

「こんばんは、レイラ」と

面倒くさそうな口調で

挨拶をする余裕を見せました。

何がそんなに面白いのか

クスクス笑ったりもしました。

 

レイラは、

なぜ、公爵がここにいるのかと

尋ねました。

マティアスは「さて、なぜだろう」と

とぼけました。

レイラは早く帰ってと頼むと、

不安に震える目で、閉ざされたドアと

窓越しに立っている男を

交互に見ました。

 

大抵この時間、

ビルおじさんは寝ているけれど

だからといって

安心できませんでした。

 

レイラは、

早く帰って。こんなのは嫌・・・

と鋭く叫びましたが、

言い終わらないうちに、その言葉は

マティアスの唇の上で砕けました。

窓から突き出ているレイラの顔を

しっかりと抱きしめた彼は、

まるで薬を飲ませるかのように

ゆっくりとしたキスを続けました。

穏やかな息遣いに混じって

聞こえてくる微かな笑い声が、

レイラをさらに苛立たせました。

 

しばらく、もがいていたレイラを

放してやったマティアスは、

出て来いと命令しました。

彼の濡れた唇を

ぼんやりと眺めていたレイラは、

徐々に眉を顰めながら、

「いやだ!」と断りました。

マティアスは、

それなら自分が行くと返事をしました。

 

レイラは、

どうして、こんなことをするのかと

尋ねると、窓から手を伸ばして、

すぐに小屋のドアを叩きに行く勢いの

公爵をつかみました。

 

レイラは、

今は出かけられないので、

どうか、このまま帰って欲しいと

頼みました。

マティアスが、その理由を尋ねると

レイラは、

ビルおじさんが、

まだ起きているかもしれないと

答えました。

 

マティアスは、

それが何の問題があるのかと尋ねると

大したことないといった表情で

窓枠とレイラの顔を順番に

ゆっくりと見つめました。

 

その視線が意味することに

気づいたレイラは、

この夜に、なぜ自分が

窓を飛び越えるのかと

呆れて尋ねました。

マティアスは、自分が望むからと

図々しく答えました。

その顔に浮かんだ微笑みは、

優しくもあり傲慢でもありました。

 

まず、レイラは袖を引っ張って、

濡れた唇を拭いました。

この狂った男が、

自分の意思を曲げるはずがないので

騒ぎが長引けば長引くほど

危険だけが大きくなるのは

明らかでした。

 

目を見開いて公爵を見つめたレイラは

急いで部屋のドアに鍵をかけ、

窓の前に戻りました。

そして、

淑女に窓を飛び越えることを

要求するなんて紳士ではないと

非難しました。

マティアスは、

上手に木に登って遊ぶ淑女が

言うことではないと反論すると

レイラは、最近は登っていないと

言い返しました。

 

レイラは素早く軽い動きで

窓枠の上に登りました。

抱き下ろそうとして、

公爵が近づいて来ましたが、

レイラは見て見ぬふりもせず、

自力でぴょんと飛び降りました。

 

腕は相変わらずのようだと言って

低くクスクス笑ったマティアスは、

窓を閉めて振り向いたレイラの手を

ギュッと握りました。

 

二人は裏庭を回って

林道に向かって行きました。

小屋が見えなくなるくらい離れた後で

レイラは、初めて

安心することができました。

 

ところが、今歩いているのが

離れにつづく道ではないことに

気づいたレイラは、

この道ではないのではないかと

眉を顰めて尋ねました。

しかし、マティアスは平気で

全く別の道に彼女を導きながら

この道で合っていると答えました。

 

マティアスは、長くて滑らかな指を、

もぞもぞするレイラの指に

絡めました。

そして、見せたいものがあると

低く囁きました。

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マティアスが、今まで

この世の誰にも

従ったことがないなんて

どれだけ傲慢なのか。

咎められたり、注意されたり、

助言されたり、

忠告される必要がないほど

完璧だったのでしょうけれど、

ここまで来ると、

マティアスは人間ではなく、

完璧になるようにプログラミングされた

ロボットのように思えて来ました。

 

そのプログラムの中では、

妻の他に愛人を持つことを

良しとされていて、マティアスは

その通りにするつもりでしたが

レイラに恋したことで

プログラムに不具合が生じてしまった。

しかし、マティアスは

プログラムを修正することはなく

初めて知った

愛という感情が心地よくて、

その心の赴くまま

暴走しているのだと思います。

 

クロディーヌは

ヘルハルト公爵夫人になるために

レイラを徹底的に痛めつけ、

彼女自らマティアスから離れるように

仕向けたけれど、

肝心のマティアスの心を

変えることはできないし、

レイラと過ごしたいがために、

後から首都へ行くことにしたほど

自分の感情の赴くまま

暴走しているマティアスを止めることも

不可能だと思います。

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