自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 25話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 20、21話 バスティアンの拒絶

25話 イザベル皇女がバスティアンのタウンハウスに押しかけて来ました。

 

バスティアンはクスッと笑いました。

じっとイザベルを見つめる瞳は

深い水のように静かでしたが

口の端が斜めに傾いていました。

あまり好意的な反応のように

見えませんでした。

 

気後れしたイザベルは、

これ以上近づくことができず、

足を止めました。

彼に触れるには、まだ遠いけれど、

その冷淡な目つきを察するのに

十分、近い距離でした。

 

騒々しい玄関ホールを見回した

バスティアンは、

背後でブルブル震えている

執事に向かって、短く頷きました。

命令を理解した彼が

急いでドアを閉めると、

沈黙の密度が急激に濃くなりました

 

席を空けようとする使用人たちを止めた

バスティアンは、大股で足を踏み出し、

イザベルとの距離を縮めました。

 

期待で一杯に膨らんだイザベルの胸は、

皇宮へ連れて行くので来るようにという

バスティアンの言葉を聞くと、

すぐに再び冷たく凍りつきました。

再会の挨拶の一言もなく

投げかけられた無情な命令に

イザベルの両目から

涙が溢れ出て来ました。

 

イザベルは、

ダメ、そんなことはできないと言うと

震える手で、

バスティアンの袖をつかみました。

そして、

やっとあそこから抜け出して

ここまで来た。

どんなに大変だったか分からないと

訴えました。

 

バスティアンは

確かにそのように見えると

返事をすると、

再び短く嘲笑を漏らしました。

メイドに扮した皇女に

当惑していたけれど、

今は軽蔑に変わっていました。

 

イザベルがここに現れた理由と、

こんな途轍もないことをするために

どんな手段を講じたのかは

明らかでした。

ここまで来ると、

皇帝が可哀想になりました。

国益のために、

このような状況の皇女と

結婚しなければならない

ベロップの皇太子も同様でした。

 

バスティアンは、

まもなく皇女を探しに人が来る。

その前に立ち去らなければならないと

告げました。

しかし、イザベルはバスティアンに

本心を言って欲しいと懇願し、

手の付けようがないほど

泣き出しました。

そして、

まだ自分を

子供扱いしているのではないか。

初めて会った時は、

確かにそうだったけれど、

今は違うと叫ぶと、

興奮して脱ぎ捨てた帽子が

大理石の床の上に落ちました。

 

続けて皇女は、

自分はもう大人の女になった。

あなたのために

王冠を捨てる覚悟ができている

立派な女だと主張しました。

 

バスティアンは、

皇女が子供であろうと女であろうと、

一体、それが自分と

何の関係があるのかと尋ねました。

皇女の顔を見つめる

バスティアンの目は、

さらに、ぞっとするような光を

帯びていました。

 

イザベルは、

自分が皇女のせいで、

身分の差のせいで、

あなたの心を覗き込むことさえ

できないのかと尋ねました。

 

一生、高貴に生きてきたこの少女は

拒絶という単語の意味を

全く理解していないように見えました。

世界中が自分を愛するのが当然だと

盲信している

狂信者に他なりませんでした。

 

イザベルは、

自分が皇女だという事実が

とても苦痛だ。

この枷を外すことができたら

どんなにいいかと、

舞台に立った俳優のように劇的に

悲しみを演じ始めました。

乞食扱いされている彼女の従姉ですら

必死に守っている品位を、

皇帝の娘は、すっかり

忘れてしまったようでした。

 

バスティアンは頭を下げて

視線を落とすと、

自分の忠誠心から一つ助言をする。

その枷を、しっかりかけていた方が

良いと思う。

このような状況でも、

自分が、この程度の忍耐と配慮を

見せているのは、

皇女が皇帝の娘だからだと

皇女だけが聞こえるほどの小さな声で

囁きました。

 

皇女はわけが分からず、

バスティアン?」と呼ぶと、

バスティアンは、

殿下が皇女という身分でなかったら、

こんなに平気な姿で自分の前に

立っていられなかっただろうと

言いました。

 

皇女は、

「今・・・一体何を言っているのか」

と尋ねましたが、バスティアンは

どうか皇帝である父親に

とても深く感謝するようにと助言し、

再び首をまっすぐにしました。

袖にぶらさがっていた皇女の手が

力なく垂れ下がりました。

 

イザベルは、

「いいえ、そうではない、違う」

と叫ぶと、息も絶え絶えに

泣き出しました。

数年に渡って

一人で積み上げた妄想の塔は、

思ったより、はるかに

堅固だったようでした。

 

イザベルは、

全てを捨てて、

ただ、あなたのことだけを

考えながら、

してはいけないことまでして、

ここまで来た。 

だから、自分に

こんなことをしないでと懇願しました。

しかし、バスティアンは、

皇女が台無しにした

カフスボタンの形を直した後、

自分が皇女にあげられるのは、

帝国の軍人が皇室に捧げる

忠誠心だけだ。

今までも、そうだったし、

これからも永遠にそうする。

これが皇女が、

あれほど聞きたがっていた

自分の本心だと、冷徹な口調で

最後の楔を打ち込みました。

 

もう泣き方も忘れたように、

呆然としたイザベルが

よろめき始めた頃、

邸宅の呼び鈴が鳴りました。

驚いた使用人たちが皇女へ駆け寄る中

バスティアンは落ち着いて

玄関のドアを開けました。

バスティアンが帰宅途中に見かけた、

警察になりすまして近くを徘徊していた

皇室近衛隊でした。

 

バスティアンが先に沈黙を破って、

皇女がここにいると告げました。

使用人たちに支えられて立っている

皇女を発見した近衛隊の顔に

隠せない当惑感が浮かび上がりました。

 

皇女はあのような姿で、ここに来た。

皇宮に連れて行こうと

思っていたけれど、

ちょうど来てもらったので、

自分はこの辺で失礼すると言いましたが

最も階級の高い将校は、

クラウヴィッツ大尉も

一緒に来るように。

できるだけ早く、静かに

宮殿に入るようにという

皇命が下されたと、

高圧的に命じました。

ティラは

「本当にありがとう!」と叫ぶと

喜びのあまりどうしていいか分からず

オデットの胸に飛び込みました。

丸一週間、せがみ続けた結果、

一緒に週末の遠足に行こうという約束を

取り付けたところでした。

 

シチューをかき混ぜていたおたまを

しばらく下ろしたオデットは、

静かな笑みを浮かべながら

妹を見つめました。

 

ティラは、

都心の公園内に新たに造成された

遊園地に

強い好奇心を抱いていました。

 

綿菓子。メリーゴーランド、

星占い機。 観覧車。

学校の友達から聞いた話を

伝える声と表情が、

とても切実だったので、

これ以上、

無視することはできませんでした。

 

次の日曜日、絶対に忘れないでと

ティラは再び強調すると

小指を差し出しました。

確約を得るために使う方式でした。

オデットは、静かに指をかけて

約束しました。

 

まさか、あの男が数日以内に

また連絡をしてくることは

ないだろうし、

もしそのようなことが起きたとしても

オデットは従うつもりが

ありませんでした。

 

夕食のテーブルの前に座ったティラは

お父様が帰って来なくて

本当によかったと言って、

無邪気に笑いました。

 

戒めなければならないことは

分かっているけれど、

その資格がなさそうなので、

オデットは気軽に口を開くことが

できませんでした。

ただ口に出さないだけで、本音は

ティラと変わらないからでした。

 

父親のいない空席を

眺めていたオデットは、

ティラが卒業したら、

父親抜きで、自分たち二人だけで

遠くへ行こうと、

衝動的に提案をしました。

しかし、予想とは裏腹に、

ティラは気乗りしない表情でした。

 

ティラは、

どうしても離れなければならないのか。

ここで自分たち二人だけで、

別々に家を探して

住んでもいいのではないかと

尋ねました。

 

オデットは、

どうしても首都は騒がしいし

家賃も高い。

静かな地方都市なら、暮らすのに

それほど不便ではないだろうと

答えました。

 

仕方なく、

気乗りがしない笑みを浮かべた

ティラは、頭を下げたまま

食べ物を食べることだけに

熱中しました。

ティラも、もうすぐ成人になるので

無理強いするわけには

いきませんでした。

 

オデットは、水の入った

縁が欠けたグラスを握ったまま

窓越しに都市を眺めました。

卒業して就職すれば、ティラも

自分の身は

守ることができるようになるだろう。

そんな日が来れば、

何の束縛も制約もない所で

人生を新たに始めるため、

一人で去っても大丈夫だと

思いました。

 

好奇心から調べてみた家庭教師の仕事は

オデットの予想より

はるかに良い報酬でした。

住居も一緒に解決できるという点で

さらに魅力的な働き口でした。

経歴がないため心配していましたが、

幸い紹介所の職員はオデットの能力を

高く評価してくれました。

 

暖かい南の方。

海が見える小さな都市はどうだろうか。

 

慎ましやかな希望を抱いていた

オデットは、ティラの口から、

もしかして、

クラウヴィッツって誰か知っている?

と、意外な名前を聞き、

現実に引き戻されました。

 

オデットは、

危うく落としそうになったグラスを

ギュッと握ると、

その名前をどこで聞いたのかと

尋ねました。

そして「どうか、お願い」と

何を祈っているのかも分からないまま

切に祈りました。

しかし、人生は、

今回もオデットを裏切りました。

 

ティラは、

先程、お姉様が買い物に行った時、

お客が来た。

お金の問題だったみたいだけれど、

詳しいことは、よく分からない。

その時、クラウヴィッツ

全部解決してくれるって

お父様が言っていた。

特に変わったことがないから

何の連絡もないのだろうと、

軽い口調で話したティラは、

再び食事を続け始めました。

しかし、オデットは、

これ以上何も飲み込むことが

できませんでした。

 

父親が、あの男の存在を知っている。

その事実が何を意味するのかは

明らかでした。

お金の問題と関係しているなら

なおさらでした。

 

やっと両足を動かせるようになった

オデットは、ティラに後片付けを頼むと

急いで食卓の前から立ち上がりました。

 

ティラは、

こんなに急に、どこへ出かけるのかと

尋ねました。

オデットは、

うっかり、約束を忘れていた。

行って来なければならないと

答えました。

 

ティラは、

こんなに遅い時間に約束したのかと

訝しがると、オデットは、

皇室の親戚の人に、

返さなければならない物があると

答えました。

ティラは、

ああ、あのキリのようなおばあさんと

納得しました。

 

頭の中が真っ白になった気分でしが、

オデットは巧みに嘘をつきました。

幸いティラは、

すんなり納得してくれました。

 

急いで外出の準備を終えたオデットは

夢中で夜の街に出ました。

あの男に会わなければならない。

オデットにできることは

その一つだけでした。

力いっぱい頬を叩く音が、

息が詰まりそうな静寂の中に

響き渡りました。


バスティアンは避けることなく

その手を受け入れました。

全身を震わせながら

彼を睨みつけていた皇后は、

もう一度頬を叩いて腹いせをすると

お前のような者が、身の程知らずに

皇女を弄ぶなんてと非難しました。

 

手の甲で、切れた唇の血を拭った

バスティアンは、

依然として不動の姿勢で立ち、

次に起こることを待ちました。

皇命を伝え聞いた瞬間、

すでに覚悟していたことでしたが

皇后の手が、これほど厳しいとは

予想していませんでした。

 

妻が再び手を上げた後、

数歩離れた所で、

様子を窺っていた皇帝は、

落ち着くように。 こういう時にこそ

冷静にならなければならないと言って

皇后を宥めると、

彼女を寝室に連れて行くよう

命令しました。

待機中だった別宮の使用人たちが

皇后を取り囲みました。

 

氷のような冷たい目で、

バスティアンを睨みつけた皇后は、

その辺で退くことで

最後の体面を守りました。

少なくとも、

娘よりは、ましな母親でした。

皇后と使用人たちが皆去ると、

圧し潰されそうな冷たい沈黙が

舞い降りました。

 

しばらくバスティアンを見つめていた

皇帝は、複雑な思いが入り混じった顔で

タバコをくわえました。

イザベルが逃げたという知らせを

受けた朝から、

イザベルが捕まった今まで、

地獄のような一日を送った余波が

一気に押し寄せて来ました。

極度の怒りと幻滅。

その矛先が向かったのは、

帝国にもたらされた

祝福であり災難のような

その将校、バスティアンでした。

 

定刻を告げる柱時計の音が

微かに聞こえて来ました。

半ば燃え尽きたタバコを消した皇帝は

バスティアンを見つめながら、

イザベルは夜が明け次第、

外国に送ることになる。

結婚式が行われるまでは絶対に、

二度とベルクの地を

踏むことはできないだろうと

告げました。

そして、火が消えた暖炉の前に

置かれたソファに座ると、

やつれた顔を、ゆっくり撫でました。

 

皇帝は、

公式的な出国理由は療養だ。

神経症で健康を害したせいで、

結婚前まで、

休息の時間を持つことになったと

告げました。

バスティアンは、忠実な兵士の顔で

肝に銘じると答えました。

 

皇帝は、

話が長くなりそうなので座れと命じると

濃い疲労感が滲んでいる目で

向かい側の席を指しました。

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腸が煮えくり返るくらい

腹が立っていたとしても、

他の人がいる前で

皇后が何度も平手打ちをしたら

ダメでしょう。

バスティアンは、

イザベルよりはマシだと

考えていましたが、

全然マシではないと思います。

この母親にしてこの娘あり。

イザベルが

ヘレネの二の舞になることを

皇后が非常に恐れている気持ちは

分からないではないけれど、

バスティアンは

イザベルにちょっかい出すどころか

彼女を煙たがっていて、

彼女のことを厄介者だと思っているのに

イザベルの身勝手な行動の責任を

バスティアンに押し付けるのは

酷すぎます。

しかも、彼の身分のことまで

非難しているし。

ヘレネとディセン公爵の

駆け落ちの余波が

いつまでもベルクの皇室を

悩ませているのは気の毒だと

思いますが、皇后には、

自分の娘の性格を冷静に見極める目を

養って欲しいものです。

 

そして不幸の元凶である

ディセン公爵は、

懲りることも反省することもなく

バスティアンという

新たな金づるを手に入れて喜んでいる。

本当にろくでもない男です。

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