自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

泣いてみろ、乞うてもいい 105話 ネタバレ 原作 あらすじ 長い片思いの終わり

 

105話 レイラはマティアスに、自分の好きなようにさせてと言いました。

諦めたように

その事実を受け入れた

マティアスの唇から、新たに

熱くて乾いた笑いが漏れました。

その間、気を揉むように

じっとマティアスを見下ろしていた

レイラは、慎重に身を屈めました。

 

胸が密着する感覚に

マティアスはため息をつきましたが

それが消える前に、可愛らしい唇が

マティアスの唇に触れました。

嘴で突く彼の小鳥のように、

レイラは、まめまめしく、

キスを続けました。

その生半可な挑発を見守る

マティアスの青い目は、

ますます朦朧としてきました。

熱い息を飲み込んでいる間、

シーツを握っている

手の甲に浮き出た骨と血管は

さらに鮮明になりました。

 

間違いなく何かある。

レイラが自分の服を脱ぎ始めた瞬間

マティアスは確信しました。

熱に浮かされて朦朧としているように

見えるけれど、時々、手の動きが

固まったように止まる短い瞬間

レイラは崖の前に立っている人のように

途方に暮れた顔になりました。

それでも必死に

彼を誘惑してみようと努力する姿が

不埒だけれど愛らしいと思いました。

 

一夜にして、自分を

愛するようになったはずのない

女でした。

喜んで、そのような錯覚に

陥ろうとする気持ちとは違って、

マティアスの理性は、

その事実を明確に認識していました。

 

多分、何か欲しい物があるのかも。

この女が自分を受け入れるのは

そのような瞬間だけだったことも、

マティアスは、

とてもよく知っていました。

 

しかし、

それは差支えありませんでした。

欲しがるなら与えるだけ。

だから目的が何であれ、

レイラは、ただ今のように

彼のそばにいれば良いことでした。

条件が何であれ、その代価として、

この女を持つことができる限り、

彼にとって、

決して損ではない取引でした。

 

マティアスのシャツを

やっと脱がせたレイラは、

全身を赤く染めながら

荒い息を吐きました。

目つきは決然としていましたが

冷や汗でびしょ濡れになった手は

ブルブル震えていました。

 

しわだらけになったシーツを

放したマティアスは、

きちんと梳かしていた自分の髪を

乱暴に握りしめました。

荒い息遣いに混じって

聞こえてきた悪口に、

レイラは目を見開きました。

 

この男が吐き出した言葉とは

到底信じられず、当惑していると

公爵が何気なく

目を合わせて来ました。

困ったレイラは、まず咎めるように

マティアスの肩をつかみました。

眉を顰めたけれど、公爵は、

これといった抵抗をしませんでした。

両腕を再びシーツの上に置いたまま、

処分を待つように、

じっとレイラを見つめました。

 

それでも安心できなかったレイラは

彼の手首を思いっきりつかみました。

ため息をつくように笑うだけで、

今回も公爵は素直でした。

 

安堵感を感じたのもつかの間。

レイラは、

突然夢から覚めた人のように

茫然として、

ゆっくりと周囲を見回しました。

 

威圧的に大きくて華やかな寝室。

美しい鳥かごの中で

ぐっすり眠っているカナリア

そして自分の下に横たわっている男。

 

彼の手首を握った自分の手を見る頃には

つまらない自信は

きれいに姿を消してしまいました。

一瞬でも、この関わり合いで

自分が優位に立っていると

錯覚したことが、

あまりにも滑稽でした。

その気になれば、公爵は片手だけで

自分を制圧することができました。

レイラが導いているのではなく、

ただ、この男が

大目に見ているだけでした。

それに気づくと、忘れていた羞恥心が

押し寄せて来ました。

 

公爵は頷きながら

「続けましょう、女王陛下」と

言って微笑みました。

ひねくれた笑いが、

さらに魅惑的でした。

 

レイラは、

突然襲いかかって来た侮辱に

呆然としました。

結局、翻弄されるのは

自分だとも知らずに

何をしてしまったのだろうか。

 

レイラは赤くなった目元を

見られたくなくて

慌てて目を伏せました。

すると、一糸まとわぬ姿で、

男の上に座っている自分の姿を

まざまざと感じられました。

 

慌てて顔を上げると、

マティアスの顔が見えました。

もう、その視線を受け止める

自信がなくなったレイラは、

急いで体を捻りましたが、

それよりも、もう少し早く、

マティアスがレイラの腰をつかんで

引き寄せました。

バランスを崩して、

もがいていたレイラは、

公爵の肩をつかむことで、

辛うじて体を支えました。

 

この全てが急に怖くなったレイラは

心から「やめます」と言いました。

計画通りに進むと信じていましたが

実は、今のように公爵の手の中で

弄ばれていたのかもしれない。

今すぐにでも止めて、一日でも早く

この男のそばから逃げることだけが

唯一の道かもしれないと思いました。

 

そうだ。むしろそうして・・・と

何かに追われるように

差し迫って考えていましたが

かじるように胸を飲み込んだ男が

作り出した、

熱くていやらしい感覚のせいで

まともに結論を出せませんでした。

 

体を捩って抜け出そうとしましたが、

公爵は、これ以上、

寛容を施す気がなさそうでした。

自分のものであることが

信じたくない声と胸を吸われる音が

途方に暮れたレイラの意識を

かき乱しました。

 

その間、マティアスは、

レイラの髪を緩く結んでいたリボンを

乱暴に解きました。

流れ落ちた髪の毛が

肌をくすぐる感触に、

マティアスの息遣いも

急激に荒くなっていきました。

 

マティアスは、胸いっぱいに

赤い痕跡と歯形を刻んだ後、

レイラを放しました。

体重を辛うじて支えていた

両腕の力が抜けてしまったレイラは

そのまま、

マティアスの上に倒れました。

 

マティアスは、

今更、これだけだなんて、

そんなことはあり得ないと言うと

レイラを腕に抱いたまま

体を回転させました。

たちまち、彼の下に閉じ込められた

レイラに、マティアスは、

約束したのなら、

守らなければならないのではないかと

耳元で囁きました。

レイラは辛うじて目を開けると、

目を合わせた彼は、微笑みながら

「私の女王」と囁きました。

 

その甘美な嘲弄に、レイラの目元が

さらに赤くなりましたが、

最後まで反論できませんでした。

レイラをギリギリに満たした彼が

激しくぶつかり始めました。

ラッツの春を告げるパーティー

夜が更けるほど、

さらに盛り上がって行きました。

 

ダンスと音楽、シャンパンと談笑が

全て退屈になったクロディーヌは、

そっと休憩室へ抜け出しました。

開けておいた窓からは、

微かに花の香りが漂う風が

吹いて来ました。

春が早く訪れるラッツでは

早くも花が咲き始めました。

あっという間に夏が来ると思うと

安堵感と幻滅が同時に訪れました。

 

このパーティーの女王様が

もう退場したら困ると、

突然、後ろから

聞き慣れた声が聞こえて来ました。

振り返ると、リエットがいました。

クロディーヌは、あえて彼を

避けようとしませんでした。

今更ぎこちない仲になるのも

変だからでした。

 

クロディーヌは、

ほんの少し休憩していただけだと

返事をすると、リエットは

「ああ,そうでしたか、

ヘルハルト公爵夫人」と

クスクス笑いながら言いました。

クロディーヌは眉を顰めましたが、

リエットは、それを期待していたのか

かなり満足そうでした。

 

リエットは、

公爵夫人の称号を

一日も早く手に入れたくて

気が気でない淑女が、

そんな反応するのは意外だと

言いました。

 

クロディーヌは、

そんな嘲けるような言葉で、

リエットの傷ついた心が

少しでも癒されるなら

喜んで理解してあげると

返事をしました。

のんびりとした口調とは裏腹に、

クロディーヌは

つんと澄ました表情をしていました。

 

その顔を、

ぼんやりと見ていたリエットは

とうとう、

虚しく笑ってしまいました。

 

傷ついたのだろうか?

考えてみれば、そんな気もしました。

内心、本気で近づけば、

もしかしたらクロディーヌの答えが

変わるかもしれないと、

愚かな期待をしていたようでした。

 

それで彼女が憎いのか?

そのように自問してみると、

また別の意味の笑いが漏れました。

 

ヘルハルト公爵の婚約者として

育てられている従妹に

心を奪われた、その瞬間から、

彼女を憎めたらいいと

切実に祈りました。

しかし、いくら努力しても

結局は元のまま。

我儘で利己的な欲を出しても、

なぜか、

この高慢で可哀想なお嬢さんを

憎めませんでした。

 

リエットは、

自分が傷ついたのではないかと

社交界の女王である公爵夫人が

心配してくれていたなんて光栄だと

言って大笑いすると、

軽やかな足取りで、

クロディーヌが座っている椅子の前に

近づきました。そして、

「辛辣な冗談で

癒される傷ではないでしょう?

私を傷つけた公爵夫人?」と

言いました。

 

クロディーヌは

自分たちは品位ある線を守ろうと

返事をしました。

リエットは、

もちろん守っていると返事をすると

平気でクロディーヌに手を差し出し、

自分はただ、

一曲踊って欲しいだけだと

穏やかな笑みを浮かべながら

誘いました。

鼻で笑いながらもクロディーヌは、

彼の手から目を逸らすことが

できませんでした。

 

社交界にデビューしたクロディーヌの

最初のダンスの相手は

当然マティアスでした。

皆がそうすべきだと信じ、

クロディーヌもそうでした。

しかし、

デビュタントの夜を思い出すと、

一番記憶に残っているのは、

リエットと一緒に踊った

最後のワルツでした。

 

リエットのダンスは、

マティアスのように

完璧ではありませんでしたが、

緊張した少女のための

配慮が感じられました。

マティアスのように、

優雅で丁重な態度ではなくても、

茶目っ気たっぷりの、その笑いには

社交界にデビューした従妹に送る

心からのお祝いの気持ちが

込められていました。

 

皆が羨望する最高の花婿である

ヘルハルト公爵に

お姫様扱いされても、

不思議と、ひんやりとしていた心を

慰めてくれたのは、

まさにリエットが与えてくれた

その温もりでした。

 

あの日のように、クロディーヌは

リエットの手を握りました。

彼の言葉のように、

ダンスを一緒に踊ったからといって、

一線を越えることになる関係では

なかったからでした。

それを証明するかのように、

一緒に入って来た二人を、

誰一人として、変な目で見ることは

ありませんでした。

 

平凡なパーティーの夜でした。

踊るリエットは、

パーティーで出会った淑女と

儀礼的なワルツを踊る紳士のように、

優しい他人のように、

彼らしくないほど丁重でした。

 

踊りが終わると、リエットは、

「ご一緒できて光栄だった、

ブラント令嬢」と

礼儀正しく挨拶をしましたが

ヘルハルト公爵夫人と

言い直しました。

 

そして、力強く開いた

クロディーヌの両目を見て

微笑んだリエットは、

クロディーヌの望みどおりに、

品位ある線を守りながら、

その挨拶を最後に背を向けました。

これで良かったと、

クロディーヌは安堵しました。

パーティーが続いている間も、

ラッツにあるブラント家の邸宅に

戻る途中も、休むことなく、

そう考えました。

本当にそのように

信じられたりもしました。

華やかな服を脱いで、

寝室に一人残された瞬間が

訪れるまでは。

 

しばらくベッドで寝返りを打っていた

クロディーヌは、

結局、眠ることができず、

起き上がってランプを灯しました。

しかし、その温かい色の光の中でも

クロディーヌは

青白い顔をしていました。

 

もしかして、あれは、

長い片思いに終止符を打つ

別れの挨拶のような

ものだったのだろうか?

リエットの最後の笑顔が

頭から離れませんでした

 

今まで婚約すらしていない彼を

公爵家では、これ以上

見過ごすことはないだろうから、

今年中に彼も、

自分の役目を全うする結婚を

することになるだろう。

ここで別れるのは、

お互いにとって得だろうと

クロディーヌは

少なくとも頭の中で納得しました。

 

ギュッと閉じた目を開けた

クロディーヌは

ベッドから起き上がると、

大股でドアの前に近づきました。

しかし、結局、そのドアを

開けることはできませんでした。

永遠にリエットを

失ってしまったかもしれないと

思うと、胸の奥深くで

とぐろを巻いている

冷たい怒りと軽蔑が

さらに深まりました。

 

クロディーヌは、

公爵夫人になるつもりでしたが、

だからといって、

損をする結婚を我慢する気は

少しもありませんでした。

この結婚が一つの商売なら、

お互いに公平でなければ

ならないからでした。

 

クロディーヌは心を落ち着かせた後

便箋と羽ペンを手に取り、

テーブルの前に座りました。

ゆっくり深呼吸を繰り返すうちに、

彼女の目は、

さらに冷徹になりました。

 

マティアス・フォン・ヘルハルトとの

完璧な結婚のために、

クロディーヌ・フォン・ブラントは

愛を失いました。

それなら彼も、そうすべきだ。

公爵だけが、結婚と愛の全てを

勝ち取るのは、

あまりにも不公平な取引だと

思いました。

 

公爵夫人の地位が

どんなに素晴らしくても、

君自身を壊すほどの価値はないと

言ったリエットの声が、

耳元に聞こえて来るようでした。

それでしばらく躊躇っていましたが、

結局クロディーヌは、

インクを付けた羽ペンを

便箋の上に持って行きました。

 

すでに彼女の心は

名誉と体面に蝕まれて

久しくなっていました。

 

マティアスの元を去るという

レイラの約束を疑っているわけでは

ありませんでした。

あのような恥辱を受けて、

すべてを知りながら、

あの男のそばを

うろつくことができるような子では

ありませんでした。

むしろ、そのような女に過ぎないなら、

こんなに

レイラ・ルウェルリンのことが嫌いでは

なかったかもしれませんでした。

 

ただ、クロディーヌは、

あえて、その時を

待ちたくありませんでした。

一体、なぜ、

そうしなければならないのか。

あの子を殺めることはできないけれど

死ぬほど苦しめて、一日も早く

消えるようにする方法が何なのか

はっきり分かっているのに。

 

クロディーヌは、

あの愚かな庭師への手紙を

力強く書き始めました。

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クロディーヌは、

夫の浮気に苦しめられた母親を

見て来たことで、

愛というものは信頼できず、

いつか壊れると思っている。

だから、リエットとの愛よりも、

その地位が揺らぐことのない

帝国一の貴族であるヘルハルト家の

公爵夫人になることを選んだ。

けれども、マティアスは

生まれた時から

ヘルハルト家の公爵となる

運命だったので、

その座に対する執着はなく、

母親のエリーゼが心配しているように

愛のためなら、

その座を簡単に捨てることが

できるのだと思います。

おそらく、リエットも

そのことに気づいていたから、

マティアスの気持ちを

刺激するようなことをするなと

忠告したのだと思います。

けれども、結局クロディーヌは

自分の座を脅かしそうな

レイラを叩きのめし、ついには

ビルおじさんに手紙を書くという

暴挙に出ました。

クロディーヌは、

自分も愛を捨てたのだから、

マティアスも愛を捨てるのが

公平だと思っているけれど、

マティアスにそれができないことを

考えられなかったのは、

失敗だったと思います。

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いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

朝、起きると、すでに

たくさんのコメントが入っているので

とても嬉しいです。

 

さて、先日、

コメントの中の表現について

露骨な言葉遣いにならないよう

伏せ字にするなどして欲しいと

お願いいたしましたが、

再度、言葉遣いに

お気をつけていただきますよう

お願いさせていただきます。

私の方で、これはちょっと・・・

と思うものは、

申し訳ありませんが

コメントを

未承認とさせていただきます。

 

Solche様ご自身、

露骨な表現をせず、

遠回しな言い方で

文章を綴られていますので

何卒、よろしくお願いいたします。

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